家財整理とは何をするのか、相談窓口の選び方について解説

家財整理とは何をするのか、相談窓口の選び方について解説

断捨離やミニマリストがブームになっている近年、自分も身の回りを整理しようと思い立つ人が増えています。
「遺品整理」「生前整理」などの言葉は、もう社会に馴染んでいますよね。
そんな中「家財整理」というワードも登場しています。

「家財整理」とは、何を指すのでしょうか。
「遺品整理」や「生前整理」とは、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「家財整理」とはどんなものか、また、どのように行うのか見ていきましょう。

家財整理とは何をするのか、相談窓口の選び方について解説

「家財整理」とは?

「家財整理」とは

実は、「家財整理」という言葉は、以下の3つの意味で使われます。

  1. 遺品整理・生前整理・空き家整理の総称
  2. 「家の財産を処分する作業」「家財全般に関わる整理」
  3. ごみ屋敷の片付け

それぞれの意味について詳しく説明します。

遺品整理・生前整理・空き家整理の総称

まずは、遺品整理・生前整理・空き家整理、それぞれの整理について見ておきましょう。

遺品整理

「遺品整理」とは、身内が亡くなったあと、残した品=遺品を仕分け・整理する作業です。
遺品整理では、相続に必要なものの仕分け、形見分け、不用品の処分、清掃などを行います。
遺品整理は家族や親族が行うのが一般的です。
相続手続きに深い関わりがあるため、法定相続人が全員で行うのが望ましいとされています。

生前整理

「生前整理」とは、気力・体力が充実しているうちに、自分の身辺整理をしておく作業のことです。
生前整理では、不用品の処分や清掃のほかにも以下の作業を行います。

  • 財産の整理・目録作成
  • 遺言書の作成
  • エンディングノートの作成

身の回りを整理しておくことで、老後を健康で楽しく前向きに過ごし、死後に遺品整理で遺族にかかる負担を減らすことが目的です。
「生前」整理なので、行うのは本人(被相続人)です。

空き家整理

言葉の通り、空き家を整理する作業です。
たとえば、以下のような家屋建物を整理します。

  • 住人が老人ホームへ転居、また入院などしたことで住まなくなり空き家になった自宅
  • 老朽化して価値のなくなったので空き家となった賃貸物件

誰も済まなくなった空き家を放置していると、倒壊や火災発生の恐れがあったり、犯罪を誘発したりする可能性が高まります。
また、ゴミの不法投棄が起きたり、害虫や悪臭の発生、景観の悪化など、近隣へ迷惑をかける恐れもあります。
そのため、空き家は放置せず、整理することが必要です。

この場合の「整理」は、売却して活用をするほか、解体して更地にすることもあります。
一見、遺品整理や生前整理とは全く違うイメージでしょう。
しかし、清掃や家財の搬出など、一部の作業は遺品整理や生前整理と重複しています。
また、遺品整理でも家を解体するケースがあります。
遺品整理で空き家整理を行うのは、持ち家の場合は遺族族、賃貸の場合は所有者が行うケースが多いでしょう。

「家の財産を処分する作業」「家財全般に関わる整理」

「家財整理」の文字そのままの意味で、不用になった家財を整理することを指します。
不要家財を捨てて家を片付けるだけではありません。
模様替えや買い替えなどによって不要となった家具などを処分することも含まれます。

遺品整理でも家具などを整理・処分しますが、残っている住人が以後もそこに住む場合もあります。
そのため、故人の持ち物を基本的に全て整理する遺品整理とは作業規模が異なります。

家財整理は不用なものだけを処分すればいいので、時間をかければ1人でも行える範囲の作業です。
また、専門知識もほぼ必要ありません。
しかし、遺品整理となると故人の持ち物すべてが整理の対象になります。
ですから、作業が大規模になり人手も必要です。

さらには遺産相続が関係してきます。
必要書類や法的に遺産とされるものを仕分けするなど、相続に関する専門知識も必要になるでしょう。

ごみ屋敷の片付け

家財道具やさまざまなモノだけでなく、ごみが溜まって足の踏み場もないような、いわゆる「ごみ屋敷」や「汚部屋」と言われる住居を片付けます。
ごみ屋敷を放置していると、空き家の放置と同様さまざまなリスクが高まります。
近隣に迷惑をかけることもあるため、ごみ屋敷も片付ける必要があります。

しかし、ごみ屋敷の住人にとっては、ごみも「大切なもの」である場合が多く、住人にとっては「家財」です。
ですから、ごみ屋敷を片付けて、家財を処分することは難しいケースもあります。
ごみ屋敷の家財整理は、一念発起した本人が行うか、あまりにひどい状態の場合は専門業者に依頼して行います。

家財整理で行う作業内容は?

家財整理で行う作業内容

では、家財整理で行う作業を具体的に見ていきましょう。

不用品の処分

家財整理でメインとなるのが不用品の処分です。
小さなものを捨てるだけではなく、家具や家電など大きなサイズの家財も整理の対象となります。
買い込んだまま忘れていた食材や使っていないいただき物はないでしょうか?

または、もったいないからと取っておいた割り箸、着ていない洋服が溜まっている方もいるでしょう。
他にも、1人で使うには大きすぎるテーブルや、壊れて使えない家電など、使っていないのに場所を塞いでいるもの、今後の生活に必要ないものを一掃します。

清掃

不用品がなくなりスッキリしたら、掃除を行いましょう。
普通レベルの清掃でもいいですが、専門業者に依頼して本格的なハウスクリーニングを行うことが多いようです。
プロにハウスクリーニングを行ってもらうと、素人では気がつかない箇所のトラブルを発見してもらえることもあります。

死後に遺族が不動産を整理することもあります。
不動産整理の際に価値が下がらないよう、瑕疵は早めに見つけておきましょう。
早い段階で瑕疵を見つけておけば、簡単な修理で済みます。

財産の整理

家財整理の際、家の中の家財道具を整理するだけでなく、貴金属・自動車・美術品などの動産や、建物・土地などの不動産も整理します。

貴金属や自動車などは、価値の高いものであっても、家族や親族が引き継いでくれるとは限りません。
現金にする場合でも、査定したり売ったりするための手続きには時間が必要です。
遺産相続の段階になってから売ろうとすると、さらに手続きが煩雑になります。

そのため、相続人が「現金で残してくれる方がいい」という場合は、家財整理の段階で売っておくと良いでしょう。

不動産も、遺産相続の際にそのまま不動産として分けるには、登記上の煩雑な手続きが必要になります。

土地や建物など、相続人に「そのまま引き継ぎたい」意思がないのであれば、早い段階で売却しておいた方がスムーズに相続が進められます。

さらに、預貯金や有価証券など、法的に遺産となるものに関しては、目録を作っておくのも良いでしょう。

不用品のリサイクル・売却

不用品の中に、まだ使えるものや、状態の良いものがあれば売却しましょう。リサイクルショップや、インターネットオークション、フリマアプリなどを利用できるでしょう。
不用品が役に立つだけでなく収益にもなります。

家財整理に関する相談はどこでできる?

家財整理に関する相談はどこでできる?

家財整理について相談したい時、どこに連絡すれば良いのでしょうか。

一般社団法人 家財整理相談窓口

遺品整理業者や片付け専門業者が選んだ、信頼できる業者が集まり設立した団体です。
新規業者が入会する際は、理事が事業所を訪問して現地調査を行い、理事会で入会の可否を決定します。

家財整理に関する情報提供を行うほか、消費者や関連団体からの相談を受けています。

遺品整理業者

遺品整理業者は、遺品整理や片付けに関するプロです。
家財整理に関する作業内容は、ほぼカバーしていると言っていいでしょう。
多くの遺品整理業者は、基本業務である遺品の仕分け・整理だけでなく、以下のようなさまざまなオプションサービスを用意しています。

  • 不用品の運搬・処分や清掃
  • 使える不用品の買い取り
  • 遺品の探索
  • 形見分けの代理サービス
  • 遺産相続に関する相談
  • 家屋の解体
  • 空き家の活用相談

業者自身が資格を持って作業する場合や、業者が提携している各ジャンルの専門家を紹介するなど、形態は業者によって異なります。
それでも、単なる遺品整理の枠を超え、家やモノの片付けに関してほぼ全網羅していると言っていいでしょう。
「遺品整理業者」という名称ではありますが、家財整理について不安やわからないことがあったら相談してみましょう。

まとめ

自分で家財整理を行う自信がない場合は、まず団体や業者へ相談

家財整理は、思い出の品や大切な品を整理する作業でデリケートな部分もあります。
もし、自分で家財整理を行う自信がない場合は、まず団体や業者へ相談してみましょう。
そして、業者に依頼する場合は、複数の業者から相見積もりを取ることが大切です。
スタッフとしっかり話し合って、しっかりした整理作業を行ってくれるか見極めましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。