人生100年時代と言われる現代、終活を行う人が増えています。
以前は「生きているうちから死んだ後のことを考えるなんて縁起でもない」と思う人も少なくありませんでした。
しかし、少子化や核家族化など社会背景の変化に伴い、終活に対する理解も深まってきているようです。
とはいえ、実際に終活を始めようとすると、何をしたら良いのか分からなかったり、専門的な知識が必要になったりします。
そんな時、相談できるのが「終活アドバイザー」「終活カウンセラー」など、終活に関する幅広い知識を持った有資格者です。
今回は、「終活アドバイザー」「終活カウンセラー」が私たちの終活のために何をしてくれるのか見ていきましょう。
目次
終活とは?
最近では、核家族家庭や一人暮らしの人、未婚の人が増えているため、幅広い年代の人が終活を考えたり行ったりするようになってきています。
終活で何を行うのか、おさらいしておきましょう。
家を片付ける
終活で最も大きな柱は、家やモノの片付けです。
死後にたくさんのものが残っていると、遺された家族が遺品整理に苦労することになります。
不要なものは処分し、本当に必要なものだけを残すようにしましょう。
ものを減らす作業は、頭や心の整理にもなります。
また、ものを減らせば風通しが良くなり、カビやホコリの溜まりにくい健康的な生活が送ることができるようになります。
整理された部屋は動線も良くなるので、何かにぶつかったり、つまずいたりして怪我をするリスクも低くなります。
相続について考える
終活のもう1つの大きな柱が相続です。
自分の死後、家族のなかでトラブルは起こってほしくありません。
そのためにも、相続についてはよく考えておきましょう。
まず、現金、預金口座、不動産、証券口座や、マイナスの遺産である借金やローンなど、自分がどんな遺産をどのくらい持っているのか明確にします。
また、遺産をどのように相続させたいか希望がある場合は、遺言書を作成しましょう。
遺言書がない場合は、法定相続人が定められた割合で相続することになります。
老後の生活について考える
老後、理想のライフスタイルを実現するために必要な老後資金や暮らし方を考えていきます。
現在の貯蓄、老後の収入について明らかにし、計画を立てます。
もしも病気になってしまったら、もしも認知症になってしまったら・・・。
介護付きマンションなどへの入居を考えているなら、早めに準備をしておく方が安心です。
葬儀・お墓について考える
死後、お葬式をどこで行い、どのような規模で、誰を呼んでほしいか、家族に伝えておきましょう。
近年は、さまざまな葬儀の形が出てきています。
特に、個性的な葬儀や、直葬などは、親族などに理解を得にくいケースがあります。
トラブルを避けるため、あらかじめ家族とよく話し合っておきましょう。
お墓に関しても、代々の墓がない場合や、一人でお墓に入りたい、夫婦で入りたい、ペットと一緒に入りたいというような希望があれば、元気なうちにしっかり考えておきましょう。
エンディングノートの作成
エンディングノートは、万が一に備えて、以下についての自分の希望や家族や友人へのメッセージなどを書き留めておくノートです。
- 自分の基本情報
- 連絡先一覧
- 財産・デジタル遺産について
- 相続について
- 医療・介護について
- ペットについて
- 葬儀・お墓について
- 家族・友人へのメッセージ
どんなことを書いてもかまいません。
遺言書のように法律的効力はありませんが、決まった形式はなく、何度でも書き直すことができるので、終活の一助として活用しましょう。
関連記事:エンディングノートと遺言書の違いを正しく知って、スムーズな終活を
「終活アドバイザー」とは?
いざ、終活を始めようと思っても、何から始めたらいいのか、どう進めていけばいいのか分からない・・・
そんな時、相談できる人がいます。
「終活アドバイザー」は、「NPO法人 終活アドバイザー協会」が発行している民間の資格です。
終活アドバイザーは、以下のようなサポートをしてくれます。
終活全般に関する相談
終活アドバイザーは、金融資産、不動産、年金、保険、医療など、老後の生活に必要な知識を持っています。
社会背景や現状を把握しながら、終活全般に関するアドバイスを行うと同時に、専門分野に特化した相談にも乗ってもらうことができます。
専門家への橋渡し
終活アドバイザーは、法律が関わってくる事柄に関して実務処理を行うことはできません。
相続や相続税、遺言書、不動産の手続きなど、お金に関することは、どうしても専門家の助言が必要になってきます。
終活アドバイザーは正しい知識を身に着けているため、どの専門家に助言を求めるべきか的確に判断し、適切な専門家や自治体への橋渡しを行います。
引継ぎのサポート
相続や贈与、寄付など、財産を子供世代や孫、また、お世話になって人などにスムーズに引き継ぐサポートを行います。
エンディングノート作成のサポート
エンディングノートは、何を書いてもかまいません。
それだけに、何を書くか迷ってしまう人も多いようです。
終活アドバイザーは、エンディングノートのサポートに力を入れています。
エンディングノートの作成を必要とする親世代だけでなく、家族、友人への的確なアドバイスも行ってくれます。
「終活カウンセラー」とは?
終活について相談できる専門家には「終活カウンセラー」もあります。
終活カウンセラーは、「一般社団法人終活カウンセラー協会」が認定している民間資格です。
終活を行う人が抱える悩みを分析し、どのような悩みなのか、どうすれば解決できるのかを一緒に考えてくれます。
カウンセリング
終活カウンセラーは、遺言、保険、葬儀、お墓などについての知識をもとに、終活したい人のカウンセリングを行います。
終活を始めようとする人の悩みや迷いに寄り添い、助言します。
また、老人ホームや介護施設に出向いて、終活に関する相談を受けたり、カウンセリングを行ったりという活動もしています。
エンディングノート作成のサポート
近年、広く知られるようになってきたエンディングノートですが、作成に関して分からない人は多いようです。
これまでの人生を振り返り、老後をどう過ごしたら良いかを考えるきっかけになるようにサポートしてもらえます。
専門家・自治体への橋渡し
終活カウンセラーは、法律に関わる実務を行うことはできません。
そのため、専門的な知識や経験をもとにし、その案件に適した専門家を紹介してくれます。
打ち合わせに同席したり、書類作成や窓口での申請に立ち会ったりすることもあります。
セミナー・相談会
終活カウンセラーは、地区ごとに設置されている地域包括センターで、終活にまつわる講義やセミナー、または相談会を開いています。
これにより、終活に対する理解を深めることを目的としています。
終活アドバイザー、終活カウンセラーに相談するには?
終活について適切なアドバイスを受けたいとき、相談するにはどのようにすれば良いでしょうか。
それぞれの団体に問い合わせる
「終活アドバイザー」は「NPO法人 終活アドバイザー協会」、終活カウンセラーは、「一般社団法人終活カウンセラー協会」が主宰しています。
これらの団体のホームページから問い合わせてみましょう。
ホームページにはセミナーや講演会などの開催のお知らせも記載されているので、こういったセミナーなどに参加するのも良いでしょう。
専門サイトから探す
インターネット上に、全国の終活カウンセラーを探せるサイトがあります。
このようなところから、近くのカウンセラーを探しましょう。
行政書士、社労士、税理士などが終活カウンセラーの資格を持っていることも多いようです。
悩みに合った相談先を選ぶと良いでしょう。
葬儀社などを利用する
葬儀社や斎場、石材店、保険業者などにも、終活アドバイザー・カウンセラーの資格を持つスタッフが増えているようです。
特に葬儀社では、以前から成約者にエンディングノートをプレゼントしたり、エンディングノート作成のサポートを行っているところがあります。
インターネットで検索して、相談に乗ってもらえるところを探しましょう。
終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いとは?
両者に大きな違いはありませんが、学ぶ内容・得意分野として、やや違う傾向はあるようです。
多くの終活アドバイザーは、以下の分野でのアドバイスを得意とします。
- 終活の基礎知識
- 社会保険制度
- 公的制度の仕組み
- 葬儀
- 財産管理
- 相続対策
一方、終活カウンセラーは以下の分野を得意とする傾向があります。
- 相続
- 遺言
- 介護
- 保険
- 年金
- 葬儀・供養
悩んでいる内容に合わせて選択するとよいでしょう。
まとめ
終活アドバイザー、終活カウンセラーは民間の資格です。
終活に関するさまざまな相談ができますが、法律によつ実務に関しては、専門家をコーディネートする形でのサポートとなります。
豊富な知識を持っている終活アドバイザー、終活カウンセラーは、終活の心強い味方です。
より良い老後を過ごすため、相談してみてはいかがでしょうか。