エアコン・風呂釜・・・遺品整理で取り外しが必要なものの対処法は?

エアコン・風呂釜・・・遺品整理で取り外しが必要なものの対処法は?

遺品整理とは、故人の持ち物を整理すること。その遺品の中には、小さなものから大きなものまで含まれています。当然、遺族だけでは片付けられないものもあります。
特に大きな家具・家電などは、取り外し・運搬・処分まで含めて、遺族だけでなく一般では対応しきれないので、業者にお願いするほうが遺族の負担も減るでしょう。

なかでも、家電は取り外し作業が難しいものです。
接続が複雑であったり、感電する恐れもあったり……もしリサイクルや売却を考えているなら、取り外しの際に壊れないようにすることはもちろん、傷すらつかないように取り外す必要があります。
エアコン、風呂釜など、部屋の中には専門業者でなければ取り外しが難しいものがあふれています。今回は遺品整理の現場から、取り外しに注意したいものをご紹介します。

遺品整理で取り外しが必要となるものとは?

遺品の中でも,取り外しが必要となる遺品には,どのようなものがあるのでしょうか。
主に次のものが挙げられます。

  • エアコン
  • 風呂釜
  • 給湯器
  • ガスコンロ

このなかで最も多いものがエアコンです。
賃貸の場合、エアコンが最初から据え付けられている部屋が多くなっています。この場合は取り外す必要はありません。
しかし、故人もしくは故人の家族が取り付けたものであれば、当然のことながら部屋を明け渡す際に、エアコンも取り外さなければいけません。

風呂釜も取り外しが必要となるケースがあります。故人が市営住宅や公営住宅に死んでいた場合は、風呂釜も取り外すことが多いようです。
他にも給湯器やガスコンロ、浴槽そのものの取り外しも求められる場合があります。

エアコンや風呂釜の取り外しは、個人で行うことも不可能ではありません。
しかし知識を持っていなければ難しいでしょう。また、エアコンは電機を、風呂釜は熱を使います。知識を持たない状態で取り外しを行ってしまうと、怪我・火傷をしてしまう危険もあります。

風呂釜

取り外し以外にも「解体」が必要なもの

家具・家電のなかには、「取り外し」だけではなく「解体」を行うケースもあります。
たとえば、ベッドなどはその一例でしょう。
現在、家具はそのままの状態で家に運ばれてくるのではなく、購入後に自身で組み立てるものが多くなっています。人気のIKEA、ニトリなどの家具はその典型です。

同時に、一軒家ではなくマンションだと、大きなベッドをそのまま搬入することは難しいでしょう。すると部品を部屋に入れて、部屋の中で組み立てるほうが便利なはずです。
反対にベッドを部屋の外に出す際も、そのままでは難しく、解体することになるでしょう。
最近は、組み立てるのは簡単でも、解体するのは容易ではない家具もあるので、遺族だけでは難しいかもしれません。

こうしたエアコン・風呂釜などの取り外しや、ベッドの解体は、各業者にお願いしたほうが、危険は伴いません。
遺品整理の際、一人では片付けられない家具・家電がある場合は、必ず業者に一度ご相談ください。

取り外し・解体はどの業者に依頼すればいい?

遺品整理を行うなかで、エアコンや風呂釜をはじめとする、取り外しが必要なものについては、業者にご相談いただくのが一番かと思います。
そこで、どの業者に依頼すればよいのでしょうか?

エアコンの専門業者

エアコンの取り外しは専門業者がいます。もちろん、電気屋さんにお願いすることができるでしょう。
取り外しにかかる費用は、業者によって大きく変わりますが5,000円前後が相場です。

ガス機器の取扱い業者

風呂釜や給湯器の取り外しは、ガス機器を取り扱っている業者に依頼をすることができます。
こちらの費用も業者によって違いがありますが、5,000円前後が相場でしょう。
ガス機器を取り扱っている業者では、風呂釜だけでなくエアコンの取り外しもセットで行っている場合もあります。セットの費用は30,000円前後というケースが多いようですが、取り外さなければいけないものが多くある時には、セットで依頼するのもひとつの方法です。

ガス業者

遺品整理業者

引っ越しだと、エアコンや風呂釜の取り外し、ベッドの解体などは各専門業者や引っ越し屋さんにお願いすることもあります。
一方で、遺品整理で同様の取り外し・解体を行う場合は、遺品整理業者にお願いすることもできます。

遺品整理業者のなかには、エアコンなどの取り外しを請け負っているところもありますし、また専門業者を紹介してくれることもあります。
その費用は、上記の業者と同じく5,000円前後が相場ですが、他の遺品整理作業も含めた費用を提示してくれるでしょう。
もしエアコンがまだ使えそうな場合は、買取りの見積もりもお願いすることができます。

業者によるメリット・デメリット

では、各業者のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

エアコン業者・ガス機器業者の場合は、スピーディーな作業が期待できるものの、遺品整理においては各作業を、それぞれの業者に依頼すると、スケジュール調整が難しくなります。
大切な人が亡くなった直後は、遺族にとっては精神的にもつらい時期です。そんななかで、各業者にひとつずつ連絡し、スケジュールを確保することは、気持ちとして厳しいかもしれません。
それは、各専門業者に依頼するうえでのデメリットといえるでしょう。

スケジュール手帳

対して遺品整理業者に取り外し・解体まで依頼する場合はどうでしょう?
業者に遺品整理を依頼する場合は、多岐にわたる作業を一括で相談することができるので、自身で様々な業者を探す必要もなければ、各業者のスケジュールを合わせる必要もありません。
そのため、遺族の負担は軽減されるでしょう。

ただし、全ての遺品整理業者がこうした家具・家電の取り外し・解体に対応しているわけではありません。あるいは、エアコンの取り外しはできても、風呂釜の取り外しはできない……あるいはその逆の可能性もあります。
となると、また自身で各業者を探さなければいけなくなりますので、遺品整理業者にお願いする際は、その作業範囲を確認したうえで見積もりをとり、検討してください。

業者に依頼する場合の注意点とは?

遺品整理の際、大きな家電や家具の取り外しを依頼するには、様々な方法があります。と同時に、注意しておきたい点も多数あります。
それは、悪徳業者の存在です。

  • 取り外したものを不法投棄
  • 金銭面は必ず見積もりを!

取り外したものを不法投棄

エアコンをはじめとした家電は処分には、費用が掛かります。多くの回収業者は処分に必要となる費用も踏まえたうえで、料金を設定しています。
しかし、なかには非常に安い料金で回収を請け負うものの、実際は不法投棄などの方法で処分をしてしいる、悪徳業者も存在します。

エアコンをはじめとする「家電4品目」は、家電リサイクル法によって処分方法が定められています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

洗濯機・冷蔵庫・ベッド~大きな家電・家具の片付け方

遺品整理・大型家具は処分だけでなく買取りもお願いできます

不法投棄は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に違反する行為です。

  • 個人が一般廃棄物を不法投棄した場合【5年以下の懲役/1千万円以下の罰金または併科】
  • 法人が産業廃棄物を不法投棄した場合【法人に対して3億円以下の罰金】
  • 不法投棄をするために廃棄物の収集・運搬を行った場合【3年以下の懲役/300万円以下の罰金または併科】

に処されます。他にも不法投棄のケースによって、様々な罰則が設けられています。

廃棄物

不法投棄されたゴミのなかには、個人情報が含まれているものもあるため、そのゴミが誰の持ち物であったのか、どういった経緯で不法投棄されているのか調べられます。
こうした違法行為をする業者を選ばないよう、十分に注意してください。

金銭面は必ず見積もりを!

遺品整理業者に関しては、ゴミの不法投棄だけでなく、金銭面のトラブルも多発しているようです。
そんなトラブルを回避するには、まず複数の業者から見積もりをとり、金額と作業内容を比較してください。
だからといって、あまりに多くの業者に対して、単に見積もりだけをお願いするのもいけません。
事前に公式サイトなどでその業者について情報を得て、「ここならお願いできるだろうか」と思った数社に、見積もりを相談するのがベターです。

作業を終え、最終的に請求される金額が、見積もりを大幅に異なるというトラブルも多数発生しています。
このような場合、お客さんもどう対処すればいいのかわからず、泣き寝入りで請求どおり、高額となった料金を支払うことも少なくないとか。

見積もりの内容には、その業者の質があらわれます。よい業者は、作業工程ごとの内容と料金を明確に、かつ詳細に提示してくれるはずです。
一括の作業項目や料金しか出してくれない業者に対しては、まずはその詳細を求めましょう。そこで拒否する業者は、悪徳業者の可能性があります。

遺品整理見積書

見積もりの金額があまりに安い業者にも注意が必要です。
前述のとおり、ゴミの回収や運搬にはお金が掛かります。それは家電4品目をはじめとする、別の処分方法が決められている家具・家電も同様です。
しかし過去の事例からいえば、回収料金があまりに安いと、不法投棄を行っている可能性も否定はできません。

そこで遺品整理においては、遺品整理業者に一括でお願いする場合でも、各業者に依頼する場合でも、それぞれ2~3社から見積もりをとり、内容を比較してみることをお勧めします。

大切な人が亡くなった直後に検討し始めなければいけない遺品整理。精神的に不安を抱えているなかで、業者を選んでいる余裕もないかもしれません。
しかし、故人が使っていた品々を不法投棄されたほうが、より精神的に響くでしょう。
そんなトラブルに巻き込まれないよう、事前にしっかりと準備をしておいてください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。