終活は、いまや高齢者だけでなく、若い世代の中にも意識する人が増えています。
かねてからの断捨離ブーム、未婚率の上昇、一人暮らし世帯の増加、子なしを選択する夫婦の増加などが、終活に対する関心を後押ししている側面もあるでしょう。
しかし、ひと口に「終活」と言っても、何をすればいいのか分からない人もまだ多いようです。
そんな時は、実際に終活を始める前に、終活について書かれた書籍「終活本」を読んで参考にしてみてはいかがでしょうか。
今回は、そんなおすすめの終活本や、人気の終活本をご紹介します。
終活本の3つの選び方とは?
終活本は、終活を行う上での参考書のようなものです。
近年、書店でもインターネットでも多く紹介されています。
それだけに、どんな本を選んだらいいか迷ってしまうこともあるかもしれません。
まずは終活本の選び方から見ていきましょう。
- 知りたい内容で選ぶ
- 実践的な内容で選ぶ
- 読みやすさで選ぶ
それぞれのポイントについて説明します。
知りたい内容で選ぶ
終活本と言ってもさまざまで、終活全般について説明されている入門書から、終活で行うことに特化して書かれているものもあります。
終活について、自分が知りたいのはどんなことでしょうか。
終活全体についてなのか、相続について詳しく知りたいのか、または遺品整理について知りたいのでしょうか。
まず、自分に必要な情報が何かをはっきりさせてから、その情報が得られる本を選びましょう。
実践的な内容で選ぶ
終活で何を行うべきなのかが大体分かったら、さらに深くて具体的な内容を知りたくなりますね。
たとえば、以下のようなすぐに使える情報が掲載されている本を選びましょう。
- 希望のお墓を建立するには、どんな石材店に発注すればいいのか
- 遺品整理の生前予約をするにはどうすればいいのか
読みやすさで選ぶ
高齢になってくると、小さい文字は見づらくなってくるものです。
そんな人は、年配者向けの終活雑誌などが良いでしょう。
文字が大きめで読みやすく、写真やイラストなどの図版も豊富なので、楽しみながら終活について知ることができます。
おすすめの終活本〜終活入門編
まずは、終活全体について知りたい人におすすめの本をご紹介します。
- 終活の教科書
- クロワッサン特別編集 終活読本。
- 『終活読本ソナエ』産経新聞出版
それぞれのポイントについて説明します。
終活の教科書
『終活の教科書』終活カウンセラー協会監修/タツミムック(2013年)
終活についてのスペシャリストを育てている「一般社団法人 終活カウンセラー協会」が監修している終活本です。
以下のような終活で必要なことが一通りわかります。
- 終活を行うことのメリット
- 身辺整理のやり方
- お墓の話
- 介護計画
- 葬儀計画
- さまざまな手続き
- 遺言書
ムック本なので、文字も大きく読みやすいのも良いところです。
2013年の出版ですが、終活で何をするのか分からない人、これから終活を始めたい人におすすめです。
クロワッサン特別編集 終活読本。
『クロワッサン特別編集 終活読本。』マガジンハウスムック(2021年)
雑誌『クロワッサン』が作った終活本です。
こちらもムック本なので、文字が大きく、読みやすいレイアウトになっています。
この本では、終活を「家族に迷惑をかけない」「したいことを実現する」ものと位置づけ、終活を以下のように4章に分けて解説しています。
- 終活の大きな項目である身辺整理(第1章 ものを残す・手放す
- 遺産相続(第2章 財産の相続手続き)
- お葬式やお墓について(第3章 葬儀・墓をどうする?)
- 今後を生きていく心の持ちよう(第4章 心も整理する)
豊富な図版が使われ、何をどうすればいいか、具体的に解説されています。
終活を今後の人生をより良く生きるための活動として、明るい雰囲気の中で知ることができます。
『終活読本ソナエ』産経新聞出版
『終活読本ソナエ』産経新聞出版(2013年)
日本初の終活誌として2013年に創刊された雑誌です。
季刊として年に4回発売されています。
この雑誌は以下のような具体的な記事が豊富に掲載されています。
- 一般的な終活の話題
- お墓の引っ越しや価格
- 寺院とのトラブル解決
- 高齢者に多い膝痛や腰痛の対処
表紙に芸能人が登場し、著名人へのインタビューも掲載されています。
季刊なので、最新の終活情報を知りたい人におすすめです。
おすすめの終活本〜片付け編
終活で生前整理や断捨離を行いたい方におすすめの本をご紹介します。
- シニアの断捨離
- 50歳からはじめる人生整理術 終活のススメ
それぞれのポイントについて説明します。
シニアの断捨離
『シニアの断捨離』やましたひでこ著/TJ MOOK(2019年)
すっかり社会に浸透した「断捨離」という言葉の生みの親・やましたひでこさんの本です。
高齢になればなるほど体力がなくなり、片付けは負担が大きくなってきます。
そんな中、何を捨て、何を残すか選ぶ作業は精神的にも体力的にも大変に違いありません。
でも、人生を折り返したあとは、なるべくシンプルに過ごしたいものです。
老後を見据えて、自分自身をより大切にし、楽しい日々にするためのノウハウが詰まっています。
やらなくちゃ、と思いながらなかなか一歩を踏み出せない人の背中を押してくれる一冊です。
50歳からはじめる人生整理術 終活のススメ
『50歳からはじめる人生整理術 終活のススメ』柴田和枝著/日経BP社(2016年)
終活カウンセラーの資格を持つ著者が、ITを活用した終活について解説してくれる本です。
生前整理を行う場合、大量の写真やデジタル遺品の整理は簡単ではありません。
この本では以下の3つに焦点を当て、実例を交えながら上手な整理のノウハウを教えてくれます。
- 写真整理
- デジタル遺品
- エンディングノート
おすすめの終活本〜介護・住宅・生活編
終活で絶対に欠かせない介護・住宅・生活について知りたい方におすすめの本をご紹介します。
施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法
『施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法』田中聡著/詩想社新書(2021年)
著者は一級建築士で、自身で設計した介護施設の施設長も勤めた経験があります。
著者は、より良い人生の最後を迎えるために最もふさわしいのは自宅であると説きます。
老後を安心して過ごすための戸建て住宅やマンションのリフォーム法、最期まで暮らせる新築住宅を提案します。
また、介護施設長だった経験から、介護施設の良し悪しの見分け方も明かします。
理想的な「最期の居場所」を考えている人におすすめです。
おすすめの終活本〜相続・手続き編
終活で準備しておくべき相続や様々な手続きについて知りたい方におすすめの本をご紹介します。
- 知っておきたい 身近な人が亡くなった後の手続き・届出・相続がわかる本
- 改訂版 家族に迷惑をかけないために 今、自分でやっておきたい相続対策
それぞれのポイントについて説明します。
知っておきたい 身近な人が亡くなった後の手続き・届出・相続がわかる本
『知っておきたい 身近な人が亡くなった後の手続き・届出・相続がわかる本』伊藤綾子監修/成美堂出版(新版・2019年)
死後にやるべきことを全て把握できている人は、ほとんどいないと言っていいでしょう。
特定社会保険労務士である著者が、身近な人が亡くなった際に行わなくてはならない手続きや届け出などを網羅しています。
豊富な図版でやるべきことが素早くわかるので、家族と一緒に予習しておくとよいでしょう。
改訂版 家族に迷惑をかけないために 今、自分でやっておきたい相続対策
『改訂版 家族に迷惑をかけないために 今、自分でやっておきたい相続対策』堀口敦史著/同文舘出版(2022年)
死後に最も多いのが、相続問題です。
「うちに限って・・・」と思わずに、いつまでも仲の良い家族でいてもらうために、自分でできる対策は講じておきたいものです。
民法改正にのっとった相続の基礎知識解説をはじめ、以下の3点に絞って円満な相続を行うための一冊です。
- 財産の把握
- 財産の整理
- 財産の移転
おすすめの終活本〜エンディングノート編
終活で人気のエンディングノートについて知りたい方におすすめの本をご紹介します。
- 終活のリアル〜どうしてあの人はエンディングノートを書くのか』
- 未来に向けてスッキリ整理する! 新エンディングノート
それぞれのポイントについて説明します。
終活のリアル〜どうしてあの人はエンディングノートを書くのか』
『終活のリアル〜どうしてあの人はエンディングノートを書くのか』NPO法人ら・し・さ編(2015年)
NPO法人「ら・し・さ」は、終活アドバイザー協会を運営しているNPO法人です。
相続、医療・介護、葬儀などをテーマに、終活にまつわる45のエピソードを紹介しながら、エンディングノートを書くことの意味について説明された本です。
エンディングノートのみならず、終活に関連する知識をやさしい語り口でわかりやすく伝えています。
- 遺言書
- 相続手続き
- お墓の選び方
未来に向けてスッキリ整理する! 新エンディングノート
『未来に向けてスッキリ整理する! 新エンディングノート』若尾裕之著/秀和システム(2020年)
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で葬儀の常識が変わってしまいました。
家族葬が大半となり、オンライン葬儀も当たり前になりつつあります。
また、延命措置についてなども、新型コロナに感染して重症化した場合について改めて考え直す必要が出てきました。
コロナによって変わってしまった新しい常識に合わせて、新しい未来を作るためのエンディングノートを書くための一冊です。
まとめ
終活というと、暗いイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし今、終活は、終焉を考えることによってより良い人生を過ごし、残された家族を幸せにするための活動というポジティブな側面がクローズアップされています。
終活は十人十色です。
まず入門編から始めて終活の全体像を知り、さらに自分に必要な項目を深く知ることのできる本を探すとよいでしょう。
インターネットであれば、バックナンバーを取り寄せたり、電子書籍で読んだりすることもできます。
自分に合った本で知識を深め、より良い終活を目指しましょう。