親の終活の進め方や終活に向けて親に聞いておくことについて解説

親の終活の進め方や終活に向けて親に聞いておくことについて解説

いつかは来る、親とのお別れ。

なかなか考えられない、考えたくないという人も多いのではないでしょうか。

しかし、現実的なことを考えると、人1人が亡くなったあとを整理したり片付けたりするのは大変なことです。

ましてや、遺産相続のことを考えると、親が亡くなってから慌てるのは避けなければなりません。

近年は「終活」という言葉が浸透し、始めてみようかなと考える人も増えてきました。

しかし、実際に行なっている人はまだそれほど多くないようです。

いざというとき困ったり揉めたりしないよう、親に終活を進めてもらい、また子供が親に確認しておくべきこととは何なのでしょうか。

何のためにするの?「終活」

まずは、終活というものについて、おさらいしておきましょう。

終活は残された人のため

「終活」は、その文字から「死ぬための準備」というイメージがあるようです。

実際、終活を行う高齢者は、自分がいなくなった後に遺族や周りの人が困らないように始める人が少なくありません。

人が亡くなったあと、最も多いのが相続に関する争いだそうです。

相続で揉めて、仲の良かった兄弟が二度と口も利かないような険悪な関係になってしまうことも珍しくありません。

また、相続だけでなく、葬儀やお墓についても、親族間で揉めることもあるようです。

このような揉めごとや争いごとを回避するためには、終活をして、財産をはじめとする自分の死後について決めておくのが望ましいでしょう。

終活は親自身のため

終活は、遺族や周りの人のためだけに行うものではありません。

自分の身の回りを整理することによって、自分を見つめ直し、より良く、自分らしく生きるための活動でもあるのです。

思い切って不要なものを処分すると、風通しが良くなり、健康な生活を送ることができるようになります。

また、ものを片付けることによって、家の中でつまづいたり転んだりするような可能性もグッと低くなるでしょう。

好きなもの、必要なものにだけ囲まれて、残りの人生を自分らしく生きるために、終活は非常に有効な手段なのです。

親への「終活ノススメ」

親への「終活ノススメ」

終活の良さはわかっていても、いざ親に勧めるとなると、ためらってしまうものです。

それでも親に終活を勧める必要があるのは、なぜなのでしょうか。

親の意思を反映するため

親が亡くなったあとでは、さまざまなことが手遅れになってしまう可能性があるのです。

親が亡くなったあとには色々な手続きが必要になります。

終活をしていなかったために、時間も手間もかかってしまうケースは少なくありません。

もし、親が認知症になってしまったらどうなるでしょうか。

認知症になってしまってからでは、遺言書を書くことも難しくなります。

また、親の意思を反映してあげたいのであれば、以下のような重要事項は親が元気なうちに話し合っておかなくてはなりません。

  • 重い病にかかってしまった場合、本人が延命治療を望むのかどうか
  • 亡くなったあとに臓器提供を望むのかどうか
  • 葬儀はどんな形で行いたいのか
  • どんなお墓に入りたいのか

遺品整理の負担を減らすため

人が亡くなると、さまざまなものが残されます。

もし、生前に整理を何もしていなければ、遺品整理に膨大な時間と手間がかかることも珍しくありません。

残された家族が大きな労力や時間を費やすことは、親本人にとっても子供にとっても望ましいことではないでしょう。

そのためにも、終活を勧めることは大切なのです。

親への上手な終活の勧め方とは?

親への上手な終活の勧め方

終活は親にとっても子世代にとっても良いこととわかっていても、いざ親に切り出すのはなかなか難しいものです。

親へ、終活を上手に勧めるには、どのようにすればよいのでしょうか。

もし病気になったらどうしてほしいか聞いてみる

さりげなく、親の体調について聞いてみましょう。

もし何か治療中の病気があったら、かかりつけの病院や医者について聞いておきます。

何も治療しておらず、元気だったら、「もし病気になってしまったら、どうしてほしい?」と聞いてみましょう。

高齢になればなるほど、ケガや病気のリスクは高くなるものです。

もしものとき、家族だからこそ以下のような知っておかなくてはならないことがあります。

  • 誰に面倒をみてほしいか
  • 保険はどうなっているか

あくまで家族の問題として聞くことがポイントです。

同年代の人の話をしてみる

親と同年代の人の話をしてみましょう。

たとえば会社の上司、身近な人などの例でもよいでしょう。

最近は、芸能人でも終活を行っていると話す人が増えています。

そのような例を出すと話しやすいかもしれません。

話の中で、親が終活に興味を持つような感じで話せるといいですね。

実家をどうするか話し合う

実家がある場合は、将来、実家をどうするか親の考えを聞いておくのも良いでしょう。

親に、どのくらい財産があるのかを尋ねるのは、子供であってもはばかられるものです。

しかし、実家をどうするかという話であれば、話しやすいのではないでしょうか。

もしかしたら、将来的に実家を売却して施設に入ろうと考えているかもしれません。

または、子供に戻ってきてもらいたいと思っているかもしれません。

自分の育った家だからこそ、実家についての処遇は話題にしやすく、話し合いもしやすいでしょう。

近年は、空き家が社会問題になっています。

このような切り口から話してみるのも良いかもしれません。

断捨離を勧めてみる

依然、断捨離ブームは続いています。

そこで、実家も少し片付けたら? といったところから水を向けてみるのもよいでしょう。

あくまで終活という形ではなく、家の片付けという面から話してみましょう。

ただし、ものに対する考え方は、親といえども人それぞれなので、無理強いしてはいけません。

できるところから少しずつでもいいので、片付けを勧めてみましょう。

親と一緒に終活をしよう

親と一緒に終活

親御さんが終活をする気持ちになったら、子供世代も一緒に終活をしましょう。

まず自分の部屋を片付ける

実家で生活していた頃の、自分の部屋はまだありますか?

まずは、自分が率先して片付けましょう。

また、結婚して独立しても、実家に自分のものを置いている人は少なくないようです。

特に現在住んでいない場合は、自分のものを片付けて、部屋を空けましょう。

部屋がスッキリすれば、親の気持ちも動かしやすくなるでしょう。

やるべきことをリストアップする

ただ単に終活を勧めるのではなく、終活について具体的に提示しましょう。

どんなことをするのか、どんなものを準備するべきなのかなど、終活についてのポイントをリストアップします。

同時に、終活のメリットについても伝えると、親御さんもやる気になってくれそうです。

親と一緒に片付けをする

終活で最も労力が必要なのは、不用品の処分です。

以下のような作業は高齢者には負担が重いため、サポートしましょう。

  • 家具や書籍などの重いものを動かす
  • 普段は開けない倉庫や蔵などの片付け

親が元気なうちに聞いておくべき6つのことは?

親が元気なうちに聞いておくべきこと

親が元気なうちに聞いておくべきこととは何でしょうか。

  1. お金に関して
  2. 病院や施設について
  3. 葬儀やお墓について
  4. 相続について
  5. デジタルデータについて
  6. エンディングノートを書いてもらう

それぞれのポイントについて説明します。

お金に関して

親が管理しているお金関係のことについて以下を確認しましょう。

  • 親の使っている金融機関、口座番号、暗証番号を確認する
  • 貸し金庫や定期預金などの有無を確認する
  • 公共料金やクレジットなどの引き落とし口座を確認する
  • 証券口座やFXの有無を確認する

病院や施設について

親の医療状況について以下を確認しましょう。

  • 病気にかかった場合、どの病院に入りたいか
  • 延命治療の希望の有無
  • 入りたい施設があるかどうか

葬儀やお墓について

葬儀やお墓の希望について以下を確認しましょう。

  • 葬儀やお墓についての希望を聞く
  • 遺影用の写真を選んでもらう
  • 葬儀社や葬儀のプランを選んでもらう
  • 代々墓がある場合は、お墓の承継について決めておく

相続について

相続財産について以下を確認しましょう。

  • どのような財産があるのか明らかにしておく
  • ローンや借金など「マイナスの財産」がないか確認する
  • 遺産の分配についての希望を聞いておく

デジタルデータについて

ウェブ上で管理されている重要データについて以下を確認しましょう。

  • スマホやパソコン、デジカメなどにあるデータをどうするか決める
  • SNSなどインターネット上で使用しているIDやパスワードを書き出しておく

エンディングノートを書いてもらう

親が元気なうちに聞いておくべきことはさまざまあります。

まずはエンディングノートを書くように勧めてみましょう。

エンディングノートは遺言書のように法的効力はありません。

それでも、親の希望を知ることはできます。

最近は、書店でさまざまなエンディングノートを販売しており、マスを埋めるだけの簡単なものもあります。

遺言書を書いてもらうのはなかなかハードルが高いかもしれません。

でも、エンディングノートであれば親が自分の覚え書きとして書くことができるので勧めやすいでしょう。

まとめ

終活は元気なうちに始めるのがお勧めです。

しかし、親にとってはデリケートな問題なので、無理強いや感情的な行き違いには注意し、慎重に行いましょう。

兄弟や親族がいる場合は、あらかじめ相談しておくのも良いでしょう。

また、終活は親子で行うのがお勧めです。

親と一緒に終活を行うことで、親を思う気持ちも通じ、いざというときのための情報も知ることができます。

この記事の監修をしたゴミ屋敷の専門家

氏名:新家 喜夫

年間2,500件以上のゴミ屋敷を片付け実績を持つ「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国で展開する株式会社テンシュカクの代表取締役。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長。