ミニマリストにぴったりな老前整理とは

ミニマリストにぴったりな老前整理とは

「生前整理」「終活」「老前整理」「断捨離」「ミニマリスト」・・・
世の中は片付けブームです。
特に、2011年に起きた東日本大震災以降、「老前整理」「生前整理」が注目されるようになりました。
予期できない自然災害を通して自分の死を意識したとき、残される荷物をどうするか真剣に考える人が増えたのでしょう。
今回は、ミニマリストとは何か、また、老前整理・生前整理との関係について見ていきましょう。

老前整理でミニマリストへ

老前整理とは?

老前整理とは

40代・50代から始める身辺の持ち物の整理は、まだ高齢者となる前に始めるので「老前整理」と呼ばれています。
「自分がいなくなったあと、自分のものはどうなるんだろう」
病気などにかかった時、ふと不安になったことがある人も多いのではないでしょうか。
自分がいなくなったあと、大量のものが残されていたら家族に片付けの負担がかかることになります。

いざという時、家族が困らないように身辺整理をしておこう。
でも、体力が衰えてからでは、ちゃんとできるだろうか。

そこで、まだ体力のある40代・50代の人たちが持ち物の整理を始めているようです。
このような身辺整理は、まだ高齢者となる前に始めるので「老前整理」と呼ばれています。
老前整理をすると、老後の暮らしの負担を減らすことができるため心が軽くなり、老後の人生に良いイメージを持てるようになります。
老前整理はポジティブに取り組むことができ、何歳からでも始められます。

生前整理との違いは?

「老前整理」とは、老いに備えて行う整理のことです。
それに対して、「生前整理」は死に備えて行う意味合いが強くなります。

歳を取ると、物があることによって家の中でも暮らしにくさを感じることは多いものです。
自分が元気なうちに不要なものを整理し、快適な生活をしていこうという「これから生きていくため」「自分のため」の整理が「老前整理」です。

それに対して、「生前整理」は死に備えて行う意味合いが強くなります。
自分の死後、残された家族のために行います。

ミニマリストとは?

ミニマリストとは

ミニマリストとは、近年注目を集めているライフスタイルで、持ち物を最小限に減らして暮らす人のことです。
「minimal(最小の)」から生まれた言葉です、
ミニマリストとは、単に持ち物が少ないということではありません。
本当に必要なものだけを厳選し、不要なものは排除するのがミニマリストの暮らし方です。

一例ですが、コンビニで商品を買う場合、通常は以下のようなさまざまな支払い方があります。

  • 現金払い
  • クレジット払い
  • 電子マネー払い
  • スマホ決済

もし現金払いをすると、おつりが発生してお財布がふくれて重くなってしまいます。
クレジットカードや電子マネーも、カードという「モノ」を持っていなくてはなりません。

ミニマリストの場合、スマホ決済を選びます。
ミニマリストであればお財布もカードも必要ありません。
スマホだけ持っていればよく、その分身軽になれるというわけです。

もちろん、スマホさえ持たない強者のミニマリストもおられますが。

このように、最低限のものだけを厳選し、持ち物にかかるコストやスペースを節約するのがミニマリストの考え方です。
つまり、多くのものを持たなくても、必要なものだけがあれば豊かな暮らしを実現できるというわけです。

ミニマリストと断捨離の違いとは?

「物を増やさない暮らし」というと、ブームにもなった「断捨離」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
断捨離とは、以下のような考え方です。

  • 新しいものを断ち(断)
  • 不要なものを捨て(捨)
  • 物への執着から離れる(離)

つまり、不要なものを捨て、物を増やさないような生き方です。
「断捨離」というと、とにかく捨てて物量を減らすイメージがあるのではないでしょうか。
もちろん、断捨離では捨てることが第1ステップです。
でもそれは、あくまで「不要なモノ」を捨てること。
「自分が本当に好きなモノ」に囲まれているのであれば、結果的に物量が多くても構わないのです。

これに対し、ミニマリストは物の量を生活の必要最低限に押さえます。
そのため、断捨離を重ねていくと、最終的にミニマリストに到達するのかもしれません。

老前整理とミニマリストの関係とは?

老前整理とミニマリストの関係

ここまで読んでくださった人は、老前整理とミニマリストは似ていると気づかれた人も多いのではないでしょうか。
そう、老前整理が目指す生活とミニマリストは似ているのです。

ミニマリストは「豊かな暮らしをつくるのは物の多さではない」と考えます。

しかし現代社会は物や情報があふれています。

一方ミニマリスト極力物を減らし、自分にとって大事な物だけを取り入れる暮らしこそ、毎日を豊かなものにしてくれると考えるのです。
これは、老前整理が目指すところと非常に似ています。
老前整理を進めていくと、ミニマリストに近づいていくのかもしれません。

では、老前整理を行っていくと、どのように生活が変化するのでしょうか?
老前整理を行ったあとの、ミニマルな生活のメリットをご紹介します。

掃除がしやすい

物が多く散らかっている部屋では、スムーズに掃除ができません。
掃除の前に、まず床に置かれたものを片付けなくてはならないからです。
掃除をする前に面倒になってしまう人も多いでしょう。
持ち物を最小限に減らすと、部屋の中のモノが少なくなるので、非常に掃除がしやすくなります。
家具や家電などに占有されるスペースが少ないため、床や棚などがよく見えて汚れた場所を見つけやすくなるのです。
物が少ない部屋は、そもそも部屋が散らかりにくくなります。
気になったときに素早く掃除を始められ、きれいな状態を保ちやすくもなります。

健康に良い

モノが少ない部屋は風通しが良く、部屋にカビが生えるようなことがありません。
また、ゴチャゴチャとモノが積まれていないので、ホコリも溜まりにくくなります。
そのため、カビやホコリを吸って健康を害すことがありません。
床もスッキリしているため、何かモノにつまずいて転倒、怪我をするようなこともなくなります。

すぐに物が見つかる

ミニマリストや老前整理を行った部屋は、必要なモノしかないため、何かを探す時間が節約できます。

朝、カバンの中に持ち物を入れ、服装を整えていざ出かけようと思ったときに、鍵がない、お財布が見つからない、などということはありませんか?
ミニマリストや老前整理を行った部屋は、モノが少ないため探しものの時間が節約できます。

お金が貯まる

本当に必要なものだけを厳選する生活では、無駄な買い物をすることがありません。
何かを購入する場合も、それが本当に必要かどうかを見極めてから買うようになるので、無駄な出費を避けられます。
無駄な買い物をしない習慣がつくと、お金が貯まるようにもなります。

心や時間に余裕ができる

無駄なものが減ると部屋にスペースが生まれて目に入る情報が少なくなり、気持ちがすっきりします。
また、持ち物の整理や片付けの頻度が減るため、時間にも余裕ができます。
余裕によって生まれた時間を、習い事や趣味などに使えば、さらに充実した生活が過ごせます。

作業に集中できる

必要なものしかないミニマリストな環境

必要なものしかないミニマリストな環境なら、よそに目がいかず仕事や作業に集中できます。
最近は新型コロナ感染症の流行でテレワークの人が増えています。
家での作業環境は整っていますか?
机にいろいろなものがあって雑然としていると、なかなか作業に集中できません。
つい、その辺の本を手に取ったり、置いてあるものを見て、関係ないことを考えてしまったりしがちです。
しかし、必要なものしか置かれていない環境なら、よそに目がいかず仕事や作業に集中できます。

人間関係のストレスが軽減される

ミニマリストや老前整理では、モノだけでなく、人間関係も整理をします。
惰性で付き合っている知人や、自分の人生には影響しないであろう人など思い切って整理してみましょう。
老前整理では、長くお付き合いしたい人だけを残していけば、毎年の儀礼的な年賀状なども減らすことができます。

シンプルに生きられる

ミニマリストは、減らすことや断捨離することを通じてライフスタイルをよりシンプルにできます。
ミニマリストは、時間やお金を増やしたり作ったりすることを大切にしています。
これは老前整理の考え方にも共通する考え方です。
持ち物・家具、人間関係や時間も、全ての無駄を減らすことは、ライフスタイルをよりシンプルで豊かにすることにつながります。

まとめ

老前整理もミニマリスト生活も、いつから、何歳から始めなくてはいけないという決まりはありません。
老前整理は40代〜50代の人、ミニマリストは若い世代が始めるという傾向はあります。
しかし、近年、一生を一人暮らしで送る人が増え、若くして突然死したりする人も増えています。
ですから、老前整理を始める年代も、今後はもっと若くなっていくことが考えられます。
目指す暮らしは「シンプル」。
老後を豊かで充実した日々にするため、身の回りを見直してみませんか?

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。