「思い出の品」をスムーズに片付ける方法

「思い出の品」をスムーズに片付ける方法

終活でものを片付けようと思っていても、なかなか進まず悩む人は多いのではないでしょうか。
特に、思い出の品が手放せない人は多いようです。
記念の品や思い出の品はずっと手元に残しておきたいものですが、すべて残していると、ものはどんどん増えてしまいます。
そこで今回は、思い出の品の上手な片付け方について見ていきましょう。

故人の思い出の品

思い出の品を捨てられない人の心理とは?

ものを片付けるのが苦手な人は少なくありません。
中には、ただ単に整理整頓が苦手ということではなく、ものを捨てる踏ん切りがつかない、という人も。
これは、どのような心理によるものなのでしょうか。

拡張自己

思い出の品

思い出の数の品々を捨てるのは、心苦しいものです。
目にした瞬間、あの頃の記憶が蘇ってきて、「あの時は楽しかった」「そういえば、こんなこともあったなあ」と懐かしい気持ちでいっぱいになり、ついつい時間も忘れてしまいます。
思い出の品を捨てられないのは、過去の思い出に浸ってしまうからです。
それによって情が移ってしまい、捨てることができなくなるのです。

このような、ものを自分の一部のように感じる感覚を「拡張自己」といいます。
人に対して共感しやすい人に多いそうです。
このような人は、人だけでなく、ものに対しても共感しやすいので、ものを捨てるときも「かわいそう」「つらそう」と思ってしまう傾向があります。

アニミズム

ものを捨てられないのには「アニミズム」という考え方が原因になっていることもあります。
アニミズムとは、ものを擬人化したり、ものには魂が宿っているという考え方です。
特に、日本人にはこの傾向が強く、人形供養をはじめとするモノの供養はアニミズム的思考からきています。

このように、拡張自己やアニミズムの心理的要因から、ものに過剰な意味づけをしてしまい、手放すことができなくなってしまうのです。

上手に片付けを行うには?

思い出の品の片付け

ものを捨てられない人の部屋は、まとめただけで手付かずの大量の荷物が積み上げられていることが多いようです。
中には何が入っているのでしょうか。
たとえば、年季の入った思い出の写真、学生時代の成績表やノート、子ども関連のもの、人にいただいたまま使っていないものなど、など。

ものを「見える化」しよう

これらを片付ける第一歩は「見える化」することです。
まず、箱や押し入れに詰まっているものをすべてだし、床に並べてみましょう。
すると、普段は目に触れずにいたもので部屋中いっぱいになりますよね。
さあ、そこで、どんな風に感じるのでしょうか。
我ながら「こんなに・・・」とびっくりするかもしれません。

ものを見える化すると、自分がいかに大量のものを溜め込んでいたのか自覚できます。
すると、客観的に自分のものと向き合えるようになり、ものを手放しやすくなるのです。

優先順位をつける

さて、「あー・・・こんなに色々なものがあったのか」と自覚はしても、いきなり処分するには、まだ抵抗感があるのではないでしょうか。
そこで、まず、床に並べたものを「いるもの」と「いらないもの」に分類していきましょう。
もっと言えば「使うもの(使えるもの)」、「使わないもの(使えないもの)」という分類にすると、さらにハッキリ決めることができますよ。

このように分類すると、半世紀以上捨てられなかったような古いものを、意外とあっさり「いらない」方へ分類できたりするのです。
一度、床に並べて客観的に見ることで、感情ではなく冷静に判断することができるようになるというわけです。

データとして保存する

2つに分類することで、「物」としてはもういらない・保管スペースをとるのが大変なものに、写真や賞状、人からのプレゼント、子どものものなどがあります。
これらのものは、どうしても、という現物だけよけておいて、あとはデジタルデータ化しましょう。
写真に撮ることでデジタルデータにすれば、保管場所に悩むことがなくなります。
また、簡単に整理ができるのも便利ですね。今はスマホのカメラの性能も上がっているので、どんどん撮っていきましょう。

まだ使えるものを活かすには?

思い出の品の片付け

思い出の品に限らず、自分では使わないけれど捨てるのはもったいない、というものがありますね。
このようなものたちは、ほかの誰かに使ってもらうのがお勧めです。

あげる

趣味のものなどは、同じ趣味の友人や仲間にあげたりすれば喜ばれます。
近くに欲しい人がいない場合は、近所で不要なものを譲り合う掲示板などがありますので、そこに書き込みしてみるのも良いかもしれません。

また、近所の幼稚園などのバザーに出したり、さまざまな施設などで使ってもらえないか聞いてみる方法もあります。
子どものおもちゃや人形、ぬいぐるみなどが喜ばれる場合もありますよ。

寄付する

近年、さまざまな団体が、家庭で不要になったものを集め、国内・海外でそれを必要としている人たちに寄付するという活動を行っています。
また、集まったものをお金に変え、子どもたちへワクチンを寄付している団体もあります。
扱っているものはさまざまで、おもちゃ、本、衣類などをはじめ、使用済みの切手やテレホンカードなどを寄付することもできます。
インターネットで検索してみるとよいでしょう。

売る

近年、インターネットのオークションや、フリマアプリでの売買が盛んです。
特にフリマアプリでは、終活で不要になったものを売る高齢者も増えています。
商品写真の撮影から出品まで、スマホ1つで手軽にできます。
発送などの手間はかかりますが、購入者とのやりとりなどを楽しむ高齢者も増えているようです。

いらないものをあげたり売ったりして誰かに使ってもらえば、ものを生かせます。
そして、捨てる罪悪感を感じずにものを減らすことができるというわけです。

再びものを増やさないためには?

では、思い出の品を処分するにあたり、再びものを増やさないためのポイントも見ていきましょう。

ルールや管理方法を決める〜年賀状、給与明細など

古い年賀状や映画の半券、古い名刺、給与明細など、いつ捨てればいいのか判断が分からないものは、保管するルールや管理方法を決めましょう。
たとえば「年賀状3年間」「給与明細5年間」などのように、保管する期間を決めます。
新しいものが入ってきたら、トコロテン式に古いものを処分して行けば、一定数以上に増えることはありません。
ファイルを用意して「ここに入る分だけ」と決めてもいいですね。
名刺などのファイリングは、アプリを利用したり、写真に撮ってデータ化しておくのもよいでしょう。

処分を急がない〜ライフイベントに関するもの

学生時代の教科書やノート、結婚式で使ったもの、記念日に関するもの、子どものものなど、人生に関するものを捨てづらい人は多いでしょう。
これらのものは、一気に処分しようとせず、少しずつ減らしていくようにしましょう。
人生が続く限り、思い出は増えていきます。そして、年を重ねるにつれ、古いものへの思い入れは薄れていくものです。
たとえば、年代ごとに分け、古いものから処分していったり、重要度が高いものを残していくようにするとよいでしょう。

思い出としがらみを混同しない〜頂き物など

いただいたものが好みではなく気に入らない、サイズが合わず使えないといったことは多いものです。
いただいたものは、使えなくても捨てづらいですよね。
こういったものに対する感情は、実は思い出ではなく「しがらみ」なのです。相手との関係性が、ものを捨てにくくしている理由です。
でも、きちんとお礼をした時点で、礼は尽くしています。
スペースに空きがあれば、いったん保存しておき、ある程度、年月がたったら手放しましょう。

少数精鋭を目指す〜手紙、表彰グッズ、大切な人からの贈り物など

大切な人からの手紙や贈り物、また表彰された症状やトロフィーなどは、見返すたびにエネルギーが湧いてくるような気がするものですね。
こういったものを、無理に捨てる必要はないでしょう。
ただ、いつでも取り出して眺められる場所に保管したり、見える場所に飾ってもおいたりしましょう。そのときの自分に一番大切なものを厳選するのがコツです。
時間が経つと、それらのものの価値は、自分の中でだんだん変わってきます。
量だけ増えてその辺に放置しておくようであれば、価値は薄れてきているということ。
最も大切なものを残し、あとは処分しましょう。

まとめ

思い出の品を処分する際に大切なことは、

  • ・客観的に見る
  • ・ルールを作る
  • ・急がない

この3つを心がけましょう。
冷静に見れば「もういいかな」と思えるものは意外に多いはず。
でも、処分を急ぐあまり、無理にすべてを処分してしまうと後悔することになります。
その意味では、捨てる前に写真を撮っておくのがお勧めです。
思い出の品と向き合うには、心のタイミングも大切です。
片付けは「自分とものとの付き合い方」をゆっくり見つめ直す機会です。
量を減らすだけでなく、自分にとって本当に大切な思い出を保管できるといいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。