ある程度の年齢になると、お葬式に参列した経験のある人はそれほど少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、普通に参列するのではなく、弔電を打ったり、弔辞を述べたり、となると、ちょっと特別なことかもしれませんね。
ですが、そういった機会はいつやってくるかわかりません。
いつどんな機会が訪れても対応できるように、弔電や弔辞、弔問のマナーを知っておきましょう。
目次
弔電とは?
弔電とは、不幸があったときに送る電報で、「お悔やみ電報」ともいいます。葬儀にどうしもて参列することができない場合に送ります。
たとえば、仕事で遠方に出張していて、葬儀までに戻れない、自分が病気やケガをしていて葬儀に参列できないなど、やむをえない事情で葬儀に参列できない場合、弔電を送ることで故人に弔意を伝えます。
- 弔電はいつまでに送るの?
- 弔電の宛先は?
- 弔電における故人の敬称
弔電はいつまでに送るの?
弔電は、通夜・告別式の会場へ、開始時刻までに届くように申し込みましょう。
電報は、電話で午前8時〜午後7時までに申し込むと即日配達されます。
午後7時を過ぎると、翌日午前8時以降の配達となります。
訃報を知った時刻にもよりますが、なるべく早く申し込みましょう。
電話から申し込む場合は
- NTT(全国共通)「115」
- 日本郵便レタックスコールセンター「0120-953953」
いずれも、受付時間は午前8時〜午後10時です。
インターネットからなら24時間受付可能です(配達時間などには決まりがあります)。
- NTT D-MAIL
- ほっと電報
- 電ぽっぽ
- ベリーカード
- e-denpo
などがあります。
弔電の宛先は?
弔電は、喪主あてにフルネームで送るのが正式です。
喪主や喪主の名前がわからない場合は、「故○○○○様ご遺族様」「○○○○様遺族ご一同様」とすれば大丈夫です。
差出人の名前はフルネームにします。
故人との関係がわかるように、勤務先や部署名、所属団体、学校名、住所、電話番号などを加えておきましょう。
弔電における故人の敬称
弔電では、故人のことを「喪主との続柄からみた関係を敬称で表現する」のがマナーです。
故人の続柄 | 敬称 |
---|---|
父 | お父様/ご尊父様 |
母 | お母様/ご母堂様 |
祖父 | ご祖父様 |
祖母 | ご祖母様 |
夫 | ご主人様 |
妻 | ご令室様 |
息子 | ご令息様 |
娘 | ご令嬢様 |
弔辞とは?
弔辞とは、故人への最後のお別れの言葉のことです。
葬儀の際に、故人と親しかった人が、別れを惜しんで読み上げます。
- 弔辞は誰に頼むの?
- 弔辞を頼まれたら?
- 弔辞は何に書くの?
- 弔辞の内容は?
- 弔辞の読み方は?
弔辞は誰に頼むの?
弔辞は、故人が生前に親しかった友人、知人や上司などに依頼します。
人数は3人以内で、1人3分ほどが目安です。
葬儀の際、弔辞を述べる人には前の方の席に座ってもらいましょう。
弔辞を頼まれたら?
もし遺族から弔辞を依頼されたら、よほどのことがない限り引き受けましょう。
快く引き受けるのが礼儀です。
弔辞を頼まれたら、他に弔辞を読む人がいるかどうかを確認しましょう。
複数いた場合は、その人と故人との関係を聞いておき、内容が重ならないようにします。
弔辞は何に書くの?
弔辞は、巻紙か奉書紙に、淡墨で書きます。
さらに奉書紙に包んで「弔辞」と表書きするのが正式です。
どうしても用意できなければ、白無地の便箋に万年筆で書いて白無地の封筒に入れるか、市販の弔辞用紙を使います。
弔辞は遺族が長く保存するものなので、心を込めて丁寧に書きましょう。
弔辞の内容は?
弔辞は、自分の言葉で故人に語りかけるような文面にします。
また、内容は故人を追悼し、遺族を慰めるものにしましょう。
3分程度で読める長さにまとめます。400字詰め原稿用紙2~3枚が適切です。
宗教形式を事前に確認し、それにふさわしいお悔やみの表現にします。
弔辞の読み方は?
葬儀で弔辞を読むときは、進行役に指名されてから祭壇に進み、僧侶、遺族らに一礼してから祭壇に向かいます。
遺影に向かって一礼したら、上包みを開き、卓上におくか、なければポケットに入れるか、左手に持ったままで読み始めます。右手で巻紙を開きながら読んでいきます。
読み方は、言葉を適度に区切りながら、ゆっくりと大きな声で故人に語りかけるように読みます。
他の参列者に聞き取れるよう、あまり早口や小声にならないように注意しましょう。
なぜなら、弔辞は、他の参列者に故人の人柄を伝える役割もあるからです。
読み終わったら、巻き直し、奉書紙に包んで表書きを祭壇に向けて供え、遺影、僧侶、遺族に一礼して席に戻ります。
「忌み言葉」を知っておこう
「言霊」という言葉がありますよね。日本人は昔から、言葉には霊が宿り、特別な力があると考えていました。
つまり、言霊の力で口に出したことが実現する、不吉な言葉を使うと凶事が起こるとされていたのです。
同様の考えから、不吉なことや不幸を連想させるNGワードがあり、これを「忌み言葉」と言います。
「忌み言葉」は、弔電を送ったり、弔辞を読んだりする場合に使わないようにするのが一般的です。
また、葬儀の会場で遺族と顔を合わせた際にも使えるマナーです。ぜひ覚えておきましょう。
- 不吉なことを連想させる言葉
- 重ね言葉
- 繰り返すことを連想させる言葉
- 苦しみを連想させる直接的な言葉
- 宗教に関する言葉
不吉なことを連想させる言葉
- とんだこと
- とんでもない
- 不幸
- 迷う
- 消える
- 大変
- 落ちる
- 四(死)、九(苦)の数字
など。
重ね言葉
不幸が重なることを連想させるため、使わないようにします。
- 重ね重ね
- 次々
- 再々
- 度々
- くれぐれも
- いよいよ
- ますます
- かえすがえすも
- つくづく
繰り返すことを連想させる言葉
- 再び
- 続く
- 引き続き
- また
- なお
- 追って
- 次に
- 重ねる
- 繰り返す
など。
苦しみを連想させる直接的な言葉
言い換えられるものは、別の言葉にします。
- 死亡、死去、死ぬ→ご逝去、他界など
- 生きる
- 自殺
- 急死→突然のことで
- ご存命中→ご生前
など。
宗教に関する言葉
よく使われる「冥福」「成仏」「往生」「供養」などは仏教用語なので、別の宗教の場合は遣わないようにします。
同様の言葉は、神道では「御霊となる」、キリスト教では「帰天」「召天」と言います。
また、仏教では「永眠する」という言葉は使いません。
仏教では「浮かばれない」「迷う」も忌み言葉にあたりますので、注意が必要です。
先方の宗教をあらかじめ把握しておき、忌み言葉を避けてお悔やみの言葉を用意しましょう。
弔問とは?
「弔問」とは、お通夜やお葬式ではない日に、個人の自宅を訪ねてお悔やみを述べることです。
弔問は、お悔やみを述べる行為として広い意味があり、お通夜でお悔やみを述べる場合や、お葬式に参列してお悔やみを述べる場合なども、弔問になります。
今回は、自宅への弔問に絞ってお話します。
自宅への弔問は、お通夜やお葬式に都合が合わず参列できなかった場合などに行います。
最近では、一般の弔問客を遠慮する家族葬が増え、葬儀後に訃報を知ることも多くなり、自宅に弔問にうかがう機会は以前よりも増えているようです。
- 弔問の時期
- 弔問のマナー
- 服装
- 香典やお供えは?
弔問の時期
最も良いとされる自宅弔問の時期は、お葬式後数日~四十九日までの間です。
お葬式前やお葬式の直後は、ご遺族はお葬式の準備や後処理などで非常に忙しいとき。負担にならないよう避けるほうがよいでしょう。
かといって、お葬式から間が大きく空いてしまうと、今度は弔問客を招く準備を改めて整えなければならなくなり、面倒をかけてしまうことになります。
そのため、何かと行事ややることの多い四十九日までに訪問するのがよいとされています。
弔問のマナー
事前連絡
相手の負担を減らすため、弔問をする際は、必ず事前に連絡をしておきましょう。
案内されるまで上がらない
まず玄関に入って挨拶をします。「この度は誠にご愁傷さまでございます」「心よりご冥福をお祈りいたします」など、一般的な言葉でよいでしょう。
挨拶が済んだら、遺族に促されるまでそのまま待ちます。自ら家に上がろうとしてはいけません。
多くはないと思いますが、もし上がるよう言われない場合は、挨拶をして退去します。
供養の方法
仏間など故人のもとへ案内されたら、まずは遺族へ一礼し、線香をあげ、合掌します。
仏教の場合、宗派によって線香を立てる場合と寝せる場合があるので、わからない場合は遺族に尋ねましょう。
もし、お葬式前で故人との対面を促されたら、故人の枕元から少し下がった位置へ正座し、両手をついて一礼します。
遺族が顔にかけた白布をはずしたら、膝の前に手をついて故人のお顔をそっと拝見し、一礼して合掌し、その後少し下がって遺族に一礼します。
白布を外すのは遺族です。自分で外してはいけません。
病名や死因を聞かない
おまいりした後は、故人の思い出話など当たり障りのない話をしましょう。
故人の病名や死因などを根掘り葉掘り聞こうとするのは、絶対にNGです。
また、「忌み言葉」を使わないようにします。
長居をしない
弔問では、長居をしないことを心がけましょう。
故人とあなたは知人であっても、遺族にとっては全く初めて対面する他人であることも多いでしょう。
故人との楽しかった思い出などを簡潔に話し、きりの良いところで引き上げます。
服装
お通夜よりも前に弔問する場合は、地味な普段着で大丈夫です。
この時期に喪服を着ていくと、まるで故人の死を予想していたように感じる人もいるからです。
お葬式後の弔問の場合は、黒俣は黒っぽいスーツやアンサンブルなどの略礼装がよいでしょう。
お葬式に参列するわけではないので喪服を着る必要はありませんが、故人を偲んで弔問した気持ちが伝わるような服装を心がけます。
香典やお供えは?
お通夜やお葬式に出られず、式後に弔問する場合は、香典を持参しましょう。
もしもお通夜やお葬式の前に弔問にうかがったとしても、お通夜などに出られる場合は、弔問の場では渡さず、お通夜やお葬式の場で渡します。
お供え物は、式前に訪問する場合は持参しないほうがよいでしょう。
実際のお葬式で、ほかとバランスが取れない場合があるからです。
式後の弔問の場合は、多少持っていっても大丈夫です。
ただし、遺族側からすれば、お返しすべきか困ってしまうほど高価なものは避けましょう。
エンディングノートも活用しよう
お葬式に関しては、終活の一環として、知らせて欲しい人や弔辞を読んで欲しい人を指名しておくと、遺族が助かります。
エンディングノートなどに希望を書いておくとよいですね。