メールやLINE全盛の世の中ですが、たまには手書きも趣がありますね。
秋の夜長、机に向かい、ペンを握って、大切な誰かに手紙を書いてみるのもいいかもしれません。
さて、手紙やハガキといえば、切手が必要ですよね。
季節や手紙の内容に合わせて、様々な柄を選ぶのも楽しいものです。
その切手ですが、使って消印を押されたものは、どうしていますか?
大切な手紙はとっておくとしても、そのほかは処分してしまう人が多いのではないでしょうか。
特に、遺品整理で大量の手紙やはがきなどが出て来た場合、どうにもできず、ほとんどが捨てられてしまうようです。
でも、待ってください。使用済みの切手には、実は隠れた価値があるのです。
そこで、使用済み切手の処分方法についてご紹介します
目次
使用済み切手の価値とは?
使用済みの切手は、もちろん再度使うことはできないので、郵送に関しては利用価値がありません。
しかし、使用済みの切手を収集する愛好家は数多く、そういったコレクターの間で高額で取り引きされています。
愛好家にとっての使用済み切手の価値とは、何なのでしょうか?
「使用済み切手」の愛好家
たとえば、鉄道マニアに、実際に列車に乗るのが好きな「乗り鉄」や、列車の写真撮影が好きな「撮り鉄」などのジャンルがあるように、切手のコレクターにもいろいろな集め方をしている人がいます。
その中には、未使用のものではなく「使用済みだからこそ価値がある」とし、集めているコレクターがたくさんいるのです。
なかには、未使用のものよりも高い値がつく切手もあるそうです。
希少価値のある切手
切手の発行枚数が少なかったり、現存数が少なく入手が非常に困難だったりする切手は、たとえ使用済みであっても高い価値があります。
このような希少性が高い切手は、存在していること自体に価値があるため、使用済みであっても需要が高いのです。
世界で最も有名かつ高額な切手は、19世紀に発行された「英領ギアナ1セント・マゼンタ」(使用済み)です。
この切手は、世界中で1枚しか現存が確認されておらず、2014年、史上最高価格の9億7000万円で落札されたそうです。
また、日本で明治時代に発行された二十銭の「桜切手」(使用済み)は、今までわずか20枚ほどしか確認されていない超プレミアもので、その価値は3億円を下らないと言われています。
何十万円どころか、億までの値がつくのには驚きですね。
切手の消印
「消印」に注目するコレクターもいます。
消印に価値を見出すコレクターが多いために、郵便局側でも、消印を押した切手販売を行っているほどです。
- この消印はどこで押されたのか
- 切手に対してどのように消印が押されているか
- 切手の発行年と消印に関連性があるか
- 消印の外周円がきれいに描かれているか
- 切手の枠内に外周円がきれいに入るように消印が押されているか
など、マニアは非常に細かく消印を見ており、価値をつけています。
また、その切手が発売された初日の消印が押されたものや、臨時で設置された局などの消印など、希少価値のあるものは人気が高いようです。
さらに、特殊通信日付印、小型記念日付印といった、国家的記念行事や記念日のときだけに使われる記念印が押されているものや、風景入通信日付印という、旅行の記念のためにその土地の名所などを描いた特別の日付印が押されているものは、価値が高くなります。
そのため、切手自体は普通によくあるものでも、消印に価値があれば高額で取引されているそうです。
切手の歴史的価値
消印には、その手紙がいつ、どこから出されたのかが記録されていますね。
そのため、歴史的な資料となります。
やり取りした人や手紙の内容をはじめ、時代など、その手紙が往復したということに価値があるとされます。
使用済み切手そのものというよりは、切手を貼ってある封筒や手紙の文面などを含めた手紙全体に価値を見出していると言えるでしょう。
使用済み切手の処分方法
使用済みの切手は、捨ててしまうのはもったいないアイテムのようです。
でも、自分では保管できない場合、どう処分すればよいのでしょうか?
買取専門店に売る
切手を売りたい場合は、使用済みの切手を買い取ってくれる専門店に依頼しましょう。
インターネットで検索すると、様々なお店が出て来ますので、複数を比較して選んでみてください。
切手の知識が豊富な、専門スタッフに査定してもらえます。
最近では、自分で持ち込むだけでなく、出張査定してくれたり、送るだけで査定してもらえるお店もあり、便利です。
オークションやフリマアプリで売る
インターネットオークションや、フリマアプリに切手を出品する方法もあります。
自分でやり取り・荷造りの手間はありますが、それを求めている人の目にとまれば、高額での売却も期待できます。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理を業者に依頼する場合は、相談してみましょう。
近年、遺品整理業者は買い取りに力を入れているところが多く、専門の知識があるスタッフも在籍しています。
もし、その業者で分からなくても、専門の買取業者と提携している場合もあります。
買い取ってもらえれば、遺品整理費用がその分浮くことにもなりますよ。
寄付する
使用済みの切手には、市場価値があるということを利用して、使用済みの切手を集め、国内・海外へ寄付している慈善団体があります。
たとえば、5000枚の使用済み切手は、日本円で約1800円に換金することができます。
これは、タンザニアの看護学校の1年分の教科書代に相当するそうです。
また、2万2000枚の切手は、ウガンダの助産師学校の1ヶ月分の学費に、8万枚集まれば、バングラデシュで理学療法を学ぶ研修費用として使うことができるそうです。
集まった切手は、ボランティアの手によって仕分けされ、全国の切手コレクターに送られて換金されます。
このお金が、さまざまな国際協力などに役立てられるというわけです。
国際協力活動
シャプラニール ステナイ生活
南アジアの人々の生活上の問題解決に向けた活動に役立てられます。
公益社団法人 日本キリスト教 海外医療協力会
アジア、アフリカへの人材協力と教育支援の活用に役立てられます。
JOICFP
女性支援活動の資金として役立てられます。
エコ活動、動物愛護
公益財団法人 緑の地球防衛基金
中国楡林市東陽山や、タンザニア・キリマンジャロでの植林活動の運営に役立てられます。
公益社団法人 日本動物福祉協会
動物の保護や新しい飼い主探し、不妊・去勢手術、動物福祉理念の普及などの活動資金として役立てられます。
郵便局の寄付箱に入れる
慈善団体に寄付するには、送料がかかってしまいます。
寄付はしたいけれど、送料がかかるのはちょっと、という場合は、郵便局内に備え付けてある回収箱に投函しましょう。
これらの切手類をコレクターや買取業者へ販売し、その売上金を、自治体と連携して社会福祉に役立てています。
たとえば、東京都目黒区では、車椅子を備えたり、区内の子供たちの学習に役立てたりしているそうです。
利益の使い道は、窓口で尋ねれば教えてもらえますよ。
最寄りの郵便局に持ち込むだけなので、手軽にできる寄付の方法です。
切手の上手な切り取り方は?
使用済みの切手は、様々な付加価値がつくために、未使用のものよりも価値の多様性があると言えます。
せっかくの切手をだめにしてしまわないよう、保管のポイントをご紹介します。
封筒から切手をはがさない
封筒に貼られた切手は、封筒からはがしてはいけません。
郵便物としての全体の状態がよいほど、価値が高くなることがあります。
そのため、封筒がついたままで切り取りましょう。
貼られている切手の価値がわからない場合は、切り抜かずにそのまま査定に出してみてください。
できるだけ消印を残す
コレクターにとって、消印も重要です。
使用済み切手の価値は消印を含めてのものですので、できるだけ消印がすべて収まるように大きめに切り取りましょう。
消印が切り落とされていると価値が下がってしまう場合があります。
水につけて台紙から剥がすやり方もありますが、消印が消えてしまいやすく、また切手自体も傷んでしまうので、避けた方がいいようです。
切手から5mm~1cm離して切り取る
周りのギザギザ部分がなくなってしまった切手は価値がありません。
ギザギザ部分を切り落とさないようにしましょう。
紙としての保管状態に気をつける
切手や封筒、はがきなどは素材が紙なので、湿度が大敵です。
水気があったり、湿気がこもりやすい場所では保管しないようにしましょう。
保管状態が悪いものは、コレクション価値が低くなってしまいます。
売却するお店や寄付する団体によってはルールが違うこともあります。
必ず事前に確認しましょう。
まとめ
意外に奥深い切手の世界。
遺品整理で出た郵便物も、切手収集の趣味がない場合や、古いものばかりで価値があるのかわからない、置き場がないなどという場合、まとめて捨てるよりは、少しでも生かしたいものです。
さまざまな方法で、誰かが喜んでくれたり、誰かを助けることができたらいいですね。