残置物撤去の相場と業者の選び方について

残置物撤去の相場と業者の選び方について

親が亡くなったり介護施設へ入ったりする際、実家の土地家屋を売却したり、家財の引っ越しをしたりすることがあります。
このような場合、さまざまな不用品の片付けが生じることがあるでしょう。
着なくなった衣類や使わなくなった家具・家電など、使わなくなった家の不用な残置物を処分するのは大変です。
今回は、このような残置物の片付けについて一般的な流れとおすすめの片付け方法、業者に依頼する際の注意点を見ていきましょう。

残置物片付け業者

「残置物」とは?

「残置物」とは?

「残置物」とは、以前住んでいた住人または建物の所有者が置きっぱなしにし、残されたものを指します。
主に不動産業者や解体業者、片付け業者の間で使われる専門用語です。
具体的には、以下のようなケースで出る不用品や機材なども「残置物」と言います。

  • 引っ越しや解体のために空いた家
  • 夜逃げ物件
  • 他の原因で居住者が分からなくなった家
  • お店が廃業したあとの店舗

残置物は、基本的に「動かせるもの」と考えてよいでしょう。
具体的な内容物には、以下のような「家に後から運び込まれた」不用品が該当します。

  • 家具
  • 家電
  • 布団
  • 衣類
  • 食器などの生活雑貨
  • 雑誌・本
  • 置き物

しかし、据え付けの家具や照明機器、キッチンや洗面など元々あった設備などは通常は残置物として扱われません。
ただし、エアコンなど一部のものは残置物として扱われることがあります。

残置物撤去とは?

残置物撤去とは

「残置物撤去」とは、以前の居住者が残していった家財品(残置物)を撤去・処分することです。
建物を売却したり解体したりする場合、まず建物内に残っている残置物の撤去が必要となります。
建物の解体には、以下のようにさまざまな費用がかかります。

  • 重機の搬入
  • 足場や養生シートの設置
  • 解体・処分費用
  • 解体作業員の人件費

残置物にはさまざまなものがあるため、分別作業に手間がかかりますし、処分費用もかかります。
また、建物を解体する場合は解体後の鉄筋や木材なども撤去しなければなりません。
このように、残置物を撤去するにはかなりの費用と手間が必要となります。

残置物撤去の流れ4ステップ

残置物は、どのように撤去されていくのでしょうか。
その流れを以下の4ステップで見てみましょう。

確認

まず、撤去するものの確認を行いましょう。
思い出の品や思いがけない貴重品が出てくることがあるので注意が必要です。
特に、親が住んでいた実家の残置物を処分するような場合は重要になります。
業者に依頼する場合は、保管が必要なものが混じっている可能性がある旨を事前に伝え、打ち合わせましょう。

仕分け

残置物を適切に処分するため、木材、プラスチック、紙など素材別に仕分けをします。
分別は手作業によるため、手間と時間がかかります。
ただし、まだ使えるものをより分けておけば、買い取り業者に買い取ってもらえる場合もあります。

搬出

分別した残置物を建物から全て運び出します。

処分

処分するものは、適切な許可を持った処分業者に引き渡します。
業者に依頼した場合は、業者が運搬・処分してくれます。

残置物撤去業者の選び方

手間も時間もかかる残置物撤去は、自分だけで行うには荷が重いでしょう。
業者を利用したい場合、どういう業者に依頼すればよいのでしょうか。

残置物撤去業者・片付け業者

残置物撤去業者

インターネットで「残置物撤去」「片付け」などと検索すると、さまざまな業者が出てきます。
業者を選ぶ際の4ポイントを見ていきましょう。

実績・経験をチェック

残置物撤去は、さまざまな現場で作業をします。
そのため、経験の少ない業者では「搬出ができなかった」などというケースもあるようです。
事前に、ホームページなどで過去の実績や作業内容などをチェックしましょう。

作業に必要な認可の有無をチェック

残置物は「産業廃棄物」となるため、正しく処分するためには「産業廃棄物収集運搬業」の認可が必要です。
無許可業者は、山や河原に残置物を不法投棄するなど悪質な行為をしている場合があります。
ですから、必ず認可を受けているかどうかを確認しておきましょう。

見積書をチェック

見積書は、作業内容をはじめ業者がきちんと現場を確認しているかどうかを判断する材料になります。
いいかげんな撤去業者を選ぶと、適当な見積りを作って金額提示をするケースもあります。
そして、あとから追加請求されるケースも多いので注意が必要です。
分からないことがあったら、納得いくまで質問しましょう。

オプション作業をチェック

残置物撤去業者の中には、残置物の運搬・処分のほかに以下のようなオプションサービスを行っている業者もあります。

  • 残置物の一時的保管
  • ハウスクリーニング
  • 残置物の買取り

必要があれば、オプションサービスの充実した業者を選ぶとよいでしょう。

解体業者

家屋や建物を解体する場合は、解体業者に残置物撤去を依頼するケースが多くなります。
この場合、家に残っている家財と建物の解体ゴミを処分してもらうことになるので、それだけ費用がかかることになります。
気をつけたいのは、解体業者が残置物を処分する場合「ごみの種類が変わる」という点です。
家の中にある不用品は本来、家庭から出るごみであり「一般廃棄物」として処分できます。
つまり、自分で自治体の一般ごみ回収に出せば無料で処分してもらえます。
しかし、処分を解体業者に依頼すると「産業廃棄物」と見なされるため、費用が高くなってしまうのです。
ごみ処分の人件費も必要となりますので、トータルの解体費用が上がってしまうことになります。
残置物の内容や量などを確認し、検討しましょう。

遺品整理業者

遺品整理業者は遺品整理のプロです。
貴重品や思い出の品などが残っている可能性がある場合は、遺品整理業者に依頼するのが安心でしょう。
遺品整理業者は小さな封筒1枚であってもきちんと中身を確認し、必要なものを探してくれます。
不用品の運び出しや処分も行ってもらえ、不用品の買い取りを行う業者も増えています。
遺品整理と片付けを一度で終わらせることができるのは魅力です。
また、家屋の解体に関して相談できる遺品整理業者もたくさんあります。
この場合、自社で行う場合と専門業者を紹介してくれる場合があるので、事前に確認しておきましょう。

残置物撤去の費用はどのくらい?

残置物撤去の費用

残置物撤去の費用は、廃棄物の量に応じて立方メートル単位で見積もられるのが一般的です。
処分費用は残置物の量や内容によって変動します。
残置物撤去の費用は、1立方メートルあたり、およそ5千円~1万5千円ほどが相場です。
また、残置物撤去の場合、この処分費用に加えて、片付けの作業時間を踏まえた人件費が加算されます。

最終的な依頼者の支払う金額は部屋の広さあたりで算出されるのが普通です。
1部屋あたり4平方メートルとして、料金の相場は3万円〜6万円といったところでしょう。
以下は、大体の目安です。

部屋数(目安となる広さ)費用の相場
1部屋(4平方メートル)3万円〜6万円
2部屋(8平方メートル)6万円〜12万円
3部屋(12平方メートル)9万円〜18万円
4部屋(16平方メートル)12万円〜24万円

残置物撤去業者に依頼したときは、必ず見積書に記載されている立方メートルなども確認するようにしましょう。

残置物撤去費用を抑えるには?

残置物の撤去には、かなり費用がかかりますが、費用を抑える方法はあるのでしょうか。
残置物撤去作業の費用を抑える3つのコツを説明します。

相見積もりをとる

事前に、複数の業者から相見積もりをとりましょう。
複数の業者を比較することで、費用を安く抑えられます。

さらに、それぞれの業者の作業項目を知ることもできます。
業者によっては、見積価格を法外に吹っかけてきているところがないとも限りません。
ごまかしの被害に遭わないためにも、相見積もりは有効です。

自分でできるだけ片付けておく

残置物の処分は処分品の量によって決まるので、事前にできるだけ荷物を減らしておきましょう。
自治体の回収に出せるものは、前もって出しておきます。
自治体の一般ごみ回収であれば、処分費用は無料です。
紙やダンボール、衣類など再利用できる資源ごみは、ホームセンターや各地域に設置されている回収ボックスに出しておきましょう。
大きなものは自治体の粗大ごみに出します。
解体業者に処分を依頼すると、同じごみでも産業廃棄物として扱われるため処分費用が高くついてしまいます。

たとえばベッドのマットレスを粗大ごみ(一般廃棄物)として処分する場合、粗大ごみの処分費は自治体で異なるとはいえおおむね2千円程度です。
しかし、産業廃棄物として処分すると5千円ほどかかってしまうこともあります。
解体工事が始まる前に、粗大ごみに出せるものは出しておきましょう。
体力的・時間的に自分で処分するのが難しい場合は、小さめのものだけでも出しておくと良いでしょう。

使えるものは売る

残置物の中にまだ使えるものがあれば、リサイクルショップに持ち込んだり、フリマアプリなどで売却しましょう。
高価な市場価値のありそうなものは、専門の買い取り業者に査定してもらうと良いでしょう。
少しでも売れれば、残置物撤去費用が抑えられることになります。

まとめ

残置物の撤去には、費用がかかります。
費用は、残置物の量や内容、住居環境によって異なります。
まずは複数の業者から相見積もりをとり、正確な料金を把握しましょう。
また、残置物が少なければ撤去費用も抑えられます。
可能であれば、自分でも片付けを行えますが、時間と手間のコストを考えながら遺品整理業者などのプロの業者への依頼検討もおすすめします。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。