家にある仏壇、掃除をしていますか?
最近は彫刻が少ないシンプルなデザインの仏壇もありますが、昔ながらの豪華な彫刻が施された仏壇は、ホコリが溜まりやすい欠点があります。
また、さまざまな素材が使われており、精細な細工の部品が多いため、自分で掃除するのはとても気を使います。
お盆でご先祖さまが帰ってこられる前に、きれいにしておきたいですね。
今回は、仏壇の掃除と、注意すべき点について見ていきましょう。
目次
仏壇には、どんな種類があるの?
まず、仏壇にはどんなものがあるのかを見ていきましょう。
金仏壇
金仏壇は、いわゆる「仏壇」と言って思い浮かぶ伝統的な仏壇です。
漆黒の漆が塗られた面に、金箔や金粉で装飾を施したもので、「塗り仏壇」とも呼ばれます。
古くは漆が使われていました。
近年は化学塗料やカシューを使ったり、シルクスクリーンで蒔絵の絵柄を印刷したりして、価格を抑えたものも出ています。
寺院の形を模しており、ミニチュア版のお寺と言ってもいいでしょう。
唐木仏壇
唐木仏壇は、紫檀・黒檀・鉄刀木・シャム柿など銘木の美しい木目を生かした仏壇です。
これらの銘木は熱帯地方で自生しており、古くから家具や楽器の素材に使われてきました。
中国を経て日本に輸入されたため「唐木」と呼ばれています。
また、唐木のほか、屋久杉・桑・ケヤキ・桜など日本の銘木で作られたものも、木目を活かした伝統的なデザインであれば、唐木仏壇といいます。
家具調仏壇
家具調仏壇は、インテリア性が高く、現代の洋風の住居にもマッチするデザインで、現代仏壇・モダン仏壇などとも呼ばれます。
カラーやデザインが豊富で、住まいやインテリアにマッチするものを選べます。
サイズは従来の仏壇に比べて小さめのものが多く、リビングやダイニングに置くのにも適しています。
素材もさまざまなものが使われます。
洋家具によく使われるウォールナット材やメープル材、さらには伝統的な漆塗りのものまであるので、インテリアに合わせて選べます。
また、部品にガラスや金属などの素材を使っているものも多いようです。
ミニ仏壇
サイズが小さく軽量で、スペースを取らないのがミニ仏壇です。
写真のフレーム型のもの、壁掛け式のもの、小さな厨子型のものなど、さまざまなデザインがあります。
マンションなど、狭い部屋にも置きやすく、掃除もしやすいシンプルなデザインが多いようです。
自分で仏壇を掃除しよう!
では、自分で仏壇を掃除してみましょう。
掃除道具は?
仏壇を掃除する前に以下の道具を用意しましょう。
- 筆
- 刷毛
- 柔らかい布
仏壇は細かい隙間や溝などが多いので、筆や刷毛が活躍します。
筆は書道に使用する太さが1cm未満のもの、刷毛は毛の長さが5〜10cmほどのものが良いでしょう。
布は、メガネ拭き用の布のような、柔らかくって傷をつけにくい素材のものを用意しましょう。
その際、艶出し用のポリッシュが含まれていないものを選びます。
掃除をするのに適した日は?
仏壇の掃除は、よく晴れたお天気の良い日に行いましょう。
仏壇にとって湿気は大敵です。
湿気を含むとカビが発生したり、デリケートな金箔や漆の部分を傷めてしまう可能性があります。
また、掃除をする際は窓を開けて風通しを良くし、できれば扇風機や除湿機で換気しながら行うのがおすすめです。
掃除の前にすることは?
仏壇の掃除を始める前に、現在の状態をスマホでいいので写真に撮っておきましょう。
仏壇には細かいパーツや装飾品が多いので、やみくもに外してしまうと、元通りに戻せなくなってしまいかねません。
掃除のあと正しい位置を確認するため、写真を撮って置くのがおすすめです。
また、掃除を始める前に一度手を合わせて、掃除をさせていただくことを伝えましょう。
掃除が終わったら、また手を合わせ、掃除が済んだことを伝えます。
上手な掃除の仕方とは?
まずホコリを取る
仏壇掃除の基本は、ホコリを取ることです。
仏壇では、ろうそくを灯したり線香を焚いたりするため、ホコリには蒸気や微量な粒子が付着しています。
そのため、いきなり拭き掃除をしてしまうと、この汚れを伸ばしてしまうことになります。
まずは、ホコリを優しく取ることから始めましょう。
筆や刷毛を使ってホコリを落とす
筆や刷毛の毛は、ほぐしておきます。
仏壇にはさまざまな装飾や彫刻が施されています。
細かい隙間などが多いため、ハタキで叩いても汚れをきれいに取ることができません。
面積によって筆と刷毛を使い分けるのがコツです。
刷毛で大まかに汚れを落としたあと、さらに筆で細かいところを落としたりすると良いでしょう。
金箔部分には触らない
金箔部分は、少し強めにこすったり、引っ掻いたりしてしまうと、剥がれてしまうことがあります。
そのため、金箔部分には触れないようにしましょう。
掃除をするのは漆などの部分です。
水は使わない
繰り返しになりますが、仏壇に水気は禁物です。
漆は水に弱く、濡れ雑巾などで拭いてしまうと、カビの原因になったり、拭いた跡が残ってしまったりすることがあります。
汚れは、柔らかい布で優しく拭き取りましょう。
なかなか落ちないしつこい汚れは、
- メガネ拭きのようなクロスを濡らす
- 水気をほとんど感じないくらい強く絞る
- 汚れを浮かせるように優しく拭く
- 乾いたクロスで乾拭きして水気を取る
自分で掃除するのに向いている仏壇は?
金仏壇は、金箔に傷をつけないよう注意しながら掃除する必要があります。
金箔が剥がれてしまうと、専門の職人に貼り直しをしてもらうことにもなりかねません。
一方、唐木仏壇やミニ仏壇はシンプルなものが多く、金箔もほとんど使われていないため、掃除しやすい仏壇と言えるでしょう。
自分で仏壇を掃除するメリット・デメリットは?
メリットは、ほとんど費用がかからないことでしょう。
道具も筆、刷毛、布のみとシンプルで、特別な道具は使いません。
また、自分で掃除を行うことで、ご先祖さまに対する感謝を伝えることもできます。
デメリットは、本格的な掃除ができないことです。
特に金仏壇は触れない部分も多く、根本的な掃除を行うことができません。
仏壇のクリーニング業者に掃除を依頼するには?
仏壇は、専門のクリーニング業者に依頼することもできます。
仏壇のクリーニングを業者に依頼するメリットは?
自分で仏壇を掃除する場合は、ホコリ取りと乾拭きが中心となるでしょう。
専門の業者であれば専用の洗剤を使い、複雑な作りの金仏壇も、隅々まで丁寧に掃除してくれます。
また、自分では掃除が難しい、さまざまなパーツや装飾品も全てきれいにしてもらえます。
さらに、仏壇を分解してのクリーニングもあります。
普通のクリーニングでは落ちない汚れも落とすことができ、金箔の輝も蘇ります。
分解してのクリーニングは修復、塗り直しと呼ぶ業者もあります。
また、修復のことをクリーニング、仏壇のクリーニングを洗浄と呼ぶなど、言葉が統一されていないので、ホームページや業者に直接よく確認しておきましょう。
仏壇のクリーニングを業者に依頼するデメリットは?
費用が高め
どうしても費用が高めになってしまうのはデメリットと言えるでしょう。
業者にもよりますが、幅50cm未満の唐木仏壇で9万円〜、金仏壇で22万円〜ほどの費用がかかります。
しかし、新しく仏壇を買い替えることを考えれば、かなり安く済むとも言えるでしょう。
業者によっては、仏壇の写真を送れば見積もりしてくれるところもあるようです。
全ての仏壇をクリーニングできるわけではない
仏壇のクリーニングは、全ての仏壇が可能なわけではありません。
また、状態によっては買い替えや処分が必要となるケースもあります。
事前に相談しましょう。
時間がかかる
分解してのクリーニング(修復)の場合、仏壇の種類によっては2〜4ヶ月ほどかかることもあります。
その場合、修復前に魂抜き、修復後に魂入れの儀式が必要となります。
仏壇のクリーニングはどこに依頼すればいいの?
仏壇のクリーニングは、専門業者があります。
インターネットで検索すると、さまざまなホームページにヒットしますので、比べてみましょう。
中には、ハウスクリーニング業者で仏壇のクリーニングをメニューとして用意しているところもあるようです。
しかし、仏壇はとてもデリケートです。
仏壇の知識を豊富に持つ専門の業者に依頼する方が安心でしょう。
また、仏壇・仏具店に問い合わせてみるのもおすすめです。
まとめ
仏壇は自分で掃除することもできますが、デリケートな作りのため、優しくホコリを取る程度にとどめるのが良いでしょう。
自分では落とせない汚れがついてしまった場合は、専門業者に依頼して専門的な洗浄や、分解しての洗浄や塗り直しを依頼することができます。
そのため、日常的な掃除は自分で行い、専門業者によるクリーニングは5〜10年ほどに一度行うなど、使い分けると良いでしょう。