遺品整理の際、処分が大変なものの一つとして冷蔵庫があります。
大きくて重いですし、中身を処分するのも大変ですよね。
また、冷蔵庫は「家電4品目」の一つとして正しく処分しなくてはなりません。
そんな冷蔵庫について、詳しくみていきましょう。
目次
冷蔵庫を処分すべき状況とは?
冷蔵庫は、生活必需品であるにもかかわらず高価なので、おいそれと買い替えできるものではないですよね。できれば、なるべく長く使い続けたいものです。
また、買い替えたくても、いつが買い替えのタイミングなのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
- 冷蔵庫を処分するべき状況
- 一般的な冷蔵庫の寿命は?
- 冷蔵庫の買い替えどきは?
冷蔵庫を処分するべき状況
冷蔵庫は長く使うのが一般的なので、処分する機会というのは、意外と少ないかもしれませんね。
まず考えられるのは、冷蔵庫が寿命を迎えたとき。部品などが劣化して冷えなくなってしまい、部品がないなどの理由で修理ができないと、処分するしかなくなります。
次に引っ越しのとき。新スタートにあたり、冷蔵庫が寿命ではなくても、新居が広いとか、気分を一新したいという人もいるでしょう。
そこで、古いものを処分して、大きいものや新しいものに買い替える人も多いでしょう。
そして、遺品整理のとき。故人が遺したものであっても、家電製品はなかなか引き取ることができません。
ましてや冷蔵庫のように大きなものを引き取るのは、よほどでない限り難しいでしょう。こういった場合に処分を考えることになります。
一般的な冷蔵庫の寿命は?
一般的に、冷蔵庫の買い替え時は「購入してから約10年」といわれています。
これはメーカーによっても若干違いますが、平均するとやはり10年前後になるようです。
冷蔵庫自体の寿命もありますが、メーカー側の問題として、部品の製造は発売から10年ほど経つと中止する場合がほとんどです。
そのため、購入してから10年以上たった冷蔵庫は修理ができないか、修理できても多額の費用が発生する可能性があるのです。
ただ、冷蔵庫の寿命は使い方によって変わってきます。
ポイントは、開閉の回数と、中に入れるモノの量です。
開閉の回数が多いと、庫内の冷気が逃げやすくなりますね。
また、庫内にたくさん食料を詰め込み過ぎていると、冷気の流れが悪くなって庫内が均一に冷えなくなってしまいます。
このようなとき、冷蔵庫は、冷えていない部分を冷やそうと頑張ります。
すると、ファンやコンプレッサーなどにかかる負担が大きくなり、劣化や故障につながり、買い替え時期も早くなります。
こういった要因は、一人暮らしか、家族で暮らしているかによっても変わってきます。
家族で暮らしている場合は、一人暮らしに比べて稼働率が高く、多くのエネルギーを使うため、寿命が短くなりやすいわけです。
冷蔵庫の買い替え時は?
なかなかわかりづらい買い替えのタイミングですが、以下のような症状が出たら買い替えを検討したほうがよいでしょう。
冷えが弱い、一部だけ冷えない
冷蔵庫を長く使っていると、次第に、アイスクリームがちょっと柔らかいな、ジュースがあまり冷えていないかも……となんとなく感じるようになってきます。
この症状が進むと、アイスが溶けてしまったり、ジュースが全く冷えないという状態になっていきます。
徐々にではなく、いきなり冷蔵庫の冷えが悪くなるケースもあるようなので、冷えが悪いと感じたら買い替え時期が来ているのかもしれません。
騒音がする
通常は静かなモーター音がうるさくなってきたら、経年劣化の影響が考えられます。
本当に寿命が来て壊れる直前には、騒音と言えるほどうるさくなることもあるようです。
水漏れする
冷蔵庫が古くなると、下から水が漏れてくることがあります。
霜取り機能が劣化や機能の不具合で起きるようです。
冷蔵庫に物を詰め込み過ぎていないのにこのような症状が出る場合は、故障の可能性があります。
これらは、ファンやコンプレッサー、断熱材など、冷蔵庫の部品の劣化が原因のひとつとして考えられます。
部品が劣化した状態で冷蔵庫を使い続けると、負担がどんどん大きくなり、さらに劣化を早めることになります。
その上、冷蔵庫が無理して働けば働くほど電力の消費が激しくなり、電気代が高くなってしまうのです。
「新しい冷蔵庫に変えると電気代が安くなる」と言われるのは、このためです。
冷蔵庫の冷えが悪くなったと感じたら、まず冷蔵庫の中を整理してみましょう。
それでもこれらの症状が改善しない場合は、買い替えを検討したほうが良さそうです。
まずはメーカーに問い合わせ、買い替えるべきか修理できるのか相談するといいですね。
冷蔵庫はなぜ処分しにくい?
冷蔵庫は「処分に困る家電No.1」と言っても過言ではありません。
それの理由は何でしょうか?
- サイズが大きく、動かすのが難しい
- 家電リサイクル法
サイズが大きく、動かすのが難しい
冷蔵庫で一番困るのは、サイズが大きいこと。さらに重いので、まず自分で運ぶことはできません。
冷蔵庫の重さは……
小型(200L以下) | 30~40kg |
---|---|
中型(201L~300L) | 40~50kg |
中型(301L~400L) | 60~70kg |
大型(401~500L) | 80~95kg |
大型(500L以上) | 100~120kg |
小型のものならば、なんとか動かすことができそうですが、それでも1人では難しいでしょう。
中型以上の冷蔵庫となると、自分で動かすためのグッズなどもあるのですが、素人が冷蔵庫を動かそうとすると、家を傷つけるだけでなく大怪我をする恐れもあり、危険が伴います。
やはり冷蔵庫の処分は、プロに依頼するのが良さそうですね。
家電リサイクル法
また、冷蔵庫は家電リサイクル法の対象家電なので、ルールに従って処分する必要があります。不当に廃棄処分すると、犯罪になってしまいます。
そういったことから、冷蔵庫は処分するのが大変な家電なのです。
家電リサイクル法とは?
廃家電の減量とリサイクルを促進するため、一般家庭や事業所から特定の家電製品を出す際にリサイクル料金を払うことを義務づけた法律です。
正式な名称は「特定家庭用機器再商品化法」といい、1998年6月に制定・2001年4月に完全施行されました。
特定の家電について、小売業者には「排出者からの引き取りと製造業者への引き渡し」、製造業者には「引き取りとリサイクル(再商品化)」、消費者には「廃棄品の適切な引き渡しと料金の支払い」が義務づけられています。
家電製品には有用な資源が多く含まれています。
この資源を活用し、なおかつ廃棄物の量を減らすことを目的に、廃棄物のリサイクルを促進するためにこの法律が制定されました。
また、家電製品には適正な処理が必要なのに、不適正な処理や管理、また不法投棄をする無許可の業者があとを絶ちません。
こういった廃棄物は環境対策を行わずに廃棄されるため、破壊されたり自然に壊れたりしてフロンガスや鉛などの有害物質を放出し、環境に悪影響を与えます。
廃棄物に含まれる電池やプラスチックから火災が発生しています。
家電リサイクル法は、こういった事態を改善するためにも必要なのです。
「家電4品目」とは?
家電リサイクル法に従って処分しなくてはならない家電製品は
- エアコン
- テレビ
- 洗濯機・衣類乾燥機
- 冷蔵庫・冷凍庫
これらを「家電4品目」と呼びます。
家電リサイクル券
家電4品目を処分する際に必要となるのが「家電リサイクル券」です。
家電リサイクル券は、家電リサイクル法に基づいた正しい方法でリサイクルを行ったことを証明することができます。
また、自分が出した廃棄物が適正にリサイクルされたかどうかを知ることができます。
家電リサイクル券には、13桁の問い合わせ管理票番号が記載されており、この番号によってチェックできます。
冷蔵庫の処分方法は?
では、家電リサイクル法で定められた冷蔵庫の処分の仕方を具体的にみていきましょう。
- お店に引き取ってもらう
- 指定の引き取り場所へ持っていく
- 自治体に依頼する
- 不用品回収業者に依頼する
- リサイクルショップに売る
- 遺品整理業者に依頼する
お店に引き取ってもらう
買い替える場合は、新しい製品を買う際にお店で引き取ってもらえる場合がほとんどです。
買い替えをせず処分だけしたい場合は、購入したお店に相談しましょう。
お店がわからない場合は、最寄りの小売店に相談してみましょう。
引き取ってもらえる場合は、リサイクル料金と収集運搬料金が必要です。
回収時、または申し込みの際に「家電リサイクル券」に必要事項を記入します。
この券は引き取り店が発行し、引き取り時に控えを渡されますので、保管しておきましょう。
指定の引き取り場所へ持っていく
まず、家電4品目の指定引き取り場所を確認しましょう。
指定引き取り場所は「一般財団法人 家電製品協会」のホームページで調べることができます。営業日や受付時間も確認しておきましょう。
場所がわかったら、リサイクル料金を振り込みます。
振り込みはゆうちょ銀行のみ。最寄りの郵便局でリサイクル料金を振り込み、「家電リサイクル券」、「郵便振替払込受付証明書」、「払込金受領証」を受け取りましょう。
「家電リサイクル券」に「郵便振替払込受付証明書」を添付し、対象機器の右側面上部に貼り付けて、指定引取場所に搬入します。
自治体に依頼する
自治体によっては、リサイクル共同組合や家電リサイクル協力店を定めている場合があります。
たとえば、東京23区では「東京二十三区家電リサイクル事業協同組合」による家電リサイクル受付センター、横浜市では横浜家電リサイクル推進協議会がこういった取り組みを行っています。居住自治体に問い合わせてみましょう。
自治体を利用する場合は、収集時に料金と引き換えに家電リサイクル券を受け取ることができます。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者に依頼すれば、冷蔵庫を運び出してもらえるので楽です。
ただし、業者が「一般廃棄物処理業」という資格を持っているかを必ず確認しましょう。
この資格を持っていない業者が、引き取った家電を不法投棄するケースが頻発しています。
不法投棄された物品から持ち主が割り出され、ある日、警察から連絡が入るようなことにもなりかねません。
また、法外な出張費や追加料金を請求されるなど、お金のやり取りでトラブルが起きることもあります。
不用品業者に依頼する場合は、評判や口コミなどをしっかり調べ、慎重に選びましょう。
リサイクルショップに売る
まだ使える冷蔵庫は、リサイクルショップで売れることがあります。
出張査定を無料でやってくれるお店もあるので、リサイクルショップが近くにある場合は検討してみるとよいでしょう。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理の際、遺品整理業者に冷蔵庫を処分してもらうこともできます。
ただし、こちらも、一般廃棄物処理業の資格を持っていることを必ず確認しておきます。
料金は様々ですが、まだ使えるものの場合は買い取ってもらえることもあるので、全体で見れば遺品整理費用が少々浮くことにもなります。
遺品整理の依頼の際に相談するとよいでしょう。
冷蔵庫の引き取りにかかる料金は?
冷蔵庫の引き取りにかかる料金は、170L以下と170L以上のもので異なります。
また、リサイクル料だけでなく、搬出料や運搬料が必要となることがあります。それぞれの目安を知っておきましょう。
- リサイクル料
- 搬出料
- 運搬料
- リサイクルショップの買取り相場
リサイクル料
リサイクル料は家電リサイクル法によって決められた料金です。
170L以下 | 3672円(税込) |
---|---|
171L以上 | 4644円(税込) |
搬出料
搬出の費用は家の構造や設置場所、エレベーターの有無などによって異なります。
そのため料金も3千円~2万円ほどと幅があります。事前に確認しておきましょう。
運搬料
こちらも業者によって異なり、500円~3千円ほどと幅があります。
買い替えの場合は安く、自治体に依頼する場合はやや高い傾向にあるようです。
家電量販店の引き取り料金
大手の家電量販店で引き取ってもらう場合は、170L以下で7千円前後、170L以上で8千円前後が多いようです。
A社 | B社 | C社 | |
170L以下の料金 | 3,888円 | 3,888円 | 3,672円 |
---|---|---|---|
収集運搬費 | 540円 | 540円 | 540円 |
処分費 | 2,700円 | 3,240円 | 1,080円 |
計 | 7,128円 | 7,688円 | 5,292円 |
A社 | B社 | C社 | |
170L以上の料金 | 4,968円 | 4,968円 | 4,644円 |
---|---|---|---|
収集運搬費 | 540円 | 540円 | 540円 |
処分費 | 2,700円 | 3,240円 | 1,080円 |
計 | 8,208円 | 8,748円 | 6,364円 |
リサイクルショップの買取り相場
こちらは、あるリサイクルショップの買取り料金です。
製造年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|---|
海外・無名メーカー | 0円 | 0円 | 1,000円 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 |
国内有名メーカー | 1,000円 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 | 6,000円 | 7,000円 |
しかし、リサイクルショップでの相場は、当然ながらお店によって違います。
査定の方法も様々なので、ホームページがあるお店の場合は、あらかじめ調べて比較してみると良いでしょう。
大手でない場合は、冷蔵庫の状態にもよりますが、新しくても千円ほどのこともあるようです。
電話でも査定ができるお店もありますので、まずは問い合わせましょう。
また、回収してもらう場合は、運搬費なども含めて検討しましょう。
何かと面倒な冷蔵庫の処分ですが、色々な方法を知って、正しく賢く処分しましょう。