遺品整理とは、亡くなった近親者や身近な知人などが残した遺品を整理、または管理することです。資産価値がある遺産が残されている可能性があるため、遺品整理は基本的に近親者がおこないますが、身寄りがない人の場合、他人が行うこともあります。
遺品整理は何回も遭遇することではありません。いざ遺品整理をすることになると、勝手がわからず、戸惑うことも多いでしょう。記事内では、遺品整理の必要が生じた時、いつから始めたら良いのか?というテーマにフォーカスして、説明しています。
遺品整理について、知りたいことがあれば、ぜひ記事内容を参考にしてみてください。
目次
遺品整理はいつから始めるのが良い?適切な時期を紹介
遺族が遺品整理に取り掛かる時期は、いつ頃が良いのでしょうか。遺品整理のタイミングについて、3つのポイントを紹介します。
- 一般的なスタートのタイミング
- 始めるのが遅すぎると損をする可能性も
- 賃貸物件の遺品整理は早めに行う
遺品整理の一般的なスタートのタイミング
遺品整理を行うタイミングは、遺族の心の整理が出来た時です。遺品整理にまつわる様々な手続きが必要になるため、親族が集まるタイミングが良いとされています。
したがって、もっとも適切なタイミングは四十九日あとや、葬儀のあとなどが挙げられます。相続などの諸手続き前であることも重要です。
精神的に落ち着いていない状態の時に無理して遺品整理を行うと、余計に心が乱されてしまい、作業が思うように進まないこともあります。
遺品整理を始めるのが遅すぎると損をする可能性も
いつまでも遺品整理を始められないでいると、損してしまう可能性もあります。
遺品整理が遅すぎて損をする可能性は、以下の3点によって発生します。
- 賃貸契約
- 相続税の発生時期
- 特定空き家への指定
故人が賃貸に住んでいた場合、そのままにしておくと家賃が発生します。賃貸契約の確認をしておきましょう。
相続税は故人が亡くなった日から10ヶ月以内に申請、納税しなければ延滞税を課されてしまいます。遺品整理を行っていないと、思わぬ出費が発生してしまう可能性も。
また、故人が一軒家に住んでいた場合、そのままにしておくと特定空き家に指定され、固定資産税が余計にかかったり、罰金50万円をとられる可能性もあります。
遺品整理を始める前に抑えておきたいポイント
遺品整理に取り掛かる前に抑えておきたいポイントを6点、ピックアップしました。
- 重要な書類の探索
- 遺言書やエンディングノートの探索
- 遺品を4つのカテゴリーに分ける
- 遺族全員の合意を取る
- 相続放棄の確認
- 事前の計画をしっかりと立てておく
重要な書類の探索
重要な書類や物品は数多くあります。ここでは、忘れずに回収しておくべき特に重要な書類などを紹介します。
- 銀行など金融機関の預金通帳
- 印鑑(特に実印)
- 生命保険や損害保険の証書
- 年金手帳や関連書類
- 有価証券や金融資産に関する書類
- 賃貸契約などの書類
- 借金に関する書類
- 現金やキャッシュカード、クレジットカードなど
- 携帯電話、インターネット、公共料金などの書類
現金なども重要ですが、賃貸契約や借金、公共料金など停止するべき契約の確認を優先したいところです。
相続となる有価証券や預金口座、生命保険などの対応も重要です。
遺言書やエンディングノートの探索
遺言書やエンディングノートを見つけたら内容に沿って遺品整理を進めます。書類には、遺産相続や形見分けなど、遺品整理に必要な本人の意思が記されています。
遺族間のトラブルを防ぐためにも、内容はしっかり確認しましょう。自筆の遺言書がない場合、公正証書遺言があるかもしれないので、念の為確認しておきます。
遺品を4つのカテゴリーに分ける
遺品を後で仕分けしやすいように、4つの箱を作ってカテゴリー分けします。カテゴリーは「貴重品」「形見」「再利用」「廃棄」です。
貴重品
- 通帳
- クレジットカード
- 土地の権利所や不動産関連の書類
- パスポート
- 年金手帳
- 健康保険証
- 有価証券
- 貴金属など高価なもの
貴金属は資産として売買可能です。遺品整理業者へ依頼した場合、売却したお金をそのまま依頼代金へ充てることもできます。
財産価値のある土地の権利書や有価証券の他に、5万円以上の価値がある貴金属などの物品があると、相続財産として評価査定が変わるため注意が必要です。
形見
- 写真や手紙
- 時計など身につけるもの
- コレクション
再利用できる可能性があるもの
- 冷蔵庫やテレビ、洗濯機、パソコンなど
- 家具類
- 衣類、古紙、プラスチックなど
家電のリサイクル回収は料金がかかる事がほとんどですが、物品によっては買い取ってくれるケースもあります。
NPO法人や福祉施設への寄付、海外リユースを手配してくれる遺品整理業者もいますので、相談してみるのも有効な方法です。
遺品整理について遺族全員の合意を取る
遺品整理は家族全員の合意をとってから進めます。他の遺族の合意をとらずに勝手に進めてしまうとトラブルを生みかねません。
何も言わずに勝手に進めてしまうと、遺品整理にかこつけて金品価値のあるものを抜き取ったのでは?と思われる可能性もあります。
どのような方針で遺品整理を行うのか?については、あらかじめ遺族の間で話し合っておきましょう。
相続放棄の確認
遺品整理を行ってしまうと相続放棄ができなくなる可能性があります。遺品は遺産に該当するため、手を付けると相続の意思ありと認定される可能性があるためです。
故人の借金があって、相続放棄をしたいと考えている場合、特に注意が必要です。
なお、故人が亡くなったあと、自身が相続人と知りながら3ヶ月の間、何もしないと相続放棄したと見なされます。
遺品整理の事前の計画をしっかりと立てておく
遺品の量が膨大になる場合、手当たり次第に整理を進めてもスムーズに進まず終わりません。
事前にスケジュールを決めておき、片付けに必要な備品を前もって用意しておくと良いでしょう。
遺品整理を自力で済ませるか、業者へ依頼するか
普段遠くに暮らす遺族の遺品整理や、長い時間をかけられない場合、専門業者へ依頼する方法もあります。
遺品整理業者へ依頼する時に抑えておきたいポイントを2つピックアップしました。
- 業者へ依頼する場合のメリットとデメリット
- リーズナブルかつ評判がいい業者を探す方法
遺品整理を業者へ依頼する場合のメリットとデメリット
専門業者は遺品整理を数多くこなしているので、手際がとても良いです。短時間で良い仕事をしてくれるため、物量が多い遺品整理の場合、業者へ依頼したほうが良いケースも多々あります。
先述のとおり、遺族が遠方に住んでいて思うように時間が取れない場合にも、有効です。
専門業者へ依頼するデメリットの一つに費用がかかる点が挙げられます。自力で作業した場合でも、備品代やレンタカー代、ゴミの廃棄料金などが発生しますが、業者へ依頼した場合、自力で作業するよりもさらに費用がかかる可能性があります。
依頼する業者の仕事の質にも注意が必要です。
リーズナブルかつ評判がいい遺品整理業者を探す方法
良い業者を探すには抑えておくべきポイントがあります。依頼前に確認しておきたい点は以下のとおりです。
- 訪問見積もりに対応している
- 見積り料金の詳細が明らかにされている
- 問い合わせ時や見積もり時の対応が丁寧
- 契約書の取り交わしがある
遺品整理業者の価格決定方法には明確な決まりがなく、各社バラバラです。頻繁にあることでもないため、費用相場がよくわからず、業者の言い値で応じてしまうケースもあります。
悪徳業者も存在しますので、細かいところまで対応がしっかりしている業者を選びましょう。
遺品の対応を怠るとトラブルに巻き込まれることも
遺品整理をせずに、そのままにしておくと思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。空き家問題でよくあるトラブルを2点ピックアップしました。
- 空き家火災
- 盗難や治安上の問題
空き家火災
空き家は人が生活していないんだから、滅多なことで火事にはならないだろうと、考えてしまいがちですが、空き家からの出火は意外と多く報告されています。
空き家火災の主な原因は放火です。部屋の電気が消えていて、人の気配が感じられないため、放火のターゲットとなりやすいのです。
もう一つの原因は自然火災です。自然火災はコンセントプラグのトラッキング現象にて発生します。室内に紙が積み上げられているような状況では、自然火災の危険性は格段に上昇するでしょう。
放火も自然火災も、遺品がそのまま残っている空き家で発生します。遺品整理は怠らないように、しっかり対応するようにしましょう。
盗難や治安上の問題
空き家をそのままにしていると、盗難被害にあったり、不審者や犯罪者の巣窟になったりする可能性もあります。人の気配もなく、電気もついていなければ空き家と認識され、野生動物だけでなく人間までも侵入し、住み着いてしまいます。
不審者や犯罪者の拠点になってしまうと、近隣住民への迷惑も甚大です。後々トラブルに巻き込まれる可能性を考えると、早急な対応が望まれます。
相続放棄をする場合
相続放棄をしたいと考えている場合、遺品整理への対応が異なります。相続放棄の際の遺品整理について、以下3つのポイントを紹介します。
- 相続放棄をすると遺品の処分はできない
- 次の相続人が決まるまで遺品の管理義務が生じる
- 例外的に遺品整理せざるを得ないケースも
相続放棄をすると遺品の処分ができない
相続放棄をすると遺品の整理はできなくなります。逆に、遺品整理を行うと、相続の意思があると見なされます。相続放棄をする場合、遺品整理ができない、ということをしっかり認識しておきましょう。
知らずに遺品に手を付けてしまうと、相続せざるを得なくなってしまいます。
金銭的に価値のないものは処分可能です。
なお、最終的に誰にも分与されなかった財産は国庫へ納金されます。
次の相続人が決まるまで遺品の管理義務が生じる
少しややこしい話ですが、相続放棄をする場合、遺品に手を付けられませんが、そのままにしておいてはいけません。
次の相続人が決まるまで、遺品を管理する義務があります。例えば住宅の管理などは、遺品管理人が行います。
その他、子が相続放棄し、孫が相続人となる場合、孫が遺品を管理できるようになるまで、管理しなければいけない、などの決まりがあります。
例外的に遺品整理せざるを得ないケースも
相続放棄した場合でも、例外的に遺品整理しなければいけないケースもあります。
孤独死で発見が遅れた場合やゴミ屋敷化してしまった場合です。
遺体の腐乱が進んでしまったり、ゴミが悪臭を放っていたりする場合、早急な対応が求められます。
この場合、相続放棄をしても例外的に対応が求められます。
まとめ 遺品整理のタイミングは個々の状況に合わせて
相続放棄など特殊な状況を除いて、遺品整理を行うタイミングは個々の状況に合わせて行います。遺族間の揉め事にならないよう、全員が集まる機会を経て取り掛かるのが一般的です。
状況によって、短時間で遺品整理を終わらせる必要がる場合や、故人が遠方に住んでいて、時間を取れない場合、専門業者へ依頼する方法もあります。
遺品整理の基本的な流れは、遺品ごとのカテゴリー分けを行い、分けられた箱などに仕分けをしていきます。
段取り良く行うために事前の計画も重要です。自力での整理が難しい場合は、専門業者へ依頼しましょう。