大切な親の遺品、捨てられない時の対処法

大切な親の遺品、捨てられない時の対処法

「遺品」を捨てることに腰が引けてしまう人は多いようです。
ずっと置いておくわけにはいかないと頭では分かっていても、そう簡単に捨てられるものではありません。

保管場所が持ち家であれば遺品整理に時間をかけられるので、故人の死後、何年もそのままにしている人もいるようです。
こうして、いつまでも手を付けずにいるうちに、ますます処分しづらくなることも・・・。
今回は、遺品を処分する際の心の持ちようや、心が痛まない処分方法について見ていきましょう。

遺品整理が難しい4つの理由とは?

遺品整理が難しい4つの理由

整理や片付けは、自分のものでも大変なもの。
ましてや、他の人のであればなおさらです。
特に遺品整理が大変なのは、なぜなのでしょうか。
主に以下の4つの理由があります。

思い出がよみがえる

故人が生前愛用していた物を見ると、この服よく着ていたな、このマグカップを気に入っていたな・・・と思い出がよみがえり、胸がいっぱいになります。
そのために、なかなか単なる「モノ」としては見られず、故人の魂や思い出が宿っていると考えるために、捨てにくくなるのです。

どれを処分してよいかわからない

遺品のうち、何が大切なものかわからないことも多いようです。
大切なものは一度捨ててしまうと取り返しがつきません。

また、趣味の品や美術品、骨董品など価値がわかりにくいものは処分に悩みます。
さらに、貴金属やブランド品など、一般的に価値が高いとされるものも整理が難しいものです。
高価な相続財産とされる場合もあるため、慎重に扱う必要があります。

遺品が多すぎる

近年、断捨離や片付けがブームになっていますが、たくさんのものを遺しているケースが多く見られます。
特に故人が年配の場合によく見られるケースです。
多い場合では、荷物の量がトラック何台分かになることも少なくないようです。
そのため、どこから手をつければいいのか分からず片付けが進まなくなります。

時間が取りにくい

遺品の整理にはまとまった時間が必要です。
しかし、仕事が忙しかったり、子育て中だったりする人はなかなか時間が取れず、遺品整理は大きな負担となります

また、故人の住まいや実家から遠く離れて暮らしている人の場合、移動するだけでも時間や費用がかかり、なかなか整理を始められません。

遺品を処分する前に考えるべき4ポイントとは?

遺品を処分する前に考えるべき4ポイント

故人の遺した遺品には思い出がたくさん詰まっています。
遺品を整理することは、それを処分することです。でも、そう簡単には捨てられないのも当然の気持ちでしょう。
遺品整理を始める前に考えておくべき4つのポイントについて説明します。

無理に捨てようとしない

時間や場所にゆとりがあるなら、整理を急ぐ必要はありません。
時間をかけて遺品に向き合い、心の整理をしましょう。
特に、残された家族が故人と同居していた場合は、急に故人の物がなくなると寂しく感じることも多いようです。

環境や状況によって、無理のないよう少しずつ整理をしていきましょう。

罪悪感をどうしても捨てきれないなら、しばらく保管する方法もあります。
時間が経つうちに気持ちも落ち着き、処分を考えられるようになります。

大切な物は残す

遺品を全て捨てる必要はありません。
故人の写真や大切にしていたもの、捨てにくいものは保留にしましょう。
まずは、明らかな不要物を処分すればよいのです。
そのあと、処分するかどうか、ゆっくり考えましょう。

故人の気持ちを想像する

整理の前に、故人の気持ちを想像してみましょう。
お父さんなら、これを取っておいてほしいかな? おばあちゃんなら、もう全部捨てちゃってね、と言うんじゃないかな? など。

遺品を捨てると故人が悲しむのではないかと心配するところから、罪悪感は生まれます。
遺品を手放せるかどうかは故人の問題ではなく、遺された家族の気持ちの問題です。
心の整理ができるまでは、遺品を捨てられないと思うかもしれません。

でも、必ずやらなくてはならないのが遺品整理です。
遺品を整理しながら、心の整理もしていきましょう。

いつか誰かが捨てる

年月が経って、遺品に対する思い出が薄れていったり、遺品であるとは知らない人が多くなれば捨てられる可能性は高くなります。
いつか捨てられるものだと思えば、いま捨てやすくなるのではないでしょうか。

また、遺品をずっと置いておけば、将来、子供や孫が処分の苦労を背負うことになるかもしれません。
そう考えれば、遺品を処分する踏ん切りもつけやすくなるのではないでしょうか。

一人で抱え込まない

遺品整理は、家族や親族などを巻き込んで行いましょう。
一人で全てを片付けるのは、体力的にも精神的にも良いことではありません。
親族で遺品整理を行うことは、相続トラブルのリスク回避にもつながります。

遺品を捨てない4つの処分方法は?

遺品を捨てない4つの処分方法

遺品の処分に罪悪感が生じるのは「捨ててしまう」からではないでしょうか。
捨ててしまえば何も残りません。

ですから、本当にこれでいいのだろうかという迷いも生まれるのでしょう。
でも実は、遺品は捨てる以外にもさまざまな処分方法があります。
4つの捨てない処分方法を見てみましょう。

譲る

使えるものは、捨てるのではなく再利用してくれる人に譲りましょう。
捨てるだけが遺品整理ではありません。
必要としている人に利用してもらえれば、故人も喜んでくれるのではないでしょうか。
インターネットでは、近所の人に不要なものを譲る掲示板があります。
ここに、まだ使えるものを書き込めば、それを欲しいと思う人が出てきます。
連絡を取って譲りましょう。

地域によりますが、家具などは自治体が運営するリサイクルセンターで修理・清掃をし、必要とする人に譲渡できる場合があります。
大きめの遺品が多い場合は、問い合わせてみるとよいでしょう。

形見分け

故人と縁が深かった人や親族には形見分けをしましょう。
形見分けとは、故人が愛用していた品物を親戚や友人に分けることです。
形見分けには、着物など衣類のほか、アクセサリーや故人愛用の小物類などを贈ることが多いようです。
故人との関係性に配慮して贈る人、贈るものを決めましょう。

売却する

まだ使えるものは、売却する方法もあります。
フリマアプリやネットオークションを利用したり、リサイクルショップなどに持ち込むと良いでしょう。
また、近年はジャンルごとの買い取り専門店もあります。
気軽に相談してみるのも良いでしょう。

寄付する

さまざまなものを寄付して、世界中の困っている人たちの役に立てます。
このような寄付活動を行なっているNPO法人がたくさんあります。
このような団体は、洋服から使用済み切手まで幅広い品物を扱っているので、問い合わせてみましょう。

お焚き上げ

服や写真など、故人の魂が宿っていると感じるものは、そのまま捨てるのは気が引けます。
このような品物は、寺院や神社などでお焚き上げをしてもらいましょう。
火で燃やすことで、故人の持ち物は天に返っていきます。
近年は環境問題でお焚き上げを行なっていない寺社もあるため、事前に問い合わせましょう。

遺品整理プロの力を借りよう

どうしても自力で遺品整理ができない、どう行えばいいかわからない場合は、遺品整理業者に相談しましょう。
業者は、遺品の仕分けから不要品の回収・処分まで全ての作業を行ってくれます。

故人の部屋にあるものは、どんな小さな封筒の中身も全て丁寧に調べてくれるので安心です。
近年では以下のような遺品整理に関するさまざまなサービスを行っていますので、罪悪感を感じることも少ないでしょう。

  • お焚き上げ代行
  • 形見分けの代行
  • 遺品の買い取り

遺品整理に立ち会い、要不要の相談をしながら遺品整理をして行くことも可能なので、心の整理にもなるでしょう。
遠方で立ち会えない場合は、動画などで作業の様子を送ってくれる業者も増えているようです。

遺品整理のプロに依頼するメリット

遺品整理業者であれば、基本的には年中無休で対応してもらえますし、日時の指定も可能です。
また、不要品を回収してもらえるのも大きなメリットでしょう。

使えるものは買い取ってもらえ、不要なものはまとめて引き取って処分までしてもらえます。
ですから、大量のごみを自分で運んだり処分したりする必要がありません。

作業料金はかかってしまいますが、時間がかからず、大きな家具・家電なども一度に回収してもらえます。

以下の条件のどれかに当てはまる人は検討してみてはいかがでしょうか。

  • 賃貸物件などで遺品整理を急ぐ人
  • 遺品整理を自分で行う時間がない人
  • 自分では整理できない人

まとめ

遺品を捨てられないと大変になります

遺品を手放すことに罪悪感を持つ必要はありません。
もし遺品整理に手をつけずにいると、故人が遺言書やエンディングノートに残した要望が実現しなかったり、相続トラブルが起こったりする危険性があります。

適切な遺品整理を行うことは家族のためであり、故人の名誉や評判のためにも大切です。
譲渡や寄付などで再利用できる方法を探るなど、故人に喜んでもらえるような遺品整理ができたらいいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。