遺品整理士と他業者の違い ~遺品整理業にとって最も大切なものとは?

遺品整理士と他業者の違い ~遺品整理業にとって最も大切なものとは?

身内が亡くなったあと、しなくてはならないのは「遺品整理」。
しかし、親族や身近な方が亡くなって、遺品整理をするという機会は、人生でそう何度もあるものではありません。
たとえゴミ屋敷や汚部屋ではなくても、何を捨てて、何をとっておくべきか、また、不用となったモノを処分するにはどうしたらいいか……いざとなると、わからないことだらけなのではないでしょうか。
なかには、写真などの思い出の品や貴重品、重要な書類などもあることでしょう。また、スマートフォンやパソコンなど、個人情報が入ったものもあります。
残された配偶者や子供が、これらを個人で適切に整理・処分するのはかなりの重労働であり、膨大な時間がかかります。特に、高齢の方では作業が困難な場合もあります。
また、まだ気持ちの整理がつかないなか、否応なく片付けをしなくてはならないのは辛いものです。
そんなとき、心強い助っ人となるのが「遺品整理業者」です。

遺品整理と遺品整理業者

故人の家や部屋には、思い出の品として残しておきたいもの、まだ使えそうなもの、処分してよいものに加え、大きな家具や家電などが入り混じって残されています。
特に賃貸物件の場合は、部屋を早々に明け渡さなければならないケースもあり、いつまでも遺品をそのままにしておくわけにはいきません。
「遺品整理」とは、このような故人の遺品を、残すものと処分するものに仕分けし、整理することです。

2030年問題・・・超高齢化社会へ

遺品整理には、考えなければいけないことや、やらなければならないことがたくさんあります。
現金や銀行の通帳、印鑑、株式証券、保険証券、骨とう品や美術品などの貴重品は、遺族の誰かが管理したり相続したりすることになります。
また、写真やアルバム、故人が生前に愛用していた品など思い出の品々は、形見として親族や親しかった人の手に渡ることでしょう。
故人がひとり暮らしだった場合は、食器棚やタンスの大型家具や、テレビや冷蔵庫などの家電が不要になることも多々あります。遺品を整理するには、いろいろなことを考え、次々に判断していかなくてはなりません。

この大変な遺品整理をプロとして請け負ってくれるのが、遺品整理業者です。
高齢化が加速するわが日本。内閣府は、わが国では超高齢化社会が進み、50歳以上の男性の3人に1人は、未婚となるという推計を出しています。
さらに、高齢者の2人に1人は孤独死する可能性があるという統計も出ています。これが「2030年問題」です。
2030年・・・まだ先のことのように思われますが、あとたった13年で、日本は超高齢化社会になると推定されているのです。
また、核家族化など社会構造も変化し、現代のライフスタイルにおいては、遺品整理を遺族の力だけで行うのが難しくなっています。
だからこそ遺品整理業は、今後ますます需要が高まっていくと予想されています。
そのためには専門的知識を習得し、適切な対応を行える人材が求められているわけです。

新たな資格・遺品整理士の認定

しかし、遺品整理業に関する法律は、まだほとんど整っていないのが現状です。
回収した遺品を不法投棄したり、不当に高額な料金を請求するような業者も、残念ながら存在しているのです。
このような社会背景から、プロとして遺品整理を代行する「遺品整理士」という資格が生まれました。
遺品整理士を育成する「遺品整理士認定協会」は、遺品整理業の需要が高まるとともに、事業者のモラルの低下を是正することを理念として設立されました。
業界の健全化をはかるため、遺品整理士養成講座を運営するとともに、認定試験を実施することを目的としています。

遺品整理を代行するにあたっては、法規制を遵守した形で行っていくことが必要です。
遺品整理士養成講座では、遺品整理の取り扱い方法や、遺品整理に関わる法律などの知識を身につけることができます。
遺品整理とは、不用品の処分に限りません。故人が生前に愛用し、想いのこもった品々を供養することなのです。

「遺品整理」と他の業者との違いとは?

モノを片付けるという点では、遺品整理業のほかにも、次のような業者があります。

  • ゴミ屋敷清掃業者
  • 不用品回収業者
  • 引っ越しに伴う回収

それぞれどんな業務内容なのか、そして遺品整理業務との違いは何かをご説明します。

不用品回収

ゴミ屋敷清掃業者

長い年月のうちに蓄積したゴミや汚れ・・・。一体どこから手をつけていいのか、途方に暮れてしまいますよね。
ゴミ屋敷の清掃業者は、大量のゴミや不用品の片付け、荒れた庭の草刈や、倉庫などの片付け、廃屋の撤去まで請け負ってくれます。とにかく大量のゴミを片付けたい人には便利です。
ゴミの仕分け中に、貴金属や家電など、買取可能なリサイクルやリユース品が出て来た場合は、買い取ってくれる業者もあります。

不用品回収業者

その名の通り、不用なものを回収してくれる業者です。大きな家具や家電、楽器や自転車まで、どう処分したらいいのかわからないものは、適正に処分してもらえます。

引っ越しに伴う回収

引っ越しの際、自分でもビックリするほど大量の不用品や粗大ゴミが出たことはありませんか? しかも、ベッドなど引っ越し当日まで使うものはどうしたらいいのか・・・。
そんなときには、引っ越しの段取りを行いながら、引っ越しに伴う回収をお願いしておくと、時間のロスも少なくなるでしょう。

遺品整理業者

ゴミ屋敷の清掃や不用品の処分と、遺品整理の違いは何でしょうか。
それは、「人の死」が介在するために、作業内容が変わってくるということです。
大量のモノたちの持ち主は亡くなっており、持ち主以外の人が処分しなくてはなりません。
持ち主が元気でいる間は、何が必要なのか、そうでないのか、持ち主自身が判断することができます。
しかし、遺品整理の場合、片付けるモノは「遺品」です。たとえ他人から見たら役に立たないゴミであっても、遺族にとっては大切な思い出の品です。
そのため遺品整理業者には、遺族の気持ちに寄り添い、配慮した言動が求められます。
故人の愛用品について「これはゴミですね」と言われ、悲しい気持ちにならない遺族はいません。ただでさえ精神的負担が重い遺品整理ですから、ひとつひとつ、大切に扱ってもらいたいと思うはずです。
誠意をもって大切に遺品を整理することが、遺族にとって必要なことであり、故人を供養することにつながります。
実際、遺品整理の現場で、遺族の気持ちを考えていないような作業を行う業者もいるようですが、遺族の心のケアまでできてこそ、理想の遺品整理業者なのです。

遺品整理に欠かせない「お焚き上げ」

他の業種と異なり、遺品整理業において欠かせないものがあります。それは「お焚き上げ」です。
お焚き上げとは、大切な品を火で燃やすことで供養・浄化し、煙とともに天に還すという意味があります。
たとえば1年間守ってくれたお守りやお札などを、新年に神社やお寺でお焚き上げに出したことある人もいるでしょう。
私たち日本人には、大切にしていたものや思い出の品には、魂が宿るという考えが根付いています。そういったモノを、感謝を込めて供養するのがお焚き上げです。

  • お焚き上げするべきもの
  • 最近のお焚き上げ事情

お焚き上げするべきもの

神棚、仏壇・仏具、位牌、数珠、お守り、お札など。
その他には、人形やぬいぐるみ、写真、手紙など、魂が宿ると言われるものがあります。
お焚き上げをすることにより、大切な品は浄化され、天に還ることができます。そして、同時に遺族の心も整理され、清められるわけです。

最近のお焚き上げ事情

お焚き上げは、かつては神社やお寺に依頼するものでした。
ところが、近年、環境問題への配慮から、お焚き上げを控える神社やお寺が増えてきています。そこで、専門の業者に依頼するケースが増加してきました。
遺品整理業者のなかには、お寺と提携しているところもあります。この場合、遺品整理をする場所まで僧侶が出向き、供養してくれます。
お寺と提携している業者に仕事を依頼すると、回収されたあとの遺品の行き先も明確です。大切な思い出の品が違法に処分されてしまっては、故人も安らかに眠れないでしょう。
遺品整理士は、故人が生前大切に使用した、思いのこもった品々を「供養する」という観点から整理します。この基本精神が、何よりも大事なところです。

業者選び

どんな業者を選べばよいか、5つのポイント

故人の思い出が詰まっている大切な遺品。需要が増加しているとはいえ、遺品整理業界はまだ歴史が浅く、業者によって品質やサービス内容、料金は様々です。
業者が増えている中で、このようなトラブルが頻発しています。

  • 遺品を不正な価格で買い取ったり、買い取りを望んでいないものまで買い取りを強要された。
  • 遺品整理終了後に、見積もりと大きく異なる高額請求をされたり、「追加料金」という名目で高額な請求をされた。
  • 処分費用を支払ったのに、遺品を不法投棄されてしまった。

そこで、業者を選ぶ際に知っておきたい5つのポイントを挙げます。

① 公的機関の資格を持っている

家電などは、法律に従って適切に処分しなくてはなりません。また、リサイクルできるものを買い取ってくれる場合もあります。そのため、

  • 一般廃棄物収集運搬許可証…一般家庭の不用品を処分できる資格
  • 古物商許可証…買い取りや無料引き取りができる資格
  • 産業廃棄物拾集運搬許可…企業の廃棄物を処分できる資格

こういった資格と正しい知識を持つ業者を選びましょう。

② 現場を見る・見積書がわかりやすい

見積書を出すには、実際に整理する現場を見る必要があります。
現場を見ず、電話での問い合わせだけで「○○円でできます」などという業者には注意しましょう。
また、見積書の内容がわかりにくかったり、読みにくかったりする業者にも要注意です。 不明点は、納得がいくまで細かく確認をして、明確な見積もりを取りましょう。
遺品整理業者ごとに料金体制が異なるので、複数の業者へ見積もりを依頼し、納得できる業者に依頼してください。

③ 疑問や要望に丁寧に応じてくれる

「できるだけ静かに作業してほしい」といったような、常識的な要望に対処してくれない業者はお勧めできません。
また、ハウスクリーニングまでしてもらえるのか。その場合の料金は? 倉庫のなかも依頼するのかなど、要望は見積もりの際、先に話しておきましょう。
あとになって次々と要望を増やすと、請求が高額なものになってしまう場合もあります。

④ 遺品に対しての配慮がある

遺品整理は、限られた時間のなかで素早く行わなくてはなりません。そのため、残念なことですが、遺品を粗く扱う業者もいます。
故人が遺された大切な遺品を、丁寧に扱ってくれる業者を選びたいものです。

⑤ 遺品整理士の資格を持っている

遺品整理を依頼する人は、遺品整理をするのが初めてというケースがほとんどです。
わからないことも多いですし、大切な家族や親戚を亡くし、心が疲れ切っている人も大勢います。
そんなとき、いくら価格が安いからといって、「不用品を処分する」というような対応をされたら・・・依頼人の気持ちは、ますます傷ついてしまうことでしょう。
遺族の気持ちを汲み、寄り添い、さまざまな相談に快く応じてくれるような業者が理想です。
遺品整理士という資格は、お悔みや配慮の心を重視し、依頼人の気持ちを理解して作業をしてくれる人に与えられる資格です。
遺品整理には「心」が一番大切なのです。このことを理解し、真摯に向き合ってくれる業者に任せましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。