遺品整理をすると、大量に不用品が出るケースがよくあります。
その中には、まだまだ使えるものもたくさんあります。
家具や家電、小物など、そのまま処分してしまうのはもったいないものも多いのではないでしょうか。
近年、このような、まだ使える遺品を再生してリユースする動きが広がっています。
今回は、注目されている「遺品再生」について見ていきましょう。
目次
整理された遺品はどこへ行くの?
亡くなった家族が愛用していた品々。
できるならずっと取っておきたいですが、なかなかそうもいきません。
特に家具などの大きなものは、置いておくスペースもなく、泣く泣く処分するしかない人がほとんどではないでしょうか。
このような遺品は、いったいどこへ行ってしまうのでしょう。
形見分けする
まだ使える状態の遺品を、家族や親族、知人・友人などに故人の思い出の品として贈ります。
形見分けは必ず行わなくてはならないわけではありませんが、永く故人を偲ぶため、行う人が多いようです。
品物としては、アクセサリーや小物類などが選ばれることが多いでしょう。
供養する
不用品ではありますが、ただ処分してしまうには忍びないものは、供養するという方法があります。
仏壇や神棚、ぬいぐるみ、写真、手紙など、お寺などでお経をあげてもらい、お焚き上げすることになります。
リユースする
リユースとは、使い終わったものをゴミにしないで、何度も使うことです。
まだ使えるものや、市場価値のあるものを、そのまま誰かに譲ったり売却したりすることで、再利用します。
燃やしたり埋め立てたりしないため、環境に優しく、ごみ処理の量を減らすことができます。
リサイクルする
リサイクルとは、使い終わったものをもう一度、資源に戻し、新しい製品を作ることです。
そのままの形で使用されるのではなく、たとえば家電に含まれるレアメタルのように使える部分を取り出し、新しい製品に使用します。
古紙を再生紙として生まれ変わらせたり、ペットボトルを再生繊維として使い、布製品を作るようなイメージですね。
ゴミとして処分する
誰も使う人がなく、必要とされないものはゴミとして処分されます。
素材によって分別されますが、ほぼ焼却処分されることになります。
リユースの必要性とは?
大量生産・大量消費が当たり前に行われ、大量のゴミ処理が必要な現代。
ゴミの焼却が環境にかける負担が危惧されています。
そんな中、環境にやさしい運動として「リユース」や「リサイクル」の必要性が高まってきました。
リユースが叫ばれるようになった背景には、さまざまな理由があります。
埋め立て処分場の容量が逼迫している
私たちが出したゴミで、リユースやリサイクルできないものは焼却施設で燃やされ、その灰は最終処分場に埋め立てられます。
しかし、現在のペースでゴミが出続けるとあと20年ほどで処分場はいっぱいになってしまうといわれており、ゴミの減量は切実な問題となっています。
地球温暖化問題
焼却施設でゴミを燃やすと、CO₂が発生します。
CO₂には赤外線を吸収し再び放出する性質(温室効果)があります。
CO₂はもともと大気の中に含まれていますが、18世紀後半の産業革命以降、生活や産業活動によって40%ほど増えたと言われています。
このまま大量にゴミを燃やし続ければCO₂も増え、地球の気温が上がっていきます。
その結果、異常気象、海水面の上昇、気温の上昇など、さまざまな問題を引き起こしています。
資源問題
さまざまな包装容器や製品など、今や生活に欠かせないビニールやプラスチック。
これらの減量は石油です。
地球の石油残量は、2017年の英国石油の調査では後50年で枯渇すると言われていました。
しかし、実は、地下の探査によって新しく石油が見つかれば残量は増えるため、この数字は毎年変動しています。
しかし、今後発見される石油は条件が悪くコストが高くかかるものが中心となるため、ガソリンやビニール・プラスチックなど石油製品の値段は上がり、石油を燃料とする発電も困難となると予想されています。
以上のような理由から、できるだけものを捨てず大切に使うリユースが重要とされるようになっているのです。
遺品再生とは?
まだ聞きなれない言葉かもしれませんが、今「遺品再生」が注目されています。
遺品再生とは、文字通り、遺品として残されたものを再生し、リユースすることです。
遺品再生には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
遺品に新しい命を吹き込める
なんと言っても、遺品再生の最大のメリットは、故人が使っていた大切は遺品を再活用できることでしょう。
自分では使えない、引き取れないものであっても、遺品を処分するのは罪悪感を感じるものです。
でも、それを必要とする別の人が使ってくれれば、まさに「遺品再生」です。
処分される運命だった遺品に、新しい命が宿るようなもの。
使ってくれる人に会うことはできなくても、世界のどこかで遺品が大切に使われれば、故人もきっと喜んでくれるのではないでしょうか。
遺品整理の費用が安くなる可能性がある
遺品整理の際に、まだ使えるものを買い取ってもらえば、その分、遺品整理の費用が浮くことになります。
製造から5年以内ほどの製品が中心となりますが、特に処分にお金がかかる家電4品目(テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、エアコン)は、引き取ってもらえれば、お金がかからない上、お金を得られる場合があります。
環境保護に協力できる
繰り返しになりますが、ものを捨てると焼却によってCO₂が発生したり、埋め立て地がますます狭くなるなど、さまざまな問題が起こります。
しかし、遺品再生でものを捨てずにリユースすれば、環境を破壊することはありません。
遺品再生はどのように行われるの?
まだ使えると判断された遺品は、どのように再生されるのでしょうか。
引き取られた遺品の行き先について見ていきましょう。
集まった遺品はどこへ行くの?〜国内編
遺品は、さまざまな形で新たな持ち主のもとへ行きます。
近年、国内でもオークションやフリマアプリで遺品であるということを隠さず明記して売られる商品が増えています。
状態の良いものであれば、遺品であってもこだわらない人が増えているようです。
また、最近は、ジャンル別に遺品を査定する専門の業者が増えています。
特に、なかなか分かりづらい趣味のものの価値も、専門業者なら適正な査定を行ってくれます。
このような業者を通じて、新しい持ち主へ販売されることも増えています。
集まった遺品はどこへ行くの?〜国外編
遺品再生は国内だけではなく、海外にも多く運ばれています。
マレーシア、タイ、フィリピンなど東南アジアの国々では、メイド・イン・ジャパンの衣類や家電製品、日用品などが人気です。
取引量も多いため、これらの国々では独自の販売ルートを持つリサイクル業者がたくさんいます。
丈夫で品質が良いと評判が高い日本の製品。
その中でも遺品は、日本人がそれまで大切に使ってきたものであるだけに、丈夫で品質が良くきれいであるという付加価値がつき、新品よりも中古品に人気が集まるのだそうです。
また、自動車やオートバイの部品や鉄素材などは、主に中国に輸出されています。
東南アジアに比べて取引量は多くありませんが、ヨーロッパや北アメリカなどでも、衣類、家電・電化製品、プラスチック製の容器類、文房具などが売れているようです。
日本製のものはデザインも良く、使いやすいところが人気となっています。
海外へのルートとは?
日本製品の人気の高さを受け、近年は、遺品整理から海外へ輸出するルートを持つ遺品整理業者が出てきています。
こういった業者は、遺品整理で引き取ったまだ使えるものをきれいにクリーニングし、海外へ輸出します。
また、販売するだけでなく、チャリティー活動に参加して、海外の人たちに喜んでもらう取り組みを行っているところもあるようです。
買い取りを積極的に行っている業者は、海外への販売ルートを持っていることが多いようです。
もし、誰かにまた使ってもらいたい遺品があるのなら、遺品整理の際、業者に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
近年、まだ使える遺品を処分せず、リユースする「遺品再生」が注目されています。
遺品再生とは、遺品整理の際に出た不用品でまだ使えるものや市場価値のあるものを買い取ってクリーニングし、販売するというものです。
特に国外では日本製の家具や家電、衣類は人気があり、多くの人に購入されています。
遺品再生は、遺品が無駄にならないだけでなく、環境の保護にも協力することができるので、今後ますます増えていくと考えられます。