遺品整理をしていて困るのが、家具・家電といったサイズが大きい遺品ではないでしょうか。
そして意外にも捨て方に悩みやすいのが、スーツケースやキャリーケースです。
故人が旅行好きだった場合、1つや2つどころか大量に出てくることもあります。
大きくかさばるため、使わない時はとにかく場所をとって邪魔に感じるもの。
そんなスーツケースやキャリーケースが遺品として出てきたら、どのような方法で処分すれば良いのでしょうか?
この記事では、スーツケースをはじめとした旅行用の処分方法を、それぞれのメリット・デメリットと合わせて解説します。
遺品整理で出てくるスーツケース・キャリーケースの処分方法にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
「スーツケース」と「キャリーケース」の違いは?
スーツケース、キャリーケース、と言えば、大きな箱のような形で、コロコロ転がせるキャスターがついていて……というイメージですよね。
似ているこの2つ、何か違いはあるのでしょうか?
スーツケースとは?
スーツケースは、もともとはビジネスマンの間で利用された旅行カバンのことを指していました。
海外出張などで旅行をする時に、スーツにシワが入らずに運べて、旅行用の荷物を詰められる大きめのバッグのことを言っていたのです。
そのため、昔はキャスターが無い、いわゆるトランクも多かったのですが、最近では持ち運びに便利なキャスター付きのものが主流になっています。
キャリーケースとは?
キャリーケースは、実は正式な英語ではなく和製英語です。
正しくは“carrier bag”(キャリアーバッグ)、もしくは“trolley bag”(トロリーバッグ)と言われています。
このキャリーバッグは、名前の通り、「荷物を運ぶカバン全般」を指します。
キャリーバッグという大きなくくりの中に、種類の1つとしてスーツケースが含まれるとイメージすると分かりやすいでしょう。
つまり、キャリーケースとスーツケースは広い意味で同じものなのです。
強いて違いを挙げるとすれば、
- キャリーバッグには必ずキャスターがついている
- スーツケースにはキャスターのないもの(いわゆるトランク)もある
という点です。
素材が何であれ関係なく、スーツケース・キャリーケースはこのように区別されています。
スーツケース・キャリーケースの処分方法
不要なスーツケースやキャリーケースは、さまざまな方法で処分することが可能です。
捨て方によって、手順や費用が異なります。
ケースの大きさや状況に合わせて、自分に合う適切や処分方法を選びましょう。
自治体のゴミ回収に出す
メリット | 無料で処分できる |
デメリット | 指定サイズ以下のスーツケースに限る(大きいものは解体が必要) 分解して、素材ごとに可燃ゴミ・不燃ゴミに分ける必要がある |
家庭から出たゴミは、自治体が行っているゴミ回収で処分するのが一般的です。
スーツケース・キャリーケースについても、ものによっては可燃ゴミや不燃ゴミとして捨てられます。
自治体のゴミ回収に出せば、処分費用はかかりません。
手っ取り早く無料で捨てたい方にとっては、一番都合の良い処分方法でしょう。
注意すべきなのは、ケースの大きさです。
自治体が指定するサイズを超えたものについては、ゴミ回収には出せません。
サイズは地域によって異なりますが、「最大辺の長さが30cm~50cm以下のもの」としている自治体がほとんどです。
ちなみに、指定サイズを超える場合でも、分解して小さくすれば可燃ゴミ・不燃ゴミ扱いになります。
しかし、スーツケース・キャリーケースは大切な荷物を守れるよう頑丈に作られているため、ちょっとやそっとの打撃では壊れません。
自力で分解・解体するのはハードルが高く、時間もかかります。
解体・分別が必要な場合も
規定サイズ内の小型のケースであっても、複数の素材が使われている場合は、解体してパーツごとに処分しなくてはなりません。
素材が革や布なら可燃ゴミ、アルミ製は不燃ゴミのように、素材ごとに適切な方法で処分を行います。
鍵やファスナーなどの金属、キャスターなどプラスチックのパーツは不燃ゴミ扱いになるので、取り外してそれぞれ処分するとベターです。
分別方法やゴミ出しルールは自治体によって違いがあります。
スーツケース・キャリーケースをゴミ回収に出す場合は、居住地域のゴミの出し方を確認しておきましょう。
粗大ゴミとして処分
メリット | 処分費用が安い 解体・分解する必要がない |
デメリット | 指定場所までは自分で運び出す必要がある 事前予約やゴミ処理券を購入する手間がかかる 受付から処分までに、2週間ほどかかる |
大型のスーツケースやキャリーケースは、粗大ゴミとして処分すれば費用が抑えられ解体などの手間もありません。
粗大ゴミとして出す場合は、事前の申し込みや自治体が定めた処分料金もかかります。
粗大ゴミ申し込みの流れ
- 粗大ゴミ受付センターに連絡する(電話・Web・line・チャットポットなど)
- 回収日・料金などを確認し、販売店で「有料ゴミ処理券」を購入する
- 氏名など必要事項を記入したゴミ処理券を、スーツケースに貼り付ける
- 指定日時の、指定場所に出しておく
自治体によって多少異なりますが、おおまかには上記の流れで受付~処分を行います。
有料のゴミ処理券は、地域のコンビニや郵便局、小売店などで購入できます。
処分料金も一律ではなく、自治体によって費用が異なります。
粗大ゴミの処分は、解体などの手間はかからない一方で、捨てるまでに時間を要します。
受付から2週間程はかかるため、今すぐに手放したい方には不向きです。
また、指定の処分場所までは自分で運び出す必要があります。
粗大ゴミセンターへ持ち込む
メリット | 自治体によっては処分費用の減免措置がある すぐに処分できる |
デメリット | 粗大ゴミセンターへの持ち込み、積み下ろしが必要 処分場が近くにない場合もある |
早く処分したい場合は、粗大ごみセンターへ自分で持ち込む方法もあります。
持ち込んだ場合の費用についても、地域によって違いがあります。
粗大ゴミセンターへ持ち込んだ不用品は、すべて自力で積み下ろしが必要です。
センターの営業日や持ち込み時間なども事前に確認の上、申し込みを行いましょう。
リサイクルショップの査定に出す
メリット | 手っ取り早く売却できる |
デメリット | 査定額がかなり低い 買取不可の場合もある(美品・ブランド以外は難しい) |
いらない物でも、ゴミとして捨てる以外に売却するという方法もあります。
新品のスーツケースは価格が高く、使用頻度が多くない人にとっては、中古品でも需要があるのです。
手間と時間をかけずに売るのなら、店舗型のリサイクルショップがおすすめです。
直接持ち込んで査定に出せば、混み具合にもよりますが数時間で手続きが終わります。
買取可能で現金化できれば、処分費用が浮く上に臨時収入も得られます。
しかし、リサイクルショップの買取額は雀の涙ほどで、数百円が良いところでしょう。
また、状態がよくないスーツケース・キャリーケースについては、売れないどころか無料引き取りさえ難しい場合があります。
壊れていたり、古かったりするものは、引き取ってもらえない可能性が高いです。
無駄足になる可能性もありますが、一度スーツケースを持ち込んで査定してもらいましょう。
ネットオークションやフリマアプリで出品する
メリット | リサイクルショップよりは高値で売れる |
デメリット | 出品(撮影・メッセージ・発送)の手間がかかる 売れるまでに時間がかかる、売れない可能性がある |
処分を急いでいないのなら、ネットオークションやフリマアプリに出品するのもひとつの方法です。
価格は自分で設定できるので、値段しだいでは使用感のあるケースでも買い手がつくかもしれません。
しかし、出費から発送まですべて自分で行わなくてはならない分、ある程度の手間はかかります。
スマホひとつで簡単に利用できますが、慣れるまでが大変です。
落札後にトラブルにならないよう、傷などの状態を正しく伝えておくことも大切。
発送時に破損しないような配慮も必須です。
また、出品したからといってすぐに売れるとは限らないため、急ぎで処分したい方にはおすすめできません。
比較的時間に余裕があり、なるべく高く売りたい方は、試しに出品してみましょう。
「送料込み」で出品する場合は、送料分を上乗せすることもお忘れなく。
フリマアプリ初心者の方は、「メルカリ教室」に参加するとスムーズにはじめられます。
ブランド品買取専門店に売る
メリット | 高値で売れる可能性がある |
デメリット | 査定に出せるのはブランド品に限られる |
処分したいスーツケースがブランド品の場合、少々古くても状態がよほど悪くない限り、売れる可能性があります。
査定基準は買取店によって異なりますので、インターネットで検索し、良さそうな店へ申し込んでみましょう。
スーツケースの人気ブランドの例
ルイ・ヴィトン/サムソナイト/プロテカ/エース/セロハリバートン/サンコー/リモワ/シフレ/トリオ/グローブトロッター など
ブランドの製品は買い取ってもらいやすいので、処分する前にブランドを確認してみてください。
また、査定に出す前のひと手間で、買取金額がアップする可能性もあります。
まずは、天気の良い日に陰干しするほか、消臭スプレーなどを使い、旅行時にしみ付いた臭いを消しましょう。
外側・内側に汚れがないかも確認し、全体を拭いてツヤを出すことも大切です。
少しでもきれいな状態の方が買い取ってもらえる可能性が高くなりますから、使用感はできるだけ消しておくことが重要なポイントです。
ほしい人に譲る
メリット | 処分する手間が省ける 捨てる費用が浮く |
デメリット | すぐに譲り先が見つかるとは限らない |
遺品整理で出てきたスーツケースは、人に譲ることでリユース・リサイクルにつながります。
親族の他、友人でも引き取り手がなかった場合は、掲示板で呼びかけると譲渡先が見つかるかもしれません。
おすすめなのは、地元密着型の「ジモティー」です。
自治体が推進する安心・安全の掲示板で、地域で不用品の譲り合いができる便利なサービスです。
登録料や会費はなく、完全無料で利用できますので、捨てるには惜しい方や処分費用を浮かせたい方は、試しに出品してみましょう。
発展途上国に寄付する
メリット | 処分費用が浮く 社会貢献できる |
デメリット | 送料は自己負担になる場合がある |
いらなくなったスーツケースやキャリーバッグは、寄付することもできます。
東南アジアやアフリカ諸国など発展途上国では、たくさんの荷物を運ぶために容量が大きく丈夫なカバンを必要とする人が多いようです。
そこで、日本製のスーツケースは質がとても良いので喜ばれます。
お金にはならず梱包や発送の手間もかかりますが、寄付することで社会貢献になれば、元の持ち主であった故人も喜んでくれるのではないでしょうか。
こうしたものをまとめて海外へ送る活動をしている団体があるので、問い合わせてみるとよいでしょう。
不用品回収業者に依頼する
メリット | 処分の手間が一切かからない 他の不用品もまとめて回収してもらえる |
デメリット | 他の処分方法と比べて、費用が割高 悪質な業者も存在する |
スーツケース・キャリーケースを手間なく処分したい方は、不用品回収業者を利用しましょう。
粗大ゴミの処分費用と比べると割高ですが、搬出から回収まですべての作業をスタッフが行います。
その他の不用品についてもまとめて回収してもらえるため、家中のいらないものをスッキリ手放したい方にうってつけの処分方法です。
まずは複数の不用品回収業者から無料見積もりをとり、料金やサービス内容を比較の上、依頼先を決めましょう。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理業者なら単に処分するだけでなく、買取や供養などのサービスを行っている業者もあります。
また、海外ルートを持ち、途上国への寄付を代理で行ってくれる業者もありますので、問い合わせてみてください。
まとめ
遺品整理で出たスーツケース・キャリーケースの処分方法に困った時は、まず「売る」ことを考えましょう。
状態や状況などから、リユース・リサイクルが難しいと判断してから、ゴミとして処分しても遅くはありません。
売る・捨てるどちらの場合でも、ケースの中は空っぽにしておきましょう。