遺品整理をしていると、思いもかけないものを処分しなくてはならなくなることがあります。
大は家電や大型家具、小は化粧品や紙片まで、故人の部屋にはありとあらゆる生活の痕跡が残されています。
家具や家電などの処分方法はだいたいわかりますが、改めて考えると「あれ? どうやって捨てればいいんだろう?」と悩んでしまうものもあります。
分別と処分に困るもの、どんなものがあるでしょうか?
目次
灯油
- 灯油は劣化する
- 灯油の処分方法:少量の場合
- 灯油の処分方法:大量の場合
灯油は劣化する
冬の間に買った灯油が使い切れず、余ってしまったことはありませんか?
こういった場合、1年間置いておいて、翌年の冬にまた使うという人が多いのではないでしょうか。
遺品整理で故人が使い切れなかった灯油のポリタンクが出た場合、「もったいないので、家に持ち帰って使おうかな」なんて思うかもしれません。
でも、実はこれ、とても危険なんです。
灯油は、長期保存していると劣化しするってご存知ですか?
何でもそうですが、長い間使わずに放置してあると、ものは劣化します。灯油の場合も同じです。
さらに、灯油はプラスチック製のポリタンクで保存されていることが多いですよね。
このポリタンクに長期間灯油を入れておくと、なんと、灯油が次第にポリタンクを溶かしていくのです。
また、溶けたプラスチックが混ざった灯油は、質が低下するだけでなく、性質そのものも変化してしまいます。
長期保存して変質した灯油を使うと、火の燃焼不良やストーブの着火不良だけでなく、最悪の場合、爆発事故が起こすこともあります。
こういった理由から、古くなった灯油は使わずに処分しましょう。
灯油の処分方法:少量の場合
ポリタンクの底に少しだけ残っている程度なら、次のような方法で処分します。
新聞紙に染み込ませて捨てる
新聞紙や古い布に、余った灯油をしみこませます。灯油が垂れてこないよう、その周りを新聞で何重かに覆い、ビニール袋に入れて燃えるごみの日に出します。
新聞紙にしっかりと吸収させ、更にそれを新聞で包めば漏れてくる心配はありません。
ただし、各自治体によっては処分方法が異なります。
「灯油は禁止」としている自治体が多くなっていますので、処分する前に自治体に確認することが必要です。
また、この方法は残った灯油が少量の場合のみ有効です。
大量に残っている場合には行わないようにしてください。
自宅の土に流す
庭の土を10~20cm以上掘り、廃棄する灯油を流し込んで土でふたをします。
100~200cc程度の量であれば、土壌菌類の作用によって分解されます。
埋める場所は、日陰で土が湿っているところが効果的です。
ただし、家庭菜園など作物を育てている場合は、この方法は避けましょう。
作物が枯れてしまう可能性があります。
また、公園など自宅以外ではやってはいけません。
必ず、自宅で、少量だけならの方法です。
使い切る
少量の灯油であれば、ストーブなどに入れて使い切るのも手です。
冬以外は暑いですが、少量なのですぐに使い切れるでしょう。
灯油の処分方法:大量の場合
残った灯油が大量の場合、新聞紙に吸収させたり、土に流すわけにはいきません。
そんな時は、引き取ってもらうのが一番です。
ガソリンスタンドに持ち込む
看板やお知らせが出ているお店はほとんどないので知られていませんが、多くのガソリンスタンドでは、余った灯油を持ち込めば処分してもらえます。
ただし、セルフのガソリンスタンドでは回収を行っていないこともあります。事前にお店に確認してみましょう。
灯油販売店に持ち込む
灯油の販売店があれば、そこに持ち込みましょう。
また、灯油を移動販売している会社があります。その会社の本部があるところに持ち込みます。
どちらの場合も、事前に持ち込みOKかを確認しておきましょう。
業者に依頼する
ガソリンスタンドや灯油販売店が近くにない場合は、不用品回収業者に依頼する方法があります。
電話1本で自宅まで取りにきてもらえるため、自分で灯油を運ぶのが不安な人や、重いものを運べない女性や高齢者には便利です。
また、遺品整理を依頼するのであれば、引き取ってもらえるか相談してみましょう。
遺品整理と同時に片付くので一石二鳥です。
不用品回収業者や遺品整理業者では、状態の良いものであれば買い取ってもらえる可能性もあります。
ただし、危険物取り扱いの資格が必要なので、事前に相談・確認しましょう。
ビニール傘
急な雨に遭ったとき、役立ってくれるのがビニール傘ですね。
でも、壊れやすいので、風が強いときなどはすぐにダメになってしまうことも・・・。
そんなビニール傘がたくさん溜まっていませんか?
遺品整理でも、使えないビニール傘がたくさん出てくることがあります。
そもそも、ビニール傘は何ごみになるのでしょうか?
ビニール、骨の金属、持ち手のプラスチックと、何となく燃えないごみのような感じもします。
実は、ビニール傘の捨て方は、一般ごみ、粗大ごみ、パーツに分けて出すなど、自治体によってルールが違います。
一般ごみになる地域でも、大きいサイズものは粗大ゴミになる場合があります。
概ね、傘の長さが50cm以上あると粗大ゴミ扱いになることが多いようです。
まずは、インターネットのホームページや、居住地域の自治体が配布しているごみの分類パンフレットなどで確認しましょう。
ちなみに、東京23区では、燃やさないごみとしている区が大半で、新宿区・品川区・中野区・豊島区が金属・陶器・ガラスごみとしています。
さて、一般ごみや粗大ごみに出せる地域では、そのまま出せば大丈夫ですが、分解しなくてはならない地域は少し厄介ですね。
でも、傘の分解はそれほど難しくありません。以下の方法でトライしてみてください。
- まず、傘を閉じた状態で持ちます。
- 手で骨の先端のプラスチック(つゆさき)を外側に引っ張ってパチンパチンと外していきます。
- つゆさきが外れたら、傘のてっぺんについているパーツ(いしづき)を引っぱります。
すると、ビニールと金属の骨組みがきれいに分かれます。
長く放置されて骨がサビている場合は、いしづきを、ペットボトルのキャップをはずすように回すと取ることができますよ。
きれいに分解できたら、地域のルールに従って捨てましょう。骨は不燃ごみ、ビニール部分は燃やすごみとして処分する地域が多いようです。
刃物
遺品整理で、カッターやナイフ、包丁など刃物が出る場合は少なくありません。
故人が愛用していたものでも、包丁を持ち帰るのも少し腰が引けてしまいますよね。
では、どうやって捨てればよいのでしょうか?
刃物は基本的に、自治体の回収に出すことができます。
しかし、そのままの状態で袋に入れると、袋が破れてごみが散らばったり、収集作業員が刃先で怪我を負う恐れがあります。
刃物を捨てる時は、必ず「安全が確保できる状態」で捨てましょう。
テープ+厚紙で包む
まず、ガムテープで包丁の刃をぐるぐる巻きにして、上からいらないダンボールで覆いましょう。
ダンボールで覆うだけでも悪くはないのですが、ダンボールが抜けてしまうと、刃が出て来てしまい危険です。
まずテープで刃を巻いてからダンボールで覆うほうがよいでしょう。
また、開いた状態のダンボールの上に包丁を置いてガムテープで固定してからダンボールで包んでもよいでしょう。
さらに、その上からガムテープで巻いてとめておくといいですね。
多くの自治体で指導していますが、ダンボールの上から「キケン」「刃物」などと明記しておくと、作業員が怪我をするリスクがなくなります。
必ず書いておきましょう。
テープのみで包む
金属ごみの日がある自治体では、ダンボールなど紙類の巻き付けができないところがあります。
その場合はガムテープやビニールテープなどで刃の部分をぐるぐる巻きにしましょう。
そのとき、ピッタリ巻いてあると、テープが刃に当たって切れてしまうことがあります。
怪我を避けるため、まず少しゆるく巻きましょう。さらに上からテープで巻きます。
つまり、刃先の部分をテープに密着させず、余裕を残せば、テープが切れて刃先が出る心配がないわけです。
巻き終わったらビニール袋に入れ、表面に赤マジックで「キケン」「刃物」などと明記し、金属ごみに出します。
包丁の刃を止める
あらかじめ刃の切れ味をなくしてから出す方法です。
切れ味をなくすことを「刃を止める」といいます。
包丁の刃をコンクリート、ブロック塀の石、やすりなどに垂直に当て、そのままノコギリを引くようにしてガリガリと刃を削ります。
また、切っ先も同様に削りましょう。刺さる危険が低くなります。
刃を止めておくと、たとえ触ってしまったとしても、怪我のリスクはかなり低くなります。
切れれなくなったら紙で包み、赤マジックで「キケン」「刃物」などと明記しておきましょう。
ごみの捨て方は、自治体によってルールが違います。
わからないものは必ず自治体のホームページやパンフレットなどで確認してから処分しましょう。