葬儀の生前契約、契約の流れや注意点

葬儀の生前契約、契約の流れや注意点

広く知られるようになってきた終活。
終活にはさまざまな内容がありますが、その一つに「お葬式について考える」というものがあります。
自分のお葬式について、どのような場所・規模で、どのような形式で、誰に来てほしいか・・・などを考えておくのです。
通常、お葬式というのは、当然ながら自分がこの世を去ってから行われるので、どのようなものになるか分かりません。
そのため、自分の理想のお葬式で送ってもらえるように、あらかじめ終活でお葬式について考えておくのです。
その中で「葬儀の生前契約」をする人が増えています。
今回は、葬儀の生前予約についてや、契約する際の注意点などについて見ていきましょう。

葬儀の生前契約とは?

葬儀の生前契約

葬儀の生前契約とは、どんなもの?

葬儀の生前契約(生前予約)とは、本人が、存命中に自分のお葬式を葬儀社に予約しておくことです。

とは言っても「何月何日に執り行う」というように、日時が決まった予約ではありません。
“その日”が来たとき、自分の葬儀はその葬儀社に任せること、葬儀をどのような内容にするかを、あらかじめ決めておくことです。

葬儀の生前契約は、100年ほど前、アメリカの葬儀社が始めた「プレニード」というサービスが最初といわれています。
合理性を重んじるアメリカでは、生きているうちに自分の葬儀の内容や費用が把握できるプレニードは、1910年代から生前契約をする人が増えていきました。

日本では、1990年代に初めて生前契約のサービスが提供されるようになりました。
日本では、葬儀に関することには漢字表記が多く使われますが、最近では「プレニード」という言葉を使うこともあるようです。

「生前契約」と「生前予約」の違いとは?

元気なうちに葬儀の相談をすることについて、「生前契約」と「生前予約」という表現を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
似ている言葉ですが、実は「生前契約」と「生前予約」は少し違う意味で使われることもあるようです。

「生前契約」とは、先ほどご紹介した「プレニード」のことです。
生きているうちに、前払いまたは生命保険金などで葬儀費用を払うという「契約」を行います。
当然ながら契約書が作られ、「サービスの提供」と「サービスへの対価の支払い」が決められます。

これに対して、「生前予約」は、ここまで厳格ではありません。
生前予約は、「葬儀について葬儀社のスタッフに相談し、自分の行いたい葬儀のかたちを決めていく」というものです。
相談の中で納得できたら、この葬儀社で葬儀を行いたいという意思を表しますが、明確な契約書までは交わさないことも多いようです。
「生前予約」は、終活の一環として行われることが多く、「自分好みの葬儀を行うための相談をする」という側面が大きいようです。
もちろん葬儀社のスタッフに相談をし、希望する葬儀にはどのくらい費用が必要か見積もりを出してもらうこともできます。
生前予約の場合は、どこまでお金を払うか、各社によって異なります。
前払いや手付金を払うところや、会員登録と相談だけのところもあります。
葬儀社で確認するとよいでしょう。

生前契約の流れは?

生前契約の流れ

では、葬儀の生前契約の流れを見ていきましょう。

葬儀社を選ぶ

まず最初に、葬儀の生前契約を行っている葬儀社を探します。
インターネットで検索すれば、さまざまな葬儀社が出てきますので、比較検討してみましょう。
大切な葬儀の相談です。信頼できそうな葬儀社を探しましょう。
良さそうなところが見つかったら、資料を取り寄せたり、電話などで問い合わせてみましょう。

実際に相談してみる

選んだ葬儀社を実際に訪問し、サービス内容や費用を確認します。
葬儀社には、自分がどのような葬儀をしたいか具体的に伝えましょう。
会場や葬儀の規模や参列してほしい人の数、どんな宗教・宗派で行うのか、または無宗教で行いたいのか。
最近では、音楽葬など、故人が好きだった音楽を生演奏したり、趣味の作品を飾ったりする自由な形式の葬儀も増えています。
このようなこだわりなどを細かく伝えれば、葬儀社は要望に合った葬儀プランを提案してくれます。
また、知らなかった演出方法などもあるかもしれません。
スタッフと話し合い、いろいろな可能性を考えるとよいでしょう。
内容に納得できたら生前契約しましょう。

葬儀の生前契約のメリットとは?

生前契約のメリット

では、生前契約のメリットを見ていきましょう。

希望通りの葬儀を行える

何と言っても最大のメリットは、自分好みのお葬式を行えることでしょう。
終活で利用する人の多いエンディングノートに希望を書いておくことはできます。
でも、エンディングノートには法律的な拘束力はなく、残された家族がその通りの葬儀をしなくてはならない強制力はありません。
また、葬儀までに時間がないことも多く、理想の葬儀を行える葬儀会社を家族が見つけられないこと、また、見つかっても、葬儀までに準備が整えられないこともあります。
しかし、生前契約であらかじめ葬儀社と葬儀プランが決まっていれば、このような心配はありません。

葬儀についてじっくり考えることができる

もしものことがあった時、葬儀には誰を招いてほしいのか、どのような内容・予算で行って欲しいのかなど、人それぞれに希望があります。
生前契約であれば、時間はたっぷりあるので、これらについてゆっくり考えることができます。
それこそ、遺影に使う写真選びやBGMとして流してほしい音楽など、細かいところまで決めておくことができます。

家族の負担を軽減できる

葬儀を考えるとき、大きな問題は「お金」です。
葬儀にかかるお金は大きく、しかも、人が亡くなると講座が凍結されるため、すぐに引き出すのが難しくなります。
しかし生前契約の場合は、「見送られる人」がすでに費用を支払っているため、家族が金銭的な負担をせずに済みます。

また、葬儀は多くの場合、亡くなってから2〜3日で行われるため、肉体的・精神的にも、家族には大きな負担となるものです。
生前契約によって葬儀の内容が決まっていれば、決めごとが少なくて済むため、家族の負担が軽くなり、ゆっくりお別れすることができます。

葬儀の生前契約のデメリットとは?

生前契約のデメリット

よいことづくめのような生前契約ですが、デメリットはあるのでしょうか。

理解されにくい

希望を叶え、家族にも負担のかからない生前契約ですが、まだ一般的に理解されにくいという面があります。
日本では、生きているときに死後のことを考えるなど縁起が悪いという気持ちを持つ人がまだ多いものです。
家族や親族の中には受け入れがたい人もいるかもしれません。

さらに、自分の行いたい葬儀の内容そのものが受け入れられない場合もあります。
特に自由葬の場合、家族が考える葬儀とあまりにかけ離れている場合、家族に不満が残ってしまう可能性も考えられます。
そのため、生前葬儀を考えるなら、家族とよく相談しながら進めましょう。

更新の有無

生前契約は、永久に保証されているのか、契約に更新があるのか、葬儀社によって異なります。
誰でも気持ちは変わるものなので、変更したい部分が出てくることもあるでしょう。
そのようなときに、すぐに相談できないと困りますよね。
生前契約を行う前には、契約した内容の更新や、見直しなどができるかを確認しておくと良いでしょう。

希望が叶わないケースがある

葬儀の内容を相談して生前契約をしても、実際の葬儀が希望どおりにならない可能性があります。
世の中は変化していくため、物価および葬儀にかかる費用などが、契約当時とはかけ離れたものとなっている可能性も十分にあります。
そうなると、生前に思い描いていた葬儀が行えず、かなり規模を縮小したものとなってしまうことも考えられるのです。

また、費用は事前に支払うこともできますが、葬儀が終わった後に払う方が安心だといわれています。
なぜなら、その葬儀社が、自分が葬儀を行いたいときまで存続しているとは限らないからです。
契約だけして、いざという時に葬儀社が潰れていた・・・などということが起きないとも限りません。
そのため、支払いをするための財産の確保をするとともに、契約はきちんと行い、書面に残すようにしましょう。

まとめ

少子高齢化が進む中、「自身の死後のことが心配」という人が増えています。
特に、身寄りのない人や家族に負担をかけたくないと考える人の間で、葬儀の生前契約への注目度が高まっています。
元気なうちに葬儀の内容を決めて生前契約をしておけば、死後の負担を軽減することができます。
まず、終活の一つとして、自身の葬儀をどのように行いたいかを考えてみるとよいでしょう。
家族ともよく話し合い、最後のセレモニーを素晴らしいものにできたらいいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。