お金の終活、始めていますか?家族のために早めの準備を

お金の終活、始めていますか?家族のために早めの準備を

すっかり社会に浸透した「終活」という言葉。
以前は、言葉を聞いたことがあるだけという人が多かったようですが、近年は終活の具体的な内容も知られて来ているようです。
終活の中でも大きな関心事は「片付け」と並び「お金」に関してではないでしょうか。
残りの人生を有意義に生きていくためのお金の準備、そして財産の引き継ぎなど、お金に関しての心配は尽きません。
今回は「お金の終活」について見ていきましょう。

お金の終活を考える

「我が家の現状」を把握しよう

我が家の財政

お金の終活でまずしておきたいのは、自分のお金に関する現状の把握です。
いま、あなたにはどれくらいの財産があるでしょうか。
そして、今後、どんな収入が予想されるでしょうか。
このことを正確に把握しておくと、将来について冷静に考えることができ、今後「かかるお金」と「かけられるお金」をしっかり区別することができます。

収入を計算する

まず、今後の収入について見ていきましょう。

  • 仕事やパートでの収入
  • 国民年金や厚生年金などから得られるお金
  • 加入している場合は、個人年金で入るお金
  • ある場合は不動産収入
  • 保険や定期預金などの満期金など

これらの収入は、年齢や働き方によって金額が変わります。今後を予測して計算しましょう。

財産リストを作成する

次に、現在の我が家の「財産リスト」を作りましょう。
一言で財産といっても現金だけでなく、さまざまな形で存在しています。

  • 銀行の預貯金
  • 株式や投資信託などの投資商品
  • 保険
  • 不動産
  • 美術品など

これら「プラスの財産」が、いま現金化したらいくらになるかを計算して書き出します。

また、これらプラスの財産だけでなく、ローンや借金など「マイナスの財産」についても書き出します。
遺産相続では、負債も引き継がれます。忘れずリストに記入しましょう。
プラスの財産からマイナスの財産を引くといくらになりますか?
その答えが「いま持っているお金」ということになります。

要・不要に分けて整理する

リストができたら、次に、財産を必要なものと不要なものに分けます。
もし、もう使っていない口座や不要な口座があれば解約し、主要口座にまとめましょう。
各種保険などを見直し、不要なものは解約、必要なものもプランの見直しなどを検討します。
ローンや借金などがある場合は、できるだけ早めに返済しましょう。

通帳や重要書類をまとめて保管

通帳や、お金に関する重要な書類は、できるだけまとめておきましょう。
財産リストや通帳、重要書類などは、管理がしやすく、防犯に適した安全な場所で保管します。
また、もしもの場合に備え、信頼できる家族にリストを作って管理していることを知らせておきます。
将来、相続人になる人や、自分にとって信頼のおける人を選ぶとよいでしょう。
マイナスの財産がある場合は、それについても話しておきます。

お金の終活の上手な進め方とは?

お金の終活は、自分だけでなく、残される家族にもかかわる問題です。
そこで、お金の終活の進め方について見ていきましょう。

お互いの意向を確認してみる

遺す人、遺される人の、お互いの意向を確認しましょう。
具体的に考えるのはなかなか大変ですが、もしもの時にトラブルを回避できるよう、話し合いましょう。

リスクへの備え

お金の終活では、相続と同様、本人が最後まで安定した生活ができることが大切です。
普段の生活だけでなく、急な病気などでの入院や介護費用などについても考えておきましょう。
もちろん、現金があるに越したことはありませんが、公的保険でカバーできるものもあります。
いざという時の備えにも力を入れましょう。

資産の現金化

高齢になればなるほど、いざという時には現金が頼りになります。
そのため、現金化できる資産は早めに現金にしておくのがおすすめです。

お金の終活、上手な整理方法は?

では、現在ある財産について、財産の種類別に上手な整理方法を見ていきましょう。

預貯金

繰り返しになりますが、たくさんの口座を抱えていると、多くの労力を費やすことになります。
複数の口座を持っている場合、使っていない口座は整理しましょう。
管理しきれずに放置していると、銀行側から休眠口座とみなされることもあります。
2018年1月「休眠預金等活用法」が施行され、2009年1月1日以降の取り引きから10年以上、取り引きのない預金は「休眠預金」とされ、民間公益活動に活用されることになりました。
そのため、不要な口座は早めに解約して、現金として引き出しておくか、別の口座に移すのがおすすめです。

マイナスの財産

もし、借金やローンの残高がある場合は、自分の死後にまで尾を引かないよう、できるだけ返していきましょう。
早めの返済が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家や、取り引き銀行と相談して、無理なく返していけるプランを考えるとよいでしょう。

また、クレジットカードに関しても、枚数を極力減らすのがおすすめです。
つい使ってしまう、というようなことをなくしましょう。
減らす場合は、年会費が必要なものから削っていきます。

不動産

土地や家屋などの不動産は、遺産相続でトラブルになりやすい財産です。
というのは、不動産はそのもの自体を分けることが難しく、ほとんどの場合、その時点での価値を計算して分割します。
しかし、この計算が複雑で面倒であり、現金の遺産の額との兼ね合いで、不動産を引き継ぐ人が他の相続人に多額のお金を支払わなくてはならないようなケースもあります。
そのため、先に現金化しておくと、のちのトラブルを回避しやすくなります。
複数の不動産があり、相続人も複数いる場合は、どのように分割し、引き継がせるのかを明確に決めておきましょう。

保険関係

各種保険に加入している場合は、内容を見直しましょう。
不要な保険をそのままにしていても、保険料で余計な出費となってしまうので解約します。
必要な保険の証券は、保管場所を決めておきましょう。

公的年金

国民年金や厚生年金などの公的年金は、退職後の生活に欠かせない収入です。
月々の入金額をきちんと把握し、必要に応じて手続きを行いましょう。
これにより、退職後に再就職やパートで働く、投資を行うなど、生活設計を立てる指針となります。

有価証券

有価証券は日々変動するため、定期的に運用状況をチェックしておくことが大切です。
有価証券を持っている場合は、証券会社に問い合わせて運用報告書を送ってもらい、株券などの額面と運用報告書を参考にしながら、現時点での運用状況を把握しておきましょう。
また、証券の整理と同時に、投資対象や保有株の調整を行うとベターです。

ネットでの資産管理

ネットバンキング利用者

ネットバンキングなど、インターネット上で資産を管理している場合は、IDやパスワードを書き出しておきます。
ネットでの資産管理や運用は、本人以外には分からないケースが多いため、信頼できる家族に伝えておきましょう。
故人がFX をやっていることを知らなかった家族が、のちに莫大な負債を抱えてしまった事例があります。

貴金属・美術品など

貴金属や美術品など市場価値のあるものは、相続の対象になるため、その価格が相続税に関係します。
しかし、このような品は価値が変動しやすいため、いざという時にトラブルのもとにもなりやすいと言えるでしょう。
そのため、あらかじめ鑑定しておくのがおすすめです。
さらに、早めに売却して現金に変えておくのもよいでしょう。

お金のことは、ここに記そう

身の回りのお金が整理できたら、どこに書き残しておけばよいのでしょうか。

エンディングノート

エンディングノートは、終活に欠かせないアイテムです。
お金や遺産相続に関してはもちろん、知人・友人リスト、お葬式やお墓のことなど、万一に備えて書き残しておくと、家族が迷ったり悩んだりすることがありません。
何度も見直し・書き直しができて便利なエンディングノートですが、法的効力はありません。
遺言書などを補足する手段として考えましょう。

遺言書

遺産相続に関して、最も強い効力を持つのが遺言書です。
遺言書がない場合、遺産は法律によって決められた人に決められた割合で分割されます。
もし、特定の財産を誰に渡したい、法定相続人でない人に遺産を渡したいなどの希望がある場合は、遺言書を作っておきましょう。
注意したいのは、遺言書には厳格な書式があることです。
せっかく書いても、書式に則っていないと無効になってしまいます。
そこで、遺言書を作成する際には「公正証書遺言書」がおすすめです。
公証役場で専門家と一緒に作る遺言書で、自筆による遺言書より信頼性が高いとされています。
公正証書遺言書は、公証役場以外に、遺言者のいる病院や自宅などまで、公証人に出張してもらうこともできます。

まとめ

お金について話す夫婦

お金の終活は、自分の死後の葬儀やお墓、相続などに備えると同時に、残りの人生を有意義に過ごすためにも欠かせません。
そのため、判断力や体力があるうちに、少しずつでも始めましょう。
迷った時は、意外ですが遺品整理業者に相談するのもおすすめです。
遺品整理業者は、遺品整理にともなうさまざまなアドバイスを行っており、エンディングノートの書き方などを指導してくれるところもあります。
自分の残す荷物の整理と一緒に、お金についても相談してみましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。