人が亡くなると、残された人には、たくさんの「やるべきこと」が突然突きつけられることになります。
お葬式に始まり、片付け、相続をはじめとするさまざまな手続きなど手間のかかることを、悲しみも癒えないなか待ったなしで行わなくてはなりません。
もし、あなたが余命を宣告されてしまったら・・・大切な家族に、できるだけ手間をかけさせたくないと思うのではないでしょうか。
しかし、実際に「あなたの余命はあと○年です」と言われてしまったら、冷静に今後のことを考えるのは難しいでしょう。
こんなとき何をすべきか、前もって知っておくと、いざという時に役立ちます。
今回は、もし余命宣告をされたら、どのようなことを準備しておくべきかについて見ていきましょう。
目次
余命宣告とは?
「余命」とは、その病気にかかった人の半数が亡くなるまでの期間のことを指します。
つまり、余命宣告とは「その人が今からどのくらいの期間を生きることができるのか」を伝えることです。
その算定方法は、同じ治療を行った患者のデータから算定する医師や、自身の経験から大体の期間を言う医師などさまざまです。
余命とはあくまで統計に過ぎません。宣告された期間以上に長生きをする人もいれば、逆にその期間以下で亡くなってしまう人もいます。
余命宣告をされたからといって、必ずしもその通りになるものではありませんが、人生の大体のタイムリミットを知らされることと考えればよいでしょう。
誰にでも必ず訪れる死。
余命を宣告されたことによって受けるショックの大きさは計り知れません。
本人だけでなく、家族にも大きな影響が及ぶでしょう。
ですが、“その時”まで落ち込んで過ごすだけでは、あまりにも時間がもったいない。
やりたかったことをやる、延命治療に集中する、家族や大切な人と共に過ごす・・・残された時間をただ悲しんで過ごすのではなく、どう過ごすのか、何ができるかを考えられたらいいですね。
もし余命宣告をされたら・・・
もし、あなたが余命を宣告されてしまったら、どのように気持ちを持てばいいのでしょうか。
自分の病気について、しっかり認識する
繰り返しになりますが、余命とは絶対ではありません。
実際に、宣告された余命期間よりも長く生きる人もいれば、完治する人もいます。
仮に同じ症状であっても、どのくらい生きられるかは人によって違います。また、医療は日進月歩です。
懸命に病気と闘うことで、克服できる可能性はゼロではないということを、心にとどめておきましょう。
そして、積極的に自分の病気や状態について知り、セカンドオピニオンを受けたり、より良い治療や自分に合った医師を探すことが大切です。
また、今後の方針を決めましょう。
余命宣告をされたけれど、病気に立ち向かうために治療をするのか、辛い治療をして苦しみたくないのであれば、緩和ケアを受けながら穏やかに余生を過ごすという選択肢もあります。
ここに、絶対的な正解・不正解はありません。
自分自身が思う「正解」を探しましょう。
生きがいを持つ
余命宣告をされてしまったからといって、自暴自棄になってはいけません。
ストレスは免疫力を弱め、逆に、楽しいことを考えると、免疫力は高まるといわれています。
ネガティブな気持ちで毎日を過ごすより、生きがいを持ちましょう。
生きがいというと大げさかもしれません。
たとえば、「毎日、愛犬と散歩をする」「家族と少しでもいろいろな場所に行って楽しむ」など、小さなことでよいのです。
何かをやったという達成感も、免疫力を高めるといわれています。
小さなことでいいので、何かを始めてみましょう。
後悔しないよう生きる
「後悔しないように」とはいっても、実際には、100%何の後悔も残さないのは難しいこと。
どんな人でも、必ずいくつかは小さな後悔が残るものです。
そこで、「これをやらないと絶対に後悔する」と思うことを書き出してみましょう。
そして、1つ1つ実行に移していきましょう。
家族との時間を大切にする
病気になった時そばで支えてくれるのは、多くの場合家族です。
その大切さ、ありがたさが、普段以上に感じられることでしょう。
元気な時には、大切なはずの家族にひどいことを言ってしまったり、イライラして八つ当たりしてしまったりすることがあるのではないでしょうか。
そんな時間も貴重だったと後悔する人もいるでしょう。
生きている「今」を大切に、家族との時間を過ごしましょう。
家族に迷惑をかけないためにやっておくこと
では、もしもの時に家族が困らないためにやっておくべきことを見ていきましょう。
治療方針などを話し合う
病状が進んだ時、どのような治療をするのかを家族で話し合っておきましょう。
意識がなくなってしまってからでは間に合いません。
延命治療を望むか否か、亡くなったあと、臓器提供を望むかどうかなど、元気なうちにクリアしておくと安心です。
最後に会いたい人をリストアップする
元気なうちに、最期に看取ってもらいたい人や、いざと言う時に連絡をとってもらいたい人の連絡先をリストアップし、家族に伝えておきましょう。
最期の時、本人は意識がなかったり、息をすることさえも困難であることも多く、自分の希望を伝えるのは難しい場合が多いため、早めに準備しておくとよいでしょう。
財産目録・遺言書を作る
死後、最ももめやすいのが遺産相続です。
まずは、財産の目録を作っておきましょう。
相続では、プラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金やローンなど)も全て相続することになります。
そのため、マイナスの資産があった場合、相続人は借金を返済しなくてはならなくなります。
これが分かっていれば、相続放棄などの手続きが可能です。
家族が知らない財産はないか、また、オンラインでの投資など家族に分かりにくい資産はないかなどを明確にしておきましょう。
さらに、分割について細かく指定した場合は遺言書を作成します。
このとき注意したいのが、貸金庫です。
貸金庫の中身は相続対象になるので、あなたが亡くなったあと、相続人でも自由に開けることはできません。
そのため、遺言書はじめ不動産屋保険の証書などを貸金庫に入れてしまうと、相続手続きがスムーズにいきません。
貸金庫に入れる場合は、遺言執行者を指定しておくなど、事前に準備をしておきましょう。
葬儀などの費用を試算する
亡くなった後には葬儀費用や遺品整理などのお金が必要になります。
このとき、家族にどのくらいのお金が必要になるのか試算しておきましょう。
そうすれば、死亡保険金などでまかなえるものも含め、どこまで事前に準備しておけばいいのか分かります。
また、葬儀の形式や内容、お墓についてなども考えておくとよいでしょう。
書類をまとめる
死後、官公庁や自治体などへ提出しなくてはならない書類や返却しなければならないものがあります。
保険証や身分証明書、年金手帳などの書類は、死後に返却したり、手続きにも必要になります。
これらの書類を、分かりやすいよう一カ所にまとめておきましょう。
デジタル遺品の整理
つい忘れがちなのが、パソコンやスマホ、デジカメなどの中にあるデータ「デジタル遺品」の整理です。
ブログやSNSなどを死後に放置したくない場合、サイトの閉じ方を決めておきましょう。
ブログやSNSアカウント名、ID、パスワード、メールアドレスなどがわかるリストを作成しておきます。
また、写真や文章などのデータに関しては、万が一のことがあった場合、あらかじめ指定したファイルをハードディスク上から完全削除するアプリなどを使いましょう。
エンディングノートを作成する
自分の死後に伝えたいこと、書き残しておくべきことは、エンディングノートに記録しておくと役立ちます。
エンディングノートの書き方に決まりや形式はありません。自由に書きましょう。
困った時は・・・
死後に関することで困ったときは、遺品整理業者に相談する方法もあります。
遺品整理業者では、遺品整理の生前予約を受け付けています。
自分で生前整理ができない場合や、死後に家族に迷惑をかけたくない場合は相談してみるとよいでしょう。
近年では、遺品整理以外にも葬儀や相続についてなど、幅広く相談できる業者が増えています。
また、エンディングノートの書き方についても教えてもらえますので、利用してはいかがでしょうか。
まとめ
余命宣告に年齢は関係ありません。
また、いつ訪れるかも分かりません。
余命宣告をされることは非常なショックであり、受け入れられる気持ちには、なかなかなれないでしょう。
しかし、できるならば、自分を見つめ直し、残された時間を大切にできたらいいですね。
そして、残される大切な家族のためにもできる限りのことをしたいものです。