親族や近親者が亡くなったあと、故人の遺品整理があります。
遺品整理に関してよく見られるのが「つらい」「疲れる」という声です。
遺品整理は、故人が大切にしていたものや思い出の品をどうするか、決めること。捨てるのか、残すのか、悩ましいところですね。
今回は、遺品整理がなぜつらいのか、そして、その対策や心構えについて考えていきましょう。
目次
遺品整理はなぜつらいの?
遺品整理とは、故人の愛用品や残したものを整理・仕分けすることです。
遺産相続に関するものなど必要なものは保管し、不要になったものは処分します。
整理するものは、故人の衣類など日常生活品、コレクションなど趣味に関するもの、車などの動産から土地・建物など不動産に至るまでさまざまです。
遺品整理という作業をつらいと感じる人が多いのは、なぜなのでしょうか。
精神的なショックが残っている
大切な人が亡くなってしまうと、精神的に大きな負担がかかります。
それにも関わらず、残された遺族は、お葬式や各種手続き・届け出など、手間も時間もかかる作業をこなさなくてはなりません。
この忙しさを超え、少し落ち着いてきたころに行うのが遺品整理です。
この時期は、大切な身内が「亡くなった」ということを、だんだん現実のものとして実感してくる時期でもあります。
そんなとき、しなければならないのが遺品整理です。
遺品整理をすることで気持ちに整理がついたという人もいるようですが、故人が亡くなったことを信じられない、信じたくないという気持ちの人も多いようです。
そのため、故人の残した品を整理することに抵抗を感じてしまうのです。
昔の思い出がよみがえってしまう
故人が残した遺品には、たくさんの思い出が詰まっています。
遺品を見ると、故人が生前、大切に使っていた姿が思い浮かんだり、家族みんなで故人を囲んだ記憶が思い出されたり・・・。
故人の遺品は、生前を思い出させるきっかけとなります。
どれも、これも、大切なものであり、捨ててしまうなんてできないような気がします。
そのために、なかなか片付けが進まなくなってしまうのです。
遺品が大量にある
遺品が大量にあるという理由から、遺品整理がつらいと感じる人もいます。
あまりに大量のものを片付けることは、それほど何度も経験することではないでしょう。
まず、何から手をつけていいのかわかりません。
また、片付けを始めると、ビックリするほど大量のものが出てくるケースも少なくありません。
ましてや、故人の部屋がいわゆる「汚部屋」や「ごみ屋敷」だった場合はなおさらでしょう。
精神的な面だけでなく、体力的な面でもつらい作業となってしまいます。
さらに、片付けをする人が高齢者であるというケースもあり、遺品整理が体力的にも精神的にもつらいと感じてしまうようです。
作業人数が足りない
遺品が多い上、作業の人手が足りず、つらい・疲れると感じるケースもあります。
高齢化が進み、一人暮らしの高齢者が増えてきています。
もともと子供が少ない上、遠方に住んでいるなどの理由から、なかなか親族みんなで片付けができない場合も多くなっています。
仕分けが難しい
いざ遺品整理を始めても、必要なものと不用品の判断がつかず、遺品整理がつらくなってしまう人も。
ものを手にするたびに「これはまだ使えるんじゃないかな」「これは故人が大事にしていたものだ」などと悩んでしまいます。
そこで、貴金属など貴重品だけでもまとめておこうと思っても、どこにあるかわからず仕分けもできない・・・。
また、遺品の中には、相続人によって相続されるものもあります。
このようなものを、どのように配分したいのかは、故人にしかわからないことです。
こうして途方にくれてしまい、遺品整理が進まないケースも多いようです。
不用品の処分に困る
なんとか遺品整理を進めて仕分けができても、今度は不用品を処分しなくてはなりません。
しかし、遺品には、大きな家具や家電、また、どのように処分したらいいか判断がつきにくいもの、大量の不用品など、いざ処分するとなると困ってしまうものがたくさんあります。
こういったことから、それぞれの遺品に合わせて処分をしなければならないのがつらいと感じてしまうようです。
遺品整理のつらさを乗り越えるには?
故人への愛情が深いほど、遺品整理が進まないのは当然のことです。
しかし、一つの区切りをつけるためにも遺品整理は重要です。
家屋などは、長く放置していると空き家問題にもつながります。
「遺品整理は故人の供養」と考え、思い切って整理することを考えてみましょう。
とことん悲しみ尽くす
普通に生活しているつもりでも、何かの拍子に故人を思い出し、つらい気持ちになることがあります。
そんなときは、心の底にある思いを吐き出すことも大切です。
思い出に浸り、涙が枯れるまで泣き尽くしてみるのもいいかもしれません。
グリーフケア
近年、家族を失った悲しみから立ち直れるよう、心に寄り添うサポートを行う「グリーフケア」「グリーフサポート」という活動があります。
遺族が感情を溜め込まず吐き出し、故人の死と向き合えるようサポートし、悲しみを乗り越えられるよう手助けすることで、専門家も増えています。
このような専門家に相談するのも一つの方法でしょう。
遺品整理をするタイミング
遺品整理をするタイミングには、いつという決まりはありません。
可能であれば、四十九日や一周忌などの法事に際して行うとよいでしょう。
法事の際には親族が集まるため、故人をよく知る親族に生前の様子を聞きながら遺品整理ができます。
そのような話をしながら、故人の冥福を改めて祈り、また形見分けなどを行うことで、気持ちも整理できます。
遺品に優先順位をつける
自分で遺品整理を行う場合、なぜ作業が進まないのか。
それは「迷う」からです。
迷うと時間と体力をどんどん消耗していき、整理がなかなか進みません。
そこで、迷わないために「基準」を設ける方法があります。
遺品を、
- 必要なもの
- 捨てるもの
- 保留
の3つの基準で仕分けしてみましょう。
明らかに必要なもの・不要なもの以外で、少しでも迷うものは「保留」としてまとめておきます。
いったん「保留」しておくと、あとで考えればいいという安心感が生まれます。
家の片付けは、思い出や思い出の品を全て捨てなくてはならないものではありません。
それでも、何もかもを取っておくことはできません。
だからこそ「大事なもの」を見極めることが大切です。
どうしても遺品整理がつらいときは・・・
もしどうしても遺族や親族だけで遺品整理をするのがつらい、難しいという場合、遺品整理業者に相談してみましょう。
肉体的・精神的に負担がかからない
遺品整理業者は、遺族の代わりに遺品の仕分け・片付けをする専門業者です。
大きいものや重いものがたくさんあっても、すべて仕分け・処分をしてもらえるので、遺族は何もする必要がありません。
要・不要の判断が可能
経験豊かな遺品整理業者は、遺品の中で何が必要か、そうでないかを判断・アドバイスしてくれます。
作業の前にはきちんと話し合うため、遺品を勝手に処分することもありません。
また、依頼主が立ち会い、話し合いながら整理をすることも可能です。
依頼主の悲しみを理解し、依頼主の立場に立って作業できるのが遺品整理業者です。
効率的な片付けが可能
場所や部屋の状態にもよりますが、遺品整理業者は、1~2日で片付けを終えるため、つらい状況から早く脱することができます。
気持ちを切り替えるには、少しでも早めに片付けをするのがベターです。
こうして心の整理をし、遺族が前を向いていくことが、故人への供養にも繋がります。
また、故人宅が賃貸だった場合など、遺品整理を急がなくてはならない場合にもおすすめです。
オプションを利用する
遺品整理業者の片付けは、ただ遺品を仕分けし、不用品を処分するだけではありません。
とってはおけないけれど、どうしても気持ちが残るものをお焚き上げ供養したり、遠方でなかなか会えない親族に形見分けの配送手配をするなど、さまざまなオプションがあります。
プロのアドバイスによって、より手厚い遺品整理を行うサポートをしてもらえます。
まとめ
大切な人を亡くした悲しみは、そう簡単に癒えるものではありません。しかし、亡くなってしまったという事実を受け入れなければ、前に進むことはできないでしょう。
故人はきっと、大切な遺族に少しでも早く日常生活に戻ってほしい、いつまでも悲しまないでほしいと思っていることでしょう。
故人の供養という意味でも、気持ちを切り替え、遺品整理をすることが大切です。
故人に直接会えなくなっても、ものを全て残さなくても、故人は心の中にずっと生きています。
遺品整理を通してそう思えるようになれば、先に進む勇気が湧いてくるのではないでしょうか。