近年、使い方が簡単、機能もシンプルなシニア向け携帯電話やスマホが普及し、多くの高齢者が携帯電話を持つようになりました。
最近は、操作の難しいスマホを使いこなすシニアも増えているようです。
そんな中、考えたくはないことですが、携帯やスマホの持ち主が亡くなってしまったらどうしますか?
遺族はスマホを解約するか、承継しなくてはなりませんが、実は、携帯やスマホの解約は、意外に面倒なようで、トラブル例も多く起きています。
そこで、親が亡くなってしまったあとの、携帯やスマホの扱いについて見ていきましょう。
目次
トラブル続出!? 携帯・スマホの解約
人が亡くなると、公共料金に始まり、保険や年金など、さまざまな手続きが必要になりますね。
その一つが、携帯電話やスマホの承継・解約です。
書類さえあれば簡単に解約できそうですが、意外とトラブルが頻発しているようです。
その例を見てみましょう。
Aさんの場合
半年前にご主人を亡くしたAさん。
亡きご主人とAさん、そして息子さんは、携帯電話の家族割引を利用していました。
ご主人が亡くなったあと、Aさんは携帯ショップに行き、ご主人が亡くなったことを伝えました。
でも、ご主人の死後、半年たっても、ご主人の分の基本料金も含まれた請求書が届いていたそうです。
Bさんの場合
お父さまを亡くされたBさん。
亡くなったあとすぐ、お父さまの携帯を解約したのですが、解約後も請求書が送られてきます。
おかしいと思い調べてもらったところ、お父さまは携帯を契約した際に、wi-fiのルータをセットで契約しておられたことがわかりました。
請求書は、そのルータの電話番号のものでした。
しかし、実際には、お父さまはwi-fiを全く使っておられなかったそうです。
今度はこのwi-fiを解約しなくてはならなくなったのですが、カスタマーセンターの電話でしか解約手続きができず、また、電話がなかなか通じず、アポイントを取るまでに数日もかかってしまいました。
何とか解約に必要な書類を取り寄せ、記入してすぐに発送したものの、実際に解約が完了したのは書類発送後2週間も経ってのこと。
その間も請求は止まらず、Bさんは非常に不愉快な思いをされたそうです。
Cさんの場合
最近、「亡くなった伯父の携帯電話を解約するために、携帯ショップに行ったところ『本人がいらっしゃらないと解約できません』と言われた」というツイートが話題になりました。
伯父さまが生前に使っていた携帯電話を解約することになったため、携帯電話について家族の中で一番詳しいCさんが、解約手続をすることになったそうです。
もちろん、携帯ショップには、死亡診断書と戸籍謄本を持って行きました。
ところが、携帯ショップでは「当店では、ご本人様以外の手続きは一切承っていません」と言われ、解約を断られたというのです。
この理不尽な対応に憤ったCさんでしたが、その後、別のショップで無事解約できたそうです。
携帯、スマホの契約は相続の対象になる?
基本的に、契約関係は相続の対象となります。
これを相続する場合、契約によって生じる権利を受けられるだけではなく、義務も同時に受け継ぐことになります。
携帯電話などの継続的な利用契約については、相続の対象になる可能性が高いと考えられています。
通常、利用者が死亡した場合、解約か承継するか、手続きを行わなくてはなりません。
手続きの内容を確認し、解約または承継に必要な手続きを行いましょう。
携帯電話は、毎月一定の課金があるので、早めに手続きをしましょう。
「解約手続きをしなくても、クレジットカードなどが止まれば、未払いとなって自然に解約される」という情報を目にすることがあります。
しかし、その場合、解約されるまでの間の使用料が債務として残り、請求されることがあるので、放置しない方が賢明です。
「承継」か「解約」か
「承継」は、元の利用者であった故人の契約を、家族が引き継いで使い続けること。
解約は、契約を解除することです。
承継の場合、引き継げるのは電話番号と携帯会社によるメールなどに限定されます。
残しておきたい情報の希望がある場合は、窓口で相談しましょう。
誰が手続きを行う?
docomoとauでは、具体的に手続きを行う人に関しての案内はありません。
まったくの赤の他人が行う場合は事前に確認した方が良さそうですが、親族であれば問題はないでしょう。
Softbankだけは「ご契約者さまの法定相続人さま」という指定があり、基本的には2親等以内の血縁関係にある人しか解約手続きが行えないようになっています。
つまり、手続きができるのは、配偶者(法律上の夫または妻)、子(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)の4種類の立場の人となります。
どこで行う?
携帯電話やスマホの解約手続きは、基本的にはキャリアの直営店で行ないます。
キャリアの直営ではない代理店のショップでは、解約処理ができない場合があるので注意しましょう。
必要書類は?
手続きには、承継の場合「新たに契約するのと同等の書類、解約の場合は「契約者との間柄を証明できる公的な書類」が必要です。
キャリアによって多少違いはありますが、携帯電話と請求書だけあっても解約できないことは共通です。
3大キャリアの解約・承継方法
では、代表的な3大キャリアの解約・承継方法を見ていきましょう。
docomo
解約・承継ともに、以下の書類を持参します。
- 葬儀の案内状や死亡診断書など死亡の事実が確認できるもの
- ご利用中のドコモUIMカード
- 来店する人の「運転免許証」または「マイナンバーカード(個人番号カード)」など
承継の場合のみ、承継者本人名義の「クレジットカード」または「キャッシュカード」、または「預金通帳と届け印」を持参しましょう。
必要な料金は解約日までに利用した料金のみで、翌月、請求されます。
事務手数料または手数料などは無料です。
解約すると、これまで貯めていたdポイントやドコモポイントは失効します。
承継の場合もポイントは引き継げません。
au
解約の場合は、以下のものを用意します。
- au電話機本体(auICカード対応機の場合は、本体+auICカード)
- 来店者の印鑑(ゴム印以外)
- 来店者の本人確認書類(原本)
- 前契約者が亡くなったことを確認できる書類の原本(戸籍謄本、戸籍抄本、除籍謄本、除籍抄本、住民票(除票)、会葬礼状/新聞のお悔やみ欄、死亡届、死亡診断書、火葬(埋葬)許可書、香典返し、斎場使用料の領収書のいずれか1つ)
承継する場合は、上記の書類に加え、承継者の月々の支払方法に応じたもの(金融機関届出印、口座番号の控え、キャッシュカード、クレジットカードなど)を持参しましょう。
書類は、原本の提出が困難な場合はコピーでもOKです。
「2年契約」「2年契約N」などの料金割引サービスに加入している場合、更新期間外の解約であっても、契約解除料は発生しません。
また、「au購入サポート特約」が適用されている場合、解約に伴ってサポート解除料が発生する契約形態であっても免除されます。
ソフトバンク
解約の場合は、以下のものを用意します。
- 契約者、使用者の死亡が確認できる書類(会葬案内状/礼状、新聞のおくやみ欄、除籍が分かる戸籍謄本、住民票(除票)、医師の死亡診断書、埋葬許可証など)
- 契約していた「USIMカード」
- 来店者の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
を持参します。
前契約者との家族関係を示す家族確認書類(戸籍や住民票が同一など)は不要ですが、前契約者と来店者の姓が異なる場合は、提出が必要となることがあります。
また、承継する場合は、上記の書類に加え、承継者の口座名義、口座番号がわかるもの(通帳、キャッシュカードなど)と、金融機関への届け印またはクレジットカードを持参しましょう。
前契約者が契約解除料のかかるサービスに加入していた場合でも、解約に際し契約解除料、手数料はかかりません。
ただし、本体代金のローンの残債は継続して支払う必要があります。
困った時は・・・
携帯電話やスマホに関しては、解約・承継だけでなく、インターネット上で使用していたサービスについても解約しなくてはなりません。
遺族の苦労を軽減するためにも、家族の間で、万が一のときにお互いの携帯をどのように処分してほしいか話し合っておきましょう。
スマホの持ち主は、携帯電話の契約書とともに、インターネット上でのIDとパスワードをエンディングノートなどに記載しておくことをお勧めします。
また、終活の一環として、使用していないサービスは解約しておきましょう。
しかし、こういったメモなどがなく、どうしたら良いのかわからない時は、お困りの方は、遺品整理業者に相談することをお勧めします。
自社で処理できない場合は、提携しているデジタル遺品整理の専門業者を紹介してもらえることもあります。
デジタルデータをまとめるなど、必要に応じて処分をしてくれます。
デジタル機器を扱うのが苦手な人は、相談してみましょう。