遺品整理業者の選び方~後悔しない遺品整理のために~

遺品整理業者の選び方~後悔しない遺品整理のために~

映画やドラマのテーマとしても取り上げられ、幅広く知られるようになった「遺品整理」。
とはいえ、いざ利用する立場になってみると、どんな業者を選べばいいか迷ってしまう人も多いようです。
また、近年増えている遺品整理業者に関するトラブルを知ると、依頼するのが不安になってくる人もいるのではないでしょうか。
今回は、遺品整理業者の選び方について見ていきましょう。

遺品整理業者を選ぶ夫婦

遺品整理サービスとは?

遺品整理業者の仕事

遺品整理業者とは、その名の通り「遺品整理のサポートをしてくれる業者」です。
人が亡くなると、その人が生前に使っていたもの=遺品が残されます。
たとえば、日用品や家具、家電、趣味の品など、たくさんのものがあります。
一般的に、遺品整理を行うのは家族や親族などです。
しかし、遺品が大量にあったり、家族が遠方に住んでいたりするなどの理由から、家族だけでは遺品の整理がなかなかできません。
また、故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、早々に片付けて退去しなくてはならないですよね。
そんなときに頼りになるのが遺品整理サービスです。
遺品整理で行う代表的なサービスは、

  • 遺品の仕分け
  • 不用品の買い取り
  • 不用品の処分
  • 遺品の供養
  • 遺品整理後の清掃

などです。

また、業者によってさまざまですが、オプションサービスとして

  • 特殊清掃・消臭
  • ごみ屋敷の片付け
  • ハウスクリーニングやリフォーム
  • 各種手続きの代行
  • 不動産の管理
  • 生前整理・老前整理

など、遺品整理とその周辺に関するさまざまなサポートを行っています。

遺品整理を依頼できる業者は?

近年、需要が増えている遺品整理。
専門の業者ではないけれど、遺品整理も行うという業者も増えていて、迷ってしまいますね。
どの業者を選べばよいのでしょうか。

不用品回収業者

近年、遺品整理を請け負う不用品回収業者が増えています。
人が亡くなると大量の不用品が出ることが多いので、利用を検討する人も多いのではないでしょうか。
不用品の回収や処分には強い業種なので、不用品が大量に出て、自分で処分するのが大変な場合は利用するとよいでしょう。
ただし、不用品回収業者が行うのは「不用品の回収と処分」です。
事前に自分で必要なものと不用品を仕分けしておかなくてはなりません。
また、貴重品の捜索や、まだ使えるものの買い取りまでしてもらえる業者は多くありません。
事前に確認が必要です。

清掃代行業者

遺品整理もやる清掃業者

清掃の代行業者が遺品整理の代行を手がけることも増えているようです。
この場合は、日常の清掃業者ではなく、ごみ屋敷の清掃や片付けをメインに行う業者を選ぶとよいでしょう。
特に遺品の物量が多い場合など、搬出能力が高いので助かります。
ただし、遺品の仕分けや整理は本業ではありません。
依頼できるかどうか事前に確認が必要です。

便利屋(何でも屋)

日常のちょっとした雑事を引き受けてくれる便利屋さんが、遺品整理のサポートを行っていることもあります。
ただ、遺品整理の専門ではないため現場経験が多くなく、サービスのレベルはまちまちのようです。
また、個人事業主が多いため、スタッフの数が少ないので、規模の大きな現場や大量の不用品がある現場では時間がかかってしまうかもしれません。

遺品整理業者

遺品整理を専門とするプロです。
遺品整理は、単なる掃除ではありません。
たとえば、故人の遺品の中には、遺言書や通帳、証券類などの貴重品が含まれている可能性があります。
これらは、本人以外には分かりにくいところにしまってあったり、思いもかけないような場所に置いてあったりすることも少なくありません。 しかし、相続に直結するものも多く、間違って捨ててしまっては大変です。
経験豊かな遺品整理業者は、ポケットの中や古い封筒の中など細かなところまで入念に確認してくれます。
また、探してほしいものを指定して、それを探してもらうこともできます。
これらは遺品整理サービスのほんの一部ですが、遺品整理には、ほかとは違う「遺品整理ならでは」の機微があるのです。
遺品整理を依頼したいときは、遺品整理の専門業者がベストといえるでしょう。

遺品整理業者の上手な選び方は?

遺品整理業者を選ぶ上でのポイントを押さえておきましょう。

サービス圏の確認

遺品整理をしたい家や部屋が、その業者のサービス圏内に入っているかどうか確認しましょう。
遠方でも出張してくれる業者はありますが、別途、出張費が必要になる可能性があります。
どうしてもここに頼みたい理由がないのであれば、近隣でサービスを行っている業者を探しましょう。

サービス内容の確認

遺品整理サービスと一口に言っても、実際に提供しているサービスは業者によってさまざまです。
貴重品と処分品の仕分けや片付け後の清掃など基本的な業務以外に、どのようなサービスを提供しているのかを確認しましょう。
たとえば・・・

  • まだ使えるものを処分するのがもったいない → 不用品の買い取り
  • 不用品であっても、ただ捨ててしまうのは心苦しい → 遺品の供養
  • 親族や知人が遠方にいる → 形見分けの配送代行
  • 故人が孤独死してしまい、長期間気づかれなかった → 特殊清掃
  • 時間がなくて手続きができない → 各種手続きの代行

このように、遺品整理で何をしてもらいたいか検討し、そのサービスを行っている業者を選択しましょう。

許可や届出の有無

遺品整理のサービスは、誰でもどんなことでも行っていいわけではありません。
サービスごとに必要な許可や届出があります。
これらがない業者は違法なサービスを行っていることになるため、注意が必要です。
たとえば・・・

  • 遺品の買い取り → 古物商許可
  • 不用品の回収・処分 → 一般廃棄物収集運搬業許可
  • 一般貨物自動車運送事業許可または貨物軽自動車運送事業の届出

このうち特に注意が必要なのは、不用品を処分するための「一般廃棄物収集運搬業許可」
家庭から出る不用品は「一般廃棄物」なので、この許可が必要です。
しかし、この許可ではなく「産業廃棄物収集運搬業許可」という許可でサービスを行おうとする業者が存在します。
「産業廃棄物」は会社や事業所から出るごみのことなので、この資格では一般家庭のごみは扱うことができません。
トラブル回避のためにも、しっかり確認しておきましょう。

料金設定・見積もり

遺品整理の見積

遺品整理で最も多いのが、料金トラブルです。
事前に料金設定と見積もりの内容をしっかりチェックしましょう。
料金設定が複雑すぎたり、見積もり内容が曖昧だったりと、どんなサービスが含まれているのかどうか分かりにくい業者には要注意です。
また、見積もりは必ず現地で行う業者を選びます。
電話などで済ませる業者は、最初は安く見積もっておいて、後から理由をつけて法外な料金を請求してくる可能性が高いと言えます。

また「コミコミパック」や「トラック詰め放題」などのサービスにも注意しましょう。
一戸建てなど片付ける範囲が広くなればなるほど、作業をしてみるまで何が出てくるかわからないものです。
また、これらのサービスは、どんな作業がどこまで料金に含まれているのか不明瞭になりがちです。
そのため、一律料金で分かりやすいようであっても、後から思わぬ追加料金を請求されるリスクが高くなるのです。

業者に依頼する際は、事前に質問事項をメモしておくなどして質問するのがお勧めです。
また、見積もりをする人と実際の作業をする人が同一であるかどうかもポイントとなります。
その上で、複数の業者に相見積もりを取り、良い業者を選びましょう。

対応の良さ・悪さ

遺品整理に限らず、接客の良し悪しは重要なポイントです。
まして遺品整理は、故人の大切な遺品を任せるものです。
たとえどんなにきちんとと法律を守っていても、どんなに料金がわかりやすくても、接客時の対応が良くなければ気持ちよく依頼することはできませんよね。
業者を選ぶ際は、自分と合うかどうかが大切です。
実際にやり取りをして感触を確かめるのがお勧めです。
まずはメールで問い合わせてみましょう。
ここで違和感を感じたら、その業者とは合わない可能性が高いと言えます。

遺品整理士資格の有無

遺品整理業者の資格取得者

遺品整理業界には「遺品整理士」という資格があります。
民間団体が立ち上げた民間資格なので、この資格がなければサービスができないわけではありませんし、違法でもありません。
しかし取得するにはテキストによる勉強が必要であり、費用もかかります。
そのため、資格を持っている人は、遺品整理のために費用を使い、勉強をしている人と判断できるのです。

ただ、資格がなくても勉強をしている業者はいます。
また逆に、アピールをしたいがために資格を取るような業者もあります。
遺品整理士の資格の有無は、参考程度と考えた方がよいでしょう。

まとめ

遺品整理は、場数を踏むほど仕分ける目が鋭くなります。
もう一つ参考にするとすれば、長く営業している業者を選ぶのが無難と言えます。
ただ、遺品整理は業者との相性も大切です。
事前に直接やり取りをして感触を確かめましょう。
故人のためにも、良い遺品整理ができるといいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。