亡くなったら年金はどうなる? 受給前と受給中で異なることとは

亡くなったら年金はどうなる? 受給前と受給中で異なることとは

まさかのことがあったら、それまで支払っていた、または受け取っていた年金はどうなるのでしょうか。

年金に加入していた被保険者が亡くなった場合、遺族はさまざまな給付を受けることができます。

しかし、それには一定の要件を満たしていること、また、決まった期限内に適切な手続きすることが必要です。

今回は、死亡時の年金の取り扱いについて見ていきましょう。

亡くなったら年金はどうなる? 受給前と受給中で異なることとは

年金受給中の被保険者が亡くなったらどうなる?〜遺族基礎年金

年金の被保険者が亡くなった場合、遺族はどのような給付を受け取ることができるのでしょうか。

まず、故人が年金を受給中に亡くなった場合について見てみましょう。

国民年金の被保険者だった人が亡くなったとき、故人によって生計を維持されていた遺族は「遺族基礎年金」を受け取ることができます。

受け取れる人は?

受け取れる人は、「子のいる配偶者」または「子」です。

つまり、ご主人が亡くなった場合、ご主人によって養われていた子どもを持つ妻、または子に支給されます。

ただし「子」とは以下のどちらかです。

  • 18歳になった年度の3月31日までの人
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人

子を持つ配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間、また、子に生計を同じくする父または母がいる間は子には支給されません。

受け取るための条件は?

故人が以下のいずれかの要件を満たしていれば、遺族に遺族基礎年金が支給されます。

  • 故人が国民年金の被保険者である間に亡くなった
  • 日本国内に住所がある人で、なおかつ国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人が亡くなった
  • 老齢基礎年金の受給権者だった人が亡くなった
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が亡くなった

支給額はどのくらい?

「子を持つ配偶者」が受け取る場合、78万900円に「子の加算額」を加えた金額が受け取れます。

「子の加算額」とは子どもの人数に応じて以下のように加算されます。

  • 1人目、2人目の場合 1人22万4700円
  • 3人目以降 1人7万4900円です。

例えば、子どもが1人なら100万5600円、2人なら123万300円、3人なら130万5200円と計算します。

子どもが受け取るとき、上記の金額を子どもの人数で割ったものが1人あたりに支給される金額となります。

1人なら100万5600円、2人なら1人あたり61万5150円、3人なら43万5-66円と計算します。

請求の方法は?

必要書類を揃え、居住地区の市区町村役場の窓口へ提出します。

必要な書類は以下です。

  • 年金手帳
  • 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
  • 世帯全員の住民票の写しマイナンバー記入で省略可)
  • 死亡した人の住民票の除表(マイナンバー記入で省略可)
  • 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバー記入で省略可)
  • 子の収入ができる確認書類(マイナンバー記入で省略可)
  • 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先金融機関の通帳等(本人名義)

上記のほか、要件によって必要な書類が異なる場合があります。

事前に確認しておきましょう。

受給中の被保険者が亡くなったら年金はどうなる?〜遺族厚生年金

受給中の被保険者が亡くなったら年金はどうなる?〜遺族厚生年金

厚生年金の被保険者だった人が亡くなったとき、故人によって生計を維持されていた遺族は「遺族厚生年金」を受け取ることができます。

受け取れる人は?

故人によって生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取ることができます。

  1. 子のある妻
    年齢は問いません
  2. 子のある夫
    死亡当時に55歳以上である人限定
    受給開始は60歳から
    遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、60歳より前から受給可能

  3. 18歳になった年度の3月31日までにある場合
    または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある場合
  4. 子のない妻
    30 歳未満の場合は5年間のみ受給可能
  5. 子のない夫
    故人の死亡当時に55歳以上である人限定
  6. 父母
    故人の死亡当時に55歳以上である人限定
    なお、受給開始は60歳から

  7. 18歳になった年度の3月31日までにある場合
    または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある場合
  8. 祖父母
    故人の死亡当時に55歳以上である人限定
    受給開始は60歳から

受け取るための条件は?

故人が以下のいずれかの要件を満たしている場合、遺族に遺族厚生年金が支給されます。

  • 故人が厚生年金保険の被保険者である間に死亡した
  • 故人が厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で、初診日から5年以内に死亡した
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている人が死亡した場合
  • 老齢厚生年金の受給権者だった人が死亡した
  • 老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡した

支給額はどのくらい?

遺族厚生年金の年金額は、故人の老齢厚生年金の報酬比例分の4分の3の額となります。

報酬比例分とは、老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれにおいても年金額の計算の基礎となるものです。

年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まります。

請求の方法は?

必要書類を揃え、年金事務所または年金相談センターへ提出します。

必要な書類は以下です。

  • 年金請求書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバー記入で省略可)
  • 死亡した人の住民票の除表(マイナンバー記入で省略可)
  • 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバー記入で省略可)
  • 子の収入が確認できる書類(マイナンバー記入で省略可)
  • 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先金融機関の通帳等(本人名義)

このほか、要件によって必要な書類が異なる場合があります。

事前に確認しておきましょう。

年金受給中の被保険者が亡くなったらどうなる?〜未支給年金

年金受給中の被保険者が亡くなったらどうなる?〜未支給年金

年金の受給者が亡くなった時点でまだ受け取っていない年金、または受給者が死亡した日より後に振り込まれた年金のうち、死亡した月分までの年金を受け取ることができます。

国民年金、厚生年金どちらも共通で受け取れます。

受け取れる人は?

受け取れる優先順位は以下です。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 上記以外の3親等内の親族

受け取るための条件は?

受給者が亡くなった当時、受給者と生計を同じくしていたことです。

請求の方法は?

年金事務所または年金相談センターへ必要書類を提出します。

必要な書類は以下です。

  • 受給権死亡届
  • 故人の年金証書
  • 故人と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写しなど)
  • 故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)、請求者の世帯全員の住民票など)
  • 受け取りを希望する金融機関の通帳

このほか、要件によって必要な書類が異なる場合があります。

事前に確認しておきましょう。

年金受給中の被保険者が亡くなったらどうなる?〜寡婦年金

年金受給中の被保険者が亡くなったらどうなる?〜寡婦年金

寡婦年金は、夫を亡くした妻に支給される年金です。

受け取れる人は?

故人に生計を維持されていた妻が、60歳から65歳になるまでの間、支給されます。

受け取るための条件は?

受け取るための条件は以下です。

  • 亡くなった夫が、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上あった
  • 妻が、亡くなった夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた
    婚姻関係は、事実上のものでも可

ただし、亡くなった夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがある場合、また、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されません。

支給額はどのくらい?

夫の第1号被保険者期間だけで計算した、老齢基礎年金額の4分の3の額を受け取れます。

請求の方法は?

必要書類を揃え、居住地の市区町村役場の窓口、または年金事務所、年金相談センターへ提出します。

必要な書類は以下です。

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の収入が確認できる書類
  • 受け取り金融危難の通帳
  • 年金証書

このほか、要件によって必要な書類が異なる場合があります。

事前に確認しておきましょう。

年金受給前の被保険者が死亡したらどうなる?

国民年金保険に加入していた人が、国民年金(老齢基礎年金・障害基礎年金)を受け取らないまま亡くなってしまった場合、遺族は「死亡一時金」を受け取ることができます。

受け取れる人は?

被保険者と生計を同じくしていた遺族です。

以下の順で、優先順位の高い人に支給されます。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

受け取るための条件は?

以下が条件です。

  • 故人が第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料納付済期間が36ヶ月以上納めていた
  • 故人と生計を同じくしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)がいる
  • 遺族が遺族基礎年金や寡婦年金を受け取ることができない

支給額はどのくらい?

死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円です。

ただし、付加保険料を納めた月数が36ヶ月以上ある場合は、8500円が加算されます。

請求の方法は?

故人の死亡から2年以内に、市長区村の国保年金課や出張所の窓口へ届け出ます。

必要な書類は以下です。

  • 死亡一時金請求書
  • 故人の年金手帳
  • 世帯全員分の住民票(死亡日が確認できるもの)
  • 戸籍謄本
  • 請求者名義の預金通帳

直接、窓口に提出します。

死亡一時金は、遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。

また、寡婦年金を受けられる場合は、どちらか一方を選択することになるので、注意が必要です。

まとめ

年金事務所や街角にある年金相談センターで相談

故人の加入していた年金は、受給中か受給前かによって、遺族が受け取れる種類が異なります。

請求の際は、要件を満たしているか、よく確認しましょう。

自分で請求を行うのが難しい場合は、年金事務所や街角にある年金相談センターで相談したり、社会保険労務士などのプロに相談してみると良いでしょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。