遺品や形見分けで、故人の指輪をもらったという人は多いのではないでしょうか。
でも、せっかくいただいた故人の大切なものなのに、しまったままという人も。
できれば身につけて、故人を感じられたらいいですよね。
そこで今回は、形見の指輪をリフォームやリメイクする方法について見ていきましょう。
目次
指輪をリフォーム、リメイクする方法とは?
小さな頃、お母さまやお祖母さまが持っていた指輪に憧れた女の子は多いのではないでしょうか。
大好きなお母さまやお祖母さまとの悲しいお別れ。
それだけに、形見にもらった指輪は大切な宝物ですね。
それにも関わらず、身につけず、ケースにしまったままという人が少なくありません。
なぜなのでしょうか。
お母さまやお祖母さまの時代によくあった、大きな立爪の指輪や、古めかしい石など、昔の指輪は、デザイン的に古くて今の服装にはミスマッチになってしまうことが多いからです。
また、サイズが合わないためにつけられないというケースもあります。
こんなとき、思い切って指輪をリフォームしたり、リメイクしたりするという方法があります。
指輪のリフォームやリメイクは、どのような方法で行うのでしょうか。
多くの場合、古い指輪やジュエリーは「セミオーダー」か「フルオーダー」でリフォームやリメイクを行います。
では、その方法について見ていきましょう。
セミオーダー
「セミオーダー」とは、もともとの指輪の石を活かす方法です。
あらかじめ決まったデザインの指輪のフレームに、元の指輪の石を外してはめ込みます。
セミオーダーは、大きな石を使った婚約指輪などのリメイクによく使われる方法です。
指輪のフレームを変えてしまうため、石が同じでも全く違う印象になります。
もともとある既製品を使うので費用があまりかかりません。
また、元の指輪に使用されていた金属を下取りし、費用に充てることが可能なお店もあります。
石を新しいフレームにセッティングし直すだけなので、日にちもそれほどかかりません。
ただし、枠の幅や高さ、デザインなどを変えられないため、アレンジはほとんどできないので注意しましょう。
フレームのデザインや使う金属の種類はお店によってさまざまです。
元の宝石に合った色や金属を選びましょう。
元のフレームのサイズがちょうど良く、なおかつデザインが気に入っているのであれば、フレームを活かして宝石の部分を別の石に変える方法もあります。
自分の好きな色の宝石に変えたり、誕生石に変えるなどすると、こちらも全く印象の違う指輪に生まれ変わります。
フルオーダー
「フルオーダー」は、元の指輪の金属を溶かしたり、宝石を磨き直したりして新しい指輪を作る方法です。
セミオーダーと違い、いろいろアレンジができるので、人とは違うデザインのものが欲しい人や、こだわりのある人におすすめです。
また、変形してしまったり、石が抜けてしまったりした指輪でも、その金属を使って新しいアクセサリーにすることができます。
フルオーダーは、以下のような方法を組み合わせて新しい指輪を作成します。
フレームを変える
宝石を残してフレームを丸ごと変更します。
フレームの金属を使い、新しいフレームを作成します。
金属の量にもよりますが、好みのデザインのフレームを作ることができます。
宝石のリカット
古い石をカットし、磨き直したりデザインを変更したりします。
硬い宝石ですが、長い年月のうちには傷みも出てきます。
リカットすることで弱くなっている部分が除かれ、宝石がより長持ちします。
石の並べ方を変える
宝石の配列を変えることも可能です。
大きな石と小さな石の並べ方を変えるだけで、指輪の雰囲気はガラリと変わります。
また、故人から譲り受けた指輪の石と自分が持っている石を組み合わせたり、他の大切なジュエリーの石を組み合わせたりすることもできます。
フルオーダーに向いている金属は?
元の金属を溶かしてしまうと考えると、ちょっと勇気が必要ですね。
フルオーダーで気をつけたいのは、溶かしてリフォームするのに向いている素材と向いていない素材があることです。
形見の指輪はフルオーダーが向いているか、それとも他の方法がいいのか、確認しておきましょう。
ゴールド
K24、K18、K14、K10といった素材がよく使用されるゴールド。
アクセサリーとしてはもちろん、資産としても価値があります。
ゴールドは比較的変化しにくく、溶かしてのリフォームやリメイクがしやすい素材で、特にホワイトゴールドやイエローゴールドが向いています。
プラチナ
プラチナは、婚約指輪や結婚指輪にもよく使われている素材で、錆びたり変色したりしにくいという特徴があります。
溶かしての再利用にはPt1000、Pt900が向いています。
Pt850のプラチナはネックレスのチェーンなどに使用されることが多い素材ですが、こちらはあまり向きません。
シルバー
シルバーは、時間が経つと黒く変色してしまうという性質があります。
アクセサリーによく使われますが、残念ながら溶かしてリフォームするのには向いていません。
合金
合金でできたものも、溶かしてのリフォームには向きません。
合金の場合、素材として脆いものになってしまうため、業者にも敬遠されることが多いようです。
リフォーム・リメイクまでの流れは?
では、お店でリフォームやリメイクを依頼する際の流れを見ていきましょう。
指輪の確認
まず、指輪の状態を調べます。
石の特徴や使われている金属、また、加工の際にかかる負担に耐えられるかどうかを確認します。
デザインイメージの相談
どのような指輪に作り変えたいか希望のイメージを伝えます。
特にこれといったイメージがない場合は、おすすめのデザインを提案してもらえます。
予算なども伝え、しっかり相談しましょう。
指輪を預ける
デザインが決まったら、指輪を預けます。
この際、業者で指輪の写真を顕微鏡カメラで撮影します。
この写真を撮ることで、石の入れ違いやすり変わりなどを防ぎます。
指輪の加工
職人が加工を行い、新しい指輪に生まれ変わります。
引き取り
仕上がりを確認し、受け取ります。
指輪のリメイク・リフォームのメリットとデメリットは?
形見の指輪は、この世に1つしかない大切なものだけに、リメイクやリフォームには慎重にしたいですね。
ここで、形見の指輪をリメイクするメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
最大のメリットは、故人の愛用した金属や石がそのまま使えることです。
特に指輪は、溶かしてのリフォームがしやすいアイテムです。
溶かした金属はさまざまな加工ができるので、自分にとって身につけやすいアクセサリーを作ることができます。
デメリット
デメリットは、元の指輪の金属だけではリフォームできないケースが多いことです。
金属の純度にもよりますが、溶かした金属は強度が低く、使用に耐えないほど弱くなってしまうことがあります。
また、経年劣化した指輪の金属には使えない部分もあります。
そういった部分は削るので、使える金属の量が減ってしまいます。
すると、元の金属のみの量では細くてシンプルなデザインしか作れません。
そのため、多くの場合、新しい金属を混ぜる必要があり、元の指輪の素材100%ではなくなってしまうのです。
また、材料費や工賃を加えると、新品の指輪を購入するより高くなってしまうこともあるようです。
指輪以外に作り変えるには・・・
溶かした指輪の金属は、指輪以外のアクセサリーとしてリフォームすることもできます。
たとえば、平らなプレート状にしてペンダントヘッドやブレスレット、ブローチなどにすることも可能です。
形は変わってしまいますが、大切な指輪の金属を活かすことができます。
文字などを彫ってメモリアルアイテムにするのも良いのではないでしょうか。
また、ピアスやイヤリングにする方法もあります。
ピアスやイヤリングは金属部分が少ないので、指輪を作り変えるのに適しています。
この場合、指輪の宝石も2分割しますが、宝石を2つにしてしまうと、当然ながら元よりずっと小さくなってしまいます。
また、小さくしたことで石自体の価値が下がってしまうこともあるので注意しましょう。
まとめ
形見の指輪を活用するには、リフォームやリメイクなどの方法がありました。
指輪の素材や形状、石の状態によって、適した方法で作り変えましょう。
いったん金属を溶かしたり、石をカットしてしまうと、元には戻せません。
専門店に相談し、見積もりの段階で慎重に話し合いましょう。
大切な指輪が長く愛用できる形に生まれ変わったら、故人もきっと喜んでくれるのではないでしょうか。