遺品の中でも、特に衣類は量が多いものです。
衣類は故人が直接身につけていたものだけに、処分しづらいと感じる人も少なくないようです。
亡くなった人の衣類は、どんなタイミングや方法で処分すればよいのでしょうか。
亡くなった人の衣類処分のベストタイミング、関係者皆が納得いく方法について分かりやすく解説しています。
目次
残されやすいのはどんな衣類?
亡くなった人の衣類には、さまざまな種類があります。
どんなものが残ることが多いのでしょうか。
着物・和装品
昔は、嫁入り道具として訪問着、色無地、小紋、黒留袖、喪服など、一式を揃えるのが普通でした。
そのため、特に高齢者が亡くなったあとは、大量の着物が残されることが多いようです。
故人が着物好きで普段から和服で過ごしていたり、お茶やお花などをやっていたりすると、枚数はさらに多くなるでしょう。
このようなことから、高価な正絹の着物がたくさん残されるというケースもあるようです。
残された家族に着物好きな人がいればいいのですが、それでも、昔の人とはサイズが違ったり、微妙に袖の長さなどが違ったりして、結局着られないということも多いようです。
さらに、正絹の着物はメンテナンスに手間や費用がかかるため、タンスにしまったまま、ということになりやすいでしょう。
浴衣は木綿なので扱いは難しくありませんが、やはり昔のものは丈が短いなど、サイズが合わないことが多いようです。
スーツ・ジャケット・コート
スーツやジャケット、コートなども、亡くなった人の衣類で残されることが多いものです。
昔は、スーツやジャケット・コート類は現代のように安くありませんでした。
また、高級衣類として仕立てることも多かったので、着なくなってももったいなくて捨てられないという人が多いようです。
男女ともに残されることが多い衣類ですが、古いものは袖ぐりが狭く腕を通しにくい、丈が短いなど着用しづらかったり、襟の太さ・大きさや身幅などが流行から外れていたりして、実際に着ることは難しいものが多いでしょう。
普段着
実際にはもう着なくなっていても、お気に入りの普段着を大切にとっておく人は少なくありません。
特に、高齢者は「もったいない」とモノを捨てられない傾向があるので、クローゼットや押し入れに、大量に衣類が残されているケースもあります。
ねまき・パジャマ
亡くなった人が入院していたり、施設で介護を受けていたりした場合、ねまきやパジャマが大量に残されることがあります。
予備用に買っておいたものがあると、新品のまま残されていることもあるでしょう。
特に、着脱がしやすい介護用のパジャマなどは、普通の人にとっては使いにくいこともあります。
肌着類
肌着類も大量に残ることが多い衣類です。
肌着に関しては、使用されたものは処分するしかないでしょう。
また、介護用の肌着は、新品であっても、普通の人には使いにくいので、とっておくのは難しいでしょう。
亡くなった人の衣類の処分方法とは?
亡くなった人の衣類は、どのように処分すればよいのでしょうか。
故人に着せる
遺品整理を行う前の話になりますが、故人が特に気に入っていた衣類があれば、着せてあげるとよいでしょう。
一般的に、ご遺体には白い着物を着せますが、絶対の決まりではなく、お気に入りの衣類を着せてあげることもできます。
もし、亡くなる前に本人が話していたり、遺言に残っていたりした場合は、希望をかなえてあげましょう。
形見分けをする
まだ新しいものや、現在でも着られるようなデザインのものがあれば、親族や故人と親しい友人・知人に形見分けしましょう。
中には、故人との思い出のある衣類もあるかもしれません。
事前に、形見分けをしたい人に聞いてみるのもよいでしょう。
また、家族や親族の中には、これをもらうと約束していたり、故人を偲ぶよすがとして持っていたいものがあるかもしれません。
親族が集まる機会に形見分けをしましょう。
仕立て直す
着物やスーツなどは、洗い場張りをしたり、仕立て直したりして、着やすく作り直すこともできます。
ただし、費用はかかります。
リメイクする
亡くなった人の衣類の中には、着物や浴衣などのように、実際に着ることは難しいけれど、生地や柄が素敵なものもあります。
そのような衣類を利用してリメイクしましょう。
ぬいぐるみやアクセサリーを作ったり、バッグなどに生まれ変わらせたりすることができます。
形を変えて故人のお気に入りだったものを、いつも身近に置いておくことができます。
遺品整理業者に買い取ってもらう
遺品整理を業者に依頼するのであれば、亡くなった人の衣類を買い取ってもらえるかもしれません。
近年、遺品整理業者は豊富なサービスを用意しており、遺品の処分とともに買い取りも行っています。
買い取ってもらえれば、その分、遺品整理費用が浮くことになるのでお得です。
専門業者に売却する
近年、着物や洋服など、亡くなった人の衣類を買い取ってくれる専門業者が増えています。
専門業者は、そのジャンルの知識が豊富なので、良いものであればリサイクルショップに持ち込むより高値で売却できる可能性があります。
自分で売却する
亡くなった人の衣類でまだ着られるものは、リサイクルショップに持ち込んだり、ネットオークションやフリマアプリで売却することができます。
特に近年は、遺品をフリマアプリに出品する人が増えています。
遺品であることを明示しても、気にする人はそれほど多くないようです。
リサイクルに出す
亡くなった人の衣類の処分には、地域や自治体で行っている衣類・布類のリサイクルに出す方法もあります。
衣類は貴重な資源となりますが、出す前にカビが生えていないか、虫食いがないかなどを確かめましょう。
また、自治体によっては着物など特定の衣類は引き取ってもらえないことがあるので、事前に確認が必要です。
供養する
残しておくことはできないけれど、ただ処分してしまうのは罪悪感がある・・・という場合は、供養するという方法もあります。
近所のお寺や神社で供養してもらえないか相談してみましょう。
もし遺品整理を業者に依頼するのであれば、業者に供養を依頼する方法もあります。
その場にお坊さんを招いてお経をあげてもらう現場供養や、供養したいものを集めて提携のお寺でお焚き上げしてもらう合同供養があります。
見積もりの際に相談してみましょう。
可燃ごみとして処分する
あまりにも古いものや破損があるもの、生地自体が傷んでいるものは、可燃ごみとして処分します。
自治体のルールに従って、決められた日に出しましょう。
亡くなった人の衣類は、いつ処分すればいいの?
亡くなった人の衣類は、いつ処分すればよいのでしょうか。
処分しやすいタイミングについて見ていきましょう。
親族が集まるタイミング
四十九日や一周忌など、法要は親族が集まる機会です。
親族の中には、形見として亡くなった人の衣類を手元に置いておきたいと考える人もいるかもしれません。
また、亡くなった人の衣類の中には、市場価値のつくものがあるかもしれません。
このようなものは遺産相続にも関わってきますので、親族が集まる中で衣類を分類・処分するのがよいでしょう。
また、希望していたもの以外にも良いものがあれば、差し上げるのもよいでしょう。
気持ちが整理できてから
亡くなった人の衣類は、いつ処分しなくてはならないと決まっているわけではありません。
そのため、特に急ぐ必要がないのであれば、気持ちの整理がついてからの処分でもよいでしょう。
亡くなって日が浅いと、何を見てもいろいろなことを思い出したり、悲しみがよみがえって、なかなか作業が進まないこともあります。
遺族が故人の住んでいた家に住み、相続税の対象となりそうなものが特にないようであれば、処分は気持ちの整理がついたタイミングでよいでしょう。
ただ、あまりにも長い間放置していると、処分が面倒になってしまうことがあります。
ある程度の時間が経って落ち着いたら処分するのがおすすめです。
急いだ方が良い場合とは?
故人がマンションやアパートなど賃貸物件に住んでいた場合は、期日までに退去するため、遺品整理を早めに行う必要があります。
長く置いておけば、それだけ家賃を支払わなくてはなりません。
また、戸建ての場合でも、その家が空き家となる場合は、放火や不法投棄などをされる恐れがあります。
そのため、遺品整理や亡くなった人の衣類の処分は早い方がよいでしょう。
まとめ
亡くなった人の衣類の処分は、法要のときなど親族が集まるタイミングで行うのがおすすめです。
相続の対象となるものがあればよけておき、形見分けをするとよいでしょう。
急ぐ必要がない場合は、気持ちが落ち着いてから、ゆっくり処分してもよいでしょう。
亡くなった人の衣類の処分方法は、故人に着せる・形見分けする・仕立て直す・リメイクする・売却する・リサイクルする・供養する・捨てるなどの方法があります。
量が多く、簡単に片づけられない場合は、遺品整理業者を利用し、買い取りなどしてもらうとよいでしょう。