家族が亡くなった場合に必要となる遺品整理。
故人の持ち物を整理することで保管場所の問題を解決することにもなりますし、遺族が故人の死と向き合うことにもつながるため、ここ最近、大きな注目を集めています。
遺品には様々なものがありますが、遺族が最も整理に困るものとして衣類と写真が挙げられます。
これらの遺品はどのように整理すればいいのでしょうか。また、衣類や写真を整理した際に考えられるトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。
目次
遺品の取扱の選択は遺族次第
家族が亡くなった際、葬儀や法要などを執り行うことが遺族としての役目です。しかし、遺族にはもう一つやるべきことがあります。それが遺品整理です。
遺族の自宅などに、故人の遺品を全て保管しておくスペースがあれば、遺品を処分する必要はないかもしれませんが、ほとんどの場合は遺品全てを遺族が引き継ぐことは難しいでしょう。
遺品の全てを遺族が引き継ぐとしても、誰が何を受け取るのか。いずれにしても遺品整理は必要な作業です。
高齢化社会が進む日本では、今後も遺品整理の必要性・重要性は高まっていくでしょう。そんななか、最近では遺品整理を専門とする業者が増えています。
遺品整理は遺族にとって非常に負担が大きいものです。
たとえば、大型の家具が遺品として残っている場合は、ほとんどのものは廃棄処分になるでしょう。家電なども廃棄することが多くなります。
これらは法律にのっとって処分しなければならず、また処分には費用がかかります。
また、故人が孤独死を迎えていた場合は、ゴミも含めて大量の遺品が残されている場合もあります。
もし故人の家が賃貸で、死後すぐに明け渡す必要があれば、短期間で大量の遺品を整理しなければなりません。
遺品整理は故人との想い出などが詰まった物も扱わなければならないため、精神的に辛い思いをしなければならないこともあります。
このように遺品整理は、遺族にとっては肉体的にも精神的にも負担の大きな作業となります。
そこで遺品整理を専門業者に依頼すると、大きな遺品の処分を任せることができますし、量が多くなっても短時間で作業をしてもらえます。さらに、遺族にとっては精神的な負担を軽減することもできるでしょう。
このような観点から、現在は遺品整理業が成り立ち、多くの遺族にとって必要な仕事となっています。
しかし、遺品整理を業者に依頼したからといっても、全ての作業を任せることができるわけではありません。
運搬や処分といった作業は業者が行うものの、どの遺品を運搬し、どの遺品を処分するかといった選択はできません。
最終的に遺品の取り扱いを決定するのは遺族の役目なのです。
整理方法で悩む遺品・・・衣類と写真
遺品整理業者に遺品整理を依頼しても、遺品の取扱を選択するのは遺族です。
遺品を廃棄するのか、売却するのか、手元に残しておくのか……壊れてしまった家電などは廃棄しても問題はないでしょう。
しかし、多くの遺族が遺どう処分していのか悩む遺品があります。
それは衣類と写真です。
衣類は故人が直接身に着けていたもの。遺族にとっては、故人そのものともいえる遺品であるため、そう簡単に処分できるものではありません。
また、写真も故人が移っている想い出の品となり処分してもよいものか、手元に残しておくべきかに悩んでしまうのです。
こういった衣類と写真は、どう整理すればよいのでしょうか。
注意すべきポイントは、主に次のような点です。
- 遺言書を確認する
- 形見分けを相談する
- 写真データを保存しておく
遺言書を確認する
まず遺品を整理する前に確認しておきたいのは、遺言書です。
遺言書は主に遺産の分け方など、故人が亡くなった後の遺品・財産の取り扱いついて書かれているものです。この遺言書に衣類などの遺品の取り扱いについて記載されているかもれません。
その場合、遺品の取扱について遺言書に従わなければ、法的なトラブルが発生する可能性もあります。
形見分けを相談する
もし、遺言書に何も書かれていない、もしくは遺言書が存在していなければ、遺族の判断で処分してもよいかもしれませんが、かといって何もかもすぐに処分してしまうのはリスクを伴います。
まず衣類は、1着2着であれば、かさばるものではありません。そのため、形見分けとして親族などで分けることができるでしょう。
なかには形見として、遺品のなかでも特に衣類を引き取りたい親族もいるかもしれません。そこで親族の了承もなく、勝手に処分してしまいトラブルに発展することも少なくないのです。
まずは法要など親族が集まる際に衣類を形見分けし、残った衣類は処分するといった手順を踏んだ方が安全でしょう。
写真データを保存しておく
写真は箱やアルバムに入れて保管されたりしますが、遺族が引き取るにしても場所をとってしまうものでしょう
しかし、故人が写った写真であれば、故人との想い出そのものですし、遺族にとっては処分せずに保管しておきたいところです。
このように、写真を保管しておきたいけど量が多くて保管できない、という場合にはデータ化してみるとよいでしょう。
デジタルカメラで撮影された写真データはもちろん、デジタルカメラが普及する以前のプリントされた写真も、今はCDやDVD、SDカードなどにデータを保存して保管することができます。
データ化は写真店に依頼することもできますが、スキャナなどの機器があれば自分でも可能です。
もちろん費用はかかりますが、データ化しておけばスペースの節約にもなり、きれいな状態で残すことができます。
衣類や写真は上記のような方法で処分すると、トラブルもなく楽に片づけることができます。
しかし、遺品は処分してしまえば二度と手元に戻ってくることはないので、整理の際にはしっかり考えたうえで決断するようにしましょう。
そのほかの整理方法は?
衣類や写真の整理方法は、これだけではありません。ほかにも次のような方法があります。
- 衣服の買い取り、施設や団体への寄付
- お焚き上げで写真を供養してもらう
衣類をリサイクルショップで買い取ってもらう
衣類の場合、なかには高価なものが含まれていることもあります。
そのような衣類は、リサイクルショップなどで買い取ってもらうのも、ひとつの方法です。
リサイクルショップを通じて、故人の衣類が新たな場所で活躍してくれることでしょう。
また、衣類は寄付することも可能です。
日本には児童養護施設やホームレスを支援する団体などで、衣類の寄付を募っているところもあります。日本の団体を通じて、世界中の団体・施設に寄付することもできます。
遺品として出てきた衣類を児童養護施設やホームレスの支援団体、また困窮している国に物資を送る団体に寄付することで、助かる人たちもいるのです。
遺品として出てきた衣類は、遺族が引き取ることができなければ、その多くはゴミとして処分されることになるでしょう。
そこで寄付によって、遺品が多くの人を救うことにつながるのであれば、故人も喜ぶのではないでしょうか。
ただし、全く使えないような衣類を無理に寄付することは控えましょう。あくまで他の人も使える衣類を寄付することに意味があるのです。
お焚き上げで写真を供養してもらう
衣類よりも写真のほうが処分しづらく、なかなか決心がつかずにずっと手元に置いているという方もいるでしょう。
プリントされた写真をデータ化するにしても、元の写真は処分しなければスペースの節約にはつながりません。
そこで、写真を処分する場合は、一般的なごみと一緒に捨てるのではなく、供養をしてもらうという方法があります。
お焚き上げとは、故人の遺品を火によって浄化することです。多くはお寺や神社で行われています。
遺品のなかでも人形や写真は故人の魂が入っていると言われ、そのために処分しづらいという考えがあります。そこでお寺や神社にお願いし、お焚き上げを行うことで、写真の供養になるのです。
写真だけでなく衣類のお焚き上げを行っている寺院もあります。
写真の供養はお寺や神社だけでなく、遺品整理業者が合同供養を行ってくれる場合もあるので、遺品整理を業者に依頼した際には、写真などの供養も可能かを確認してみましょう。
衣類や写真は生前整理をしておこう
遺族が遺品整理の際に、処分方法について悩んでしまう理由としては、次のようなものが挙げられます。
- 遺品の量が多い
- 故人の意向がわからない
故人が遺した品々を全て遺族が引き取るわけにもいかず、また故人の意向を無視した形で処分しても、供養にはつながりません。
そのため、生前に自身の品々を整理したり、あるいは家族が高齢者となった親御さんと一緒に今後のことを考えておくことも必要となります。
最近は、こうした「生前整理」の必要性が高まっています。
生前整理とは、その名の通り生前に持ち物を整理しておくというものです。
たとえば、生前に不用品を処分し、必要なものだけを手元に置いておくことで、亡くなった後の遺品整理も比較的スムーズに行えるでしょう。
また、想い出の品として残しておいてほしい物を家族に伝えておけば、遺品整理の際に遺族が整理方法について悩むことも少なくなります。
趣味として集めていたなどは、その価値がわかる人間でなければ、なかなか整理方法もわかりません。一目見た遺族が「不用品だ」と思ってしまう可能性もあります。
そこで生前整理のなかでその価値を確認し、「もしもの時」があった場合は家族が引き継ぐか、あるいは寄付や買い取ってもらうことで、他の人に大切に扱ってもらえるはずです。
また、生前整理は生活にとって必要なものと不要なものを考える、よい機会にもなります。
高齢者になると、なかなかモノを片付けたり処分したりすることは、億劫になりがちです。しかし、家族が手伝いながら整理していくことで、身の回りもすっきりすることでしょう。
そうして身の回りが整理されることで、高齢者の方が過ごしやすい環境が整えられることにもつながります。
生前整理は「もしもの時」を迎えたあとに、遺族の負担を軽くするだけでなく、家族がより豊かな人生を送ることにもつながることなのです。
生前整理はどのように行えばいい?
近年、生前整理の必要性が高まっているとはいえ、具体的にどのように行えばいいのか、分からない方も多いのではないでしょうか?
実は、生前整理も遺品整理業者に依頼し、サポートしてもらうことができます。
生前整理はまだ体が動くうちに行いたいものですが、高齢者となると、なかなかそう簡単にはいきません。そこで遺品整理業者が、専門的な知識と技術で生前整理をサポートしてくれるのです。
多くの品々は、いずれ処分するものが多いでしょう。とはいえ、自分一人で決断することは難しいものです。
そのような場合に、遺品整理業者のアドバイスによって、残すもの・処分するものなどを決めていていくことができます。
ただし、遺品整理業者が増えていくなかで、悪徳業者も増加しているようです。生前整理の際に、悪徳業者の被害を受けた方も少なくはありません。
しっかりとした遺品整理業者は、遺品整理士をはじめとする専門業種の資格を取得している従業員の人数や、各認定証・資格を証明する書類などを提示しています。
こうした資格は一度取得しても、不正行為を働けば剥奪されます。そのため、正式な資格や認定証を持っていることを公表できる業者を選ぶことも、悪徳業者にだまされないための方法のひとつです。
衣類や写真をはじめとして、遺族が整理に悩む可能性が高いものは、ほかにもたくさんあります。
しっかりとした業者に仕事を依頼し、生前整理を行うことは、自身だけでなく家族がより良い生活を送ることにもつながるでしょう
「もしもの時」のことを考えるのは、必ずしも「縁起が悪い」ことではありません。家族のためにも、ぜひ遺品整理・生前整理のプロにご相談ください。