自宅墓とは?方法やメリット・デメリットを解説

自宅墓とは?方法やメリット・デメリットを解説

春のお彼岸。あなたはお墓まいりに出かけたでしょうか。
お墓が遠い、コロナ禍で電車に乗るのが不安などの理由で、なかなかお墓に行けずにいる人も多いかもしれませんね。
そこで気になるのが、最近注目されている「自宅墓」です。
「自宅墓」は「宅墓」とも呼ばれ、自宅で故人を供養する方法です。
今回は「自宅墓」について見ていきましょう。

自宅墓

自宅墓とは?

自宅墓とは

もし自宅にお墓を作れたら、墓地を買う場合のように、宗教宗派の制約を気にしたり、霊園の抽選に一喜一憂したりする必要もなくなりますね。
自宅墓は、遠距離や仕事が忙しいなどの理由でお墓参りに行くことが難しかったり、面倒と感じる人にぴったりです。
では、まず、自宅墓とは何なのかを見ていきましょう。

自宅墓とはどんなお墓?

「自宅墓」は、小型のお墓を自宅に置いて管理・供養する方法です。
自宅墓は、自宅で毎日故人に手を合わせることができ、故人を身近に感じられることから、最近メディアでも注目され始めています。
遺骨や遺灰を自宅で管理・供養することを「手元供養」といいますが、自宅墓は、この手元供養の一つの形と考えればよいでしょう。

遺骨を自宅で保管してもいいの?

自宅墓は遺骨を自宅で保管することですが、これは違法にはあたらないのでしょうか?
また、もし自宅にお墓があれば、いつでもすぐに故人に手を合わせることができます。
自宅の庭にお墓を建てることは、法律上OKなのでしょうか?

結論から言えば、自宅の庭にお墓を建てることはできますが、そのお墓に遺骨を入れることはできません。

墓地などの管理・埋葬に関して規定している墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)の第4条第1項では「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」と規定されています。
そのため、墓地でない自宅の庭にはお骨を埋葬することができないのです。
この法律に違反すると、1万円以上2万円以下の罰金、拘留などの科料に処せられます。

ただし、この法律は、あくまで遺骨を「埋蔵」する場合のみにとどまります。
そのため、故人の遺骨を自宅で「保管」することについては、違法にはあたりません。

自宅墓にはどんなものがあるの?

自宅墓のかたち

自宅墓には、どんな形のものがあるのでしょうか。

お墓タイプ

ミニサイズの暮石です。
骨壺1つが中に納まるくらいのサイズで、前に供花や線香、ろうそくなどを置けば、お墓まいりのような感じで手を合わせることができます。
暮石のような形のほか、五輪塔や石棺の形のものもあります。

骨壺タイプ

暮石の中に納めるのではなく、骨壺をそのまま置いて供養するものです。
素材は、陶器、ステンレス、木製、ガラス製などさまざまで、サイズも幅広く用意されています。
陶器の骨壺は、最近では陶芸作家が製作しているものもあり、個性豊かなデザインが増えています。

ステンレス製の骨壺は小さなサイズのものが多いようですが、中には大人の遺骨がすべて入るサイズのものもあります。

木製骨壺は、素朴で温かみのあるのが特徴です。
大人の遺骨が入るサイズから手元供養用の小さなサイズまであり、デザインや機能性を追求したもの、ホコリや水が入らないようネジでしっかり閉められるものなどがあります。

ガラス製の骨壺は、ガラスならではの質感が特徴です。
色やデザインもさまざまで、手のひらに収まるサイズのものが多いようです。

仏壇タイプ

従来の仏壇をミニサイズにしたものです。 従来の仏壇のように納骨棚がついた、家具のように置けるものや、テーブルや棚に置けるコンパクトタイプなど、いろいろなサイズのものがあります。
仏壇タイプは仏教での供養に適していますが、最近は仏教仕様ではないスタイリッシュなデザインや、フローリングの部屋や家具ともなじむモダンなものもあります。

自宅墓の納骨の方法は?

自宅墓の納骨方法

自宅墓の納骨方法には3種類があります。

全骨タイプ

全骨タイプは、遺骨のすべてを自宅に残す方法です。
一般的に骨壺に遺骨を入れて安置するケースが多いようです。

分骨タイプ

分骨タイプは、一つの骨壺にすべての遺骨を納めるのではなく、複数の場所で供養する方法です。
たとえば、自宅で安置する分だけを手元に残し、残りの遺骨は、代々のお墓や永代供養墓、納骨堂、寺院などに納めたりします。
自宅で供養したいけれど、先祖のお墓にも入れたり、新しいお墓を建てての供養もしたいという人に向いています。
仏教では、昔から「分骨」という形で各宗派の大本山への納骨が行われていました。
骨を分けても、故人の成仏や供養には支障ありません。
また、故人の希望によって遺骨の一部を散骨したり、一部を樹木葬にしたりし、遺骨・遺灰の一部は自宅で供養するのも良いでしょう。

このほか、遺骨や遺灰をプレートやダイヤモンド、アクセサリーなどに加工することもできます。
アクセサリーとして身につけることで、個人をより近く感じることができます。

粉骨タイプ

長期間の保管によってカビなどが発生するのを防ぐため、遺骨をパウダー状に粉砕し、真空パックにして保管する方法もあります。

自宅墓のメリット・デメリットは?

自宅墓のメリットとデメリット

自宅墓のメリット、デメリットについて見ておきましょう。

メリット

おまいりしやすい

お墓が遠方にあったり、転勤や多忙のためにお墓まいりになかなか行けない場合、自宅墓なら故人を身近に感じ、いつでも手を合わせることができます。
また、年齢を重ねて体力が衰えても、自宅墓であれば長距離の移動や、お墓のお手入れをする必要もありません。

故人を身近に感じられる

自宅墓の場合、自分が生きている限り、故人を自分の手元で供養することができます。
故人に近い場所で供養したい人にとっては、従来のお墓よりも希望が叶えられます。
さまざまな自宅墓を選ぶことができるので、故人の趣味や思い出を反映した供養をすることができます。

費用が抑えられる

お墓を新たに購入する場合、一般的に100万円~300万円の費用がかかるといわれています。
しかし、自宅墓なら、数万円~数十万円程度の費用で済みます。
霊園や寺院にお墓を持った場合にかかる管理費も必要ありません。
そのため、継承者への負担もほとんどないといえるでしょう。

ペットの供養も可能

大切にしていたペットと同じお墓に入りたいと望む人は多いようです。
そのようなお墓もありますが、まだ多くはなく、寺院や霊園によってはペットの埋葬ができないケースがあります。
しかし、自宅墓は、自分で管理するので、ペットの供養も、ペットと飼い主の合同供養もできます。

ちなみに、墓地埋葬法は人の埋葬に関しての規定なので、ペットの場合は自宅の庭にお墓を建て、遺体を埋葬しても問題ありません。

デメリット

遺骨の状態が保てない

遺骨は火葬場で800℃~1000℃の高温で焼かれるため、はじめは無菌状態です。
しかし、時間が経つと、湿気などでカビが繁殖する恐れがあります。
カビ菌は空気中に浮遊しており、気温25~30度、湿度70%以上になり、ホコリや汚れなどの栄養分があると発生してします。
そのため、高温多湿の日本ではカビが発生しやすいのです。
自宅墓で遺骨を保管する際は、押し入れや物置など通気性が悪く、掃除の行き届かない場所は避け、風通しの良い場所に置きましょう。

遺骨の行き先がなくなってしまう可能性がある

自宅墓で供養していた人が亡くなってしまった場合、
代々墓などがあったり、家族が継承してくれる場合はいいのですが、そうでない場合、遺骨の行き先がなくなってしまうことがあります。
自宅墓を検討する際は、あらかじめ最終的な納骨先を決めておくことが必要です。
最終的な納骨先を巡ってのトラブルを回避するため、家族と事前に話し合っておきましょう。

また、遺骨をアクセサリーにした場合も、身につけていた本人が亡くなると、遺骨そのものがどこに保管されているか分からなくなってしまいます。
アクセサリーにする場合は、遺骨をどのような形で保管しているかを、誰かに伝えておきましょう。

理解が得られにくい場合がある

注目されてきている自宅墓ですが、まだまだ一般的な供養方法とは言えません。
家族や親族の中には反対する人も出てくる可能性があります。
自宅墓で供養したい場合は、事前によく話し合いましょう。
その際、分骨という形で代々墓と自宅に分けて供養したり、最終的にどこに納めることになるかを話し合っておくと良いでしょう。

まとめ

社会の変化から、個人の死生観や宗教観、遺骨に対する考え方は変わってきています。
このような変化に伴い、お墓や供養の方法も多様になっています。
ただ、社会は移り変わっても、大切なのは故人を思い、供養する心です。
どのような形の供養であっても、故人の生前の意向を汲み、また家族で話し合って、良い形での供養ができたらいいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。