デジタル遺品の生前整理、今のうちから始めましょう

デジタル遺品の生前整理、今のうちから始めましょう

生前整理を行う人が増えています。
「生前整理」とは、自分の死後、家族が遺品整理で困らないように、元気なうちに身の回りを整理しておくことです。
中でも近年、注目されているのが「デジタル遺品」の整理です。
今回は、デジタル遺品とは何か、また、デジタル遺品整理で生前に行っておきたいことは何か、見ていきましょう。

デジタル終活のすすめ

銀行口座もデジタル終活

デジタル終活とは?

デジタル遺品とは、故人のスマートフォンやパソコンなどのデジタル機器に残された情報やデータのことです。
自分の持っているパソコンやスマホのことを思い浮かべて見てください。
これらのデジタル機器は、想像以上にプライベート性の高いもの。
家族には見られたくない画像や動画が入っている人もいるかもしれません。
また、電子化が進む社会において、これらの電子機器には個人情報や金融関係の情報などが多く含まれるようになりました。
たとえ家族でも、見られるのはちょっと躊躇してしまう人が多いのではないでしょうか。
また、これらのデジタル機器は、パスワードなどが必要なものが多く、残された家族は開けることもできず処分に困ることになります。

家族に迷惑や負担をかけないためにも、デジタルデータは整理しておくのがおすすめです。
電子機器の普及とともに「デジタル終活」という言葉も生まれているほど、デジタルデータの整理や処分はポピュラーなものになってきています。
「終活」という言葉には、高齢者というイメージがあるかもしれません。
しかし、終活は高齢者だけのものではなく、40代、50代の人や、20代など若い世代にも広がっています。

人生、いつ、どんなことが起きるかわかりません。
デジタルデータなしでは動かない世の中と言っても過言でないこんにち、デジタル終活に関しては、パソコンやスマートフォンの利用者すべてが考えるべき問題と言えるでしょう。

デジタル遺品には何がある?

デジタル遺品にはさまざまなものがあります。
自分はどのようなものを持っているか、チェックしてみましょう。

画像や動画、ファイルなどのデータ

パソコンやスマホ、デジタルカメラ、外付けハードディスク、USBメモリ、カードメディアなどに入っている写真や動画、また、さまざまなアプリケーションを使って作ったファイルなどすべてのデータが、自分の死後に「デジタル遺品」となります。

SNSなどのID・パスワード・データ

SNSを利用していたり、ブログを書いていたりする人は、それらに関するIDやパスワードなどをまとめて整理しておきましょう。
また、スマホのパスワードは、たとえ家族であってもキャリア会社に教えてもらうことはできません。
そのため、何も対策をせずにいると、SNSの情報が漏洩したり、家族がスマートフォンのロックを開けないということになってしまいます。

お金関係の情報

ネット銀行やネット証券の情報もデジタル遺品です。
ネット銀行や証券の情報やパスワードも、家族であっても簡単には教えてもらえません。
口座情報が分からないと、残された家族が資産を確認できなくなってしまいます。
そもそもネット銀行やネット証券を利用していたことを家族が知らないケースも多々あります。
これらの存在が相続完了後にわかると、かなり面倒なことになってしまいます。
お金関係の情報は、家族にしっかり引き継いでおきましょう。

また、ネットショッピングやネットオークションなどのアカウント、音楽、動画、書籍などの有料サイトや会員制サイトのアカウントなどもデジタル遺品です。
こちらも、死後に解約ができないと、本人が亡くなっていても料金を請求されることになってしまいます。

デジタル遺品の生前整理、その必要性は?

写真もデジタル遺品に

デジタル化により、ここ20年ほどで私たちの生活は大きく変わりました。
仕事は手書きからパソコンへ、連絡は電話よりもメールやLINE、写真は紙焼きせずデータで保存するのが一般的になっています。
また、買い物もインターネットで簡単にできるようになりました。

デジタル化で便利になった生活。
しかし、一方ではデジタル遺品によるトラブルも増えています。
ひとつは、人に知られたくない自分だけの情報が、人に知られてしまうこと。
もうひとつは、相続など死後に行う手続きでトラブルになりかねないことです。
どのようなことになってしまうのでしょうか。

さまざまな問題が発覚してしまう

パソコンやスマートフォンには写真や動画、スケジュールなどのプライベートな情報が保存されています。
そのほとんどは趣味や楽しい思い出を収めたものですが、中には家族に知られたくない・見られたくないものが混じっていることもあります。
たとえば異性関係や、金銭面・対人関係でのトラブルの記録などが見つかってしまうことがあるのです。
このようなデジタル遺品が見つかり、家族が傷ついたり困惑したりするケースがたくさん起きています。

個人情報の漏洩

昔は、友人・知人や仕事関係の連絡先は、手帳やアドレス帳などに記入するのが一般的でしたが、近年はスマートフォンやパソコンに保存している人が増えています。
パスワードをかけた状態で亡くなってしまうと、訃報を知らせたい人に遺族が連絡できなくなってしまいます。

また、クレジットカードや電子マネーの情報も電子機器内に入っているケースも多いようです。
もし、遺族がデジタル機器内のデータ消去を十分に行わずに処分してしまうと、連絡先などの個人情報や画像などのプライバシーや仕事上の重要な情報が流出したり、カードを悪用されたりする可能性があります。

アカウントの乗っ取り

あなたはLINEやFacebook、InstagramなどのSNS利用者やブログなどを利用し、情報を発信していますか?
もしも、自分の死後もそのまま放置していると、なりすましに悪用され、ネット上で大きな問題を引き起こす可能性があります。

デジタル遺産の相続

パソコンの中にネット銀行、株やFXなどの情報が残されていることがあります。
これらは相続の対象となりますが、IDやパスワードが分からなければ確認も出金もできません。
また、故人にしか分からない負債を抱えていた場合、この負債も相続することになるため、大きなトラブルを引き起こす可能性があります。

有料サイトの利用料課金

有料サイトや会員制サイトを利用している場合、利用料が自動引き落としになっていることがあります。
これらの料金は、退会手続きを行わない限りいつまでも請求されることになります。

デジタル遺品の生前整理。すぐできる対策とは?

デジタル遺品を記録している

デジタル機器内に残されたデータは、自分の死後、残された遺族に大きな負担をかける恐れがあります。
遺族を悩ませないためには、生前に整理をしておくのが一番です。

普段から整理しておく

ネット上で利用しているサービスとそのアカウントやパスワード、自動引き落としなどの重要な情報を一覧表にまとめておきましょう。
この表の存在を家族に伝えておけば、家族は必要なときすぐに解約などの手続きが行えます。
終活でエンディングノートを書いている人は、書き留めておくとよいでしょう。
それに加え、不要なデータは、人目に触れないようこまめに削除しておきましょう。

フォルダ分けする

「見られてもいいフォルダ」と「見られたくないフォルダ」を作り、データを振り分けておきましょう。
家族にも見られたくないデータは削除しておくか、専用のフォルダを作理、パスワードを設定してロックをかけておきましょう。

自動削除ソフトを入れておく

一定期間パソコンを起動しないとファイルが自動的に削除されるソフトがあります。
このようなソフトを利用すれば、死後に見られたくないファイルが残りません。

家族に伝えておく

大切なデータやネット銀行などのログインIDとパスワードは家族に事前に知らせておきましょう。
せっかく一覧表にしても、その存在を家族が知らなければ意味がありません。
ただし、家族以外の人に見られることがないよう、家族にしか分からない保管場所を選びましょう。

まとめ

生前整理を話し合う家族

もし、突然死んでしまったら・・・。
デジタル化されている社会では、遺族は故人のパソコンやスマホを開けたくなるのではないでしょうか。
生前の仕事関係者や知人・友人に故人の死を連絡するのは、そうするしか手段がないことが多いからです。
家族は、本当は故人のパソコンを開けることを心情的には望んでいないかもしれません。
そんなとき、もしも「見なければよかったファイル」が家族の目に入ってしまったら・・・。
こんなことのないよう、デジタル遺品の整理と対策はしておいた方がよいでしょう。
美しい思い出を大切にするためにも、定期的な整理を行いましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。