遺品整理用語集:不用品の処分・・・売却・寄付・贈与する先は?

遺品整理用語集:不用品の処分・・・売却・寄付・贈与する先は?

遺品整理で出た不用品、どう処分しますか?
壊れていたり、明らかに使えなかったりするものは、自治体のルールに従って廃棄します。
でも、自分には必要なくても、まだ十分使えるもの、誰かの役に立ちそうなものは、そのまま捨てるには忍びないと思う人も多いのではないでしょうか。
また、ただ捨ててしまうよりも環境に優しいですよね。
そんな、遺品を有効に処分する方法をみていきます。

本や衣類など不用品を処分するには?

不用品を売る

不用品を売れば、臨時収入になったり、遺品整理の費用に充てたりすることができます。不用品を売りたい場合、次のような方法があります。
どの方法で売る場合も、品物はできる限りきれいな状態にしておくことが大切です。

リサイクルショップに売る

最もスタンダードな方法。リサイクルショップに不用品を持ち込むメリットは、いつでも思い立った時に売りに行くことができる点です。
また、店頭で査定してもらうので、交渉によっては高く買ってもらえることもあります。
しかし、自分でものを持ち込まなくてはならないこと、また、すべてのものを買い取ってもらえるわけではないことなどがデメリットです。
買い取ってもらえなかったものは自分で持ち帰り、処分しなくてはなりません。

フリーマーケットで売る

休日に公園などで行われているフリーマーケットに出店して売る方法です。
不用品の処分を急いでいない場合や、金額にこだわらない人に向いています。出店したい場合は出店料がかかります。 ブースの用意や片付け、お金の管理も自分でしなくてはならず、基本的に高い値段では売れません。
また、売れ残ったものは自分で持ち帰り、処分しなくてはなりません。

インターネット買取で売る

「インターネット買取」とは、インターネット上に作られた窓口を通じてものを買い取ってもらう方法です。
買取サービスを行っているサイトから申し込むと梱包材料が送られてくるので、ここに不用品を詰めて送ります。
書籍、ゲーム、古着、ブランド物、ゴルフクラブなどというように専門化しているサイトも多く、リサイクルショップに持ち込むより高めに査定してもらえることが多いようです。
この方法での最も大きなメリットは、自分でものを持ち込む必要がないところです。手間も時間も大きく節約することができます。
ただし、査定の結果、金額が折り合えば振り込みをしてもらえますが、金額に納得できなければ、返品の送料は自己負担になってしまうので注意が必要です。

インターネットオークションで売る

インターネットオークションで不用品を売ると、思っていたよりも高値で売れることがあります。希望者が多ければ、どんどん買い値が上がるかもしれません。
しかし、逆に、必ず買い手がつくとは限らないので、いつまでも品物が売れないという状態になることもあります。また、出品料に加え、売れた場合には手数料もかかります。
オークションへの参加手続き、落札者とのやりとり、また品物の発送などに手間がかかるで、初心者には難しいかもしれません。また、不用品が多く、早く処分したい時にはあまり向いていない方法です。

インターネットオークションやフリマアプリも便利

フリマアプリで売る

スマホで簡単に売り買いができるのがフリマ(フリーマーケット)アプリです。
スマホにアプリをダウンロードし、スマホで商品の写真を撮って出品します。オークションとの大きな違いは、出品者が決めた価格で売ることができる点です。値引き交渉ができる場合もありますが、基本的には固定価格でのやり取りになります。
売れたら、アプリ主催者に10%ほどの手数料を支払うことになりますが、出品料がかからず、代金のやりとりは主催者が仲介してくれるので安心です。インターネットオークションに比べ、平均的に、出品してから売れるまでの時間も短くて済むようです。
アプリによって、よく売れる出品物や買い手(女性向け中心など)の特徴があるので、いくつか見てみるとよいでしょう。

遺品整理業者に依頼する

遺品整理を依頼した際に、遺品整理業者に不用品を買い取ってもらう方法もあります。

遺品整理業者に依頼するメリット

近年、遺品の買い取りを行う遺品整理業者が増えています。
遺品整理業者に依頼すれば、遺品の仕分け、処分、買い取りから掃除までを全て行ってもらえます。
不用品を買い取ってもらった場合、遺品整理作業の金額から買い取り金額を差し引いた金額を請求されることになるので、買い取ってもらった分、遺品整理の費用が安くなります。

ただし、買い取った不用品の運搬代などが買い取り金額上限より引かれることもありますので、見積もり時に確認しておきましょう。
また、最大のメリットは、ほとんどの場合、全ての作業が1日で終了することです。
遺品整理を早く済ませたい人や、遠方に住んでいる遺族が遺品整理を行う場合、また、故人の住まいが賃貸で退去日が決まっている場合などは、遺品整理業者に依頼するとよいでしょう。

遺品整理業者に買い取りを依頼する場合の注意点

遺品整理業者

不用品を買い取るには、「古物商許可証」という資格が必要です。これは、様々なものを買い取って、それを商品としてまた市場へ出すのに必要な資格で、リサイクル業者や古本店などは必ず持っています。
遺品整理の際にも、この「古物商許可証」がない業者は買い取りができません。
また、買い取りをしている業者も様々です。遺品整理業者に買い取りも依頼したい場合は、買い取りに力を入れており、適正な価格で買い取ってくれる業者かどうかを見極めることも大切です。

というのは、古物商許可証を持っているからといって、必ずしも遺品全てを正しく鑑定できるとは限らないからです。
実際にはとても歴史的価値のあるものでも、気づかずに粗大ごみとして処分してしまうという可能性もあるのです。
遺品整理業者に買い取りまで全て依頼したい場合は、ホームページをチェックしたり、見積もりの際に確認しておくことが必要です。
また、遺品整理業者自身が買い取りをできなくても、専門業者と提携している場合もありますので、併せて確認するとよいでしょう。

遺品を売却する際に注意したいポイント

遺品整理と切っても切れないものが遺産相続です。遺品を買い取ってもらったお金は遺産となりますので、これをどのように分割するか、相続人で話し合い、合意しておくことも必要です。

現金を分割する

すべての遺品を買い取ってもらった現金を相続人全員で分配します。最も公平に分けられる方法です。
ただし、遺品の中にアンティークや美術的価値のあるものがある場合、お金に変えるか、ものとして残すか、事前によく話し合っておくことが必要です。

現物で分割する

遺品を売却したくない場合は、遺品を売らずに相続人で現物を分けることになります。将来的にその遺品の価値が上がった場合、相続の不公平感が発生し、あとで揉めるケースもありますので、事前によく「話し合うことが必要です。

代償分割する

まず、いったん遺品の価値を査定し、その遺品を相続した人が残りの相続人にその価値の分を現金で支払う方法です。
遺品のうち、どうしても残しておきたいものがある場合や、相続人のうち、ある1人がどうしても相続したい遺品があるとき、この方法をとります。
代償分割を行う時は、必ず代償分割の方法と金額を遺産分割協議書に明記しましょう。そうしないと、単なる贈与とみなされ、贈与税が発生してしまう可能性があります。
安全に分割するために、弁護士や司法書士といった専門家に相談するとよいでしょう。

遺品を寄付する

遺品整理で出た不用品。売るのではなく、寄付するという方法もあります。自分にとっては不要なものでも、どこかでそれを必要としている人がいるかもしれません。

国内の寄付先

施設へ寄付する

児童養護施設や、難病の子どもたちの治療施設は、衣類や生活必需品を必要としています。
この「生活必需品」とは、家具、家電製品、布団などの寝具などのことです。
家具や家電製品のなかでも、特に必要とされているのはパソコンです。高価なため、多くの施設が各サイトで寄付を募集しています。
もし、不用品の中にまだ使えるパソコンがあれば、初期化して贈ると喜ばれるでしょう。
寄付された品々は、施設の中だけでなく、施設を卒業する人たちの新たな生活のスタートにも活用されます。

パソコンは寄付の対象に

被災地へ寄付する

東日本大震災や熊本地震をはじめとする多くの被災地でも、生活必需品を必要としています。
特に故人が高齢者の場合、トイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤や石鹸などの日用品を大量に買い置きしている人も多いようです。
もちろん遺族が使うこともできますが、社会貢献すれば、故人の追善供養にもなることでしょう。

気をつけたいのは、「いらなくなったもの」と言っても何でもいいわけではないことです。 多くの被災地で、中古の衣類などが送られてきても、汚れていたり、着古され過ぎて使えず、捨てるしかないものが非常に多いようです。
「いらなくなったもの」であっても、使用に耐えるものを送らなければ意味がないだけでなく、ただでさえ大変な現地でさらにゴミを増やすことになってしまいます。

また、現地で足りているものをさらに送っても、モノをもて余す状態になってしまいます。
寄付する時は、まずどんな物が必要とされているかを調べましょう。
寄付や支援物資を受け付けている自治体や団体のウェブサイトなどで確認し、求められているものと譲りたいものが合致したら、それぞれのルールに従って寄付しましょう。

美術館・博物館へ寄贈する

遺品の中に、有名な芸術家による美術品や骨董品があった場合、高価な美術品や骨董品は、家族が相続する場合、高額の相続税が発生します。
相続したものの、税金が払いきれず、売却して相続税を支払うケースも少なくありません。
こんなとき、美術館や博物館に寄贈することを考えてみるのもいいでしょう。美術品や骨董品を公営の美術館・博物館に寄贈する場合は、相続税もかかりません。

寄付と寄贈は異なる

ここで注意したいのは、「寄贈」は「寄付」とは違うという点です。
「寄付」とは、公共の団体や公共事業などに無償で金銭や品物を贈ることを言います。この場合、高額な美術品や骨董品には贈与税が発生します。
それに対して「寄贈」は、教育機関(学校、図書館、美術館、博物館)や医療機関に対して物品を贈ることで、こちらは相続税も贈与税も発生しません。
また、相続品を国に寄付した場合も、相続税を支払う必要がなくなります。

公共性の観点からも、寄贈は多くの人の役に立ちます。大切にしていた美術品が、人の目を楽しませれば、社会貢献にもなり故人も喜んでくれるのではないでしょうか。

海外の寄付先

団体を通じて寄付する

世界には、貧困にあえぐ子どもたちがたくさんいます。その子どもたちへ、故人の遺した衣服や生活用品、文房具などを物資として提供することができます。
ものをそのまま送るだけではなく、家具や家電製品、貴金属などを換金し、そのお金を世界中の子どもたちのために役立てている団体もあります。
また、切手やはがきも役立ちます。未使用のものだけでなく、書き損じはがきや使用済み切手でも大丈夫です。
余った年賀はがき、記念切手やコレクションの切手帳も寄付できます。回収した切手やはがきは換金され、福祉団体などの運営資金になったり、海外の支援に役立ったりしています。

アパレル会社を通じてリユースする

近年、アパレルメーカーにおいて、衣料を回収し、リユース、リサイクルする活動がさかんになっています。
素材をリサイクルするだけでなく、まだ着られる状態の衣類を、難民はじめ世界中の衣類を必要としている人々に届けているのです。
そのメーカーのものでないと受け付けていない場合もありますので、アパレルメーカーのウェブサイトで確認してみるとよいでしょう。

遺品整理業者を通じて寄付する

近年、不用品の仲介を行う遺品整理業者が増えています。
遺品整理を行った遺族から不用品を預かり、様々な団体を通じて国内外問わず、それを必要としている人のもとへ贈る活動が広がっています。
もし不用となる品物が多そうであれば、遺品整理を依頼する際に、業者に相談してみるとよいでしょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。