近年、よく知られるようになってきた「生前整理」や「終活」。
不用品を処分する、遺言書を作成する、お墓について考えるなど、生前整理や終活としての活動はたくさんあります。
その中で、便利なのが「エンディングノート」です。
エンディングノートは、自分のデータや財産目録などさまざまな項目を記録するツールです。
書店に行けば専用のノートを買うことができますし、葬儀社や遺品整理業者のホームページからダウンロードもできます。これに加え、最近、エンディングノートを作成できるアプリが登場しました
誰もがスマホを所持している時代。そこで、終活に使えるアプリについて、みていきましょう。
目次
エンディングノートとは?
エンディングノートとは、もしものことが起こった時に必要な情報を書き記しておくノートです。
葬儀やお墓、資産の相続や形見分け、介護・終末医療の希望などを書いておくことで、遺品整理や遺産相続をスムーズにしてくれます。
エンディングノートの内容は?
エンディングノートの内容例を挙げてみましょう。
自分自身について
- 生年月日、本籍地
- 来歴
- 家族や親兄弟の続柄と連絡先
- 友人・知人の連絡先一覧
- ゲームやSNSなどインターネット関係のIDやパスワード
- 遺言書の有無と保管場所
財産について
- 預貯金のある銀行名や口座番号
- 不動産
- 株式
- 貴金属や美術品など資産価値のあるものリスト
- クレジットカードや公共料金の引き落とし口座情報
- 年金について
- ローンやキャッシングなど借りているお金の詳細
- 保証人など債務の有無
- 加入している生命保険の会社名、加入商品名など
- 相続の際に必要な親族一覧
医療や介護について
- かかりつけの病院と連絡先
- 病歴、常用薬
- 延命治療を希望するか
- 臓器提供、献体を希望するか
- 希望する介護施設や介護内容
葬儀・お墓について
- 希望する葬儀内容(形式、宗派、会場、規模など)
- 遺影に使いたい写真や、葬儀で使いたい音楽
- 葬儀に参列してもらいたい人リスト
- お墓の所在地、墓地の使用権について
- 希望の納骨方法(散骨など含む)
以上は大まかな例です。
死後に家族が困らないような内容を書き留めておきます。また、重体になった時や物ごとの判断が難しくなったとき、家族の方針と行き違いが起こらないよう、家族と話し合っておくことも大切です。
エンディングノートの書き方とは?
エンディングノートには、決まった形式や書き方はありません。
書店では、各社から発売されているエンディングノートも買うことができます。あるテーマや項目に絞ったものや、遺言書キット付きのものなど、さまざまな内容のものが発売されていますので、自分の目的に合ったものを探すとよいでしょう。
また、市販されている一般的なノートに、自分にとって必要な事柄を書いておくだけでもOKです。
パソコンをよく使う人なら、専用ソフトを使ってもいいですし、Wordやメモ帳に書き留めておくだけでもOKです。
エンディングノートは、一度書いたら終わりではありません。考えや状況が変わったら、その都度更新していきます。お気に入りの1冊を探すもよし、メモのようにサッと書き付けるもよし。まずは始めることが大切です。
生前整理アプリ・終活アプリとは?
近年、ほとんどの方が日常的にスマートフォン(以下、スマホ)を使っていると言って過言ではないでしょう。
スマホのさまざまなアプリを使用し、手放せなくなっている人も多いのではないでしょうか。
そんなスマホに、エンディングノートが書けるアプリが登場しています。
最近は、高齢者だけでなく、30代、40代でも終活を行う人が増えています。特に若い世代にとっては、「スマホでできる終活」は、気軽に始めやすいツールです。
アプリのメリット
アプリでエンディングノートを書くメリットには、次のようなものが挙げられます。
手軽に始められる
いつでも手近に持っているスマホと一体となっているため、トライしやすいのが大きなメリットです。
アプリをダウンロードするだけですぐに始めることができます。もし使いづらかったり、自分には合わないと思ったりしたときは、削除して他のアプリを試せばよいので、とても気軽です。
時・場所を選ばない
アプリなら、通勤時間や家事の合間に項目を埋めるなど、時間や場所を問わず自由に編集できるという点も大きなメリットです。
伝えたいことが浮かんだ時にサッと書くこともできますし、間違いがあれば、すぐに削除したり、書き直したりすることもできます。
無料のアプリなら費用がかからない
エンディングノートのアプリの種類はまだそれほど多くありませんが、なかには完全無料で使えるものもあります。費用がかからないので、始めやすいのがメリットです。
画像や動画、音声を一緒に残せる
死後の手続きに必要な情報に加え、動画でのメッセージや、大切な思い出の写真を一緒に残しておくことができます。
また、家族への感謝や楽しかった出来事などを音声で伝えるなど、オリジナルのエンディングノートを作れます。
経年劣化がない
紙のエンディングノートの場合、紙の劣化やインクが薄くなるなど、時間と共に記録情報が見にくくなりますが、アプリなら経年劣化の心配がありません。
記録が残る
ノートを紛失してしまったり、PC内のデータが壊れてしまったりするなど、紙媒体やPCでのエンディングノート作成には、記録紛失の恐れがあります。
しかし、アプリの場合、サーバに記録が残るので、たとえスマホを紛失しても記録が消えてしまうことがなく安心です。
アプリのデメリット
デメリットについても、みておきましょう。
サービスが継続される保証がない
アプリを運営する会社が潰れてしまったり、業績不振によってアプリが終了する可能性があります。
機能拡張に費用がかかることがある
基本的な機能は無料でも、一部の機能について有料になることがあります。それほど高額になることは少ないようですが、ダウンロードするときに、内容や料金をよく確認しておきましょう。
自由度が低い
項目やフォーマットが決まっているので、紙に書く場合に比べて融通が利かないというデメリットがあります。
紙なら、フォーマット以外のことを思いついたとき、余白にメモしておくことができますが、アプリでは不可能です。
広告が表示されることがある
無料のアプリには、広告が表示されるものがあります。スクロールの際にクリックしてしまったり、画面の一部が隠れてしまったりなど、見づらいと感じることがあるかもしれません。
終活アプリのいろいろ
では、終活アプリにはどんなものがあるのでしょうか。
100年ノート
シニアのための生活総合情報誌『はいから』編集部が提供するアプリです。
シニア誌のプロデュースだけに、スマホを使い慣れていないシニアでも迷うことなく利用できるデザインと操作性を実現しています。
利用者が、自分の死後に情報を知らせたい人を指定しておけば、その人は保管されている情報を閲覧することができます。ただし、情報を閲覧するには身分証明と事務手続きの手数料が必要です。
価格 | 無料 |
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対応 | iOS 9.0以降、Android |
エターナルメッセージ
エンディングノート機能のほか、家族1人1人に動画メッセージを残すことができるアプリです。各人に2本ずつ動画を登録できます。思い出の画像を保存できる機能も搭載。
価格 | 無料 |
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対応 | iOS 8.0以降、Android 5.0 以上 |
エンディングノート
日常生活や身辺整理の備忘録としても使うことができ、情報の出力もメールで手軽にできるアプリです。
基本情報、医療・介護、連絡先、葬儀・埋葬、資産・負債、通覧のメニューのみのシンプルな作りで、わかりやすくなっています。家族での共有も可能。
価格 | 120円 |
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対応 | iOS 8.3以降 |
生前整理アプリ
無料会員は、自分自身に関するフォルダ「私のこと」のみ使用可能。有料会員になると「資産について」「お墓や葬儀」「遺言内容」「携帯電話や会員サービス」「その他」のフォルダを使用できます。
また、特定の相手あての内容を記録したり、写真、動画、音声を残したりするとも可能です。
価格 | 無料/月額980円 |
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対応 | Android(iOS版もリリース予定あり) |
あなたのエンディングノート
「自分史」という視点で作られたアプリです。
自分の歴史を作成するなかで、自分の人生を記録として残すだけでなく、当時の気持ちの整理をしたりするために役立てることができます。
また、家族などに伝えたいことや、そのほか、さまざまな情報を残したりすることができます。
価格 | 無料 |
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対応 | iOS 7.0以降 |
まとめ
アプリを使うと、画像や写真を使ったオリジナルのエンディングノートが簡単に作れます。
紙に書くときのように、きちんと机に向かう必要もなく、寝転んでいても書けてしまうのが魅力です。
紙に書くのが億劫な人は、利用してみてはいかがでしょうか。
ただし、スマホの故障やサービスの終了で使えなくなることもあるので、データのバックアップを取っておくなどの対策をしておきましょう。