生活を彩る食器。季節ごとにさまざまな色や形、素材のものを使うと、食事が一層おいしくなりますね。
好みの食器を少しずつ集めて行くのは楽しいものですが、気がつくと食器棚にいっぱいになっていた、なんていうこともあるのではないでしょうか?
また、食器は、結婚祝いなどの引き出物としてもらうことも多いですね。
さらに、景品などでもらったものや、割れてしまって揃わなくなったセットなど、食器は意外にたくさんあるものです。
遺品整理の現場でも、大量の食器が出ることはよくあります。
食器棚だけでなく、物置や納戸などからも大量に見つかり、えっ、こんなにあったの!? なんて驚くことも珍しくありません。
遺品整理では、大きくはなくても「大量にあるもの」をまとめて片付けるというのも、また大変なものです。
そんな食器の処分についてみていきましょう。
目次
食器は何ごみ?
「食器」というと、まず陶器が思い浮かびますが、実際に食器棚をじっくり見ると、陶器だけではないことに気がつきます。
素材が違うということは、処分の仕方も異なってくるということ。
まずは、素材別に処分の方法を確認しましょう。
- 陶磁器・ガラス製の食器
- 金属製の食器
- プラスチック製の食器
- 木製の食器
- サイズの大きな食器
陶磁器・ガラス製の食器
一般家庭で最もよく使われる食器です。
お皿やお茶碗だけでなく、カップやグラスなどもありますね。
これらの陶磁器やガラス製品は、燃えないごみ。不燃ごみとして出します。
これらの食器は割れやすいので、清掃員がケガをしてしまう可能性があります。
陶磁器やガラスの食器をごみとして出す際には、段ボールに入れたり、新聞紙にくるんだり、指定のごみ袋に入れた上、「ガラス製品」「割れもの」などと表記しておきましょう。
金属製の食器
金属ごみとして、自治体の指定日に処分します。
フライパンや鍋、ボウル、おたま、やかんなどの調理器具もこの時に一緒に処分できます。
ただし、多くの自治体では30cm以上のサイズのものは粗大ごみとなりますので、注意が必要です。
プラスチック製の食器
燃やすごみ、あるいはプラスチックごみとして出します。
自治体によってどちらに区分されるか異なります。
居住地区のホームページなどで確認し、日常で出るプラスチックと同じように、ルールに従って処分しましょう。
木製の食器
木製のものは少ないかもしれませんが、お箸、サラダボウルやスプーン、フォークなどがあります。
こちらは燃えるごみ・可燃ごみとして出します。
紙皿や紙コップなども同様に、可燃ごみに出しましょう。
サイズの大きな食器
素材にかかわらず、1辺の長さが決まった長さを超えるものは粗大ごみ扱いとなります。
この大きさは、30cm、50㎝など自治体によって基準サイズが異なります。
事前にホームページや電話で確認しておきましょう。
食器を粗大ごみとして出したい場合は、自治体の粗大ごみ回収窓口に電話かメールで連絡し、回収を依頼します。
そのとき、回収してもらえる日時と場所を確認しておきましょう。
また、自治体によって料金も異なりますので、同時に確認しておきます。
食器はダンボールやごみ袋に入れてまとめます。
回収の前に、コンビニなどで「粗大ごみ回収券」など各自治体の処理券を購入し、まとめた箱や袋の見やすい場所に貼っておきます。
回収日当日、回収時間までに指定場所へ出しましょう。
大量の食器はどうすればいい?
引っ越しや生前整理などでもそうですが、不要な食器が大量に出ることがあります。
特に遺品整理では、賃貸物件の退去日が迫っていて、早急に片づけが必要な場合、大量の食器を仕分けして処分するには大変な手間がかかります。
また、食器は重いので、大量に処分しなくてはならない場合、すべて自分だけで運び出すのはかなりの重労働です。
そんなときは、不用品回収業者や、遺品整理業者への依頼を検討するのもよいでしょう。
食器だけでなく、家具家電なども運び出してくれるので、まとめて処分できます。
また、即日対応してくれる業者もあるので、自治体の回収日を待つより早く片付けることができます。
特に遺品整理業者なら、提携の寺社で遺品の供養まで行ってくれるところもあります。
また、回収した食器を福祉施設や海外に寄付しているところもあります。
故人の愛用品が、誰かの役に立つかもしれません。依頼の際に確認してみましょう。
知っておこう! 陶磁器は再生できる
ガラス製や金属製、プラスチック製の食器は、素材を再生することができます。
それぞれ粉砕したあと、ガラス・金属・プラスチックの素材として新たに整形し直して、資源として再利用されています。
でも、食器で一番多い陶磁器製のものというと、再生は難しく、割れたり不要になったりしたら捨てるしかないイメージがあるのではないでしょうか?
ところが、現在、ほとんどの食器が資源として再利用できるようになっており、陶磁器に関しても、資源に戻してから再製品化する動きが推進されているそうです。
- リサイクル推進の理由は?
- 陶磁器の再生方法とは?
- 使用済み陶磁器の回収場所は?
リサイクル推進の理由は?
陶磁器の食器の素材は、粘土や長石などです。
これらの素材は、石油や天然ガスと同じように「枯渇性天然資源」と呼ばれる、限りある資源です。
使えば使うほど資源は失われ、再生に長い時間がかかったり、そもそも再生不可能だったりします。
でも、このままでは、いつか陶磁器の原料は枯渇してしまいます。
陶磁器をつくる土は、なんでもいいわけではありません。
熱に対する強度やわずかな粘度の違いが、出来上がりに大きく影響します。
この土が不足しているため、有田焼などは別の産地から仕入れている状態なのです。
そのため、不要となった陶磁器製の食器を粉砕し、土に変え、再び食器を作り出す活動が進められています。
陶磁器の再生方法とは?
食器のリサイクルを推進するため、現在、企業や行政が一体となって全国規模のリサイクル運動を行っています。
家庭だけでなく、レストランやカフェ、給食などで使われた使用済み食器が回収され、粗く粉砕されます。
これを20%、50%の割合で粘土などに混ぜ込み、さらに約7ミクロンにまで粉砕します。
こうして、使用済み食器は、陶磁器や焼き物をつくる坏土(はいど)に再生されます。
再生された坏土を練り、焼き上げられた食器は、Re-食器として販売され、エコな器として使われるというわけです。
今までのように、資源を一方的に使い続けるのではなく、不要な食器を素材に変えることで、無秩序な資源の採取を食い止めたり、緩和したりすることを目指すこの運動。
多くのカフェや自治体などが積極的に参加しています。
使用済み陶磁器の回収場所は?
現在、全国約40ケ所あまりの会社やカフェ、民間団体やネットワークなどで使用済み陶磁食器の回収が行われています。
また、自治体での行政回収は、多摩ニュータウン環境組合リサイクルセンター(エコにこセンター)、岐阜県垂井町住民課環境衛生係、大阪府河内長野市役所 環境共生部環境衛生課など、全国20ケ所ほどで行なっています。
食器のリユース
食器のリサイクルは、再生だけではありません。
誰かに使ってもらうという形でのリサイクル(リユース)もできます。
- 食器を扱うNPO法人など団体に寄付する
- 食器を寄付してワクチンを贈ろう
食器を扱うNPO法人など団体に寄付する
海外には物資が足りず、さまざまなものを必要としている国がたくさんあります。
食器もその一つで、集荷されたものは海外の困っている人々や、国内外で活動する団体への支援や寄付として送られます。
食器に限らず、日本製のものは高品質なので喜ばれます。
もし、遺品整理で、まだ使える食器、ほとんど使っていないような食器が出たら、寄付してみてはいかがでしょうか。
こういった団体は食器以外のものも受け付けていますので、食器以外にも使えるものが出たら、一緒に寄付するとよいでしょう。
食器を寄付してワクチンを贈ろう
食器そのものを寄付するだけではなく、不要な食器を詰めた1箱につき1件のワクチンを寄付している団体もあります。
科学や医学の発展した現代でも、六大感染症と呼ばれる「ポリオ」「ジフテリア」「はしか」「百日咳」「結核」「破傷風」は絶滅していません。
つまり、これらの病気のワクチンを必要とする人が世界にたくさんいるということなのです。
現在は、ワクチンの接種によって年間200万人から300万人の命が救われているそうですが、実はこれでも十分ではありません。
もっとワクチンの接種率が向上すれば、さらに年間150万人の命が助かると言われているのです。
そこで、このワクチン募金が始まりました。
全国から寄せられた食器などをリサイクル・リユースすることによって出た利益を、国連やユニセフを通じてワクチン募金という形で役立てているのです。
まさに、ごみの削減とワクチン寄付の一挙両得な活動と言えるでしょう。
遺品整理で大量に出やすい食器。まだ使えるものであれば、寄付してみてはいかがでしょうか。
故人にも、きっと喜んでもらえることでしょう。