遺品整理では様々な物を片付けなくてはなりませんが、ちょっと悩んでしまうのが「ガラス製品」ではないでしょうか。
コップや陶器など、ガラスは暮らしの中で使われることが多いため、遺品整理の時は大量に出てくることが少なくありません。
小さな食器などはまだしも、大きなガラスのテーブルやペットの飼育に使うガラス製の水槽にコレクションをしていた人なら保管用のガラス棚など、大きくて重いガラス製品は、処分が面倒です。
いざ処分となると、どう捨てるのが正しいのか分からない方も多いと思います。
この記事では、処分に悩みやすいガラス製品の処分方法を徹底解説します。
安全に捨てる方法についても紹介していますので、ガラス製品を処分する際は参考にしてください。
目次
ガラスを処分する方法は6つ
ガラス製品は、大きさや形状によって適切な捨て方が異なります。
物によっては、ゴミではなく資源としてリサイクルする方法もありますので、不要なガラスに合う処分方法を選びましょう。
不燃ごみに出す
自治体の回収で処分する場合、ガラスは「不燃ごみ」として分類されます。
市区町村によって処分できるサイズなども異なりますが、ほとんどの自治体が不燃ごみもしくは粗大ごみの取り扱いです。
ただし、割れたガラスは、安全に捨てられるよう正しく処置を施してから処分する必要があります。
割れたガラスを処分する際の注意点については、後ほど詳しく説明します。
資源回収に出す
資源物を有効に活用することを目的として、一部のガラス製品を「資源物」として回収を行っている自治体もあります。
ゴミとして捨てるよりも、資源物としてリサイクルする方がエコです。
しかし、資源回収に出せるガラスには限りがあり、自治体によって形状や大きさは異なります。
ガラスの資源回収の例
- 東京都渋谷区:飲食料用ガラスびん(梅酒用のびんも可)
※油などで汚れたびん、化粧品のガラスびん、割れたびんは不燃ごみへ
※ビールびん、一升びんなどの「リターナブルびん」は買ったお店へ返却を
- 東京都墨田区:酒類、ジュース、ジャム等のびん
※中をすすぐことのできない化粧品用びん、薬品用や油のびんは回収不可
- 東京都江東区:飲料用、食料品容器、化粧品のびん
※油物油物(ドレッシング、オリーブオイルなど)汚れの落ちないもの(マニキュア・乳液など)コップやグラスなど、割れている物は燃やさないごみへ
このように、ガラスの資源回収を行っている地域でも、それぞれ細かくルールが定められています。
ガラス製品を資源回収に出す際は、中の汚れを落としキレイにしましょう。
粗大ごみに出す
不燃ごみには出せないサイズの大きなガラス製品は、「粗大ごみ」として処分するのが手っ取り早いです。
粗大ごみに出せる主なガラス製品は、「窓ガラス」「ガラス棚」「ガラステーブル」「水槽」などです。
回収費用についても、自治体や大きさにもよりますが、400~1,200円程度で処分できるところがほとんどでしょう。
東京23区、名古屋市、大阪市などでは、多くの自治体で「一辺が30cm以上の物」は粗大ゴミの取り扱いとなりますが、絶対ではありません。
札幌市のように「耐久消費財その他の固形廃棄物で、指定ごみ袋に入らないもの」という指定をしている地域もあります。
また、粗大ごみ回収に出す場合は、事前の申し込みが必要です。
申し込み方法は「インターネット」「電話」の他、FAXやLINEでの受付を行っている自治体もあります。
このように、粗大ごみの出し方や受付方法については市区町村で違いがありますので、居住地域のルールを確認しておきましょう。
クリーンセンターに持ち込む
処分したいガラス製品が複数ある方や、処分費用を少しでも浮かせたい方は、クリーンセンターへ自力で搬入するのもひとつです。
自力で運ぶ手間はかかりますが、その分料金は割安になります。
持ち込み方法・料金の例
※1世帯年度2回まで(1回につき10個まで)
- 東京都板橋区:手数料は回収料金の半額 ※申し込み必須
※1回につき10個まで
粗大ゴミ回収の場合と同じく、クリーンセンターへ直接持ち込む場合の料金も、市区町村によって異なります。
1回の搬入で料金を一律としている地域もあれば、半額や無料としているところもあり、処分する不用品が多いほど割安です。
ただし、個人の持ち込みそのものを行っていない自治体もあります。
持ち込みの場合も、事前の受付が必要なケースが多いため、詳細は事前に調べておきましょう。
不用品回収業者に依頼する
ガラス製品を含む不要品が大量にある場合や、処分をお急ぎの方は、不用品回収業者への依頼も検討しましょう。
不用品回収業者は、早ければ即日対応できるスピーディーさと、自宅からの運び出しなどすべてスタッフが行ってくれる手間いらずなところが強みです。
しかし、ラクに処分できる分、費用が掛かります。
数点だけの回収は割高ですので、引っ越しなどで不要品がまとめて出る時や、自身での運び出しが難しい場合に向いています。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理で出たガラス製品であれば、遺品整理業者でも回収を行っています。
遺品整理業者に依頼する最も大きなメリットは、一度の依頼ですべてを適切に処分できることです。
ガラス製品以外の不用品もすべてまとめて整理してもらえますし、回収・処分を別で依頼する手間もかかりません。
サイズの大きなガラスを解体するには
費用をかけず無料で処分するには、自治体が回収する「不燃ごみ」に出す方法ですが、自治体の規定サイズを超えたガラス製品は、不燃ごみとして処分することができません。
しかし、粉砕して小さくすれば、不燃ごみに出すことも可能です。
サイズの大きなガラスは、以下2つの方法で細かく解体できます。
金づちやトンカチで割る
ひとつ目は、ガラスを割って細かくする方法です。
金槌やトンカチなど、ホームセンターや100円ショップで手に入る道具で粉砕できます。
- 滑り止めの付いた分厚い手袋をはめて、底の厚い靴をはく
- 割りたいガラスを新聞紙やブルーシートに包む
- 包んだ上から、金槌やトンカチでたたいて割る
- ガラスを細かく粉砕できたら、紙で包んで袋に入れる
- 「ワレモノ」「ガラス」などと書いて目立つところに貼り、不燃ごみの日に出す
安全に作業を行うため、軍手や靴は厚い物を、またゴーグルをすれば、より安全です。
破片の飛散を予防するため、ガラスにガムテープを貼ったり、新聞紙やブルーシートで包むなどしましょう。
また、回収の際は作業員が怪我をしないように、「ワレモノ」「ガラス」など目立つところに表記し、分かるようにしておくことも大切です。
割れたガラスが飛び出さないよう、紙などで包んだ上からビニール袋に入れて、二重にすることも忘れずにしましょう。
ガラスカッターを使う
割るのがちょっと怖い場合は、切断してガラスを粉砕しましょう。
ガラスを切るには、ガラスカッターという工具を使います。
厚手の手袋と靴の他に、段ボールも必要です。
- 滑り止めの付いた分厚い手袋をはめて、底の厚い靴をはく
- ガラスカッターにカッティングオイルを入れる
- 段ボールを敷いた上にガラスを置く
- ガラスに線を引くように、ガラスカッターで傷を付ける
- ガラスカッターでつけた傷にそって、ガラスを割っていく
- 小さくなったガラスを紙と袋で二重に包んで、不燃ごみの日に出す
ガラスカッターは、ガラスに傷をつけるために使う道具です。
普通のカッターで紙を切る時の要領で傷をつけて、最後の割る作業は手で行います。
ガラスカッターを使うと、金槌やトンカチで割るよりも破片が飛ばず安全に処理することができます。
お手頃な物であれば、1,000円台で買えるガラスカッターもあります。
ホームセンターやネットショッピングでも販売していますので、より安全にガラスを粉砕したい方は、購入を検討してみてください。
ガラス製品を処分する際の注意点
ガラスは割れると鋭利なため、安全に処分するにはいくつか注意すべきことがあります。
割れたガラスは紙に包む
まず、破片でケガをしないよう軍手をしてガラスの破片を拾い、新聞紙などに包んでおきます。
次に、手で拾えないような細かい破片を掃除機で集めます。
ガラスが掃除機の中に入ると故障の原因になりかねないので、吸い取り口を目の細かい布で覆い、輪ゴムなどで固定しガラスの破片を集めます。
集め終わったら、床を雑巾などでそっと拭きます。
細かいガラスの粉で床に傷が付いてしまう恐れがあるので、力を入れずに拭き、拭いた雑巾は捨てましょう。
集まった破片は、自治体指定の袋に入れて捨てます。
このとき、袋が破れないよう、二重、三重にしましょう。
また先述した通り、ガラスをゴミ回収に出す際は、作業員が怪我をしないように新聞紙などにくるんだ上で「ワレモノ」「ガラス」など目立つところに表記します。
ガラス以外の物は分別して処分する
どんなゴミも素材に合わせて正しく分別し処分する必要があります。
ガラス製品も、ガラス以外の部品が付いている物は、分けて処分しなければなりません。
例えば、ショーケースやガラス棚も、金具や部品などはガラス以外の素材を使っている物がほとんどです。
粗大ごみとして処分する場合はそのまま出せますが、粉砕して可燃ごみとして処分する場合は、分別が必須となります。
自治体によって分別ルールにも違いがありますので、正しいゴミの出し方・分け方に従って処分してください。
ガラス製品は売ることも可能
ここまで、ガラスの処分方法を解説しましたが、状態が良く問題なく使える状態のガラス製品は、「売る」という選択肢もあります。
不要なガラス製品を売るには、次のような方法があります。
専門店、リサイクルショップで売る
例えばガラスの水槽などは、中古の物でも需要があります。
アクアショップや熱帯魚専門店などに相談してみましょう。
最近では、出張買取をしているアクアショップもあるようです。
また、水槽台、殺菌灯、照明、ポンプ、水槽用クーラーなどの水槽用アクセサリーがあれば、水槽と一緒に買い取ってもらえる場合があります。
とくに、大きな物や、大量にある場合は、専門店に相談するのがおすすめです。
ただし、リサイクルショップは買い取り額が上がりにくく、高額査定は望めません。
元々高価なガラス製品であっても、買い取り額は数百円というケースは多いです。
リサイクルショップは、現金化したい人よりも、手数料をかけずに早く手放したい方に向いています。
食器やテーブルなどの場合は、家具などの買い取りも行っているリサイクルショップに相談するとよいでしょう。
オークションやフリマアプリで売る
ネットのオークションやフリマアプリは、スマホで品物の写真を撮り、そのままサイトにアップするだけで簡単に売ることができます。
フリマアプリは、自分の希望する価格をつけて売ることができますし、ネットオークションは、思わぬ高額で売れることがあります。
しかし、売れるまでに時間がかかったり、希望の価格で売れない場合もあります。
また、フリマアプリやネットオークションは、自分で荷造りや発送をする手間がかかるため、引っ越しなど急ぎで手放したい方には向いていません。
時間のある人、遺品整理を急がない人は、ぜひオークションやフリマアプリへの出品も検討してみてください。
遺品整理・不用品業者に買い取ってもらう
遺品整理業者や不用品業者には、不用品の買い取りに対応しているところもあります。
最近では、様々なジャンルに関して専門的な知識を持ち、市場価値のある物を適正な価格で買い取る業者が増えてきました。
遺品や不要品の中に価値の高い物があれば、買い取った分を作業料金から引いてもらえます。
遺品整理や不用品回収料金の節約にもなり、一石二鳥です。
買い取りができない品物は、不要品として回収・処分してもらえるため、手間もかかりません。
手間と時間をかけずに処分したい場合や、大きくて重いガラス製品を手放す場合は特におすすめです。
「寄付」「譲る」こともひとつの手段
売る以外にも、寄付や人に譲ることも、不要なガラス製品を手放す方法のひとつです。
寄付先には、物資が足りず、様々な物を必要としている国々を支援しているNPO法人や団体などがあります。
寄付の方法は簡単で、不要な食器を箱に詰めて送るだけです。
プロが仕分けやクリーニングをしたあと、海外の困っている人々への寄付や、国内外で活動する団体への支援として送られます。
日本製の物は品質が高いため、海外でも喜ばれています。
使わない物が誰かの役に立ったら嬉しいですね。
人に譲る場合は、親戚や友人をあたってみましょう。
もし身内で引き取り手が見つからない場合は、ジモティなどの地域掲示板を利用すれば、譲渡先がすぐに見つかる可能性があります。
まとめ
ガラス製品を捨てる場合は、自治体によってルールが違います。
事前に居住地区のルールを確認し、必ず適切な方法で処分しましょう。
また、ガラスはほとんどリサイクルされておらず、多くがごみとなって埋め立てられています。
ごみを減らす意味からも、できるだけ捨てない方法で処分したいものです。