遺品整理を自分で行うための準備と心がけ

遺品整理を自分で行うための準備と心がけ

身内が亡くなると、遺品整理をすることになります。
いくら家族でも、故人の所有していたものを全て把握しているわけではありません。
特に、家族と離れて暮らしている人が亡くなった場合、思いがけないものが出てきたり、大量にものが出て来ることも少なくないようです。
とはいえ、遺品整理は、故人への供養でもあり、遺族にとっては一つの区切りにもなるため、しっかり行いたいものです。
今回、自分で遺品整理を行う方法について、3回に分けてご紹介していきます。

遺品整理とは?

遺品整理とは何かを説明する遺品整理士

遺品整理とは、親族や身内が亡くなったとき、その人が生前に使っていたものを必要なものと不用品に仕分けし、整理することです。
故人が大切にしていたものや形見にしたいものは保管し、不要品は適切に処分します。

遺品とは?

遺品とは、故人の身の回りのものをはじめ、故人が日常的に使っていたもの、家具などから家族のために残した遺産など、その人にゆかりのある全てのもののことをいいます。

遺品整理をする意味は?

故人の遺した遺品をそのままの状態で残しておくと、見るたびに故人のことが思い出され、悲しみがよみがえってくるでしょう。
かといって、いつまでも悲しんでいるわけにはいきません。その人が生きていた証である遺品と向き合い、遺品を整理していくことで、故人の供養や気持ちの整理につながります。

自分で遺品整理を行うメリットは?

自分でやる遺品整理を行う大きなメリットとして、大切な遺品を他人に触られないことです。
大切な遺品を粗末に扱われるのではないか、壊されてしまうのではないかという心配が減ります。

また、遺品整理では、出てきたものを処分するものと保管するものに仕分けをします。
自分でやる場合、自分の目でしっかり見て仕分けることができるので、納得のいく遺品整理ができます。

自分のタイミングで始められることも大きなメリットです。
多忙でなかなか時間が取れない人でも、自分で遺品整理をするなら、自分のタイミングに合わせて自由に行えます。
また、個人を失った悲しみで何も手につかない状態でも、自分で遺品整理をするのであれば焦る必要がありません。

遺品整理を始める時期は?

遺品整理を始める人

身内が亡くなり、しばらくしてやや生活が落ち着いたころ、そろそろ遺品整理をしなければ……と考える人が多いようです。
遺品整理を始めるのに適切な時期というものはあるのでしょうか。

結論から言うと、遺品整理を始めるのに、いつと決まったタイミングはありません。
早く片付けなくてはと思っても、遺品を見ると悲しみがよみがえり、処分したくない、という気持ちになる人もあるでしょう。
また、中には、葬儀が終わって間もないのに、もう遺品整理をするなんて・・・と思う人もいるようです。
しかし、気にする必要はありません。故人の自宅が賃貸であれば、一刻も早く片付けなくてはならないのですし、遺言書などがない場合、正しく遺産相続の手続きを行うためにも、遺品整理はきちんと行うべきなのです。
遺品整理は、遺族が納得のいくタイミングで遺品整理を行い、故人への気持ちの区切りをつけることが大切です。
大まかな目安を見てみましょう。

期限がある場合

故人宅が賃貸だった場合は、物件を明け渡さなければならないため、期限までに遺品整理をしておかなくてはなりません。
一般的に、亡くなったあとの月末か翌月末までを契約期間とし、それまでに遺品整理を行う人が多いようです。

死後四十九日間は、故人の魂がこの世をさまよっているといわれるため、四十九日の法要が済んでから遺品整理を行うよう、契約期間を長く取る人もあるようです。
ただし、不幸にも、発見されるまで時間のかかった孤独死だったり、いわゆる「汚部屋」だったような場合は、建物の劣化や近隣への影響を考え、急いだ方がよいでしょう。

期限がない場合

故人宅が持ち家であるなど、すぐに住居を片付ける必要がない場合は、遺品整理も急ぐ必要はありません。
もちろん、早く片付けても問題はありませんが、勝手に片付けてしまうと、必要なものまで捨ててしまうなど、トラブルになることがあります。
事前に親族とよく相談しましょう。

さて、多くの人は、何か区切りがついたタイミングで遺品整理をすることが多いようです。
中でも、多いのが「法要のとき」でしょう。
親族が遠方に住んでいてなかなか集まるのが難しくても、法要の場でなら顔を合わせられる可能性が高いからです。
仏式であれば四十九日や一周忌、神式なら百ヵ日法要などで親族が集まったときに、遺品整理を始めるとよいでしょう。

一日ですべてを終わらせるのは難しいですが、相続や形見分けなどについて話し合い、あとは故人の家の近くに住んでいる人が遺品整理を進めていくという形であれば無理なく進められるのではないでしょうか。

また、人が亡くなると、遺産相続の手続きをはじめとして、保険や年金、所得税の手続きなどを行う必要があります。
手続きによっては、亡くなってから何日か経たないと行えないものもあるため、すべての手続きが終わってひと段落したタイミングで遺品整理を始めるのもよいでしょう。

さらに、行事や何かを終えたタイミングではなく、家族の気持ちが落ち着いたところで始めても構いません。
ゆっくり思い出と向き合い、故人の冥福を祈りたいものです。

遺品整理 準備のポイント

遺品整理はたくさんのものを片付けなくてはならないだけに、始める前には必ず下準備をしておきましょう。

親族に連絡する

親族に遺品整理について連絡する女性

遺品整理をする場合、自分一人で始めるのはよくありません。
遺品の中には相続の対象となるものもあります。できる限り、相続人全員で遺品整理をする方が、のちのちトラブルになりません。
また、遺言書があれば、必ず相続人全員で確認しておきましょう。
どうしても遺品整理に参加できない人がいる場合には、遺品の処分は全て作業する人に委任することを承諾してもらいます。

下見をする

遺品整理に先立ち、まず下見をします。
片付ける現場を見ることで、何をどのように整理すればよいのか、だいたいの見当をつけます。
また、下見をすれば、掃除がどの程度必要なのかもわかりやすくなります。
そのほか、不用品を廃棄する場合どのように捨てればいいのか、現地の自治体のごみ出しルールを確認しておきましょう。
ごみ袋などにも自治体によって異なるので注意が必要です。

実は、遺品整理では、さまざまな知識が必要となる場面がたくさんあります。
不動産の処分や、故人の持っていた書類、遺言や遺品の分配などに関してトラブルが起きる可能性があります。
弁護士など専門家の助言がもらえるようにしておくと安心です。早めに相談できる弁護士などの専門家を調べておきましょう。

スケジュールを立てる

実際に遺品整理を始める前に、いつから始めていつまでに終わらせるのか、遺品整理全体のスケジュールを決めておきます。
スケジュールを明確にしないと、ダラダラと長引いたり、結局、中途半端で終わってしまうことにもなります。
遺品の量や片付け参加する人数を考え、無理のない作業期間を設定しましょう。

次に、その日ごとに行う具体的な内容・目標を決めます。
複数で片付けを行う場合は、担当場所や担当するものを決めるのもよいでしょう。

道具を用意する

片付け中に思わぬ怪我をしないよう、以下のような道具を用意しましょう。

  • 梱包材・・・ダンボール、ごみ袋、ガムテープ、ロープなど
  • 防具・・・軍手、動きやすい服または作業服、エプロン、マスク、厚手の靴下、スリッパなど
  • 工具・・・ドライバー・ペンチ、はさみ、カッターナイフなど
  • 筆記具・・・油性のマジック、メモ用の筆記具
  • 運搬車・・・荷物を運ぶための台車、トラックやワゴン車などの運搬車

近隣への挨拶

生前整理をするため近所に挨拶して回る女性

遺品整理を始める前に、近隣住民に挨拶しておきましょう。
特に、家具などを運び出したりする場合、ものを運ぶ際の騒音はもちろん、車や家への出入りなどで騒がしくなってしまいます。
マンションなら両隣や階下の住人に、戸建てなら、両隣や向かいのお宅などに、遺品整理を行うこと、迷惑をおかけする可能性があることを伝えておきます。
どうしても遺品整理を知られたくないというケース以外、近隣住民と後でトラブルにならないよう、できるだけ挨拶はしておきましょう。

道具が揃ったら、いざ、遺品整理のスタートです。
次回は、実際に遺品整理を行う際の手順や、上手なやり方についてご紹介します。

まとめ

遺品整理をいつ、どう行うかには「これが正解」というものはありません。
法事などの行事が程度落ち着き、気持ちが落ち着いたタイミングで整理を始めましょう。
みんなが納得し、故人にも喜んでもらえるような遺品整理ができたらいいですね。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。