遺品整理で大量に出る衣類の処分方法~捨てるもの? 捨てないもの?

遺品整理で大量に出る衣類の処分方法~捨てるもの? 捨てないもの?

遺品整理の際、処分に困るのは大型家具や家電などだけではありません。
意外かもしれませんが、衣類もかなり処分が面倒な品目のひとつです。
特に大きなものではありませんが、量が多いのが特徴です。

特に70歳以上の高齢者はものを大切にする人が多いので、たとえ不要になったものでも捨てずに取ってあることも少なくありません。
そのため、何十年前の衣類が取ってあることも多いのです。

そこで、衣類の処分についてみていきましょう。

遺品となりやすい衣類は?

  • スーツ
  • 着物
  • パジャマ
  • 毛皮など高級衣類

スーツ

男女を問わず、スーツは捨てにくい衣類のようです。
現代では、スーツは安価になり買いやすくなっていますが、昔は、スーツは高価なものだったため、古くなっても捨てられずに置いている人が多いようです。
また、同じ理由でジャケットもなかなか捨てる決心がつかないようです。

着物

昔の女性は、結婚の時に嫁入り道具として着物を一式作るのが当たり前でした。
また、高齢者では着物が普段着という人もいます。
高価な着物は、大切に手入れをしながら親から子へ引き継ぐものでしたが、現代ではなかなか難しくなり、着物が何枚も残されることがあるのです。

遺品整理 衣類 着物

現代では、着物は七五三や成人式など特別な機会以外にはあまり着なくなってしまいました。
特に、高価な正絹の着物はメンテナンスが大変で費用もかかるので、しまわれたままになってしまうことも多いようです。

パジャマ

病気で入院していたり、施設などで介護を受けていたりした人の場合、パジャマがたくさん遺されることがあります。

未使用のものであれば使えそうですが、介護用のパジャマは着脱しやすいような構造なので、普通の人にとっては使いにくいデザインになっています。

毛皮など高級衣類

毛皮や本革、カシミアなどの高級な衣類も、なかなか捨てられないものです。
価格が高く、思い切って買ったものは、着なくなったとしてもなかなか捨てる踏ん切りがつかないようです。

衣類の処分方法①~捨てる編

  • ごみとして出す
  • 業者に依頼する

ごみとして出す

ごみとして、自治体の回収に出します。
基本的には燃えるごみとして処分できますが、自治体によってはルールが決まっている場合があります。

綿100%なら燃えるごみとして出せますが、ナイロンやレーヨン、ポリエステルなどの化学繊維や皮革は、自治体によって処分方法が異なります。
たとえば、燃えないごみとして出す、細かく裁断しなくてはならない、布製品専用の指定日がある、などの地域があります。
衣類をごみとして出す場合は、居住地区の自治体の処分方法を確認しておきましょう。

遺品整理 衣類 燃えるごみ

また、燃えるごみに出せる場合でも、1回に出せる量が決まっていることがあります。
衣類は想像以上にかさばるので、あまりにも大量にある場合は、何回かに分けて捨てる必要があります。
自治体によっては、古着屋古布の回収を行っています。町会などで集団回収している地域もありますので、そちらに出すのもよいでしょう。

ただし、汚れている布はリサイクルできないので、洗濯していない衣類、下着類などは細かく切って燃えるゴミに出しましょう。
特に女性用の下着は、不用意に捨てると犯罪に使われることもあるので注意が必要です。

業者に依頼する

業者に依頼するメリットは、自宅まで来てもらい全て持ち帰ってもらえることです。
自分でゴミとして処分したり、店舗などに持ち込んだりする必要がなく、手早く処理をしてもらうことができます。大量にある場合も手間がかかりません。

ただし、残念ながら悪徳業者が存在することも事実です。
業者に依頼する場合は、インターネットなどで業務内容を確認し、複数の業者で相見積もりを取りましょう。

不用品回収業者

近年、エコの観点から、回収した衣類をそのまま処分してしまうのではなく、海外などへ輸出してリサイクルしたり、国内でリユース販売したりする不用品回収業者が増えています。
なかには、売れた場合、販売額の10%程度をキャッシュバックしてくれる業者もあるようです。

遺品整理業者

遺品整理業者に依頼するのもお勧めです。
遺品整理業者のなかには買い取りを行っているところもあります。ホームページなどで確認しましょう。

遺品整理業者に依頼するメリットは、衣類だけでなく、その他の遺品整理に関するアドバイスもしてもらえるところです。
また、衣類以外の品物も併せて処分してもらうこともできます。
さらに、遺品を供養してくれる業者もありますので、相談してみるとよいでしょう。

衣類の処分方法②~捨てない編

  • 故人に着せる
  • 形見分けをする
  • 形を変えて保存する
  • リサイクルショップで売る
  • インターネットで売る
  • フリーマーケットに出す
  • 寄付する

故人に着せる

大量に処分することはできませんが、故人が気に入っていた洋服や高価なスーツ、着物などを故人に着せて送ってあげましょう。
着せられない場合は上からかけてあげてもOKです。

思い出のものや愛用品であっても燃えないものはお棺に入れることができませんが、衣類なら大丈夫です。
ただし、貝殻のボタンや金属製の飾りなどは外しておきましょう。

形見分けをする

形見分けは、故人の親族や親しくしていた人たちに、故人の衣類や装身具などを記念として贈る習わしです。
一般的に、仏式では四十九日、神式では五十日祭の忌明けに行われます。

遺品整理 衣類 形見分け

誰に何を贈るかは故人の遺言があればそれに従いますが、ない場合は遺族が相談して決めます。
形見分けは、事前に相手に受け取る意思があるかどうかを確かめ、包装せずに渡します。

形を変えて保存する

そのまま捨てるには忍びないけれど、置いておくこともできないものは、形を変えて保存しましょう。

画像として残す

最も簡単なのは、デジカメなどで写真に撮ることです。
親類など集まった際に画像を見ることで、思い出を語る“よすが”にもなります。

また、画像は複製したり、紙焼きしたりすることもできるので、親族だけでなく、親交が深かった知人や友人の要望に合わせ、デジタル形見として配布することもできます。

リメイクする

故人の服の布から、ぬいぐるみや手提げなどを作ったり、パッチワークの素材にしたりすれば、長く使うことができ、個人を偲ぶことができます。

着物は、そのままの生地を活かしてワンピースやドレス、ブラウスやスカートなどにリメイクするとよいでしょう。
専門の業者もあり、ドレスなどのほか、ネクタイやストール、髪飾りなどに生まれ変わらせてくれます。

リサイクルショップで売る

リサイクルショップや古着屋で引き取ってもらえる場合があります。
ただし、コンディションが良くないものや、あまりに流行を過ぎたものは買い取ってもらえないことがあります。
すべてを引き取ってもらえるわけではないことを頭に置いておきましょう。

着物や毛皮、本革、カシミアなどの高級衣類は買い取ってもらえる可能性が高い品です。
リサイクルショップでもいいですが、それぞれの専門店の方が高く売れる可能性があります。

ただし、基本的に自分で店舗まで持ち込む必要があります。
なかには査定にきてくれるお店もありますので、事前に確認しておきましょう。

インターネットで売る

オークション、フリマアプリ

リサイクルショップなどよりも高値で売れる可能性があります。
ですが、手間や時間がかかってしまうのがデメリットです。

インターネットオークション、フリマアプリでは、商品写真の撮影にまず時間がかかります。
1つ1つの商品についての所見を書き、出品作業をして、売れたら梱包して発送するまで、かなりの手間と時間がかかります。
しかも、出品したからと言ってすべて売れるわけではありません。

大量に処分したい場合は代行業者に依頼する方法もありますが、当然、手数料がかかります。

遺品整理 衣類 処分 オークション

インターネット買取

「インターネット買取」とは、インターネット上に作られた窓口を通じてものを買い取ってもらう方法です。
サイトから申し込むと梱包材料が送られてくるので、ここに不用品を詰めて送ります。

この方法での最も大きなメリットは、自分で持ち込む必要がない点です。
手間も時間も節約できます。

査定の結果、金額が折り合えば振り込みをしてもらえますが、金額に納得できないときは、返送料は自己負担となります。

フリーマーケットに出す

青空の下、不用品を売るフリーマーケット。出店したい場合は出店料がかかります。
まず、出す衣類を全てクリーニングしなければなりません。
そして、車などで什器などとともに会場に運びます。

ブースの用意や片付け、お金の管理も自分でしなくてはならず、基本的に高い値段では売れません。
不用品の処分を急いでいない場合や、金額にこだわらない人に向いています。

寄付する

被災地や途上国など、衣服を必要としている人に届けるNGO団体などに寄付をするのもよいでしょう。
日本製の衣類は縫製などが良く、海外で喜ばれるものの一つです。

ただし、とても着られないような古びた衣類を提供するのはナシです。
寄付とは善意の気持ちです。相手に喜んでもらえるような品を贈りましょう。

遺品整理をする前に、故人が遺言書を遺しているかどうか確認しましょう。
「どの品物を誰に渡したい」と、遺品整理に関することが書かれている可能性があるからです。

遺品整理 衣類 処分 エンディングノート

エンディングノートも同様です。
故人の意思をきちんと汲み取るために、十分確認をしましょう。

また、衣類の中にも高価なもの、価値のあるものがあります。
確認なしで処分してしまうと、相続トラブルに発展する可能性があります。
もし、遺言書やエンディングノートが見つかったら、形見分けなどの際にきちんと見せるようにしましょう。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。