「遺品整理」「遺品回収」の違いとは?

「遺品整理」「遺品回収」の違いとは?

生活の中で、なじみ深い言葉となってきた「遺品整理」。
なんとなく聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。
インターネットなどで検索してみると、「遺品整理」だけでなく「遺品回収」という言葉を見かけることがあります。
「遺品整理」と「遺品回収」はどんな違いがあるのでしょうか。
今回は、両者の違いや、業者に依頼する際の注意点について見ていきましょう。

「遺品整理」と「遺品回収」の違いとは?

遺品の回収作業をしている男性

まず最初に、「遺品整理」と「遺品回収」の違いについて見ていきましょう。

遺品整理とは?

「遺品整理」とは、故人が遺した遺品を「必要なもの(残すもの)」と、「不要なもの(処分するもの)」に仕分けし、故人の家を片付け、清掃することです。
遺品には、さまざまなものがあります。
不要なものもありますが、中には貴重品や遺産相続の対象となるもの、遺言書や通帳、証券類など大切な書類も混じっています。
そのようなものを誤って処分してしまわないよう遺品を1つ1つ確認し、必要なものと不必要なものに仕分けていきます。
また、不用品を処分する際は、家電リサイクル法や廃棄物処理法などの関係法令に従って行います。
遺品整理は、遺品整理の専門業者に依頼します。
遺品が多すぎて個人では仕分けできない人や、時間がないなどの理由で遺品整理を行えない人に向いています。

遺品回収とは?

「遺品回収」は、遺品を処分することです。
つまり、遺品を廃棄物として回収・運搬・処分するサービスが遺品回収です。
そのため、遺品を必要なものと不要なものに仕分けたり、まとめたりするのは依頼者自身が行います。
つまり、「遺品回収」とは実質的には「不用品回収」のことであり、「遺品の処分」と考えてよいでしょう。
遺品回収は、不用品の回収・処分を専門に行う、不用品回収業者に依頼するのが一般的です。
遺品整理を自分の手で行いたい人や、遺品整理がすでに済んでいる人、不用品の量が多い・すぐに処分したい、遺品全てを処分したいなど、いらないものの回収と運搬・処分だけを依頼したい人に向いています。

遺品整理と遺品回収のサービス内容は?

遺品整理と遺品回収はサービス内容が異なるため、目的によって選択するのがよいでしょう。
特に、遺品整理業者は不用品回収業者に比べてサービス内容が多岐にわたり、遺品整理というものを初めてする人にはお勧めと言えるでしょう。
主なサービスを挙げてみましょう。

必要なものと不要なものの仕分け

故人が残した全ての遺品を、必要なもの・不要なものに仕分けします。
どんな小さなものもプロの目で1つ1つ丁寧に確認し、分けていきます。

貴重品の捜索

多くの遺品を整理しながら、故人がしまいこんでいた貴重品を探します。
形見になるものや、遺言書などの大切な書類の捜索を依頼する人が多いようです。

遺品の買い取り

不要なものとして仕分けたもので、まだ使えるものがあれば買い取ってもらえます。

簡易清掃

不用品を部屋から運び出したあと、室内を簡単に清掃します。
無料のサービスとして行う業者がほとんどです。

遺品の供養やお焚き上げ

遺品を神社仏閣で回収供養している

遺品の供養やお焚き上げを代行してもらえます。
提携の寺院において合同供養をしてもらったり、僧侶を自宅に呼んでお経をあげてもらったりなど、サービス内容は業者によって違います。
オプションサービスとなっているところがほとんどですが、不要なものであっても、故人が残したものをただ捨ててしまうのはしのびないという人は利用するとよいでしょう。

形見分けの配送

故人の形見を渡したい親族や知人が遠方にいる場合、配送を代行してくれます。

その他

故人の家に家族が住まない場合や、相続で売却したい場合は、家屋の解体やリフォーム、不動産の仲介・買い取りなども依頼できる業者、相続問題の相談に乗ってくれる業者も少なくありません。
また、故人が孤独死を遂げてしまった場合など、通常の清掃では間に合わない特殊清掃を行ってくれる業者もあります。

これらの相談については、業者に専門家がいる場合や、提携している専門会社を紹介してもらえる場合があります。
相談してみましょう。

遺品整理業者ならではの心遣いとは?

遺品整理業者は、故人の遺した遺品を整理するというサービス内容から、さまざまな心遣いをしてくれます。
たとえば、作業前にお仏壇に手を合わせるなど故人に対する礼儀を大切にしています。
全ての遺品は元は故人の使っていたものです。たとえ不用品であっても、1つ1つ丁寧に扱ってくれるのです。
遺品整理業者の配慮は遺族に対してだけでなく、近隣へも配慮し、「これから作業をさせていただきます」と挨拶の代行もしてくれます。
さらには、依頼主が遠方で立ち会えない場合、作業の様子や完了した部屋を写真や動画で報告するなど、きめ細かいサービスを行う業者が増えています。

遺品回収の場合は、とにかく不用品を運搬・処分するサービスなので、その遺品の要不要の判断は自分で行わなくてはなりません。
また、運び出して持って行くだけなので、近隣への配慮や、部屋の清掃などは行っていないところがほとんどです。

業者に依頼する際、注意したいポイントとは?

遺品回収のチェックリスト作業

では、業者に依頼する場合、注意すべきポイントについて見ていきましょう。

「遺品整理」と「遺品回収」の違いを理解する

繰り返しになりますが、「遺品整理」と「遺品回収」はサービス内容が異なります。
遺品を仕分けし、処分・清掃までしてくれるのが「遺品整理」、遺族がまとめた不要な遺品を運搬・処分してくれるのが「遺品回収」です。
自分がどこまでのサービスを求めているかに合う業者を選びましょう。

業者を利用する場合のポイントとは?

業者選び

業者を選ぶ際には次のようなポイントに注意しましょう。
まずは、その会社の住所と電話番号を確認します。
自社ビルである必要はありませんが、きちんとした住所と固定電話を持つ会社なら、まずは合格です。
連絡先が携帯電話のみという業者には注意が必要です。何かあった時に連絡が取れないというケースが考えられます。
近年、遺品整理・遺品回収をうたう業者が増えています。
開業に資格がないだけに、残念ながらいい加減な業者や悪質な業者も存在しています。
きちんとした住所と固定電話のない、街をトラックで流しているような業者はあまりお勧めできません。

サービス内容

インターネットで検索すると、たくさんの業者にヒットします。
貴重品と処分品の仕分けや片付け後の清掃など基本的な業務は同じですが、特にオプションサービスの部分は、業者によってさまざまです。
基本的な業務以外に希望がある場合は、その業者がどのようなサービスを行っているのか確認しましょう。

許可・届出の有無

実は、遺品整理のサービスには、さまざまな許可や届け出が必要です。
たとえば、不用品の回収・処分には「一般廃棄物収集運搬業許可」という許可が必要です。
家庭から出る不用品は「一般廃棄物」なので、遺品を適切に処分するにはこの許可が必要なのですが、中には「産業廃棄物収集運搬業許可」という許可でサービスを行おうとする業者が存在します。
「産業廃棄物」とは、会社や事業所から出るごみのことです。
そのため、この資格では一般家庭のごみを扱うことができません。
間違えやすいので、この点には特に注意しましょう。
適切な資格を持っていない場合、不法投棄などされてしまう危険性があります。
また、遺品を買い取ってもらうには「古物商許可」が必要です。
不用品の買い取りを希望する場合には、この許可があるかどうかをしっかり確認しましょう。

料金設定

業者との間で多いのが料金トラブルです。
事前に料金設定をしっかり確認し、料金が明確であるか、サービス内容と見合うものであるかなどをチェックしましょう。
料金は安いに越したことはありませんが、その分、あとから「思ったより荷物が多かった」などと理由をつけ、法外な料金を請求する悪質な業者も存在しています。
また、料金設定が複雑すぎる、見積もり内容が曖昧であるなど、どんなサービスが含まれているのかどうか分かりにくい業者にも注意しましょう。
業者に依頼する前に、自分の希望を書き出しておき、見積もりの際に質問して、どのような料金になるのかしっかり把握しましょう。

見積もり

見積もりは、必ず現地で行う業者を選びましょう。
電話などで済ませる業者は、最初に安く見積もっておいて、あとから理由をつけて法外な料金を請求してくる悪質業者である可能性が高いと言えます。
見積もりで注意したいポイントは、現地見積もりをする人と実際の作業をする人が同一であるかどうかです。
当然ながら、見積もりをした人が作業してくれる方が望ましいでしょう。
また、1つの業者だけでなく、複数の業者から相見積もりを取り、その中から良い業者を選ぶのがお勧めです。

まとめ

遺品の回収は人数が必要

似ている言葉ですが、「遺品整理」と「遺品回収」はサービス内容が大きく異なります。
もし遺品に関して不安がある場合は、プロの目で仕分けをしてくれる「遺品整理業者」を選ぶと安心です。
トラブルを回避するためには、サービス内容や料金をしっかり確認し、専門業者を上手に活用しましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。