今話題の資格、遺品整理士って何する仕事??

今話題の資格、遺品整理士って何する仕事??

遺品整理の作業に関する内容と、それに伴って必要となる資格については、遺品整理の内容と資格 にまとめていますので、ぜひご参照ください。
今回は遺品整理において最も知っておいてほしい、「遺品整理士」という資格についてご紹介します。

ひとくちに「遺品整理」と言っても、その作業内容は多岐に渡ります。
故人の自宅(部屋)の清掃、遺品の分別、ごみの処分、価値の高い物は買い取りを依頼し、リサイクルできるものは業者に回収してもらう。さらに遺品の供養など宗教にまつわることや、相続など法的な範囲まで把握しておかなくてはいけません。

しかしこの膨大な作業を遺族のみで行うには、各業者への依頼だけでも時間もかかりますし、それぞれ個別の業者にお願いすると、費用も余計に高くなってしまうことがあります。
何より専門知識がなければ、ご遺族の気持ちにつけこむ悪徳業者に騙されてしまうこともあるのです。

そんなご遺族をサポートする存在が、遺品整理士です。
遺品整理士の主な業務は、「分別・清掃・査定・搬出・処分」だと言われます。
なかには国家あるいは民間の資格を必要とする業務もあり、もし遺品整理士自身がその資格を取得していなければ、一部を専門業者に委託することになります。
遺品整理士とは遺族の依頼を受け、その内容に因って自分の業務と委託すべき業務を判断し、プランを作成し業務を遂行する、遺品整理におけるコーディネーターの役割を果たします。
清掃業者、ごみ処理業者、リサイクル業者、弁護士、税理士、修理業者など必要に応じて、依頼主ーーご遺族と各業者を結びつける役割です。
現在は「一般社団法人遺品整理士認定協会」(以下、認定協会)が、遺品整理士の養成と資格認定を行っています。

遺品整理士について詳しく知ろう

まず遺品整理士という資格について知るために、認定協会の公式サイトから「遺品整理士養成理念」を引用します。

「『遺品整理』とはご遺族の間で兼ねてより行われていましたが、業務を事業として代行するにあたっては、より法規制に遵守した形で行っていくことが重要です。遺品整理の取り扱い手順や遺品整理に関わる法規制等の知識を、正しく身に付けられます」

「遺品整理不正防止情報センター」には、遺品整理士についてさらに詳しい定義が掲載されています。

「遺品整理をご遺族に代わり行う、専門的な知識と故人への畏敬・感謝の気持ち、ご遺族への配慮の気持ちを持ち合わせた、遺品整理の専門家のことです。  業務を事業として代行するにあたっては、より法規制に遵守した形で行っていくことが重要です。遺品整理の取り扱い手順や遺品整理に関わる法規制等の知識を、正しく身に付けられます。また、認識の違いから”遺品整理”を”遺品の処理”と捉える傾向にありますが、生前使用され、故人の想いのこもった品々を”供養”という観点から、取り扱い方法について学ぶことができます。すでに遺品整理業に関わられておられる方々におかれましても、資格取得をきっかけとして、法規制に基づいた法令遵守への認識を高めて頂くとともに、実務だけではなく、”命の尊さ”について、もう一度考える機会になることを、心より願う次第です」

ここにあるとおり、遺品整理という作業そのものは以前から行われていたものの、トラブルも絶えませんでした。
ごみの不法投棄、悪質な不用品回収や買い取り、それら業者による遺族への心無い言動ーー法的な範囲から精神的な部分まで、トラブルや苦情も様々です。
そんな現状を変えるべく、2011年9月、北海道で認定協会が立ち上がりました。

認定協会の公式サイトに掲載されている、「遺品整理士の活動」を見てみましょう。

「遺品整理士の活動」

1.残された想いを、ご遺族へ

高齢者の孤立死などの問題により、高まる需要に対応していく”遺品整理業”を十分に理解し、さらに”供養” に対する認識を持ち、想いのこもる品々を取り扱える専門家としての活動を行っていきます。

2.正しい知識・正しい対応

廃棄物やリサイクル品の取り扱いに関する各法規制を学び、遺品整理業特有の事項に対して正しい知識を持ち、それにともなった正しい処理を行うことを目的とします。

3.実務の流れ

実際に行われた業務の事例より、実務に向けた心構えや留意点を理解することで、より円滑に作業を行うことが可能となります。

4.遺品整理業界の健全化

「遺品整理士」の資格認定により、遺品整理業に一定のガイドラインを定め、その中で各種関連法令を遵守する必要性の指導に努めることで、遺品整理業界の健全化をはかります。

5.行政の働きかけ

これから、「遺品整理士」の資格を持っている人に、行政が優先的に仕事を発注するように、全国で働きかけがはじまっております。全国で問題になっている高額請求や不法投棄などの撲滅のため、「遺品整理士」の活動がはじまっております。

以上が遺品整理士資格取得者の活動になります。
認定協会設立の目的は、遺族の立場に立って業務を行える遺品整理士を育成すること。
そのために「遺品整理士養成講座」を開講し、資格の認定を行っています。
次は「遺品整理士養成講座」と、資格取得までの流れを見ていきましょう。

遺品整理士の資格取得までの流れ

認定協会による「遺品整理士養成講座」は通信制。資格取得までの流れは次のとおりです。

1.申し込み

認定協会への電話もしくは公式サイトから申し込みます。すると認定協会から講座の教材が届きます。

2.教材到着、受講開始
教材の内容は、a)教本、b)資料集、c)DVD、d)問題集、です。

教本の内容は遺品整理に関する基礎知識、実務を行ううえでの留意点、関連する法規制について解説されています。
DVDでは孤独死問題、遺品整理に関する法令、遺品の供養といった法律や社会学の専門家の話や、実務の参考となる映像が収録されています。
講座は通信制ですので、教材が届けば受講開始。a)からc)の教材を使い学習を進めたうえで、d)問題集の全設問に回答します。

3.レポート提出

問題集に沿って課題レポートを作成し、Web上もしくは郵送にて認定協会に提出します。

4.合格通知

提出された内容が全て基準に達していた場合、遺品整理士の資格認定となります。
レポート提出から合否通知が届くまでは約2カ月かかります。
合格通知が届けば、認定手続きを行います。

5.認定書の発行

認定手続きが終了後、認定証と認定カードが発行され、今後の遺品整理士としての業務に役立つ資料とともに届きます。
遺品整理士資格のポスターもあるので、事務所の人目につきやすい場所に貼り付けておくとお客さんにとってわかりやすいでしょう。

受講資格は特にありません。どなたでも受講できます。ただし、反社会的勢力(暴力団員、同・準構成員、暴力団ではなくなって5年が経過していない者など)に該当する方は、受講できないので、ご注意ください。
申し込みの際は反社会的勢力に該当しないことを確約し、受講後に確約内容に違反していることが発覚すれば、取得した資格は取り消されます。

入会金を含む受講費用は25,000円、認定手続きを含む会費は5,000円で、これは2年間有効となります。
受講期間は2カ月ですが、無料で期間延長を受け付けています。

認定協会は設立から5年で、1万人以上の遺品整理士を世に送り出してきました。
新規に遺品整理業を開業する人以外にも、運送業、リサイクル業、便利屋、リフォーム業などを営んでいた人たちも遺品整理士の資格を取得し、本業に役立てている人もいます。

とある「資格取得サイト」によると、遺品整理士資格の合格率は65%だそうです。
つまり3人受けたら1人は落ちるという計算になります。なかには3回連続で受からないという人もいたようです。
それだけ認定協会は、レポートを慎重に評価し、提出者が遺品整理士にふさわしいかどうかを検討しています。

とはいえ一度資格を取得したとしても、永久に持ち続けられるとは限りません。
認定協会で掲げられている、遺品整理士の大原則を見てみましょう。

「遺品整理士 魂の四原則」

一、遺品整理士は、ご遺族の方に真の思いやりと心からの親切を第一とする。

一、遺品整理士は、身だしなみや清潔感を第一とする。(服装、頭髪、頭髪の色など)

一、遺品整理士は、個人に敬意を持って、作業する。
  ・お仏壇がある場合は、必ず手を合わせる。
  ・個人に感謝されるよう、仕事を行う。

一、遺品整理士は、個人の遺品を自身の家族のもののように扱い、
  ご遺族や地域社会への奉仕の心を忘れない。

認定協会は、遺品整理士の資格を認定する際、「遺品整理士の名誉を傷つけること、恥ずべきことを行った場合、すぐに資格を剥奪します」と書かれた同意書を交わしています。
資格を持つ者が遺品整理業務を行っている時、もし遺族に不快な思いをさせ、そのような苦情が認定協会に寄せられると、調査のうえ本当であれば資格を剥奪することもありえます。
遺品整理士認定協会は、遺品整理業務と資格の認定に、それだけ厳正な気持ちで望んでいます。

そのほかの遺品整理士認定協会の資格

認定協会では、遺品整理士のほかに、「遺品査定士」「事件現場特殊清掃士」の資格と養成講座を設けています。
「遺品査定士」という資格について、まずは公式サイトからその定義を引用しましょう。

「遺品査定士は、遺品の買取に関わる様々なジャンルの鑑定士とも関係を結びながら、ご遺族が安心して、遺品を繋ぐことへの支援を行う、遺品の査定と買取に特化した専門家です。遺品整理の知識だけではなく、遺品査定と買取についての独特のノウハウと専門知識、法令に関する理解を兼ね揃えた専門家です」

次に、「事件現場特殊清掃士」についても、公式サイトの「養成理念」を一部引用します。

「『孤立死』や社会問題になり話題となっている『ごみ屋敷』のような、現場となるお部屋や家が悲惨であればあるほど、ご家族は『お部屋を片づけたいのに、片づけられない』、『部屋に踏み入ることもできない』など、気持ちに反して、動くことができないとも言います。また、特殊清掃は、料金体系が確立されていないため、同じような現場でもA社は100万円、B社は200万円と倍以上も違う料金が請求される場合があります。そうした中で、ご遺族・ご依頼者に代わり、適正価格で安全に作業を行うことを任されるのが『事件現場特殊清掃士』のような専門家なのです」

凄惨なな状況になっていることが多い孤独死の現場などで、遺族の代わりに特殊清掃を行います。この資格取得のための講座で、濃度の高い薬品を使った消臭・消毒技術と知識を学べます。

どちらの資格も、養成講座の申し込み、受講期間や費用は、遺品整理士と同様です。
「遺品整理士」「遺品査定士」「事件現場特殊清掃士」の3つの資格を全て取得すると、遺品整理業務を最初から最後まで任せられる業者が育成されます。

これらの資格に興味を持った方、これらの資格を取得している遺品整理業務を依頼したい方は、ぜひお近くの遺品整理士か、一般社団法人一般整理士認定協会にお問い合わせください。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。