終活を行う中で、「終の住処」は大きなテーマです。
自分らしく充実したセカンドライフを送るためには、どのような場所で生活するのが良いのでしょうか。
特に、1人暮らしの人や、家族と同居する予定がない人、子どものいない人には大きな問題と言えるでしょう。
現在住んでいる自宅を出て老後を過ごすとすれば老人ホームが挙げられますが、老人ホームでの生活にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今回は、終活の中で考える老人ホームについて見ていきましょう。
目次
老人ホームとは?
老人ホームとは、民間企業が運営する介護施設のことです。
老人ホームとは、高齢者の心身の健康を保つため、食事や家事、健康管理、介護などのサービスを提供する住まいです。
老人ホームにはいくつか種類があり、その種類ごとに異なるサービスを行っており、利用料金も異なります。
要介護度に応じて、その人に適したホームの種類・ライフスタイルを選ぶことができます。
老人ホームは、大きく分けて以下の3種類があります。
- 介護付老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
各施設で受けられるサービスや、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
介護付老人ホーム
「介護付老人ホーム」は、機能訓練、食事、掃除などの生活支援サービスを受けられる施設です。
都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設が当たります。
介護付有料老人ホームには、介護を行う職員によって以下の2種類があります。
- 職員が介護を行う「一般型」
- 外部の業者が介護を行う「外部サービス利用型」
また、入居者の要介護認定の条件によって、以下の2種類に分けられます。
- 要介護1~5の人が対象となる「介護専用型」
- 自立から要介護5の人が対象となる「混合型」
そのため、自立した生活が出来る人から要介護の人まで、幅広く入居が可能な施設となっています。
提供されるサービスや、居室・設備のグレードも幅広いため、自分や好みに合った施設を選ぶことができます。
入居時にかかる費用は、以下が目安になります。
- 入居一時金・・・0円〜数億円
- 月額料金・・・15〜35万円
介護付老人ホームに入居するメリット・デメリット
介護付老人ホームに入居するメリットは以下です。
- その人の状態や目的に合わせて選べる
- 介護サービスは24時間受けられるため、緊急時にも安心
- 居室が広めなので、夫婦での入居も可能
- 毎月の費用が予定しやすい
逆に、介護付老人ホームに入居するデメリットは以下が挙げられます。
- 初期費用が高め
- 自立した生活ができる人にとっては介護サービスの費用が無駄になる
- さまざまな特色のある施設が多く選択が難しい
- 外部の介護サービスが利用できない
住宅型有料老人ホーム
「住宅型有料老人ホーム」は、食事や掃除といった生活支援サービスが付いた施設です。
日常生活に関するサポートは受けられますが、介護サービスは付いていません。
そのため、要介護度が低く比較的自立した生活が可能な人向きです。
介護が必要になった場合は、外部の訪問看護事業者と契約し、介護サービスを受けることができます。
一般的に、イベントやレクリエーション、サークル活動などが充実しているので変化に富んだ生活を楽しめるでしょう。
入居時にかかる費用は、以下が目安となります。
- 入居一時金・・・0円〜数千万円
- 月額料金・・・15〜35万円
住宅型有料老人ホームに入居するメリット・デメリット
住宅型有料老人ホームに入居するメリットは以下です。
- 自立した生活ができる人から要介護度の高い人まで、それぞれに適した施設が多い
- 設備やサービスも多様で選択肢が多い
- イベントやレクリエーションが豊富で生活を楽しめる
デメリットとしては以下があります。
- 費用が高め
- 要介護度が高い場合、介護サービス費用が高額になる
- 要介護状態が重度になってしまうと入居し続けることが困難になる
健康型有料老人ホーム
「健康型有料老人ホーム」は、基本的に自立できている状態の人が入居対象となる施設です。
家事のサポートや食事サービスなど、日常のサポートが提供されます。
しかし、入居者が身の回りのことを自分で行えることを前提に建物や設備は造られています。
要介護度の低い人が入居する施設であるため、レクリエーションやサークル活動など、入居者が楽しめるイベントや機会が豊富に用意されています。
入居時にかかる費用は以下が目安となります。
- 入居一時金・・・0円〜数億円
- 月額料金・・・10〜40万円
健康型有料老人ホームに入居するメリット・デメリット
健康型有料老人ホームに入居するメリットは以下です。
- 趣味や他の入居者との交流など、健康で活動的な高齢者のニーズに応えられる
- 簡単な日常の生活サポートを受けられる
デメリットは以下です。
- 入居一時金が高額
- 入居一時金は毎月償却されるが、3年以内に全額償却される施設や10年以上の期間で償却する施設などまちまち
- 自立できている人、要支援状態の人しか入居できない
- 入居者が要介護状態になったら退去を求められる
- ニーズが低いため、施設数が少ない
老人ホームと他の施設の違い
老人ホームとよく似た施設に、以下があります。
- 公共の「特別養護老人ホーム」
- 民間の「サービス付き高齢者向け住宅」
- 「グループホーム」
それぞれの施設と老人ホームの違いを見ていきましょう。
特別養護老人ホームと老人ホームの違い
特別養護老人ホームは「特養」と略され、また「介護老人福祉施設」とも呼ばれる公共の施設です。
特養に入居するには以下のような要件があります。
- 原則として65歳以上
- 要介護3以上に該当する人
月額の利用料は、老人ホームと比較して低額であることが多いようです。
サービス付き高齢者向け住宅と老人ホームの違い
サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と略され、高齢者が安心して生活するためのサービスが付いた住宅です。
室内はバリアフリーになっており、安否確認や掃除、買い物の代行などの生活支援を行います。
一般の賃貸住宅と同様、入居時に賃貸借契約を結びます。
症状が重度になった場合は退去を求められる可能性があるので注意が必要です。
グループホームと老人ホームの違い
グループホームは、要支援2以上の認知症高齢者を対象とした小規模介護施設です。
最大9 名で構成される「ユニット」に分かれ、家事などを分担しながら共同生活をします。
認知症の患者は、環境の変化にうまく適応できない傾向があります。
そのため、常に同じメンバーで生活できるユニット制は認知症のケアに向いているのです。
担当スタッフもユニットごとに決まっており、それぞれの状況に合わせた認知症ケアを行います。
なお、グループホームには看護師配置が義務付けられていません。
そのため、看護師がいないグループホームでは、医療行為が必要な病気に罹患した場合など健康状態によっては退去せざるを得ないケースがあります。
家族にとっての老人ホームのメリット・デメリットは?
老人ホームへの入居が、家族にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
関連記事:生前整理~親のためにしっかりとした介護施設を選ぶチェックポイント
メリット
老人ホームに入る最も大きなメリットは、介護による家族の心身の負担を軽減できることでしょう。
在宅でケアすれば、家族の愛情を常に注ぐことができます。
しかし、介護は24時間365日終わりが見えません。
何年続くか分からない緊張を強いられることは、心身ともに大きな負担となります。
さらに、在宅ケアの場合、本人がいつでも自由に外出するのは困難です。
しかし、老人ホームであれば、ちょっとした散歩などもサポートしてもらえます。
また、老人ホームでは、専門家が24時間介護にあたり、緊急時にも素早く適切な対応をしてもらえるので安心です。
家族が看ることも大切ですが、プロに適切な対応をしてもらえるのは大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
老人ホーム入居で最も大きなデメリットは、費用の負担が多いことではないでしょうか。
施設にもよりますが、在宅ケアに比べると、格段に高額な費用が必要になります。
さらに、全国的に老人ホームのニーズが高まっており、いつでもすぐに入居できるとは限りません。
このようなことから、入居を希望する場合、相当早い段階から準備をしておく必要があるでしょう。
また、自宅にいるのとは違い、入居者にいつでも自由に会えないこともデメリットと言えるでしょう。
さらに、在宅で看ないことで、家族で介護してあげられないという罪悪感に駆られる人もまだまだ少なくありません。
しかし、昔と違い、家族が介護をしないからといって、愛情が薄いことには決してなりません。
専門的な知識を持つプロに任せることも、家族に対する愛情ではないでしょうか。
関連記事:老老介護とは? 高齢化社会における介護問題の原因と生前整理
まとめ
自分が高齢者になったとき、どのような状態でいるのかは分かりません。
しかし、だからこそ、早いうちから考えておくことが大切です。
終活を考えている人は、ぜひ、終の住処について考えておきましょう。
有料の老人ホームは、当然ですが費用がかかります。
もし入居を考えるなら、元気なうちに計画を立て、施設を探し、いざというときに入居できるよう手配しておく必要があります。
最後まで自分らしく、充実した生活を送りたいですね。