東京23区のごみ・豆知識

東京23区のごみ・豆知識

環境省のデータによると、平成28年度における全国の一般廃棄物(家庭から出るごみ)の総排出量は4,317万tで、東京ドーム約116杯分の量だそうです。これを1人1日あたりとして計算すると、排出量は925gです。
同じ年の東京23区の一般廃棄物排出量を見てみると、総排出量は311万t、1人あたりでは964gとなっています。

全国平均よりやや多い東京23区のごみ。これらは、どのように処理されているのでしょうか。また、ごみ処理にまつわるさまざまなことを見ていきましょう。

東京23区のごみ処分の流れは?

日常生活において出すごみ。リサイクル家電などを除き、ほとんどのものは自治体の収集に出していますね。このごみは、誰が回収して、どこへ行くのでしょうか。ごみ処分の流れについて知っておきましょう。

東京23区のごみ処理分担

東京23区から出されたごみ処理は、東京23区、東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組)、東京都が協力して行っています。

収集・運搬

ごみの収集・運搬は23区が行います。

中間処理

次に、ごみの中間処理を行います。中間処理とは、可燃ごみ、不燃ごみそれぞれの処理、また粗大ごみの処理など、ごみを焼却したり破砕したりする処置のことです。
この中間処理は、清掃一組が行います。

埋め立て

ゴミ埋め立て

最後に残ったものは、東京都が管理する処分場に埋め立てられます。

ごみの運搬と搬入先

ごみは、種類別に収集され、可燃ごみは清掃工場、不燃ごみは不燃ごみ処理センター、粗大ごみは粗大ごみ破砕処理施設と、それぞれ別の施設へと運ばれます。

収集

ごみの種類ごとに、収集する曜日とエリアを決め、季節によるごみの量の変動や地域の実情に合わせた作業計画を立て、効率的に収集します。
東京23区では、家庭ごみの処理手数料は無料、粗大ごみと事業系ごみの収集は有料で行っています。

運搬

効率的に運搬するため、ごみの種類ごとに運搬方法が定められています。

可燃ごみ

収集現場で収集車(小型プレス車など)に積み込み、直接、清掃工場に搬入します。

東京ごみ

不燃ごみ

中防不燃ごみ処理センターまたは京浜島不燃ごみ処理センターに搬入されます。
これらの施設は臨海部にあるため、一部の区では陸上中継所や船舶中継所を設置し、コンテナ車や船舶に積み替えて中継輸送しています。中継することで、輸送効率が向上し、交通渋滞の緩和や、排気ガスによる大気汚染の低減といった効果をあげています。

粗大ごみ

粗大ごみ破砕処理施設に搬入します。中継所がある区では、小さな収集車から大型車両に積み替えて中継輸送します。粗大ごみも、中継で輸送効率が向上し、交通渋滞の緩和、大気汚染の低減効果があります。

資源ごみ

各区が独自に回収し、リサイクルを行っています。

ごみは、どんな車で搬送しているの?

可燃ごみ・不燃ごみ

小型プレス車(容量4.0立方メートル)で運搬します。
この車両は、車両後部の投入口からごみを投入すると、圧縮板によって底板に押し付けられ、圧縮された後、荷箱内に押し込まれる仕組みになっています。おそらく、ごみ収集車と言って多くの人が思い浮かべる、一番よく見かける車です。

粗大ごみ

小型ダンプ車(容量3.4立方メートル)で運搬します。
この車両は、ダンプ機能と、天蓋と呼ばれる観音開きになるふたを荷台に装備しています。昭和30年代には、可燃ごみの収集にも使われていました。

ゴミ収集車

ちなみに、東京都のごみ収集車といえば、青いイメージがありますね。実は、ごみ収集車や作業員の着る作業服の色は、以前はグレーでした。
しかし、昭和43年、清掃事業のイメージ一新、周囲の環境との調和、事故防止などの理由から、東京都清掃局(当時)が選定し、現在のような色になりました。
運転台は「アイボリーホワイト」、荷台は「コバルトブルー」という色になっています。

東京23区のさまざまな取り組み

持ち去り防止対策

資源ごみは売却して区の財源に充てられていますが、売れるものだけに、集積所からの持ち去りが問題となっています。そのため、各区でさまざまな対策が検討・実施されています。

持ち去り防止用品の配布

区の施設において、持ち去りを防止するためのテープやシートなどが配布されています。

港区では、清掃事務所で「持ち去り防止テープ」を配布。
新宿区では、清掃事務所・清掃センターで「持ち去り禁止」シートの貸し出しを行っています。
中央区では、新聞回収袋を配布しています。区役所7階環境推進課、中央清掃事務所、日本橋特別出張所、月島特別出張所、京橋図書館、日本橋図書館、月島図書館でもらえます。

条例の制定

世田谷区では、平成15年12月に条例改正を行い、資源の持ち去り行為を禁止し、平成16年3月から禁止命令に従わない者に「20万円以下の罰金」を科すなど、資源の持ち去り対策を進めています。
しかし、一定の成果は上がったものの常習者による持ち去りが後を絶たず、平成29年12月に条例改正を行いました。これにより、持ち去り行為の常習者には「50万円以下の罰金」と過料が厳しくなりました。
また、近年、「ペットボトル」及び「不燃ごみとして排出される金属類」の持ち去りが多発しているため、同条例施行規則を改正し、これらが持ち去り禁止対象品目に追加されています。

ペットボトルゴミ

中野区では、「中野区廃棄物の処理及び再利用に関する条例」で持ち去り行為を禁止しています。さらに厳格な対応をしていくため、平成30年1月1日から新たな罰則を制定。禁止命令に違反した場合には、氏名等を公表し、20万円以下の罰金を科されることとなりました。

足立区では、綾瀬警察署と連携し、取り締まりを強化しています。
その結果、平成30年3月、綾瀬地域において、繰り返し収集運搬禁止命令に違反し、持去り行為を行った者について、綾瀬警察署と合同で摘発。同年5月、違法に集積所から資源を持ち去った者に罰金20万円の略式命令が出されています。

ごみ分別アプリ

ごみの分別や出し方は、区によって細かい違いがあり、完全に覚えるのはなかなか難しいものです。そこで、スマートフォンで使える「ごみ分別アプリ」が登場しています。

大田区では、平成29年11月1日から「大田区ごみ分別アプリ~資源とごみの分け方・出し方~」が導入されました。
このアプリで、ごみの収集日やごみの出し方、出す時の注意点、ごみ分別辞典、よくある質問など、身近なスマートフォンを利用して簡単に確認できます。
居住地域を設定することにより、ごみ出しのスケジュールがわかる「カレンダー機能」、収集日前日など好きな時間に設定でき、出し忘れを防ぐ「アラート機能」、「ごみ分別辞典」、Q&A方式でよく問い合わせのある情報を確認できる「よくある質問」など、ごみ出しに関することがすべてわかります。ダウンロードは無料です。

足立区でも、同様の機能のあるスマートフォン用の「足立区ごみ出しアプリ」を無料で提供しています。

高齢や身障者の方のための取り組み

台東区では、高齢または身体に障害があるなどの理由で、ごみを集積所まで出すことが困難な方の自宅の玄関前まで清掃職員が訪問し、ごみを収集するサービスを実施しています。

高齢者


本人または代理人が、台東清掃事務所まで来所するか、電話にて申し込みます。受け付け後、清掃事務所が面談調査し、収集を行うか決めます。
このサービスでは、ごみが出ていない日が何日も続いたり、新聞受けに新聞がたまっていたりする場合などには、関係者や福祉関係課に連絡をしてもらえます。

葛飾区では、以下のいずれかに該当する世帯に同様のサービスを行っています。
自らごみを集積所まで出すことが困難で、親族、介護者、知人などが代わりにごみ出しできない人で、

  • 介護保険における要介護2以上の方のみの世帯
  • 身体障害者手帳2級以上の方のみの世帯
  • 介護保険における要介護2以上の方と身体障害者手帳2級以上の方のみの世帯

のいずれかに該当する世帯が対象です。
清掃事務所職員が、自宅訪問し、ごみ出しについての調査及び面談を行って審査します。

資源ごみに異素材を混入させないための取り組み

日本全国では、家庭から排出される生活系ごみは、年間で3,405万tにものぼります。このうち「容器包装廃棄物」は約60%もの割合を占めています。

資源ごみを分別収集するのは、リサイクルするためです。
たとえば容器包装プラスチックでは、容器包装リサイクル法(容リ法)という法律が定められ、平成9年4月から施行されています。これは、一般の家庭でごみとなって排出される商品の容器や包装を再商品化する目的で作られた法律です。

ゴミ分別


容リ法の特徴は、消費者が分別排出、市町村が分別収集、事業者が再商品化(リサイクル)するという役割分担を定めていること。つまり、私たちが協力することによってリサイクルの輪が回っているわけです。

この法律を受け、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会では、年1回「ベール品質調査」という調査を行っています。これは、回収された容器包装プラスチックの汚れ具合や、異物の混入割合を調べるものです。23区では、江戸川区がAランクに認定されるなど、リサイクル運動の成果が上がっています。

しかし、全体で見ると、異物はまだまだ多く、1日あたりの作業でもかなりの量の異物が出ています。
リサイクルをさらに促進し、地球に優しい環境をつくるため、地域のルールに従った正しい分別を行っていきましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。