遺品整理を依頼する場合、やはり一番気になるのは費用についてではないでしょうか?
身内の遺品整理をするのは、一生にそう何度もあることではありません。
それだけに、遺品整理について詳しい人は少ないですし、不安も大きいことでしょう。
業者のホームページなどを見ると、料金の相場は家の広さが基準になっています。
なぜなら、広さによって必要な作業人数が変わってくるからです。プラス、作業内容によって料金が決められることになります。
目次
遺品整理の料金
まず、遺品整理業者を依頼した場合の平均的な料金をみてみましょう。ほとんどの業者は、遺品の整理・仕分けに加え、片付いた部屋を簡単に清掃してくれます。その場合の相場です。
マンション、アパート
1R/1K | 20,000円〜40,000円 |
1LDK〜2LDK | 30,000円〜70,000円 |
3LDK〜4LDK | 70,000円〜120,000円 |
5LDK以上 | 100,000円〜 |
一戸建て
1LDK〜2LDK | 25,000円〜100,000円 |
3LDK〜4LDK | 75,000円〜150,000円 |
5LDK以上 | 120,000円〜 |
相場とはいえ、業者によって大きな開きがありますね。
というのは、業者によってパック料金に含まれる内容が違ったり、荷物の量、部屋の汚れ具合、作業環境(エレベーターがない、車を停められる場所が離れているなど)によって料金は変わってくるからです。
各業者によって違いますが、一般的なサービス内容は以下のようなものです。
- 室内の遺品整理
- 遺品の買い取り
- 室内の清掃
- 遺品の供養
- リサイクル家電の処分
室内の遺品整理
遺品の仕分けと梱包、不用品の処分をします。遺族の意向に従い遺品を整理していきます。遺族が立ち会えない場合は、業者で判断して分別し、遺族に確認を取ってから不用品を処分します。
遺品の買い取り
古物商の資格を持っている業者であれば、不用品の中からまだ使えるものを買い取ってくれます。
室内の清掃
屋内が片付いたあとは、床の拭き掃除など室内の簡単な掃除をします。その他にも、庭や玄関、ベランダなど、指定された場所があれば掃除します。
遺品の供養
たとえ不用になったものであっても、故人の遺したものは全て大切な遺品です。業者によっては、お寺などと提携し、こういった遺品を供養します。また、合同供養祭を行う施設を用意している業者もあります。
リサイクル家電の処分
パソコンやテレビなどリサイクルが必要なものは、遺品整理業者が回収します。ただし、リサイクル料金は別途必要です。
上記のようなサービスを行うにあたって、業者自身が必要な資格を持っているか、ほかの専門業者に依頼するかでも最終的な料金は大きく変わります。
見積もりの際には、依頼したいサービス内容や処分などを詳しく伝えた上、見積もりをとることが大切です。
また、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。葬儀などが済んだばかりで肉体的・精神的に疲労している状態で見積もりに立ち会うのは大変なことです。
でも、故人の思い出を大切にし、後で後悔しないために、業者としっかり話し合いましょう。その上で料金やサービス内容を比較・検討して、納得のいく業者を選ぶことが大切です。
特殊清掃料金
特殊清掃とは、事件や事故、自殺などの変死があった部屋や、腐敗・腐乱した遺体によってダメージを受けた部屋の清掃・原状回復を行う業務です。
近年、独居死、孤独死が増えています。これらは発見が遅れる場合が多く、遺体は変死体となります。
すると、遺体から染み出した体液や血液などで室内(場合によっては室外も)が汚染されることになります。
清掃業務は、こうした血液や体液の除去、肉片の除去、死臭や腐乱臭の消臭・消毒、蠅や蛆、ゴキブリなど害虫の駆除、残置物処理などです。
また、場合によっては室内解体工事、原状回復工事などの原状回復や原状復旧をサポートすることもあります。
本来、遺品整理業者とはまったく別のサービスでしたが、最近では特殊清掃に必要な知識・技術を持つ遺品整理業者も増えています。
- 特殊清掃の資格・免許
- 特殊清掃の道具
- 特殊清掃の料金
- 特殊清掃を依頼する場合の注意点
特殊清掃の資格・免許
特殊清掃を行うにあたって、必要な資格や免許は今のところありません。ですが、原状回復するためには、脱臭や消毒、害虫駆除、感染予防などの知識が必要です。
特殊清掃において最も重要な作業である死臭の消臭は、市販の消臭剤や芳香剤では全く歯が立ちません。死臭を消すには専用消臭剤の使用が必要です。
さらに専用消臭剤を使用する前の下準備が必要で、そのためにはノウハウや経験など、消臭に関する知識と技術が必要なのです。
特殊清掃の道具
現場で一番問題になるのが「臭い」です。遺体の腐乱臭は想像を絶するもので、時間をおけば置くほど室内に染み込み、ひどくなっていきます。
床や壁、天井など、あらゆるところに染み込んでしまった悪臭は、通常の臭気とは比べものにならないほど濃く、除菌を兼ねた脱臭にかなりの時間がかかります。
特殊清掃で使用される洗剤は、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、エチルアルコールなどの洗剤です。水垢洗浄、カビ取り、殺菌、血液の汚れ除去などに使われます。床下まで染み込んでしまった体液や悪臭は、オゾン消臭器などで除去します。
また、多くの業者では、オリジナルの専用洗剤を使っているところもあります。さらに、大型の強力な脱臭機械を持ち込み、清掃の間じゅう稼動させ、臭気を吸い取っていきます。
特殊清掃の料金
そこで、気になるのが特殊清掃を依頼した場合の料金ですね。一般的な料金の目安は以下のようなものです。
床の特殊清掃 | 30,000円〜 |
浴室清掃 | 50,000円〜 |
消臭・除菌・消毒 | 30,000円〜 |
オゾン消臭・脱臭 | 35,000円〜 |
畳の撤去 | 3,000円〜 |
腐敗体液・汚物撤去 | 20,000円〜 |
害虫駆除 | 15,000円〜 |
作業員の人件費 | 20,000円〜 |
ですが、特殊清掃の料金は、部屋の数だけあると言っても過言ではありません。
遺体発見までの日数や亡くなった場所、遺体の状態などによって、どうしても金額に大きな幅が出てしまうからです。
ここに挙げた数字は、あくまで最低料金の目安であり、実際にこの通りにいくことはないと考えた方が良いでしょう。
また、遺体の腐敗状況にもよりますが、いわゆる死臭は、遺体があったところだけを清掃するだけでは消えません。
なぜなら、死臭は遺品や部屋全体にも移ってしまっているからです。特殊清掃で約80%ほどの死臭は消臭することができますが、残りの約20%は残ってしまいます。
そこで、特殊清掃と併せて遺品整理を行う費用や、場合によっては原状回復リフォームの費用がさらにかかってくるケースがあります。
そういった理由から、全てをまとめて行えるよう、特殊清掃の技術も持った遺品整理業者が増えているわけです。
別々の業者を頼むより、まとめて作業を行ったほうが料金も安くなります。
特殊清掃が必要になった場合は、複数の業者から見積もりを取り、どんなサービスをどこまでやってもらえるのか詳しく確認することが必要です。
特殊清掃を依頼する場合の注意点
対応の早さ
死臭をそのまま放置しておくと、近隣に迷惑がかかり、最悪の場合は訴訟へと発展しかねません。
そうならないためには、一刻も早く消臭することが必要です。
できれば問合せをした当日、遅くても3日以内に現場を訪れ、見積もりをしてくれる業者を選びましょう。
技術の高さ
消臭に関して、どのように行うのか、きちんと説明できる業者が安心です。見積もりの際に尋ねてみましょう。
なかには技術を持っておらず、清掃するよりもリフォームを勧めてくるような悪徳業者も存在します。
料金の適正さ
見積もりの際に、おおよそ相場と思われる料金を提示しているかを基準にして選びます。複数の業者に見積もりを依頼し、優良業者を見極めましょう。
むやみに高い料金をふっかけてくる業者はもちろん、妙に安い見積もりにも注意です。
見積もりのとき説明されていない作業を後からプラスされ、結果的に高い料金となってしまうことがあります。
リフォームなしでの清掃料金を提示し、さらに詳しくサービス内容を説明してくれる業者を選びましょう。
不用品回収料金
遺品整理をおこなったあとに出るのが不用品です。いくら故人が大切にしていたものでも、もう使えないもの、使わないものは処分するしかありません。
不用品を回収してもらうには、各自治体に粗大ごみとして回収してもらう方法と、不用品回収などの業者に依頼する方法の2通りがあります。
- 自治体
- 不用品回収業者
- リサイクル業者
- 遺品整理業者
自治体
不用品で処分に困るものには、大型家具がありますね。シングルベッドを例にしてみましょう。
ある自治体では、シングルベッド(マットを除くベッド本体)を粗大ごみとして出す場合、持ち込みなら600円、回収なら1,200円で処分してもらえます。
しかし、同じものを不用品回収業者に依頼して回収してもらうと4,000円ほどかかってしまいます。
このように自治体に回収してもらえば、回収料金はおおむね安く済ませることができます。
ただし、自治体で処分する場合は、事前に連絡をして回収日と場所を確認し、予約することが必要です。
捨てたいと思っても、日程が合わなければ、その日まで自宅で保管しなくてはなりません。
また、回収日に指定の場所まで不用品を持って行かなくてはならないので、実際に回収してもらうまでに時間と手間がかかる方法です。
さらに、自治体では回収してもらえないものもありますので注意が必要です。
遺品の片付けを急がない人、費用を安く済ませたい人に向いている方法です。
料金は、自治体によって1品400円均一というところもあれば、品目によって金額設定が違うところもあります。
東京都23区では、粗大ごみは1品につき300円~2500円程度の料金が決められています。
自治体に料金を確認し、コンビニなどでごみ処理シールを買い、収集日の朝に貼って所定の場所へ出しておきます。
不用品回収業者
不用品回収業者に依頼するメリットは、連絡してから回収までにあまり時間がかからないことです。また、モノを運び出す必要がないので、時間も手間もほとんどかかりません。
また、業者の場合は回収できないものが少ないため、スムーズに処分することができます。
故人の住居が賃貸であった場合や、遺族が遠方に住んでいて時間をかけられない場合など、すぐに不用品を処分したい人、処分に手間をかけたくないという人に向いている方法です。
リサイクル業者
不用となっても、まだ使えるものはリサイクル業者に売るという方法もあります。
例えば、家族にとっては価値のないものでも、マニアにとっては価値の高いものなどもあるかもしれません
。ただし、回収にきてくれるかは業者によること、また、全てを引き取ってもらえるわけではないので注意しましょう。
遺品整理業者
最近は、不用品の引き取りまでやってくれる遺品整理業者も多いので、問い合わせてみましょう。
遺品整理から不用品処分まで、一気に片付けることができ、便利です。
古物商の許可を持っている業者であれば、まだ使えそうな物を査定・買い取りもしてもらえます。
買い取り料金はモノの量や内容によって異なりますので、見積もりの際に確認しておきましょう。
ごみ回収料金
遺品整理で出たごみは、普通の紙ごみや古い食品などであれば、通常のごみ出しと同じように分別し、自治体で回収してもらうことができます。ですので、料金はかかりません。
ただし、あまりにも量が多いと一度に回収してもらえない自治体もあります。そのような場合は、何度かに分けて出す必要があります。
人件費
遺品整理の料金は、仕分けにかかる時間や運び出す荷物の量によって異なります。
広い部屋や部屋数が多いほど荷物は多くなり、それだけ人の手も必要となるため、料金が上がると考えてよいでしょう。
遺品整理業者3社の料金を比較してみます。
A社 | B社 | C社(人数記載なし) | |
1R/1K | 2名・3万円〜 | 1名・3万5千円〜 | 3万5千円〜 |
1DK | 3名・5万円〜 | 3名・5万5千円〜 | 5万円〜 |
1LDK | 3名・8万円〜 | 3名・7万円〜 | 7万円〜 |
2DK | 4名・11万円〜 | 3名・11万円〜 | 10万円〜 |
2LDK | 4名・14万円〜 | 4名・14万円〜 | 12万円〜 |
3DK | 5名・17万円〜 | 5名・17万円〜 | 15万円〜 |
3LDK | 5名・19万円〜 | 5名・19万円〜 | 18万円〜 |
4DK | 6名・22万円〜 | 6名・22万円〜 | 20万円〜 |
4LDK | 6名・24万円〜 | 6名・25万円〜 | 23万円〜 |
それほど広くない部屋であっても、ごみ屋敷のようにごみの量が多いなど人手が必要な部屋の場合、スタッフを増やし、追加料金が発生することもあります。
車両費
車両費とは、業務で使用する自動車などにかかる費用のことです。
民間の業者に仕事を依頼する場合、この「車両費」(車代)がかかります。
モノが多いほどトラックも大きくなるので、車両費は高くなりますが、だいたい相場は3,000〜5,000円ほどのようです。
また、料金を「基本料金+品目ごとの料金」といった形で設定している業者の場合、この「基本料金」が回収に使う車にかかる費用をさし、ガソリン代などが含まれていると考えられます。
「基本料金」も3,000円~5,000円程度が多いようです。
処理費
「処理費」とは、処理業者の処理費用と、遺品整理当日、分別に使うゴミ袋などにかかる経費です。
遺品整理業者や不用品整理業者に依頼する場合、「人件費+車両費+処理費」のトータルが全体の料金となります。