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ゴミ屋敷は相続放棄すべき?メリット・デメリットとやってはいけないこと

ゴミ屋敷は相続放棄すべき?メリット・デメリットとやってはいけないこと

「親が残したゴミ屋敷、相続すべき?」

「相続放棄したいけれど手続きや責任が心配……」

など、ゴミ屋敷の相続放棄に関するお悩みはありませんか?

片付け費用や近隣トラブル、法的責任などゴミ屋敷の相続に関する悩みは尽きません。相続放棄の期限は短く、もし放棄しても管理責任が残る場合があるなど注意点もさまざまです。

そこで今回は、ゴミ屋敷を相続放棄するメリット・デメリットや手続きの流れ、やってはいけないことまで徹底解説します。管理責任を手放す方法なども紹介しますので、後悔しない判断の参考にしてください。

<この記事でわかること>

  • ゴミ屋敷は相続放棄する? 判断基準とメリット・デメリット
  • 実際に相続放棄するときの手順
  • 相続放棄後も残る「管理責任」を手放すには?
  • 相続放棄以外の選択肢とゴミ屋敷放置のリスク

目次

ゴミ屋敷を相続するか・相続放棄するかの判断基準

ゴミ屋敷を相続するか・相続放棄するかの判断基準

ゴミ屋敷を相続するか、放棄するかの最大の判断基準は、資産全体で見たときに「収支がプラスになるか、マイナスになるか」というバランスです。一見すると価値のある土地や建物であっても、膨大なゴミの撤去費用や建物の解体費用、故人の隠れた借金などを合算すると赤字になってしまうケースが少なくありません。

故人の預貯金や不動産の売却査定額から、業者による片付け費用の見積もり額や未払いの税金などを差し引いてシミュレーションを行いましょう。明らかにマイナスが大きくなるようであれば、経済的な負担を避けるために相続放棄を選ぶ意義は大きいです。感情的な愛着だけで決めるのではなく、冷静な数字に基づいて判断するようにしましょう。

ゴミ屋敷を相続放棄するときの流れ

ゴミ屋敷を相続放棄するときの流れ

実際にゴミ屋敷の相続放棄を検討している方に向けて、具体的な手続きの流れを解説します。相続放棄するには、次の4つの手順を踏む必要があります。

  1. 必要書類の準備
  2. 家庭裁判所に書類の提出
  3. 照会書への記入・返信
  4. 相続放棄申述受理通知書の受け取り

それぞれの注意点を具体的に見ていきましょう。

1.必要書類の準備

相続放棄の準備は、家庭裁判所への申し立てに必要な書類を漏れなく用意することから始まります

<相続放棄の必要書類>

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分

【申述人が,被相続人の配偶者の場合】

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【申述人が,被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

(参考:裁判所ウェブサイト「相続の放棄の申述」

手続きには相続放棄申述書のほか、故人との親族関係を証明する公的な書類などが必要になります。役所で書類を取得するのに時間がかかることもあり、期限に遅れないよう早めに着手しなければなりません。

2.家庭裁判所に書類の提出

書類がすべて整ったら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。相続放棄には「相続の開始を知ったときから3ヵ月以内」という期限が設けられており、期限を過ぎると原則的に相続放棄はできません。管轄の裁判所が遠方の場合は郵送での提出も可能ですが、到達確認ができる方法を選びましょう。

なお、相続放棄の手続きが可能なのは相続順位が高い順であり、第1順位が子や孫、第2順位が父母・祖父母、第3順位が兄弟姉妹や甥姪です。この順番をくつがえしたり、異なる順位の相続人が同時に相続放棄の申述をしたりすることはできません。

3.照会書への記入・返信

家庭裁判所に必要な書類一式を提出すると、1~2週間程度で照会書が届きます。本当に相続放棄の意思があるか確認する大切な書類であり、強要されたものではないか、判断能力に問題がないかなどを判断するための手続きとなります。

照会書には相続放棄をする理由や、これまでに被相続人の財産を処分・消費したことがないか、遺産分割をしていないかなどを確認する項目があるので正確に記載しましょう。原則的に代筆は不可です。返信期限を守って、受領後すぐに回答を返すことが大切です。

4.相続放棄申述受理通知書の受け取り

家庭裁判所での審査を経て、「相続放棄申述受理通知書」が届けば手続きは完了です。今後は法的に相続人ではなくなるため、ゴミ屋敷の処分や維持管理の義務を基本的には負わずに済みます。相続放棄申述受理通知書は再発行できないので、なくさないようにしましょう。

なお、相続放棄するとプラスとマイナスどちらの遺産にも拘わらなくなるため、相続人全員が集まる「遺産分割協議」にも参加することはできません。自分が相続放棄したら、後々のトラブルを避けるために他の相続人に相続放棄した旨を伝えると安心です。

ゴミ屋敷を相続放棄する際の注意点

ゴミ屋敷を相続放棄する際の注意点

相続放棄にはさまざまなルールや制限があり、誤ると相続放棄できなくなるおそれがあります。期限や手続き内容、法的責任の残存などの注意点が多いので慎重になりましょう。ここでは、ゴミ屋敷の相続放棄に関する注意点を解説します。

相続放棄とは「すべての遺産の相続を放棄すること」

相続放棄とは、プラスの遺産もマイナスの遺産もすべて放棄する制度です。相続放棄が認められると相続人としての立場そのものが失われ、故人の財産は一切受け取れなくなるので注意しましょう。たとえば、「ゴミ屋敷はいらないけれど、預貯金は相続したい」という選択は法律上できません。

相続放棄に踏み切る前に資産全体の内訳を事前に把握して、相続時に得られる物と失う物をよく比較することが重要です。自力で調べきれないときは、弁護士や司法書士などの専門家に故人の財産調査を依頼すると安心です。

ゴミ屋敷の相続放棄は相続発生から3ヵ月以内に手続きが必要

相続放棄には期限があり、自分が相続人だと知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所で申述しなければなりません。3ヵ月を過ぎると「単純承認」とみなされて相続を承認したことになり、ゴミ屋敷を含めたすべての資産を自動的に引き継ぐことになります。

ただし、故人の財産調査に時間が必要なときは、家庭裁判所に申し立てると熟慮期間を延長できる場合があります。資産状況が複雑で専門家への相談に時間がかかる場合などは、熟慮期間の伸長手続きを行いましょう。(参考:裁判所ウェブサイト「相続の承認又は放棄の期間の伸長」

相続放棄しただけではゴミ屋敷の管理責任は消えない

相続放棄が受理されたとしても、それだけでゴミ屋敷の管理責任から完全に解放されるわけではありません。民法の規定により、故人と同じ家に住んでいた相続人は相続放棄後も自宅の管理責任が残ることがあるからです。

“(相続の放棄をした者による管理)

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。”

引用元:e-gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)

次の管理者が決まるまでは、現に占有している遺産に対して保存義務が残る場合があります。この場合には相続財産清算人の選任を検討するなど、責任の所在を明確にすることが必要です。判断に悩んだら、司法書士や弁護士に相談しましょう。

賃貸の連帯保証人の義務は残る

故人のゴミ屋敷が賃貸物件であり、自分が連帯保証人になっている場合には相続放棄後も連帯保証人としての義務が残ります。連帯保証人は借主のかわりに負債を履行する義務を負い、滞納分の家賃の支払いや退去費用の支払い、原状回復義務などを負わなければなりません。

とくに、ゴミ屋敷化した賃貸物件で孤独死して発見に時間がかかった場合、特殊清掃費用や原状回復費用で百万円を超えるようなケースも見られます。相続放棄すればすべてが解決するわけではないので、自身が連帯保証人になっていないか契約内容を必ず確認しましょう。

一度手続きすると撤回は原則不可能

一度家庭裁判所で相続放棄の手続きが受理されると、原則として後から撤回することはできません。例外的に撤回できるのは、強迫によって相続放棄させられた場合などに限られ、プライベートな理由による撤回は不可能です。

もし後から高価な貴金属が見つかったり、不動産の価値が急騰したりしても取り消せないので注意しましょう。一時的な感情に流されて、財産の調査も不十分なまま安易に放棄してしまうと本来得られるはずだった資産を失うことになりかねません。相続放棄の手続きを行う前に徹底的に財産調査を行って、熟慮した上で最終決断を下しましょう。

ゴミ屋敷を相続放棄するとき、やってはいけないこと

ゴミ屋敷を相続放棄するとき、やってはいけないこと

相続放棄を検討している人は、やってはいけない行動を必ず覚えておきましょう。うっかり行ってしまうと「相続を承認した」とみなされて、相続放棄できなくなる可能性があるためです。

ゴミ屋敷の片付けや家賃支払いのように必須と思える行為でも、法的には相続意思があると判断されてしまうケースがあります。ここでは、やってはいけない行動と理由を解説します。

相続放棄前に「相続財産の処分」とみなされる行為は厳禁

財産の処分とみなされる行為は、相続放棄予定なら絶対してはいけません。処分は「財産を引き継ぐ意思」と判断され、相続放棄が認められなくなる可能性が高いからです。

<相続放棄前にしてはいけない財産の処分行為>

  • ゴミ屋敷から使えそうな家具・家電を持ち出す
  • ゴミ屋敷の家財を売却する、捨てる
  • 故人の預貯金を使う
  • 故人の財産から滞納家賃、未納医療費、税金などを支払う

明らかにゴミにしか見えない不用品でも、法律上は相続財産とみなされることがあるので注意が必要です。無事に相続放棄を済ませるには故人の財産に一切手を触れず、正式に受理された後も財産には関与しないようにしましょう。

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家賃や公共料金の支払い、解約をしない

賃貸物件の家賃支払いや公共料金の支払い・解約なども相続財産の管理とみなされるため、相続放棄できなくなるおそれがあります。たとえ滞納を防ぎたいという良心的な行為でも、法律上は相続人としての義務を果たしたと判断される可能性が高いです。

「大家さんやご近所の人に迷惑をかけたくない」、「できるだけ早く手続きを済ませたい」という気持ちは自然なものですが、安易に行ってしまうと取り返しがつかなくなります。支払いや解約は相続人が行うべき行為であるため、相続放棄する人は行わないようにしましょう

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遺品整理や形見分けしない

遺品を整理したり形見を持ち帰ったりする行為は、財産を受け取ったとみなされるため避けましょう。遺品は相続財産の一部であるため、処分や売却、譲渡などの行為は相続の意思と判断されてしまいます。貴金属やブランド品のような高級品でなくても、財産扱いとなる可能性があるので触れてはいけません。

ただし、財産としての価値は資産価値の有無で判断されるため、一般的にはノンブランドの古着や写真、手紙などは処分や形見分けをしても問題ない場合と考えられます。しかし、安易に触れると相続放棄の手続きに影響が出る可能性があるため、専門家や他の相続人への相談が欠かせません。

明らかなゴミでも片付けや処分に関わらない

ゴミ屋敷の中にある物は、明らかなゴミでも安易に片付けたり処分したりしないようにしましょう。相続放棄前の片付け行為は、相続を承認したとみなされる危険があるからです。たとえば、古い時計や壊れた家具でも、資産価値を秘めている可能性が否定できません。

ただし、腐敗した食品ゴミや生ゴミなどを最低限捨てるのは民法上の「保存行為」とみなされ、相続放棄には影響しません。

“(法定単純承認)

第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。“

引用:e-GOV法令検索|民法

保存行為に該当するか判断できない場合には、安易に処分せず専門家に相談して慎重になりましょう。

ゴミ屋敷の管理責任を手放す方法

ゴミ屋敷の管理責任を手放す方法

前述のように、現にゴミ屋敷に同居するなどの形で財産を占有していた場合には、相続放棄後にも管理責任が残る可能性が高いです。また、ゴミ屋敷を相続した際には当然ながら管理責任を負うことになります。ここでは、ゴミ屋敷の管理責任を手放す方法について解説します。

相続財産清算人(相続財産管理人)を選任する

管理責任を確実に手放したい場合、家庭裁判所に「相続財産清算人(相続財産管理人)」の選任を申し立てる必要があります。相続財産清算人とは相続人がいない場合に財産や遺品の整理を行う人で、通常は弁護士などが選任されます。選任後はゴミ屋敷の管理責任が相続財産清算人へと引き継がれるので、自分が管理責任を問われることはありません。

なお、相続財産清算人の申立てを行うには、家庭裁判所に予納金を納める必要があります。予納金とは、相続財産管理人に支払われる報酬や財産の管理費用に充てられるお金のことです。

20万円~100万円が予納金の相場ですが、ゴミ屋敷の管理や処分は手間がかかるので高くなる可能性があります。予納金は相続財産管理人が故人の負債の返済や相続財産の処分などを行った後で余った場合には返金されますが、残金がなければ戻ってきません。相続財産清算人の申立てについては、以下の記事で詳しく解説しています。

相続後にゴミ屋敷を売却する

もしゴミ屋敷を相続した場合でも、不動産として売却すれば所有権と管理責任を合わせて手放すことができます。不動産を所有者する者が管理責任を負うため、売却して所有者を変えるのは根本的な解決手段と言えます。

不動産業者に売却する方法は、買取と仲介の2パターンです。

<ゴミ屋敷を売却する方法>

方法不動産買取業者に買い取ってもらう不動産仲介業者に買主を見付けてもらう
買主不動産業者個人
売却価格相場の5~7割ほぼ相場価格
売れるまでの時間1ヵ月程度長期化しやすい(3~6ヵ月)
片付けの手間片付け不要で買い取ってくれる業者もあるあらかじめ片付けやリフォームが必要

不動産仲介業者は物件情報を出して買主を探してくれる業者ですが、ゴミ屋敷のままだとなかなか買い手が現れません。一方で、ゴミ屋敷の買取を専門とする不動産業者もあり、買取額は低めですが片付けずに売却できるケースも見られます。

「相続放棄の手続きが大変」、「他の財産を受け取りたいから相続放棄できない」などの場合は、相続後の売却を検討しましょう。

ゴミ屋敷を売却する方法と費用|放置するリスクも徹底解説

ゴミ屋敷を相続放棄することで得られるメリット

ゴミ屋敷を相続放棄するデメリット

ゴミ屋敷を相続放棄すれば、経済的・法的・心理的な負担から解放されます。故人のプラスの財産がほとんどない、あるいは借金がある場合には相続放棄のメリットは非常に大きいです。ここでは、ゴミ屋敷の相続放棄による具体的なメリットを解説します。

ゴミ屋敷に関する経済的負担からの解放される

相続放棄すれば、ゴミ屋敷の片付け費用や固定資産税といった経済的負担を回避できます

<ゴミ屋敷による経済的負担>

費用金額目安
ゴミ屋敷の片付け費用数十万円~100万円台
固定資産税  固定資産税評価額×1.4%(標準)
相場:年間10~15万円
修繕費  数万円~100万円超(損傷部位と程度による)
解体費坪あたり数万円(木造)

ゴミ屋敷を相続すると高額な諸費用が発生するため、ゴミ屋敷以外の相続財産にプラスの物がほとんどなければ相続放棄が有力な選択肢になります。

ゴミ屋敷に関連する法的責任リスクの回避

法的相続放棄すれば、ゴミ屋敷関連の法的トラブルへの責任を回避することができます。所有者になるとゴミ屋敷での火災や害虫被害、不法投棄などのトラブルに対して責任を問われ、損害賠償を求められるリスクが避けられません。

とくに、放置された空き家は人の目が届きにくいため放火などの犯罪の標的になりやすく、十分な管理ができないのであれば解体や売却などの手段を選ぶのが賢明です。

さらに、家屋倒壊などのリスクを鑑みて自治体が特定空き家に指定した場合、固定資産税の税額が増えるペナルティや行政代執行による強制解体が行われるリスクがあります。行政代執行で解体された場合の費用は、所有者に請求されるため注意しましょう。

相続トラブルに巻き込まれない

相続放棄すれば、親族間の相続トラブルに巻き込まれずに済みます。相続には感情や利害関係が複雑に絡むので揉めやすく、とくにゴミ屋敷は「誰が処分するのか」「費用負担をどうするか」と押し付け合って対立しやすいのが特徴です。

親族間の信頼関係があれば、互いに尊重しながら話し合って解決できる可能性があります。しかし、もともと不仲だったり、相手が聞く耳を持たなかったりする場合には相続トラブルを避けるのは困難です。相続放棄すれば自分は相続人としての立場を失うので、遺産分割協議に関わる必要もなくなります。

時間的・精神的ストレスからの解放される

ゴミ屋敷への対応は非常に時間がかかり、精神力も必要です。しかし、相続放棄すれば時間的・精神的なストレスを受けずに済みます

<ゴミ屋敷相続にまつわるストレス>

  • 誰が引き継ぐか相続人同士で押し付け合う
  • 遺産分割協議の手間と時間
  • 行政手続きの負担
  • 自分で片付ける時間と精神的な負担
  • 片付け業者の手配と費用負担
  • 近隣住民からのクレーム対応

日常生活に支障をきたすほどの負担がかかるため、生活の平穏を守るために相続放棄を検討する人は少なくありません。

ゴミ屋敷の他にも亡くなった人が遺した借金を払わなくてすむ

相続放棄をすれば、故人の借金を負わずに済むのも非常に大きなメリットです。相続放棄はプラスとマイナスすべての遺産を相続しないことなので、相続放棄によって借金返済の責任を免れることができます。

ゴミ屋敷を相続すべきか悩んでいる人は、必ず故人の財産状況を調べましょう。ローンや家賃の滞納なども漏れなく調べ、不安があれば費用を払ってでも弁護士や司法書士に調査を依頼することをおすすめします。

自分で調べきれずに後から借金が発覚した場合、相続放棄していなければ故人の代わりに自分が返済しなければなりません。相続放棄しておけば後で負債が発覚しても自分には影響がないので、借金に怯えずに済みます。

ゴミ屋敷を相続放棄するデメリット

ゴミ屋敷を相続放棄するデメリット

ゴミ屋敷の相続放棄には大きなメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。具体的なデメリットを解説するので、内容を踏まえて自分にとってベストな選択肢を検討しましょう。

プラス財産も相続できなくなってしまう

相続放棄のデメリットは、本来手に入るはずだったプラスの財産まで手放さなければならないことです。相続放棄では、遺産の一部だけを選んで手放すことはできません。ゴミ屋敷を手放すために相続放棄すると、預貯金や保険金などプラスの財産もすべて受け取れなくなってしまいます。

もし、後から隠れた遺産や高額な遺品が見つかっても、相続放棄している人は権利を主張することができません。プラスの財産についても漏れなく把握しておくため、事前に専門家へ相談して財産調査を済ませておくことが大切です。

相続放棄ができなくなる単純承認とは?遺品整理で注意すべき事

家庭裁判所への申立てと手続費用がかかる

相続放棄をするには、家庭裁判所での申立て手続きの手間と費用が避けられません。相続発生後3ヵ月以内という期限内に申述書の作成や戸籍の収集を済ませるのは難しく、誤りがあると差し戻されてしまう点にも注意が必要です。

弁護士や司法書士に相続放棄の手続きを頼んだ場合、数万円〜十数万円の費用がかかります。書類の種類や交渉の有無、作業工程の複雑さなどによりさらに追加費用がかかることもあり、費用対効果を考えることが大切です。

他の相続人に迷惑をかけるおそれがある

相続放棄をすると、他の相続人に迷惑がかかるおそれがあります。自分の相続放棄の際には同一順位の人も相続するか否かを検討しますが、もし全員が相続放棄すると次の順位の人に相続権が移るためです。

<相続の優先順位>

  • 配偶者:常に相続人になる
  • 第一順位:直系卑属(子・孫・ひ孫)
  • 第二順位:直系尊属(父母・祖父母)
  • 第三順位:兄弟姉妹・甥姪

たとえば、故人の配偶者や子供たちが全員相続放棄してしまうと相続が複雑になり、場合によっては故人の甥や姪など遠い血縁者にまで相続権が及ぶことがあります。ゴミ屋敷の処理責任を他の親族に押し付ける形となり、関係悪化やトラブルの火種となる可能性があるので注意が必要です。

相続放棄以外の選択肢の検討

相続放棄以外の選択肢の検討

プラスの財産を失ってしまう点や家族への影響が気になって、相続放棄を選べないというケースもあるでしょう。そこで、相続を選びつつゴミ屋敷の負担をなくす選択肢を紹介します。自分に合った方法を選んで、リスクを避けつつ財産を守っていきましょう。

相続して専門業者に片付け・清掃を依頼

相続したゴミ屋敷を有効活用するなら、すぐにゴミ屋敷清掃の専門業者に片付けと清掃を依頼しましょう。ゴミだらけの家を自力で片付けるには数ヵ月以上かかるので、費用をかけてでもプロに頼むのがおすすめです。

専門業者なら、3LDKの一軒家のような大きなゴミ屋敷でも数日内にはきれいさっぱり片付けてくれます。費用はゴミの量や種類によって数十万円以上かかるのが一般的ですが、費用対効果を考えれば十分に価値のある投資です。

さらに、オプションでハウスクリーニングやリフォームまで対応している業者もあり、家の資産価値を取り戻して売却や賃貸で活用できる可能性が高まります。

相続してゴミ屋敷のままで売却

ゴミ屋敷を片付ける手間を省いて手放したい場合には、現状のままでの売却を検討しましょう。現状有姿(げんじょうゆうし)という、修繕などを行わず現状そのままで引き渡すという契約形態があります。

不動産買取会社の中にはゴミ屋敷買取に特化した業者もあり、残置物が手つかずでも買取可能とするケースが見られます。通常の不動産に比べて資産価値が下がって売却額は低くなる傾向がありますが、維持管理費の負担を抱えれば有意義な選択肢です。

売却後は所有者としての法的責任からも解放されるため、必要最小限の手間で問題を解決できます。

プラス財産の範囲でマイナス財産を弁済する「限定承認」

借金が心配で相続放棄を迷っているなら、限定承認が有効です。限定承認はプラスの財産の範囲内でだけマイナスの財産を返済するという方法で、「どうしても手放したくない財産があるけれど、全体的にはマイナスの財産のほうが多い」などのケースに適しています

限定承認ではゴミ屋敷を含めたマイナスの財産も引き継がなければなりませんが、プラスの財産の価額が責任範囲の上限となるため大きな負債を負わずに済みます。

期限は相続発生から3ヵ月以内であり、手続きが複雑なので司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。なお、限定承認には相続人全員の合意が必要で、ひとりでも反対者がいると選択することはできません。

相続したゴミ屋敷を放置するリスク

相続したゴミ屋敷を放置するリスク

ゴミ屋敷を相続したら、放置するのは絶対にやめましょう。放置期間が長くなるほど費用や責任、心理的な負担が雪だるま式に増えてしまいます。早めに方向性を決めて行動すべき理由について解説します。

ゴミを撤去しないと近隣からクレームを受ける

相続と同時に自分が所有者となるため、もしゴミ屋敷でトラブルが発生したら近隣からの苦情や損害賠償請求を受ける可能性があります。

<ゴミ屋敷放置による主なトラブル>

  • 悪臭の発生
  • 害虫、害獣の発生
  • ゴミからの火災
  • 放火・不法占拠などの犯罪
  • 景観の悪化や周辺の物件価値の低下

訴訟に発展すれば対応に時間も費用もかかり、相続人自身の生活への負担は避けられません。とくに住宅密集地では短期間でも被害が出やすくめ、迅速な対応が求められます。

放置すると行政代執行の対象につながる

ゴミ屋敷を放置して土台が腐って倒壊の危険がある、近隣にアスベストが飛散しそう、ゴミの不法投棄が増えて悪臭を発しているなど場合には「特定空き家」として自治体から改善指導を受けることがあります。それでも放置し続けていると、「行政代執行」という強制措置によって片付けられてしまうおそれがあります。

行政代執行は「行政代執行法」に基づいて実施され、すべての費用はゴミ屋敷の所有者が負担しなければなりません。支払えない場合、財産の差し押さえによって徴収されることがあるので注意しましょう。

ゴミ屋敷の行政代執行とは?費用の負担・事例までを徹底解説

ゴミ屋敷の固定資産税がかかり続ける

物件を所有し続ける限り、住んでいなくても固定資産税を支払わなければなりません。固定資産税は固定資産税評価額に税率をかけた年額となり、10~15万円が相場だと言われています。しかし、評価額や所在地によって変動するため、実際にはより高額のケースも見られます。

さらに、老朽化などで特定空き家と判断されると、固定資産税の軽減措置から外されて税負担が増えるおそれもあります。放置期間が長くなるほど固定資産税の負担が積み上がるので、経済的なダメージは避けられません。

ゴミ屋敷の片付け費用が高くなっていく

時間が経つほどゴミ屋敷全体が劣化し、害虫やカビの繁殖が進んで室内への被害が深刻化します。ゴミ自体に湿気がこもるとカビが生え、壁紙や床材にまでダメージが及びます。大量のゴミが長期間積み重なることで床が沈んだり、建物の強度が落ちたりする場合もあり、リフォームや補修が必要になるケースも少なくありません。

さらに、悪臭や腐敗が進行すると消臭作業や害虫駆除など専門的な工程が増え、片付け費用は雪だるま式に上昇します。放置するほど作業の難易度と費用が跳ね上がるため、早期対応がコストを抑える最大のポイントです。

ゴミ屋敷の片付けに100万円かかるの!?プロが解説

ゴミ屋敷の片付けに100万円かかるの!?プロが解説

ゴミ屋敷の片付け費用が100万円近くになるケースは珍しくありません。ただゴミを回収するだけでなく、家財の仕分けや大型ゴミの搬出などに手間がかかり、作業に擁するスタッフの人数やトラックの稼働数も増えるためです。

とくに、庭付きの家や3LDKのように大きな間取りの家では高額化する傾向が見られます。腐敗した食品や排せつ系のゴミが混在している場合や、ガスボンベなどの危険物を専門処理する必要がある現場も処分費用が高くなります。

先延ばしにしても問題は解決しないどころか状態の悪化で出費がかさむばかりなので、早めの対処が肝心です。まずは複数の業者に見積もりを取り、費用と作業内容を比較検討してみましょう。

ゴミ屋敷片付けには100万円かかるって本当?理由と片付け・清掃費用を安くする方法

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また、残置物がある家をそのまま売りたい場合でも、お客様のご事情に合わせて最適なプランをご提案します。古い建物でアスベストの心配がある場合も、調査後に安全に処理をするので安心です。

ご相談・お見積もりは無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

ゴミ屋敷を相続するか相続放棄するかは、感情ではなく資産全体の収支と将来のリスクで判断しましょう。相続放棄の期限は相続発生から3ヵ月以内なので、早めの対処が大切です。

故人の遺品を処分したり、滞納家賃を払ったりすると相続の意思があるとみなされて相続放棄できなくなるおそれがあるので注意しましょう。なお、故人のゴミ屋敷に同居していた場合には相続放棄後も管理責任が残る可能性があり、責任を手放すには相続財産清算人を選任する必要があります。

相続してから専門業者に片付けを頼んで物件の価値を回復させたり、現状のまま売却したりといった相続放棄以外の選択肢もあるので、適宜検討しましょう。ゴミ屋敷を放置するメリットはなく、近隣トラブルや行政代執行、固定資産税や片付け費用の増大などデメリットばかりです。状況に合った手段を選んで、後悔のない形でゴミ屋敷問題を解決しましょう。

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この記事の監修者

ゴミ屋敷片付けの専門業者「ゴミ屋敷バスター七福神」代表

監修者 竹本 泰志

年間20,000件以上のゴミ屋敷片付け・遺品整理の実績「ゴミ屋敷バスター七福神」を全国規模で展開する株式会社クオーレの代表取締役。
複数の職を経て、2011年、25歳の頃に仲間と共に株式会社クオーレを設立。 不用品回収業としてスタートし、遺品整理やゴミ屋敷片付けを中心に手掛けるように。
現在は愛知の他、岐阜・静岡・神奈川・埼玉・千葉・栃木・東京・静岡・大阪・和歌山にも支店や支社を構え、 精力的に事業を拡大している。

新家 喜夫(ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長)

監修者 新家 喜夫ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長)

遺品整理やゴミ屋敷片付けが必要な方のために活動し、数々のメディア取材を受けてきた。ゴミ屋敷清掃士認定協会理事長を務め、著書も出版している。
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