「これから残りの人生をどう過ごしていこうか」
そう考えたとき、始めるのが終活です。
終活というと、家の片付けの印象が強いですが、それだけではありません。
終活では、どんなことをするのでしょうか。
また、費用はかかるのでしょうか。
気になる終活予算について見ていきましょう。
目次
終活では、何をやるの?
まず、終活でやることについて見ていきましょう。
お金の整理
預金や保険関係、クレジットカード、株式など、お金・財産に関する情報を整理しておきます。
認知症になったり、入院しなくてはならなくなったりしたら、生活費の引き出しや保険の支払い、死亡時のカードや銀行口座の停止などが必要です。
本人以外の人でもその作業がスムーズに行えるよう、預金通帳や実印、保険証書をまとめ、持っているクレジットカードの数と種類や暗証番号などを一覧にしてエンディングノートなどに記録しておきましょう。
相続の準備
死後に特に多いと言われているのが、遺産相続における争いです。
大切な家族を争わせることのないよう、準備が必要です。
まず預貯金や株式など、どんな財産があるかのほか、誰に何を、どんな割合で相続させるかについて考えましょう。
特に、不動産は現金と違って分割しにくい財産なので、どのように相続させるか考えておくのは大切です。
正式な遺言書を作っておくのも良いでしょう。
遺言書がない場合は、法定相続人が、法律で決められている割合で相続することになります。
そのため、お世話になった人など、法定相続人以外の人に遺贈をしたい人がいる場合も、遺言書を作っておくのがおすすめです。
また、借金・ローンなどマイナスの遺産も、すべて明確にしておきましょう。
もしも遺産相続が終わってからマイナスの遺産の存在が発覚すると、面倒なことになります。
マイナスの遺産の額によっては、相続人に大きな借金を背負わせてしまうことになるかもしれません。
そのような場合に相続人が相続放棄などの方法を使えるよう、プラスもマイナスも全てを明らかにしておかなくてはなりません。
さらに、ネットバンキングやネットでのFXなど、他人にはわかりにくい財産もしっかり分かるようにしておきましょう。
解約などの手続きに必要なだけでなく、放っておくと知らず知らずのうちに家族が莫大な借金を抱えることになるかもしれません。
ものの整理
住まいの中にある不用品を整理・処分します。
物がたくさんある実家の片付けは、とても大変です。
このことは、メディアで取り上げられたりさまざまな書籍になったりしているので、目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
役目を終えたものは、少しずつでも処分していきましょう。
特に、一人暮らしの人、子どもがいない夫婦二人の場合は、不用品の整理を重点的にしておくのがおすすめです。
また、コレクションなど自分がいなくなった後も行き先が気になるようなものは、早めに処遇を決めておくと安心です。
さらに「デジタル遺品」と呼ばれるインターネット上やパソコン上のデータも整理しておきましょう。
SNSのIDやパスワードなども一覧にします。
介護、葬儀などの希望
介護や医療、葬儀、お墓についての希望を決めておきましょう。
もしも認知症になってしまったり、意識不明に陥って回復の見込みがなくなったりしても、延命治療や臓器提供に関する本人の希望が分かっていれば、希望に沿った最期を迎えることができます。
また、お葬式やお墓についても考えましょう。
葬儀の生前予約やお墓の生前準備なら、残された人が迷うこともありません。
選択肢に入れてみましょう。
これらについては、遺言書かエンディングノートにプランや希望を書いておきましょう。
終活に必要な費用とは?
エンディングノート
エンディングノートは、とても便利なツールです。
何を書いてもよく、何度でも書き直すことができます。
また、書式も決まっていないので、気に入ったノートに思いつくまま書いて行きましょう。
遺言書のように法的な効力はありませんが、残された家族の役に立ちます。
書店では500円程度から4万円程度まで、さまざまな専用ノートが販売されています。
しかし、100円均一のノートでも構いませんし、インターネットではフォームを無料でダウンロードすることもできます。
遺言書の作成
自筆証書遺言の場合、自分で作成すればよいので、費用もほとんどかかりません。
ただ、遺言書は書式が定められており、内容によっては無効になってしまう可能性があります。
心配な人は、公証役場で公正証書遺言を作成しましょう。
確実に有効な遺言書を作ることができます。
費用は、遺言書作成の指導料として5万円ほど、公正証書の発行料として7万円〜10万円ほど必要です。
不用品・遺品の整理
自分ですべて行う場合
家財の整理をすべて自分で行う場合に必要な費用は、不用品の処分料です。
自治体のゴミ収集に出せば、粗大ごみやリサイクル家電を除き、無料で処分することができます。
ただし、量によっては一度に出せない場合があるので、自治体のルールに従って出しましょう。
また、不用品の内容に応じて、フリマアプリやネットオークションで売ったり、専門店やリサイクルショップに買い取ってもらえば、収入になることもあります。
業者に依頼する場合
自分で片付けを行うのが難しい場合は、作業の全てまたは一部を業者に依頼することができます。
費用は、間取りや家財の量によって異なりますが、1LDK以下で3万円〜10万円程度、2DK以上で10万円〜20万円程度が相場といわれています。
まずは、複数の業者から見積もりを取って比較検討しましょう。
不用品の買い取りを行なっている業者であれば、費用を抑えることができるかもしれません。
お墓の準備
新しくお墓を建てるには、墓石代と工事費、永代使用料(お墓の土地代)、管理費が必要です。
墓石費用
一般的な墓石を使ったお墓の場合、全国平均で120万円〜175万円ほどです。
永代使用料
土地によって違いますが、東京23区で133.8万円(0.79平米)、東京郊外で57万円(0.96平米)、東京近郊で27万円〜64万円(0.86平米〜0.8平米)ほどとなっています。
管理費
公営の霊園で4000円〜1万円、民間の霊園であれば5000円〜1万4000円、寺院墓地で1万円前後が相場といわれています。
これらの費用は、デザインや石材の種類、土地、霊園によって異なりますので、よく調べておきましょう。
葬儀の準備
一般的な葬儀の場合、費用の平均は120万円ほどといわれています。
葬儀代には、斎場費、祭壇費、霊柩車の費用、お棺代、飲食費、僧侶への謝礼、返礼品代などが含まれます。
しかし、近年、注目されている永代供養や樹木葬、家族葬などといった方法では、もっと費用を抑えることができます。
合祀となりますが、永代供養なら10万円〜30万円、樹木葬なら10万円〜80万円が相場です。
さらに、2020年に入ってからの新型ウイルスによって通常のお葬式が難しくなっています。
そのため、葬儀の会場内にカメラを設置して撮影し、その映像を配信する「オンライン葬儀」が注目されています。
3万円程度でお通夜、葬儀、納棺の儀のライブ配信ができます。
これに祭壇などの費用がプラスされますが、人が集まらないため狭い会場で行うことが可能なので、全体に費用を抑えることができるでしょう。
遠くにいる人に参列してもらいたい場合は便利です。
医療・介護
介護
保険が適用される施設で月平均10万円〜20万円、保険が適用されない施設でそうでない場合とがあります。
20万円〜30万円ほど必要です。
また、介護付きの集合住宅などでは、入居時の費用が20万円〜5000万円、月額20万円〜200万円超えの物件など、さまざまです。
自宅で過ごしたい場合は、自宅介護が可能なように備品を準備したり、手すりなどをつける工事を行う費用も必要です。
車いすは自走式で4万円〜10万円、電動式で30万円〜50万円、介護用寝ベッドは15万円〜50万円ほどが相場です。
こちらは、自治体の貸し出しやレンタルを考えてみてもよいでしょう。
手すりの設置工事は、ものによりますが1つ1万円ほどかかります。
医療
医療に関しては、何かあった時の入院費用や手術代などが必要となります。
医療保険などで柔軟に対応できるようにしておきましょう。
終活費用の合計は?
- エンディングノート・・・0円
- 相続関係・・・15万円
- 不用品・遺品整理・・・25万円〜
- 葬儀・お墓・・・400万円
- 医療・・・100万円〜
- 介護・・・30万円〜
全体として、600万円ほどは予算として用意しておいた方が安心でしょう。
最低限の金額ではありますが、かなりの額が必要であることが分かります。
早めに終活に必要な予算を決め、どのように用意するか計画しておくことが大切です。
まとめ
終活も、お金の問題は避けて通ることができません。
あと何年生きられるのか、はっきり分かっているわけではありません。ですが、「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに時間はどんどん過ぎていきます。
だからこそ、終活に必要な費用は早め早めに考え、算段しておくことが望ましいと言えます。
最近では、遺品整理業者でも終活について相談に乗ってもらえます。エンディングノートの書き方指導や、遺品整理の生前予約などもありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。