遺影写真とは?生前に準備しておきたい写真の撮り方・選び方

遺影写真とは?生前に準備しておきたい写真の撮り方・選び方

終活で行うことの一つに、遺影の準備があります。
最後のセレモニーにおいて、遺影はその人のイメージを参列者に印象づける最後の写真です。

これまで遺影は、本人が亡くなったあと、家族が選ぶものでした。
しかし、もしかしたら、自分が気に入らない写真が選ばれてしまうかもしれません。
そこで、終活の一環として、生前に自分で遺影写真を用意する人が増えています。

遺影写真の撮影は、手軽にすぐ始められる終活です。
そこで、遺影写真について見ていきましょう。

遺影とは?

遺影とは、葬儀の際、祭壇などに飾られる故人の生前の写真のことです。

写真というものが一般社会に普及したのは20世紀になってからのこと。
つまり、写真はまだ100年そこそこの歴史しかありません。

それより以前、「亡くなった人を表すもの」として、写真が使われることはありませんでした。
しかし、現代では、葬儀の祭壇はもちろん、自宅の仏壇や仏間などに、近親者の遺影が飾られているお宅は多いでしょう。

亡くなった人の姿や記憶は、しっかり覚えておこうと思っても、やがて少しずつ薄れていってしまうもの。
そこで、遺影写真は、故人を思い出すための手段の一つです。

故人のためというよりは、生きている遺族が、故人を思い、弔いの心を向けるためのものなのかもしれません。
遺影に向かって、「おじいちゃん」「お母さん」と語りかける人も多いのではないでしょうか。

遺影の選び方

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いざ遺影を選ぶとなると、どんなものを選ぶべきか迷ってしまいます。
そこで、遺影を選ぶポイントを知っておきましょう。

人柄が表れた写真を選ぶ

自分で選ぶ場合も、家族が選ぶ場合も、最も大事なのは、その人の人柄が表れた写真を選ぶことです。

遺影は葬儀だけでなく、法要の際に使ったり、仏壇に手を合わせる際に眺めたりするものです。
遺影写真は故人を偲ぶよすがとなるため、その人らしい写真を選びましょう。

表情が明るい写真を選ぶ

遺影写真は、笑顔のものや表情が明るいものを選ぶようにしましょう。

笑顔のワンショットがない場合は、集合写真でも大丈夫です。
その人のみを切り取ることができます。
可能な限り楽しそうな表情の写真を選びましょう。

ピントが合っている写真を選ぶ

遺影写真は大きくプリントされます。
そのためピントが緩いと、拡大した際に、ぼんやりとした印象を与えてしまいます。
ピントが合っているものを選ぶことが大切です。

人物が大きく写っている写真を選ぶ

近年、写真の加工技術は発達しており、引き伸ばしてもぼやけにくくなりました。
しかし、人物があまり小さいと、加工しても不鮮明だったり、ぼやけた印象に仕上がってしまうことがあります。
そのため、できるだけ大きく写っているものを選びましょう。

なるべく最近撮影された写真を選ぶ

いつの写真を使っても問題ありませんが、お葬式の際、参列者が故人の思い出を思い出しやすく、色々な思い出を語りやすくなるという意味から、亡くなった年齢に近い写真を選びましょう。

個人が闘病していたような場合は、近年の写真が痛ましい姿となっているケースもあります。
元気な姿で写っている、なるべく近年の写真を選ぶとよいでしょう。

最近は、携帯電話で写真を撮る人が増えています。
そのため、遺影写真の候補を探す際には、携帯電話の写真フォルダも確認してみましょう。

遺影写真のサイズは?

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葬儀に使う遺影写真のサイズには、特別な決まりはなく、葬儀の規模によって変わります。

非常に大きな葬儀で祭壇も大きい場合は、目立つように、かなり大きなサイズの遺影写真を用意することになります。
一般的な葬儀の場合は、基本的に四つ切りサイズ(30.5cm×25.4cm)が選ばれます。

葬儀のあと、仏壇に飾る遺影写真の場合はL判(12.7cm×8.9cm)にするのが一般的です。
しかし、仏壇が小さい場合は、もう少し小さいサイズの遺影写真にしても構いません。
状況に合ったサイズを選びましょう。

このほか、葬儀社によっては、持ち歩ける小さなサイズの写真を作ってもらえるところもあります。

遺影写真を作るには?

実際に、遺影用の写真を作る方法について見ていきましょう。

大きく分けて3つの方法があります。

自分で加工する

近年、パソコンの機能は非常に高くなっており、色の加工や切り抜きをはじめ、別々に撮影した写真を合成することもできます。
自分で加工すれば費用はかかりませんが、プロ並みの技術がある人でないと難しいでしょう。

また、遺族が加工する場合、慌ただしいなかで作業をしなければならなくなってしまいます。

写真館に依頼する

きれいな写真にこだわる人は、写真館に依頼するとよいでしょう。
逝去後、遺族が写真館にデータや写真を持ち込めば、プロの技術で美しく加工してもらえます。

また、以前、写真館で記念撮影をしたことがある場合、データが残っていれば、その写真を利用することができるので、問い合わせてみてください。

費用としては5000円程度、背景画像の差し替えや衣装の変更などが加わると1万円ほどのところが多いようです。
額縁をセットにすると、1万円〜1万5000円程度が相場です。

葬儀社のサービスを利用する

葬儀社では、葬儀に関するほぼすべての手配を行ってもらえます。
そのため、遺影写真の作成も葬儀社でやってもらえることがほとんどで、葬儀プランの中に遺影写真の費用が含まれています。

遺族にとって、悲しみのただなか、葬儀の手配をするだけでも精神的・肉体的に大きな負担となりますが、葬儀社で作ってもらえば、遺族側の手間を省けます。
遺影写真にふさわしい写真を探し、葬儀社に渡せば、お通夜に間に合うように遺影写真を用意してもらえます。

ただし、葬儀社で遺影写真を加工する場合、葬儀会社によってクオリティが違うことがあります。
葬儀社では、自社スタッフが加工して遺影写真にするところと、写真館に外注して遺影写真を作ってもらうところがあり、その技術レベルに差があるからです。

葬儀社のプランを利用する場合は、その会社の加工技術や考え方、知識や提携先によって、仕上がりが違ってくる可能性があります。
写真にこだわる人は、事前に葬儀社と話し合っておきましょう。

遺影作成は、葬儀プランに含まれている場合がほとんどです。
見積書の項目を確認し、金額が気になる場合は、個人で用意できるか相談しておくとよいですね。

遺影写真を生前に撮影する

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最近は、終活の一環として、遺影写真の撮影をする人が増えています。

以前は「生きているのに遺影を撮るなんて、縁起でもない」と思われ、避けられていました。
しかし、近年では「自分の最期に向けて自分を見つめ直し、より良く生きるために準備する」という生前整理の考え方が一般に広まり、生前の遺影撮影に対しても考えが変わってきています。
実際、生前に遺影写真を撮影しておくことには、次のようなメリットがあります。

自分が気に入った写真を用意できる

なんと言っても最大のメリットは、自分が気に入った写真を遺影にできることでしょう。

自分らしいポーズや自分らしい表情、好きな衣装や背景など、好みの写真を撮ることができます。
また、出来上がった写真を自分で見て確認できるのもいいところです。

遺族が写真を探す必要がない

お葬式の準備は慌ただしいものです。
そんな中、遺影写真にするための写真を探すのは、とても手間がかかる作業です。
しかし生前に遺影写真を撮影しておくと、このような混乱を避けることができ、家族の負担を軽減することができます。

生前に遺影用写真を撮影するには?

遺影用の写真は、どこで撮影すればよいのでしょうか。

自分で撮る

一眼レフカメラと三脚を用意すれば、自分で写真撮影ができます。

背景を風景にしたり、好きなものを入れたり、自分で演出できます。
また、納得いくまで何度でも撮影し直すことができ、加工も自分でできます。

最近はスマホでも一眼レフ並みの撮影ができるものがあります。
三脚に乗せ、撮ってみるのもよいでしょう。

写真館で撮る

写真撮影を専門とする写真館に依頼すれば、クオリティの高い肖像写真を撮影することができます。

最近では遺影撮影専門の写真館もあり、メイクやヘアメイクなどをしてもらえるプランが設定されています。
サービス内容はお店によって異なりますので、インターネットで検索してみるとよいでしょう。

葬儀社で撮る

葬儀社でも遺影撮影を行っています。

葬儀社の場合、専属で契約しているプロカメラマンが撮影を行うことがほとんどです。
メイクなどのスタッフがいる場合が多いので、安心して撮影に臨めます。

また、葬儀社で行う終活に関するフェアやイベントで、遺影の撮影を行うこともあります。
こういった機会を利用するのもよいでしょう。

まとめ

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いつか来る、その時。
人生の最期を締めくくる葬儀で、遺影が昔の証明写真の流用や、仏頂面で写ったものだったら・・・。
故人が立派な人柄であればあるほど、参列者は残念に思うことでしょう。

家族や友人に良い思い出とともに見送ってもらえるよう、良い遺影写真を準備しておきましょう。
遺影にしたい写真は、所在を必ず家族に伝えておき、その写真が使ってもらえるように準備しておきましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。