「終活」という言葉は、一般に広く浸透し、今や耳にしたことのない人の方が少ないのではないでしょうか。
終活について語る芸能人も多く、人生の終末期をどう過ごすかを考えるようになった人、終活についてもっと知りたいと思う人も多いようです。
そこで最近、終活に関する様々なレクチャーをしてくれる「終活セミナー」が盛んに行われるようになりました。
また、セミナーや講座だけでなく、終活フェアといった大規模なイベントも開かれ、多くの人を集めています。
こういったセミナーでは、一体どんなことを教えてくれるのでしょうか。終活セミナーについてご紹介します。
目次
そもそも「終活」とは?
自分が死んだら・・・。
誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
年齢を重ねれば重ねるほど、自分の死後のことが現実味を帯びて来ますね。遺産相続をどうするのか、どんな葬儀を行い、どんなお墓に入るのかなど、心配ごとは尽きません。
そこで、提唱されるようになったのが「終活」です。
終活とは、人が人生の最期を迎えるにあたって行う様々な準備や、人生の総括のことで、死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るために準備することをいいます。
終活で行うことは2つ。1つは遺族のための活動、もう1つは自分のために行う活動です。
遺族のための活動
身の回りの整理、相続について明らかにしておく、葬儀やお墓の準備、施設や介護などの準備など、残された遺族が困らないようにする活動です。
親の家の片付けや、相続争いで遺族に負担がかかったり、争ったりすること、また、死後に家族が悩むことのないように、やっておくことです。
自分のために行う活動
これまでの人生を振り返り、残される家族のことや、友人や知人、今までお世話になった人たちのことや、やり残したことや叶わなかった夢などを考えてみます。
今後、残された時間のなかで出来ること・出来ないことを把握するなかで、残りの時間をより豊かに、有効に使うことができるようになります。
このようなことを行い、人生の終わりに向けた準備をする取り組みが「終活」です。
終活セミナーの内容とは?
終活について知識がなく、終活全般について知りたい人は、セミナー型のイベントに参加して、心構えから始めるとよいでしょう。
特に気になること、心配なことがある人は、その項目に重点をおいたセミナーへの参加がおすすめです。
終活全般について
「終活を始めたい」、「終活がどんなものなのかを知りたい」という人向けの内容です。
そもそも終活とはどのような取り組みなのか、なぜ終活を行うべきなのか、具体的に何をすべきかなど、「終活」という取り組み全般について俯瞰できる内容になっています。
また、具体的なところでは、葬儀や相続に関する基礎的な知識や、エンディングノートの使い方や生前整理など今すぐできること、終活を始めたい人が知っておくべき内容を広く学ぶことができます。
「終活」の内容は多岐にわたるので、初心者は終活全般について扱うセミナーに参加してみるとよいでしょう。
葬儀について
葬儀社選び、葬儀にかかる費用、法要やお布施の金額から家族葬、葬儀の生前予約まで、お葬式にまつわること全般について教えてもらえます。
葬儀で一番気になるのは、費用ではないでしょうか。
不安がある人は、事前に葬儀社や葬儀のコースなどを知っておくと、対策を立てることができます。家族とも相談できるのもいいですね。
残された家族を困らせないためにも、しっかり考え、伝えておきたい内容について学びたい人に向いています。
ただし、葬儀社が主催しているセミナーの場合、互助会などに勧誘される場合があります。不要な場合はハッキリ断りましょう。
お墓について
お墓選びやお墓の管理などについて最新事情を教えてもらえます。
霊園の情報や、自分でデザインできるお墓、墓石の種類など、さまざまな情報を得ることができます。
また、跡継ぎがなくお墓の管理をする人がいない、お墓を移動したいなど、お墓の管理について悩みがある人にもおすすめです。墓じまい、葬儀から納骨までの流れ、納骨堂、お墓選びについても教えてもらえます。
相続について
相続問題で家族や親族間に争いが起こらないように、税理士やファイナンシャルプランナー、司法書士などの専門家が行うセミナーです。
相続にまつわる決まりごとや考え方、不動産について、遺言書の書き方や注意点、老後のライフプランなどについて学ぶことができます。
財産が多い人、相続人が複数いる人、相続に不安のある人におすすめです。
生前整理について
近年、「親の家の片付け」が、残された家族の負担になっています。
家族にできるだけ負担をかけないために、元気なうちにやっておく「生前整理」について、具体的に学べるセミナーです。
死後の遺品整理は、負担が大きいだけでなく、相続問題を含め、家族間のトラブルの原因になりがちです。
そのためにやっておく生前整理のポイントなどについて、専門家の講演や相談会などを通じて考えていく内容です。
終活セミナーの探し方
セミナーは、どのように探せばよいのでしょうか。
インターネットで探す
終活セミナーに参加してみたくなったら、まずはインターネットで検索してみましょう。
「終活イベント」で検索すると、さまざまなイベントが出てきます。参加者の口コミや、評判、評価が書き込まれているものもありますので、ある程度、目安にすることができます。
しかし、細かいことや現場の雰囲気は、実際にイベントに行ってみないとわからないこともあるので注意しましょう。
また、終活についてアドバイスする「終活カウンセラー」という資格があります。
この資格取得を主宰している協会でもセミナーを行っていますので、お近くでの開催を検索してみましょう。
折り込みチラシや雑誌の広告
終活イベントは、新聞の折り込みチラシや雑誌の広告にも掲載されていることがあります。
特に年配の方は、手に取ってじっくり検討できるチラシや広告の方が安心かもしれません。
こういった広告には「無料体験」など魅力的な言葉が並び、開催場所も近所である場合が多いので、参加しやすいのがメリットです。
しかし、チラシ配布や広告宣伝には費用がかかるため、何かを勧められるなど営業されることがあります。不要なものはハッキリ断りましょう。
葬儀社や病院で紹介してもらう
病院や葬儀社でイベントを紹介してくれることがあります。病院や葬儀社は、その地域では顔が広いため、さまざまな情報を持っているようです。
しかし、陰で悪徳業者と結託していて、話を聞くだけのつもりが、いつの間にか契約まで持っていかれたケースもあるので、注意が必要です。
終活イベントに参加する際は、調べた上でじっくりと検討し、納得いくイベントに参加しましょう。
終活イベントにはどんなものがあるの?
終活について学べるイベントには、セミナーのほかにもあります。
フェスタ
終活に関わる企業やNPOがブースを出展する、大規模な終活イベントです。たくさんのブースを見て回れるため、気軽に様々な業者の話を聞くことができます。
複数の業者を比較することができるので、「お墓」「葬儀」など、知りたいテーマが決まっている人には便利なイベントです。
講演会
高名なお坊さんや有名人を招き、人生の終末に向けての生き方や、高齢者の心穏やかな過ごし方などについての話を聞くイベントです。
ポジティブな内容や貴重な経験談などが聞けるため、気持ちが明るくなり、終活に対するマイナスイメージが消える人も多いようです。
このような講演型イベントは地区の公民館などで行うことも多く、自治体の広報などに案内が掲載されることがあります。チェックしてみましょう。
体験会
「葬儀体験会」や「入棺体験会」、「遺影撮影会」など、通常は亡くなってから行うことを、生きているうちに体験できるイベントです。これまでは自分がタッチすることのなかった葬儀ですが、自分自身で演出するという視点を持つことができます。
葬儀社が主催し、業者の持っている斎場で開かれることが多いようです。葬儀の生前予約や、終活全般について相談することもできます。
また、体験できる終活イベントには、葬儀に参列する人の視点に立ったものもあります。こちらは、「通夜料理の試食会」や「斎場や霊園の施設見学」など、亡くなった後に行われることを擬似体験するものです。
自分の葬儀に参列してくださった人の視点に立ってみることで、周囲の人への感謝を新たにすることができます。
終活をするのは、高齢者だけとは限りません。最近では、30代で始める人もいるようです。終活セミナーに参加するのにも体力が必要です。心身ともに元気なうちに活動を始めるのがおすすめです。