2025年問題~超・高齢化社会を生き抜くための方法とは?

2025年問題~超・高齢化社会を生き抜くための方法とは?

2020年の東京オリンピック開催に沸く日本。しかし、そのすぐ後には「2025年問題」が待っています。
2025年の日本は、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、これまで経験したことのない「超・超高齢社会」を迎えます。

少子化にも歯止めがきかず、働く現役世代の割合が大幅に減るなか、増えていく一方の高齢者たちを支えていかなくてはなりません。
平成16年には後期高齢者医療制度もスタートしましたが、これだけで安心するわけにはいきません。

2025年問題は、すべての世代にのしかかってきます。
2025年まであと7年。わたしたち1人1人ができることは何なのでしょうか?

超高齢化社会

高齢化に伴い、社会はどう変わる?

  • 少子高齢化と社会保障費
  • 国内産業の変化
  • 働き方の変化
  • 都道府県別 高齢者人口の推移
  • 高齢者世帯

少子高齢化と社会保障費

1965年ごろの日本は、65歳以上の人1人を、20〜64歳の人9.1人で支えていました。1人の高齢者を多くの若い世代が支えていることから、この頃の社会保障は「胴上げ型」と呼ばれています。

しかし、時代が進むにつれて、日本では少子高齢化が急速に進んできました。
2012年には、2~4人で1人の高齢者を支える「騎馬戦型」となりました。

高齢者が増え、若い世代が少なくなる傾向は、今後さらに進むと考えられ、2050年には1人か2人で1人の高齢者を支える「肩車型」になると予測されています。
高齢者の医療や介護を支える社会保障費は、若い世代(現役世代)の労働・納税がなければ持続できません。
これは、2025年問題の中でも最も深刻な問題です。

国内産業の変化

高齢化は労働力の減少につながるため、全体的に見れば、日本の産業は近い将来、衰退していく方向といえるでしょう。
ただし、高齢者が増えることによって伸びる産業も存在します。

たとえば、元気な高齢者が増えることにより、レジャーや旅行、スポーツジムなどの需要が高まると考えられます。
また、独居老人の増加が予想されるため、1人暮らし向けの住居や家電、食品や日用品などにおいて、1人用の商品やサービスが開発されていくことでしょう。

2025年問題 高齢者 サービス

さらに、高齢化の影響を直接的に受ける医療や介護、医薬品といった業界は、成長の可能性が非常に高い分野です。

厚生労働省のデータによれば、2000年からの10年間で、事務職や工業系技術者は14%、農家や漁師は30%、また土木作業者や建設技術者は40%も減っています。

一方、介護関係職員は旧来の倍以上に増加し、葬儀関係者も1.5倍に増えました。遺品整理業者も増えています。
この傾向は、2025年までにますます加速すると考えられます。

働き方の変化

若い世代が減り、高齢者が増えると、働き方も大きく変化するでしょう。
生産年齢人口が減ると税収が減るイメージがありますが、年金だけで生活できない高齢者が増えれば、会社をリタイアしたあとも仕事をしていかなくてはなりません。

内閣府のデータによると、2016年の労働力人口は6673万人でした。
そのうち高齢者は65~69歳が450万人、70歳以上が336万人います。
労働人口総数のうち高齢者の割合は11.8%で、1980年の4.9%から年々上昇し続けています。

2025年問題 高齢者 仕事

雇用形態についてみると、会社などの役員を除く65歳以上の非正規職員や従業員が多く、増加傾向にあります。
最近は、コンビニやファストフードなどのアルバイト募集のポスターに、年配者のモデルさんが写っていることが多いですね。
この傾向は今後も高まっていくでしょう。

都道府県別 高齢者人口の推移

地方の高齢化はさらに進み、限界集落、人のいない地区が増えるでしょう。

東京オリンピックが終わったあと、現在と同じ水準の人口を維持できるのは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の首都圏と、愛知県、沖縄県、滋賀県のみ。
青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県の東北や、中国・四国の大半の県は、1割ほどの人口が減ると予想されています。

地方の過疎化が叫ばれて久しいですが、都会と地方の格差はさらに広がるでしょう。
また、東京オリンピックが終わった2025年には、各地でマンションの空洞化がさらに深刻化し、空き家率も20%を超えると予想されています。

高齢者世帯

総務省統計局の国勢調査資料によれば、一人暮らしをしている「単独世帯」は平成27年で1,841万8000世帯。
そのうち65歳以上の単独世帯は592万8000世帯となっています。

平成22年と比べると、単独世帯は9.7%増、さらに65歳以上の単独世帯は23.7%と増えています。
一般世帯のうち、単独世帯の占める割合も、32.4%から34.6%に上昇しています。

独居老人は今後も増加すると見込まれており、2035年には高齢者のうち男性の16.3%、女性の23.4%が一人暮らしをすることになると推計されています。

国の対策は?

迫りくるさまざまな問題に対し、政府はどのような対策をとっているのでしょうか?

  • 医療・介護制度
  • 地域包括ケアシステム
  • 人手不足対策

医療・介護制度

医療や介護保険料の負担を見直して、 だれもが適切なサービスを受けられる社会を目指しています。
たとえば、低所得者に対する保険料軽減措置の対象を拡大したり、高額療養費制度の負担額を所得に応じて見直し、中低所得世帯の負担を軽減するなど。

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また、65歳以上の低所得者について、さらに介護保険の保険料を軽減したり、短時間労働者への厚生年金や健康保険の適用を拡大するなどです。
しかし、当然ながら財源が必要となるため、若い世代への負担増が懸念されます。

地域包括ケアシステム

地域にサポートセンターを設置し、住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスを一元的に提供できる地域包括ケアシステムの構築を推奨しています。
近年、病院や医師の人手不足もあり、「医療から介護」「施設から在宅」といった、従来とは異なる形で充実したサービスを提供する方向も模索しています。

人手不足対策

さまざまな産業で人手不足が懸念されますが、特に介護業界の人材不足は深刻です。
厚生労働省は、介護人材の確保のため、2015年度補正予算案・2015年度当初予算案で対策を打ち出しています。

離職した介護人材の呼び戻し:再就職支援を強化する
新規参入の促進:介護職を目指す学生を増やし、入学後の勉学を支援する
離職防止、定着の促進:医療介護基金を新たに追加する

個人で可能な対策は?

では、私たちが個人レベルで可能な対策は何でしょうか?

  • 年金・医療費対策
  • 介護対策
  • 貯蓄と投資

年金・医療費対策

年金は、支給金額の大幅な減少、支給年齢の引き上げなど、実質的な破綻を迎えるであろうことは明らかです。
これから必要なのは、まず「現金」でしょう。
家庭内フリーキャッシュを準備しておくことで、もし年金がもらえなくなったとしても生活していけるようなお金を確保しておいたほうがよいですね。

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超・超高齢化社会に突入し、医療費や介護費が急増すると、それを支える若い世代の負担額が激増します。
2025年は目前と言っても、まだ7年あります。
現在の収支を見直すなどして、今のうちからある程度の資金を確保し、将来を見据えた資金繰りをしておく必要があります。

介護対策

介護が必要な両親がいる場合は、高齢者の行動に注意を払いつつも、必要以上に干渉せず、自分から身体を動かすように促すことが大切です。
それが高齢者の筋力維持につながり、寝たきり状態になるのを防ぐことになります。

また、高齢者自身は以下のことを心がけましょう。

食生活

低糖質・低塩分を心がけ、いろいろな食べ物をバランスよく摂って、生活習慣病を防ぐ

適切な運動

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適切な運動は、生活習慣病や認知症発症のリスクを下げるだけでなく、脳を含めた全身の血行を改善することが期待できます。
スポーツのほか、楽器の演奏や編み物などの手芸、料理などの手作業など、体の一部を使う活動は、脳を活性化できて効果的です。

頭を使う

運動と知的作業を組み合わせる活動も、認知症予防効果が期待できます。
たとえば、散歩の時、目にする植物の名前を思い出しながら歩いたり、知らない街を地図やガイドブックを見ながら歩いてみるとよいようです。

貯蓄と投資

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貯蓄に関しては、今後、制度が変わってお金が引き出せなくなることも考えられます。
また、不動産や生命保険は換金性がよくないのでリスクが高いと言えます。

有価証券のまま保有するよりも、現金にして持っていたり、価値の高い金などにしておくほうがベターです。
元手があれば、投資をするのもよいでしょう。
最近は、リスクの少ないIPO(新規上場)が注目されています。

まとめ

国に自分の将来を委ねることが難しくなった今、自分の将来のことは、自分自身で責任を持って準備しておく必要があります。

そのためには、来たるべき2025年問題について十分に理解しておくことが大切です。
そして、今後どう生活していくべきか考慮したり、家族で話し合っておく必要があるでしょう。

2025年問題は、高齢者だけではなく、日本人全体の問題なのです。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。