「今はまだ元気だけれど、将来の生活や、もしものときのことを考えると不安・・・」。
まだ先のこととはいえ、老後、また万一の際の家族への心配は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな気持ちになった時こそ、老後のライフプランをじっくり考える時です。
死後、残された家族に負担をかけないためにも、心身共に元気な生前のうちに準備をしておきたいものです。
今回は、生前準備ではどんなことをすればよいのか、老後の不安をなくすためにしておきたいことについて見ていきましょう。
目次
老後のライフプランに不安?
厚生労働省の「簡易生命表(令和元年)」によると、2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳です。
前の年と比較して男性は0.16年、女性は0.13年上回りました。
「人生100年時代」はまさに目の前です。
そんな中、以下の要因によって老後の生活を取り巻く環境は厳しさを増しています。
- 公的年金の受給額
- 退職金の減少
- 公的年金の受給開始年齢の引き上げ
そのため、多くの人が老後の生活設計に不安を感じています。
老後の「三大不安」とは?
老後の不安は、一般に「お金」「健康」「孤独」の三つが挙げられます。
これらは「老後の三大不安」と呼ばれています。
たいてい50歳を過ぎたころから、「老後」は現実的な近い将来となって迫ってきます。
身体にガタがきていると感じる人も増えるでしょう。
いろいろ悩んでいるうちに、抑うつ状態になってしまう人もいます。
少しでも良い老後を過ごすためには、不安を軽く見てはいけません。
不安や心配をしっかり見つめて、抜かりなく対応していきたいものです。
では、老後の三大不安について、詳しく見ていきましょう。
お金
多くの人がまず不安に思うのは、「お金」に対する不安ではないでしょうか。
自分が何歳まで生きるのか、たとえば20年後の社会がどうなっているのか、誰にもわかりません。
それだけに、老後の資金については、どのくらい必要なのか、老後にどのような生活ができるのか、大きな心配が募るものです。
現在ある貯金や想定される退職金、老後の年金だけで安心して暮らしていけるのかどうか、多くの人にとってお金に関する不安材料は多いものです。
健康
年を重ねていくと、どうしても体のあちこちに不具合が出てきたり、回復が遅くなったりするものです。
こうして、「健康」への不安は老いとともに年々増していきます。
なかでも、がん・心疾患・脳卒中の三代疾病をはじめ、生活習慣病や認知症などが大きな不安要因となっています。
また、病気は、医療費のやりくりからお金の不安と密接に繋がっています。
十分な貯蓄がなく、限られた年金だけを頼りにせざるを得ない場合、もし倒れてしまったら・・・という不安は尽きません。
孤独
少子高齢化や核家族化など、社会の変化によって、以前はそれほど感じなかったであろう「孤独」への不安も大きくなっています。
生涯未婚率が高くなり、一人暮らしの高齢者も増えている現状です。
誰とも繋がりを持たずに生活する人も多くなっています。
このように、人間関係が疎遠になることで「孤独」への不安は引き起こされます。
特に会社員の場合は、退職して会社での人間関係がなくなると、社会とのつながりが急激に少なくなり孤独に悩む人が増えるようです。
また、子どものいない夫婦が配偶者に先立たれて一人になったり、子どもがいても独立していて別居しているようなケースも同様です。
独居老人や孤独死などの社会問題にも繋がりかねません。
ライフプランを立てる意味とは?
老後の人生につきまとう不安を払拭するため、ライフプランを立てましょう。
生涯収支や資産残高を把握することで貯蓄目標も立てやすくなります。
ライフプランを立てることは、生前準備の中でも大切な項目です。
今後の人生の計画を練ることを通して、これから必要となる資金が見えてきます。
しかし。もし必要な資金がギリギリ賄えそうだとしても安心はできません。
人生は、いつ何が起こるかわからないものです。
まさかのために、ある程度余裕を持ち、すぐに使える資金を確保しておきましょう。
このような資金を見込んだうえで余裕ができれば、もっと趣味を楽しんだり、社会貢献のために使うことも可能になります。
ライフプランを立てる目的は、お金や生活の不安を解消するだけではありません。
最低限の生活必需品以外の何かに使えるお金を確保することにほかなりません。
一番大切なことは、「残された人生をいかに楽しんで生きるか」です。
そして、ライフプランを立てることは、自分がどんな人生を、どう生きていきたいのかを考えるためのよいきっかけになるのです。
ライフプランを立ててみよう!
ライフプランに不安を感じる理由は、具体的にどのくらいの金額が必要か分からないからです。
そのため、「ライフプラン」というとファイナンシャル・プランナーなど専門家に依頼しないと作成できないと考える人も多いかもしれません。
でも、簡単なシミュレーションなら自分自身で立てることができます。
ライフプランを立て、老後の生活費がだいたいどのくらい必要かがわかれば、貯蓄目標が決まり不安も解消されるのではないでしょうか。
簡単なライフプランを、以下のようにして立ててみましょう。
理想の生活は何かを考える
あなたは、この先どのように生きて生きたいですか?
まず、自分にとって理想の人生はどんなものかイメージしてみましょう。
たとえば以下のような重要なライフイベントを書き出していきましょう。
- 「○歳で子供が独立」
- 「○歳までにマイホームのローンを終えたい」
- 「○歳で退職」
他にも、「大型犬を飼いたい」「年に一度は海外旅行に行きたい」「趣味を始めたい」などの希望もあれば書き出します。
理想の生活を送るために必要な資金を知る
次に、書き出した内容をもとにして、理想の生活を送るのに必要な資金を書き出していきましょう。
子どもがまだ学生であれば、現在から大学卒業までの学費が必要です。
大学も、国公立か私立かを検討し、必要な学費のトータルを試算しましょう。
また、子どもが遠方の大学に入学して一人暮らしをする場合の仕送りなども考慮します。
同様にして以下の支出も計算していきましょう。
- マイホームにかかる費用
- ペットの飼育費用
- 海外旅行
- 習い事の費用
収支を把握して理想の生活にはどのくらい足りないかを知る
必要な資金を全部書き出せたら、現在の収支と照らし合わせながらライフプランを作成していきます。
表の横軸に「年齢」を、縦軸に「収入」「支出」「年間収支(収入-支出)」を記入します。
収入については、昇給なども考慮して作成していきましょう。
老後の収入は、公的年金の受給額を調べて、退職金の目安も記入しておきます。
支出の算出方法
支出は、現在の支出をもとに記入します。
家計簿や通帳を参照して、1ヵ月の支出から主な項目をピックアップしましょう。
細かい出費は「その他支出」としてまとめましょう。
そして、年間収支の下に「資産残高」の項目を作ります。
現状の資産残高に、毎年の年間収支を足していきます。
最後に、支出の項目に「ライフイベント」を追加しましょう。
そして、ライフイベントにかかる費用を記入します。
こうすると、今後の人生にかかる費用のすべてが1枚の表で見渡せるようになります。
手書きでももちろん大丈夫です。
でも、Excelなど表計算ソフトを使うと計算がより簡単です。
必要なのは「見える化」すること
このように、ライフプランを1枚の表にすると以下のように試算することができます。
- 老後、理想とする生活を送るにはどのくらいの費用がかかるのか
- 退職時点でどのくらい資産があるか
- 不足分はどのくらいか
表を見て「現状でも十分だ」と思えれば、将来への不安は解消します。
「もう少しゆとりを持たせたい」と思ったかもしれません。
では、どのくらい貯蓄するべきなのか、具体的な目標を決めることができます。
それによって、節約、投資、保険加入など具体的に行動することができるのです。
将来を不安に感じるのは「分からない」からです。
必要な金額を「見える化」することで、将来としっかり向き合うことができます。
そうすれば、将来に向かって前向きに取り組むことができるようになるでしょう。
まとめ
「終活」や「生前準備」は、周りに負担をかけないためだけのものではありません。
今後の自分自身の人生をより良いものにしていくための活動にほかなりません。
自分が生き生きと生きていることは、家族にとってもうれしいはずです。
ぜひ、ライフプランを立てて、理想の人生を手に入れましょう。