デジタルカメラの登場以来、写真を趣味とする人が増えているようです。
現像の必要がなく、失敗したショットをすぐ消したり、パソコンに取り込んで自分で加工できるデジカメは、気軽に使えてお金もかからず便利ですね。
メーカーからもさまざまな機種が発売され、一眼レフカメラを持つ人も多くなりました。
また、最近はビデオカメラを持っている人も増えました。
習い事の発表会、結婚式、また子供の運動会や入学式、卒業式などビデオカメラが活躍する場は広がっています。
そんななか、遺品整理をしていて、押入れやタンス、物置の中などからカメラが出てくることが多くなりました。
改めて考えてみると、カメラを「捨てる」「処分する」ことって、あまりないのではないでしょうか?
そこで、カメラを処分したい場合どのようにするのがよいのか、みていきましょう。
目次
カメラ・ビデオカメラは何ごみ?
カメラやビデオカメラを廃棄することになったら、あなたはどのように捨てますか?
以前は、カメラやビデオカメラは不燃ごみか、粗大ごみとして処分するのが普通でした。
もちろん、現在でも不燃ごみとして捨てることは可能です。
しかし、近年では、これらの常識が変わってきています。
カメラやビデオカメラなど小型家電には、鉄やアルミ、金、銀、銅、レアメタルなど有用な金属がたくさん含まれています。
これらはリサイクルできる貴重な資源です。
以前は、これらの有用な金属を廃棄してしまっていました。
日本で1年間に使用済みとなる小型家電は、65万トンにものぼります。
そのうち、リサイクル可能な金属は28万トン。金額にすると約844億円にもなるそうです。
この、小型家電に含まれる有用金属で、世界の年間消費量の複数年分をまかなえるとも言われる量なのです。
そこで、貴重な資源をもっと有効に活用するために、2013年4月より「小型家電リサイクル法」が施行されました。
この法律により、デジカメなどの小型家電は、市町村が回収し、認定業者がリサイクルすることとなりました。
小型家電リサイクル法の対象となるのは、
- パソコン
- 携帯電話
- デジタルカメラ
- ゲーム機
- 時計
- 炊飯器
- 電子レンジ
など、「家電リサイクル法」の対象(家電4品目)外だった家電のほぼ全て、400種類以上を網羅しています。
小型家電リサイクル法に則った処分方法は?
貴重な資源を活用するために作られた小型家電リサイクル法ですが、では、実際にはどのように処分すればよいのでしょうか?
回収の方法は自治体によって異なりますが、主な方法を挙げてみましょう。
- ボックスにて回収
- ステーションで回収
- イベントで回収
- ピックアップ回収
ボックスにて回収
役所や図書館などの公共施設や、小型家電認定事業者マークを掲げているスーパーマーケットや家電量販店、家電小売店などに専用の回収ボックスを設置する方法です。
カメラなどを処分したい人は、施設やお店に出向き、処分したいカメラをそのボックスに入れます。
ステーションで回収
ごみ回収場所で、資源の回収と合わせて回収する方法です。
イベントで回収
環境やリサイクルに関するイベントなどが開催された際、そのイベントの期間内に、イベント場所で回収する方法です。
ピックアップ回収
排出された不燃ごみの中から、清掃工場などで選別・回収したり、認定を受けた事業者が、家電量販店や宅配便を利用して独自に回収を行ったりという方法です。
量販店などでは、製品を買い換えたときに、古いものを自宅まで引き取りに来てくれるサービスを行っているところがあります。
小型家電の回収方法は自治体によって異なります。というのは、回収する家電の品目は各市町村によって決められているからなのです。
そのため、デジカメが回収の対象となっていない自治体では、不燃ごみや金属ごみとして処分することになります。
また、リサイクルに手間がかかるものは手数料を必要とする自治体もあります。自治体でカメラを処分するときは、あらかじめ居住地区の自治体に確認してからにしましょう。
その他の処分方法は?
カメラを処分するには、不用品回収業者や遺品整理業者に処分を依頼する方法もあります。
業者に依頼するメリットは、自分でカメラを運ぶ必要がないこと、そして、引き取り日を指定できるので、処分までに時間がかからないことです。
ただ、ここで気をつけたいのは、その業者が引き取ったカメラを正しく処分してくれるかどうかです。
不正な業者や悪徳業者は、引き取ったカメラをスクラップにして海外に売りつけたり、山の奥に不法に投棄したりすることがあるのです。
特に、不法投棄された家電からは、発火などの恐れがあります。
気温などの環境によって、山火事や、輸送中の船上での火事などが実際に起こっているのです。
また、十分な管理がされていない不法投棄家電は、健康へ悪影響を及ぼしたり、環境汚染などの被害を引き起こしたりします。
これらを防ぐためにも、適切な処理を行う自治体や認定業者を利用することが大切です。
ひとつの目安として、小型家電認定事業者マークや番号があります。
依頼前に、認定されている業者かどうかを必ず確認しましょう。
遺品整理業者は、カメラだけでなく全てのものを一気に片付けることができるので、最も時短できる方法かもしれません。
また、業者自身がこのマークを持っていなくても、認定業者と提携し、幅広い遺品を引き取ってくれる業者も多いようです。
遺品整理を依頼する際に、確認・相談してみるとよいでしょう。
捨てない方法
廃棄するのではない処分方法もみておきましょう。
- カメラ専門店に売却する
- リサイクルショップに売る
- オークションに出品する
カメラ専門店に売却する
古いカメラは、ものによっては高値で買い取ってもらえることがあります。
遺品整理で出て来たボロボロのカメラが、実は貴重な機種である可能性もあるのです。
特に、フィルムカメラは愛好家が多く、高く買い取ってもらえるかもしれません。
もし、古いフィルムカメラがあったら、カメラ専門店に持ち込み、査定してもいらいましょう。
デジタルカメラに関しては、一眼レフであれば、多少年式が古くても買い取ってもらえることが多いようです。
コンパクトデジタルカメラやビデオカメラは、年式が新しいものほど買い取ってもらいやすいようです。
古いものほど高値はつきにくいのが現状です。
また、カメラのレンズも単体で買い取り対象となります。カメラ本体に価値がなくても、レンズに価値がある場合も。
リサイクルショップに売る
リサイクルショップや古道具店でもカメラを買い取ってもらえることがあります。
ただし、カメラの知識がないお店では、正しく査定してもらえない可能性もあるので注意が必要です。
オークションに出品する
オークションでは、カメラ好きな人が参加するので、思いもよらず高値になることもあります。
部品を取るために買いたい人もいるので、壊れていても出してみる価値はあります。
ただし、売れるまでに時間がかかったり、送る手間がかかります。
カメラの処分で気をつけたいポイントとは?
フィルムカメラはフィルムさえ抜いてしまえば情報は残りませんが、デジタルカメラには内部にデータが残ります。
これらをすべて消去しないと画像や個人情報が漏れてしまいかねません。処分する前に、データは必ず削除しましょう。
- カメラ本体のデータを消去する
- カメラ本体の設定データを消去する
カメラ本体のデータを消去する
削除機能で画像データを削除しても、実は内部にはデータが残っています。
カメラ本体を初期化しても完全に消去されない場合があるので、次のような方法で完全に消去しましょう。
- メモリーカードを抜きます。
- フォーマット機能でカメラを初期化します。
- 次に、個人情報に関わらない画像(花やものなど)を撮影します。記録領域がいっぱいになるまで撮影しましょう。
- その上で、もう一度カメラを初期化します。
このように重ねて初期化を行なえば、個人の痕跡を消すことができます。
仮に不正なソフトでデータの復元が行われても、無関係の画像なので個人情報特定に直結しません。
メモリーカードを廃棄する場合にも、同様の方法でデータ消去すると安心です。
カメラ本体の設定データを消去する
個人認証機能などを登録している場合は要注意です。
顔の画像データのほかに名前や誕生日を設定している方も多いのではないでしょうか?
便利な機能ですが、この情報が流出してしまうと、個人の特定につながってしまう場合があります。
無線LANの設定をしているデジタルカメラも要注意です。
こういったカメラを処分する時は、取扱説明書に従って全ての登録情報を消去しておきましょう。
近年、故人の残したデジタルデータは「デジタル遺産」と呼ばれています。
カメラに限らず、デジタル機器の中にあるデータは、他人にはわかりにくく、また気づきにくいもの。
しかし、個人情報の特定を目的としてカメラの引き取りを行う悪徳業者も存在します。
カメラを処分する前には、念を入れてデータ削除するようにしたいものです。