身内が亡くなった後にしなければならないのが遺品整理です。
実家の片付けというのは、思ったより大変な作業です。
そんな片付けを、少しでもスムーズに行う方法や、親が元気なうちに備えられることなどについて見ていきましょう。
目次
親の家の片付けで大変なことは?
実家とはいえ、一度家を出てしまうと、片付けもなかなか大変です。
どんなところが大変なのか、押さえておきましょう。
肉体的問題
まず、一番大きいのが肉体的な問題でしょう。
実家の片付けというのは、かなりの労力が必要なことがほとんどと言っていいでしょう。
高齢者は、物を溜め込みがちです。
普段使う日用品をはじめ、子供たちの幼い頃の作品や、懸賞の賞品まで、ありとあらゆるものが、びっくりするほど出てきます。
それをすべて仕分けし、さらにまとめて処分するのには、大変な作業になります。
精神的問題
親を亡くした悲しみの中、思い出の詰まった家の片付けをするのは、精神的にも負担のかかる作業と言えるでしょう。
どれを見ても思い出がよみがえり、不用品だからと言って捨ててしまうのはつらいものです。
また、何が必要なのか、何を捨てていいのか判断がつかず、迷ったり悩んだりすることや、人のものを処分する心苦しさも心の負担となってしまいます。
時間的・距離的問題
同居ならばいいのですが、独立して親と離れて生活している人にとって、距離のある実家を片付けるのは大変です。
現役で働いている世代にとって、片付けの時間を取るのは大変です。
しかも、遺品整理はかなりの日数がかかることが多いので、週末のお休みを使っても、何度も足を運ばなければならないことになります。
そして、週明けにはまた仕事が待っているので、全力を使ってしまうわけにもいきません。
そもそも、実家と自宅を往復するのにもかなりの費用や時間がかかり、大きな負担となってしまうのです。
技術的問題
残念なことに親御さんが孤独死してしまった場合、そのあとを片付けるのは大変です。
特殊な薬品や道具がないと、室内の原状回復が無理なレベルである場合、素人に片付けるのは無理でしょう。
また、いわゆる「ゴミ屋敷」や「汚部屋」状態になっていた場合も、自力で片付けるのは難しいと言えるでしょう。
その他には、家具など大きなものや、仏壇など特別なものの処分に困るケースも多いようです。
上手に遺品整理をするには?
親と同居していた人や、近居で頻繁に実家に行ける人、時間的に余裕がある人は、自分で遺品整理を行うことが多いのではないでしょうか。
とはいえ、遺品整理は大変な作業です。
上手な作業の仕方を見ていきましょう。
スケジュールを決める
取りかかる前に、遺品整理の開始から完了までのスケジュールを立てます。
実家が持ち家であれば、時間をあまり気にする必要はありません。
しかし、もし賃貸だった場合は、期日までに明け渡さなくてはなりません。
そのため、室内をチェックし、どのくらいの期間で作業を完了するかを決め、スケジュールを立てておくのがポイントです。
丁寧に時間をかけられる場合であっても、スケジュール作成は無駄のない作業をするのに役立ちます。
もし、手伝ってもらえる家族や兄弟がいれば、事前に話し合って都合を合わせましょう。
家族や兄弟と一緒に遺品整理をすることは、あとでトラブルを起こさないためにも有効です。
貴重品を分類する
遺品を分類するため、ダンボールを多めに用意したら、いよいよ実際の作業に入ります。
最初に、保険証や通帳、印鑑、カードなど、さまざまな手続きに必要となるものをよけ、専用のダンボールにまとめておきましょう。
また、遺言書などの重要書類が出てくることもあるので、引き出しの中だけでなく、封筒やファイルの中など注意して確認します。
さらに、故人の住所録や手帳なども保管しておきましょう。 これらも、それぞれまとめておきます。
貴金属など金銭的な価値のあるものが出てきた場合は、トラブルのもとに布類ならないよう、いったんまとめておきます。
さらに、故人の住所録や手帳なども保管しておきましょう。これらも、それぞれまとめておきます。
価値が高いものは遺産分割の対象となることもあるので、勝手に持って行ったりしてはいけません。
このようなものは、あとで話し合い、形見分けなどの整理方法を決めましょう。
保管するもの
貴重品以外の衣類、日用品、家具、電化製品などは、再利用できるもの、買い取りを依頼するもの、不用品として廃棄するものに分けます。
家族や兄弟と一緒に作業しているのなら、使えるものや欲しいものなどを選び、その場で分けてしまいましょう。
遺品整理では、親の遺品だけでなく、子供時代のアルバムや学生時代に使っていたものなど、自分たちが置いていったものが出てくることもあります。
これらのものはそれぞれ持ち帰り、自宅でゆっくり整理しましょう。
家電やブランドものの衣類や小物、アクセサリー、趣味のものなどは、まだ使用に耐えるものであれば売却できる可能性があります。
近所にリサイクルショップがあれば持ち込んでみましょう。
最近は、ダンボールに詰めて送るだけで査定してもらえたり、出張買い取りを行っているところもあります。
また、最近はさまざまなジャンルの買い取り専門店が出てきています。
こちらも、オンライン査定や郵送での査定を行っているところが多いので、インターネットで検索してみるとよいでしょう。
思わぬ高値がつくかもしれません。
処分するもの
再利用できず、買い取りも不可能なものは、廃棄処分することになります。
自治体の回収に出すことができますが、分類の仕方をはじめ、一度に出せる量や粗大ゴミの出し方など、ルールに従って出しましょう。
あまりに大量だったり、遺品整理に時間をかけられないような場合は、不用品回収業者に引き取ってもらう方法もあります。
一人で遺品整理をしなくてはならなくなったら・・・
本来、遺品整理は一人でやらない方がよいでしょう。
遺品整理は、非常な重労働です。また、遺産相続や形見分けなどのトラブルを避けるためです。
しかし、もし、どうしても人の手を借りることができない場合はどうすればよいのでしょうか。
そのポイントを見てみましょう。
長いスパンで取り組む
人が亡くなると、葬儀に続き、各種手続きなどをしなくてはなりません。
役所などでの手続きは平日しかできないため、しばらくは、普段の仕事や生活の合間をぬって手続きに追われることになります。
そんな中、遺品整理だけに集中できる時間は必然的に少なくなります。
空いた時間だけでは、思うように進まないでしょう。
一人で遺品整理を行う場合は、焦らず長期戦になる心構えで取り組みましょう。
思い出の品の整理は後に回す
早く終えたい遺品整理の手を止めてしまうのが、思い出の品々です。
アルバムなどをつい見てしまい、気がつくと長い時間を過ごしてしまった、ということも。
写真や思い出の品などは後回しにし、とりあえずまとめておきましょう。
処分するものは回収業者へ
実家から出た大量の不用品。
自治体のルールに従ってひとつひとつを分別してゴミ袋に入れるのは、大変な作業です。
そこで、不用品回収業者に不用品の回収を依頼しましょう。
費用はかかりますが、手間と時間を大きく節約できます。
どうしても大変な時は・・・
さまざまな理由から遺品整理が難しいと感じる場合は、遺品整理業者に依頼する方法もあります。
まず何よりも、プロは仕事が早いことが最大のメリットでしょう。
家や部屋の広さ、ものの量にもよりますが、通常1〜2日で完了するため、賃貸で遺品整理を急ぐ人や、遺品整理の時間を捻出するのが難しい人におすすめです。
他人に任せることに不安を感じる人もいるかもしれませんが、経験豊かな遺品整理業者は、遺品を見る目、仕分ける技術は確かです。
さらに、故人の気持ちや家族の意向を汲み取るような仕事をしてくれます。
遺品整理に立ち会うこともできます。遺品を仕分ける際には必ず確認してくれるので安心です。
また、探して欲しいものがあれば事前に依頼することもできるので、確実に仕事をしてもらえます。
不用品の運び出しや処分も全てやってもらえるのも大きなメリットでしょう。
大きな家具や、扱いが難しい仏壇なども任せることができ、最近では、希望があれば遺品の供養もしてもらえます。
遺品整理の負担が大きくなり過ぎて、家族が体を壊したり、困ったりするようなことがあれば、故人も悲しんでしまいます。
そんな時は、プロの手を借りることも検討してみるとよいでしょう。
まとめ
親の実家の片付けは、自分の家の引っ越しよりも大変だといわれます。
残された家族にとっては、悲しみも癒えないうちに遺品整理を行うのはつらいものです。
しかし、賃貸の場合はもちろん、戸建てであっても、空き家として放置し続けると「特定空き家」に認定される場合があります。
もしそうなれば、固定資産税がこれまでの6倍にもなってしまうのです。
もちろん、遺産相続の問題など、急がなくてはならない手続きもあります。
感傷はいったん置いておいて、現在置かれた状況や現実を冷静に見た上で遺品整理を行いましょう。