納骨堂とは? 各家庭のライフスタイルに合わせたお墓の在り方

納骨堂とは? 各家庭のライフスタイルに合わせたお墓の在り方

近年、少子高齢化や未婚率の増加により、代々のお墓をお世話していくことが難しくなってきました。

また、価値観の多様化によって、従来のお墓観にとらわれず、それぞれのライフスタイルに合わせたお墓が求められるようになっています。

最近では、散骨や樹木葬が注目されていますが、新たなお墓の形として「納骨堂」を選ぶ人も増えています。

そこで、納骨堂とはどういうものなのか、見ていきましょう。

納骨堂とは?

納骨堂とは、従来、お墓を建てるまでの間、お寺で一時的に遺骨を預かる建物のことでした。
しかし、最近ではニーズに合わせ、代々のお墓の代わりに利用する施設として知られるようになっています。

納骨堂には、個人や夫婦など、さまざまな単位で納骨することができます。
一般的なお墓と違い、納骨堂では墓石は立てず、ビルなどの建物内に設けられた一定のスペースを、複数の利用者で配分して使用します。

ロッカー式や仏壇式など、個々のスペースが設けられており、そこに骨壺に入った遺骨を納めます。
昔ながらのお墓を一戸建てとするなら、納骨堂はマンションのようなものと考えるとよいでしょう。

納骨堂はなぜ注目されている?

近年、納骨堂が注目されているのは、その特長が社会の変化とニーズにマッチしたからだと考えられます。

お墓の継承者不足

代々のお墓や遺骨を管理していくのは子供世代です。

しかし、急激に進む少子化で、一人っ子や兄弟が少ない家庭が多くなりました。
お墓の管理は、管理費など費用だけでなく、おまいりや掃除など手間もかかるので、金銭的にも精神的にも大きな負担となってしまいます。

たとえば、一人っ子の女性が結婚した場合、自分の実家のお墓と嫁ぎ先のお墓の両方を管理しなければならなくなるかもしれません。

しかし、納骨堂なら、管理を運営者に任せられ、お墓の継承もする必要がないので、お墓に関する負担を子供世代に負わせることがありません。

お墓参りがしやすい

一般的な墓地は郊外にあることが多く、おまいりで一日が潰れてしまいます。
しかし、納骨堂の場合、都心など比較的アクセスの良い場所に多いため、一般的なお墓よりも墓参がしやすいことが大きな特長です。

また、室内なので、お天気に関係なくお参りができます。
雨の日に、傘を気にしながら手を合わせることもありません。

高齢になって、お墓参りがつらくなったり、手入れが行き届かないといった理由から墓じまいをして、管理しやすい納骨堂に遺骨を改葬する人も増えているようです。

一般墓と納骨堂の違いは?

安置期間

一般的なお墓では、納骨したら半永久的にそのお墓の中へ遺骨が納められています。
しかし、納骨堂の場合、契約期間が過ぎると納骨スペースから取り出され、他の人の遺骨と一緒に供養されるのがほとんどです。
契約期間は納骨堂によって違いますが、33回忌を目安としているところが多いようです。
33年経ったあとは、寺院や霊園の管理者が供養をしてくれます。

遺骨を納める場所

一般墓では、お墓の下にある「カロート」というスペースに遺骨を納めます。
納骨堂では、ロッカーや、仏壇形式になっている仏壇の下部に納められたりなどさまざまです。

費用

一般墓は、墓石を建てるための費用がかかります。
相場は約150万円です。
納骨堂では、墓石を立てるための費用が必要ないため、安価にお墓を用意捨ことができます。
納骨堂の費用相場は、1人だけのタイプで50万円、家族用で100万円を目安にするとよいでしょう。
料金体系はさまざまなので、施設に問い合わせましょう。

メンテナンス

一般墓は屋外にあるため、墓石をきれいにしたり、周りの草むしりをしたり、メンテナンスが欠かせません。
しかし納骨堂は、屋内なので掃除をする必要がありません。管理者が建物自体のメンテナンスを行ってくれます。

おまいりの仕方

一般墓の場合、お参りには線香やろうそくを持参し、お線香をあげてお参りします。
一方、納骨堂では、火気厳禁のところが多く、線香などをあげることができない場合があります。
ろうそく型のライトをつけてお参りしたり、線香などを焚くための参拝室でおまいりするところもあります。
また、屋外にある墓地の場合、いつでも参拝ができますが、納骨堂は各施設で決まった時間帯でないとお参りできません。

宗派

一般墓の場合、寺院の運営する墓地には、その宗派の人でないと入れないケースがほとんどです。
しかし、納骨堂の場合、寺院による運営であっても檀家になる必要はほとんどなく、お布施などを気にする必要もありません。

納骨堂にはどんなものがあるの?

納骨堂には、寺院が運営するもの、自治体が運営する公営納骨堂、宗教法人・財団法人・社団法人が運営する民営納骨堂があります。
公営納骨堂には応募条件があり、さらに抽選になるケースも多いようです。
では、納骨堂のさまざまな形式について見ていきましょう。

ロッカー型

同じ大きさの納骨スペースがロッカーのように集合しているタイプです。
完全に個別のスペースで供養をすることができます。
ロッカーというと味気なく感じますが、最近はデザインやバリエーションが多彩になり、華やかなデザインや、扉を開けると小さな仏壇のようになっているものもあります。

神棚型

シンプルな棚上に骨壺を並べてゆくタイプです。
個別の仕切りはありません。寺院で、一時保管用として設けられていることもあるタイプです。

仏壇型

上壇に仏壇、下壇にご遺骨の収蔵スペースがあるタイプです。
仏壇スペースには遺影や花を飾ったりできます。
収蔵スペースも広いので、大きさによっては子世代まで入ることができ、代々のお墓としても利用できます。
位牌を置くこともできるため、自宅に仏壇がない場合は便利です。

自動搬送式

立体駐車場や荷物の搬送などに使われているシステムを応用した納骨堂です。
各遺族共通の参拝ブースが設置されており、専用のカードをカードリーダーに通すと、裏側の収蔵庫から参拝ブースまでご遺骨を収めた厨子と呼ばれる箱が自動的に運ばれて来ます。
参拝ブースは壁で分けられ、プライベートな空間でおまいりできます。多くの場合、参拝室に電子線香が設置されており、室内でも線香を手向けられます。
狭いスペースでも遺骨をたくさん収蔵できるため、駅から近いビルなどに作られることが多いようです。

室内墓石型

室内に、一般的なお墓と同じか、やや小さめのお墓を建てるタイプで、「室内墓地」とも呼ばれます。
一般的なお墓と同じようにお参りでき、リアルなお墓まいりを演出するため、室内でも線香が焚けるところが多いようです。
納骨堂の中では価格が高く、一般的なお墓と同じくらいの値段になる場合もあります。

合葬・合祀型

屋内外にある永代供養塔に骨壺を納めるタイプです。
通常の永代供養塔では、骨壺から遺骨を出して他の人と一緒に供養しますが、納骨堂とうたっている永代供養塔の場合は、内部に棚を設け、骨壺のまま納めていきます。
安価に利用できる納骨堂です。

位牌型

遺骨の収蔵スペースが別に設けてあり、おまいりスペースに位牌が並べられています。
位牌がメインのため「納骨もできる位牌堂」とも呼ばれます。
費用は、ロッカー型と同等か、やや低めです。

ブック型

本のような小さな箱に遺骨を納め、本棚のような場所に遺骨を安置します。
おまいりの際は、本棚の前で手を合わせるか、本棚から持ち出しておまいりします。
気軽にお墓まいりできるのが特長です。

納骨堂でのおまいりマナー

納骨堂の場合、特別な方法やマナーはあるのでしょうか。

服装

おまいりというと、気になるのは服装ではないでしょうか。しかし、納骨堂へのおまいりの服装に決まりはありません。
派手過ぎなければ、普通の私服でOKです。

お供え物

お墓まいりの際には、一般的に花をお供えしますが、納骨堂によっては生花が禁止されている場合があります。
造花ならOKとか、すぐに持ち帰るなら大丈夫なところや、生花をお供えできる場所を別に用意されているところもあります。
食べ物は、何をお供えしても構いませんが、基本的に持ち帰りましょう。
飲み物は、アルコールの持ち込みが禁止されている施設もありますので気をつけましょう。
また、室内のため、火気厳禁の施設もあります。
おまいりのルールは各納骨堂によって違うため、事前に確認しておきましょう。

宗派

おまいりするときは、周囲への気配りを忘れないようにしましょう。
納骨堂の多くは、宗派に関係なく利用できるため、周囲には宗派の違う人がいるかもしれません。
宗派によってお経が異なるため、あまり大きな声を出さないなど周りに配慮しましょう。

まとめ

一般墓よりも、費用や管理面、アクセスなどでメリットがある納骨堂。
個別の納骨スペースを確保でき、手軽にしっかりと供養ができます。
ただし、屋内ならではのルールもあります。
家族や親戚でじっくり話し合い、皆が納得できる納骨堂を選びましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。